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下記記事で紹介されている。(小さな森・ミニ森林)
自然の森が成熟するまでには、少なくとも100年を要するという。だが、その「小さな森」は通常の森の10倍ものスピードで生育する──。2021年に亡くなった日本人研究者、宮脇昭が編み出した「宮脇式」森づくりが世界中に広がっている。
( → 小さな森、猛スピードで成長中!─日本人研究者の森づくりに世界が驚いた | ヒントは日本の寺社の森に | クーリエ・ジャポン )
後半は下記にある。
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元となった New York Times の記事はこれ。
→ Tiny Forests With Big Benefits - The New York Times
他に類似記事もある。
→ 各国都市で増えるミニ森林 宮脇方式、世界に浸透 - 日本経済新聞
→ “宮脇方式”の「ミニ森林」が世界で増加、都市部の植樹で人気 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
→ ヨーロッパでの宮脇方式の紹介について(1/3)ガーディアン紙での掲載 | いのちの森づくり2020?未来へ
→ 世界に拡散する宮脇メソッド|池田 憲昭 Ikeda Noriaki
具体的な方法は、こうだ。
宮脇方式の森づくりは、苗木を植える土づくりの整地を大切にしています。
山の場合は、約1,5メートル程まで深く根の張るクマ笹もユンボで掘り起こして、地中でしっかりと呼吸と栄養分を吸収できるほっこらほっこらとした柔らかい土づくりを施します。そしてややマウンド状に仕上げ潜在自然植生の樹種を多数まぜて密植混植させて植える方法です。水を充分に含ませた苗木を1平方メートルあたり3本植え、植えた後に稲わらか麦わらをたっぷりと敷き縄で抑えます。わらを敷きは苗木を雨風から守り、保温、栄養を与える役割を果たします。
こうして根をしっかりと張り、森林の再生のスピードを速めて気候変動にも対応していく森は、防災林機能をも果たす森となります。
( → 宮脇昭先生・宮脇方式とは│9千年続く平成のいのちの森プロジェクト【公式】 )
普通の人工林は、これとはまったく異なる。「土づくり」をしないという点もそうだが、「単一樹種」という点が最も異なる。たいていはスギだけの単一樹種だ。この場合、間伐が必要となるので、非常にコスト高になる。
この問題を解決するのが、複数樹種の「混合林」だ。この件は、前に解説したことがある。
→ 針葉樹林 < カエデ林 < 混合林: Open ブログ
ここで示した「混合林」という方式を採用しているのが、宮脇方式だ。しかも、「混合林」だけでなく、「土づくり」という他の方式も併用して、非常に効率の高い方法を使っている。
また、藁を使うのは、先に述べた「耕さない農業」である「不耕起農法」に似ている。
→ 土壌に炭素を貯め込む: Open ブログ
ともあれ、ここでは「小さな森林を作って都市を緑化する」という手法が紹介されている。これは「都市緑化計画」と呼んでもいいだろう。とても良いことなので、本項で紹介してみた。
※ 私の意見はありません。ただの紹介のみ。
※ 関連項目。
→ サイト内検索: 緑化計画
[ 付記 ]
ミニ森林は、それなりに効果はあるのだが、炭酸ガスの削減という効果に着目すると、コスパは良くない。そのことは指摘されている。
ミニ森林は、炭素固定の側面から評価するのではなく、都市部の気温を下げ、土壌の保水力を改善させ、生物多様性をもたらすという点に注目したほうがいいという。
土地本来の樹木は、その土地の環境に適している。それらを選んで植えることによって、長期間生存可能な生態系を作ることができる。
( → 各国都市で増えるミニ森林 宮脇方式、世界に浸透 - 日本経済新聞 )
森林のもつ多様な環境改善効果に着目するべきであり、炭酸ガスばかりに着目するべきではない、ということだ。
逆に言えば、森林のもつ多様な環境改善効果はとても大切だ、ということだ。人々は炭酸ガスばかりに着目しがちだが、森林には炭酸ガスを越えた大きなメリットがあることになる。
【 関連サイト 】
森林でなく街路樹について、同様の環境改善効果を評価した記事がある。
樹木が吸収し蓄積するCO2量は1377トンで、金額にすると2847万円の価値があった。光合成によって1年間で固定する炭素は90トンになり、186万円の価値になると推定された。
また、植物は光合成とともに空気中の汚染物質を吸収してくれる作用もある。試算によれば、吹田市の街路樹はPM2.5やオゾンなどの汚染物質を年間961キロ除去しているとされた。
これらの汚染物質は、ぜんそくや頭痛を引き起こし、人の健康にも悪影響を与える。街路樹の浄化作用によって、削減できる医療費は1年間あたりで1158万円になることもわかった。
( → (街路樹のこと:下)樹木の効果、金額に置き換えると:朝日新聞 )
これはこれで、それなりに多くの情報を与えてくれる。「植物には炭酸ガス削減以外の環境改善効果がある」ということが、この記事からわかる。
ただし、私なりに補足しておくと、次のことが大事だ。
植物が健康を改善する効果は、医療費の削減の金額だけで測れるものではない。人の健康状態は、「良好/不良/病気」という3段階がある。このうち、「病気にならない効果」は、医療費の削減という金額で測定できるが、「不良でなく良好である効果」は、医療費の削減という金額で測定できない。だから、医療費の削減という金額では言い尽くせないのだ。
換言すれば、植物のもたらす効果は、医療費の削減という金額だけでなく、もっとずっと多くの金額に相当するわけだ。それは「住環境の向上」という意味では、住居価値の改善というような価値をもたらしてくれる。
植物の効果というものは、ただの炭酸ガス削減だけではないのである。
※ だから、私の家の庭にある庭木はとても大切なのだ。雑草を取るのにすごく手間がかかるが、それも仕方ない。このような庭のないマンションに移住すると想像すると、閉塞感で気が詰まる感じだ。
※ すぐ上に引用した朝日新聞の記事は、前項の記事の次回分である。(シリーズもの)

