2023年07月28日

◆ 偽装フリーランスの解決策

 労働者を個人事業主のように見せかけて企業負担を減らそうとする「偽装フリーランス」という問題がある。解決するには?

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 前にキヤノンが「偽装請負」というのをやって問題視されたことがあるが、それと似て、「偽装フリーランス」というのもある。朝日新聞が報じている。
  → 工場で逝った夫「雇っていない」 勤続16年でも「偽装フリーランス」:朝日新聞
  → (時時刻刻)夫は「労働者」だった 生産計画表に業務指示 55歳、工場で死亡 偽装フリーランス:朝日新聞

 工場で夫が倒れて死亡した。会社で普通に働いていて、葬儀には社長や社員からもたくさんの花輪が届いた。だから社員なのだとばかり思っていた。ところが「社員ではありません」と告げられた。身分は「フリーランス」(個人事業主)だったという。
 勤務実態は労働者でも、雇用の形態だけはフリーランスになっていた。その理由は、会社が社会保険料の企業負担を免れるため。一種の不正である。こうして「偽装フリーランス」という脱法的行為が横行することになった。

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 まったく、呆れるね。企業が利益を上げるために不正をする、というのは、知床遊覧船やビッグモーターに限ったことではないのだ。あっちもこっちも、いろいろなところでなされている。
 そう言えば、Amazon や ウーバーイーツのフリーランス(個人事業主)というのも、同様だ。いずれも、見かけ上の手取り収入は多いのだが、厚生年金には加入できていないので、将来の年金収入は大幅減となる。「今はよくとも老後は困る」というやつで、朝三暮四の猿みたいな「目先の得」しか考えていない。ひどいものだ。「あとで破綻しても構わないから不正で金儲けする」という点では、知床遊覧船やビッグモーターに似ている。しかも、Amazon や ウーバーイーツという巨大企業でさえ、このありさまだ。

 なお、朝日には次の解説記事もある。
A 偽装フリーランスは、形式的にはフリーランス扱いだが、実態は雇用された社員やアルバイトと同様に、会社から細かい指示を受けている人たちを指す。本来は雇用なのに、フリーランスに「偽装」されているという意味だ。

 Q 偽装されると、どんな実害があるのか。

 A 働くときの立場が「雇用」なら、法律で「労働者」として扱われ、労働基準法などで守られる。解雇されにくかったり、最低賃金の保障があったりするが、フリーランスとして偽装されると、こうした保護を受けられない。
 一方で、働くときは会社の指揮命令を受け、フリーランスのように自由に働けない。「自由がないのに法的保護も乏しい」という「悪いとこ取り」になってしまう。
( → (いちからわかる!)偽装フリーランスとは? 問題点は?:朝日新聞

 偽装フリーランスは、労働者のような働き方をしているのに、フリーランスとして扱われている人たちのことを指します。
 働く上で会社から細かく指示を受けていて、自分の裁量はほとんどない。「自分の裁量で仕事を進める」という典型的なフリーランスとは全く違います。
 それなのに、形式上はフリーランスになっているので、労働法では保護されない。働き方は労働者と変わらないのに、有休や残業代はもらえないし、仕事でけがをしても労災だと認められないという、矛盾した状態に陥っています。
 企業にとっては、同じ仕事をフリーランス扱いでやらせることができれば、社会保険料の会社負担分などの支払いが必要なくなります。また、社員と違って契約の打ち切りも簡単です。こうした企業側の「うまみ」が、偽装フリーランスがうまれる一因だと考えられます。
( → 【そもそも解説】「偽装フリーランス」何が問題? 放置される構造は:朝日新聞

 ──

 さて。そこで問題だ。このような不正は、なぜ野放しになっているのか? なぜ是正されないのか? その理由はこうだ。
 その判断を担う労働基準監督署は人手不足が常態化し、是正が追いつかない。裁判で争うことはできるが、費用も時間もかかる。諦める人が多いのが現状だ。
( → (時時刻刻)夫は「労働者」だった 生産計画表に業務指示 55歳、工場で死亡 偽装フリーランス:朝日新聞

 要するに、「泥棒がいっぱいいるときに、警官の数があまりにも不足するので、泥棒をいちいち逮捕する手間をかけることができない」というようなものだ。泥棒1人に警官1人なら泥棒を逮捕できるが、泥棒 100人に警官1人ならば泥棒を逮捕できない。……それが今の「労働基準監督署の人手不足」という状況だ。

 これを解決するために、記事ではこう提案する。
 厚生労働省の労働政策審議会の前会長で、東洋大名誉教授の鎌田耕一さんは……「専門部署を労基署内につくるなど、実効性のある対策に着手するべきだ」と話す。

 「専門部署を労基署内につくる」というが、部署だけ作って人がいないのでは、何の実効性もない。
 かといって、人を何倍にも増やすのは、「公務員の定員削減」という財務省の方針に逆らうので、とても無理だ。
 デジタル庁の発足でさえ、定員増加を防ぐために、「各省庁からの出向」とか、「民間人の有期雇用」という形にして、普通の正規雇用はろくに認めなかった。こんな状況では、不正を咎める正規公務員の増加など、とても見込めない。しかし、そうだとすると、「警官不足」というのと同様の状況が発生して、不正が野放しになる。
 あちらがたてば、こちらがたたず。困った。どうする?

 ──

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
 「偽装フリーランスとは正反対の制度を導入する。雇用形態はフリーランスで業務内容は労働者である、というのとは逆に、雇用形態は労働者で業務内容はフリーランスである、という制度を導入する。つまり、労働者とフリーランスの悪いとこ取りでなく、良いとこ取りをする」
 このような形態の公務員を導入すればいいのだ。そして、それはすでに、一部で実現済みである。「歩合制公務員」というやつだ。
  ・ 労働者としての保証を受けられる。(正規職員)
  ・ 国から給料は1円も支払われない。
  ・ 仕事量に応じて歩合給を受け取れる。

 このような公務員の実例として、「執行官」というものがある。裁判所の判決で「差し押さえ」の執行を行う担当官だ。
 これは、裁判所内で正規の公務員として働くが、給料は支払われない。収入は自前で稼ぐしかない。それは仕事量に応じて手数料という形で支払われる。その所得は確実かといえば、確実ではない。借金を踏み倒した債務者の家に行って、「差し押さえ」という証書をぺたりぺたりと貼りつけるが、相手がこっそり夜逃げしてしまえば、手数料を取りはぐれることになる。国からも給料をもらえないので、踏んだり蹴ったりだ。せっかくの仕事をしても、骨折り損のくたびれもうけに終わってしまう。膨大な無駄が発生する。儲かることもあるが、儲からないこともある。まったく安定しない。
 こういう「歩合制公務員」というものを導入して、それに労働監督業務を委ねればいいのだ。そうすれば、国の人件費の支払いは1円も増えない。それでいて、悪党をとっちめるという社会正義が実現する。金はかからず、効果は抜群。こうして問題はうまく解決される。
            Q.E.D.



 [ 付記1 ]
 「そんな不安定な職業に応募する人はいないだろ。公務員のメリットである安定性がないし」
 と疑問視する人もいるだろう。
 しかし、さにあらず。歩合制公務員の執行官は、人気の職業だ。なりたがる人は、たくさんいる。
 なぜか? 高収入だからだ。平均年収は 2500〜3000万円にもなる。Google の社員並みだ。
  → 歩合制公務員
 しかも、変動は少なく、ほぼ安定的に収入を得られる。なるほど、事件によっては、取りっぱぐれで無収入になることもある。だが、年間をならせば、年間では高収入となるのだ。 

 ※ 手数料の額は下記。
  → 執行官の手数料はいくら? - 教えて! Yahoo!

 [ 付記2 ]
 偽装フリーランスの問題でも、歩合制公務員は民間人から金を徴収するといい。ただし、その金は(サービスの対価としての)手数料ではない。では、何か? (違法行為に対する)罰金だ。
 このような罰金は、それ自体が、犯罪への抑止効果を持つ。悪い奴らには、一罰百戒で、高額の罰金を徴収すればいいのだ。

 ※ 問題は、自民党だ。こいつらが一番の悪党なので、なかなか「悪人を懲らしめる」という懲罰制度を導入しない。自分たちが罰されてしまうからだ。



 [ 蛇足 ]
 以下は、読まなくてもいい。


 「国の人件費の支払いは1円も増えない」と述べたが、細かいことを言えば、「社会保険料の半額負担の分だけは、人件費が増える」と言える。
 とはいえ、そこで支払った金は、すべて国庫に入る。自分で払って、自分で受け取るのだ。そこが民間企業とは違う点だ。
 社会保険料のうち、失業保険の分は、負担は少なくて済む。国が倒産することはないので、国が倒産することに寄る失業保険は払わないで済むからだ。また、年金の支払いは、数十年後のことなので、これも当面は払わないで済む。
 というわけで、社会保険料の負担の分も、実質的にはたいしてかからない、と考えてもよさそうだ。「1円も増えない」とまでは言えないが。(ま、そのくらいは仕方ない。)

 というか、上の [ 付記2 ] の方法を取れば、高額の罰金を徴収することができるので、国は大幅黒字となる。違法企業が増えれば増えるほど、罰金の収入がどんどん増える。国は大儲けできる。財務省も大喜び。




 【 関連サイト 】

 執行官の実情を詳細に伝えるドラマがある。現在、放映中。
  → 第1話|ストーリー|シッコウ!!〜犬と私と執行官〜|テレビ朝日
 






 [ 余談 ]
 駐車違反の摘発のような仕事も、歩合制公務員に任せればいい、という意見もある。実は、その方針は、すでに実現している。2006年に道路交通法が改正されてからは、警察から委託された民間企業から駐車監視員が派遣されるようになった。これは「歩合制公務員」ではなく、「みなし公務員」と言われる。あくまで民間会社の職員として働くのだが、仕事内容が公務員の仕事となる。
 なお、身分はアルバイト(非常勤職員)であることが多く、給料も普通のアルバイト並みで、かなり薄給であるそうだ。年収に換算すると200万円~300万円程度。
  → 【駐車監視員】とは?仕事内容から給料・必要な資格まで徹底解説!
  → 駐車監視員(駐禁の緑のおじさん)の給料や時間とは!
  → https://x.gd/uRDPF (検索一覧)
 
 
posted by 管理人 at 22:39 | Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に [ 付記2 ] と  [ 蛇足 ] を追加しました。
Posted by 管理人 at 2023年07月29日 09:26
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