本項では、今後はどうなるかという見通しを述べる。
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(10) 経営の見通し
経営はどうか? この先はかなり悪化しそうだが、実は、現状でも、かなりの収益悪化が進んでいる。
今年の3月まではかなりの黒字を出していたが、4月以後は黒字額が大幅に縮小している。
→ 【独自】ビッグモーター、実は大幅減益 単月利益が昨年9月44億→今年4月は7億円台に - AUTOCAR JAPAN
この理由は、記事によると、下記のことらしい。
「不正が明らかになった分に関しては内々に損保各社に返還を始めており、それが経常利益に影響を及ぼすようになったのが昨年秋以降とみられ11月〜12月にかけて大幅に減益しました」
不正で儲けた分を返還し始めているらしい。
とはいえ、返還するのは、全部ではあるまい。
・ 一部の損保の会社だけが対象だ。
・ 返還は、不正の全額ではなく、一部だけだ。
本来ならば、どれだけの返還が必要か? 推定してみよう。
上記の朝日記事では、「儲けの目標が 14万円」とあった。とすると、
「普通の修理では、修理費が 20万円で、利益が 5万円となるところ、修理費が 60万円で、利益が 15万円」
というふうに勝手に変更した、と推定できる。
この場合、本来ならば 20万円の修理代になるところが 60万円の修理代になったのだから、保険会社は 40万円も過剰に支払っていたことになる。とすれば、40万円の返金を求めるべきだ。(実際には1件あたり 40万円の返金をしているとは思えないが。)
一方、保険会社には、別のデータもあるはずだ。保険会社にはビッグモーター以外の修理会社からの請求書も大量に来ているはずだ。その請求書の平均額と、ビッグモーターの請求書の平均額を比べれば、ビッグモーターの不正の額も推定できる。たとえば、次のようになる。
・ 他の修理会社 の請求額の平均値 …… 20万円
・ ビッグモーターの請求額の平均値 …… 60万円
こういうデータを見れば、「ビッグモーターの請求額は 40万円も高い」とわかるので、「 40万円の過剰請求があった」と見なして、その分の返金を請求するべきだ。
とはいえ、ビッグモーターはその金を払えるはずがない。過剰に請求した金は 40万円だが、その 40万円は自社の利益になったわけではない。必要でもない修理をしたことのせいで、経費がかかっている。
経費 30万円 (材料費・人件費等)
利益 10万円
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合計 40万円
というふうになっている。10万円のうち、税金を払った残りの分は手元に残っているが、30万円の経費の分は、手元には残っていない。その分を「不正なので返還します」となったら、大幅に赤字が出てしまう。
この分の赤字を払ったら、ものすごく巨額になるので、ビッグモーターは莫大な赤字を出すだろう。倒産は必須となりそうだ。
以上は、負債の分だ。
一方、収益はどうか? 負債があっても、十分な収益があれば、負債を返還できるが。実際、これまでの業績を見ると、十分な収益があったので、その収益で負債を解消できるか?
どうも、できそうにない。
第1に、従来の収益は、不正による過剰な収益(犯罪収益)を含んでいるものだった。今後は不正ができないとなると、従前の黒字額は見込めない。
第2に、今回の事件で、信用をなくしたので、今後は事業の継続が見通せない。
(i)修理の事業は、「ここへ修理に出すと、直してもらえるどころか、ぶっ壊されて、過剰に請求される」と判明したので、今後は修理の客が来なくなり、修理の事業は成立しない。
(ii)中古車の販売も、信用をなくしたので、売りに来る客も、買いに来る客も、どちらも来なくなって、販売の事業は成立しない。
特に、後者の点が重要だ。この会社はもともと、物づくりの会社ではない。ただの販売業だ。販売業では、信用を失ったら、一挙に業績が悪化する。買い手も売り手も来なくなって、事業停止状態に陥る。この点は、自前の工場で物を生産する普通の事業会社とは異なる。もともと物は何も生産していないので、物を売ったり買ったりしてくれる客が来なくなれば、もはや事業は消えてしまうのだ。
こうして、事業が消えて、事業収益も消えるので、会社としての存続は困難になるだろう。
(11) 民事再生
会社は赤字で事業継続ができないのに、会社はつぶさない方がいい。……そのような方法はあるか? ある。「倒産させて再建」という方法だ。つまり、民事再生法による会社清算と再建だ。この場合、株式は 100% 減資となるので、株主は大損することになり、株主の責任は果たされる。
実は、この会社は社長が株式のすべてを握っているオーナー企業だ。
同社は、兼重社長らの資産管理会社が株式の 100%を所有する、いわゆるオーナー企業だ。
( → ビッグモーター、重い経営責任 自動車保険、不正請求横行 内部告発・不正会計、適切対応せず:朝日新聞 )
このことから、報酬の返上には批判も出ているそうだ。
社長が報酬を返上すればその分、株主に帰属しうる会社の利益は増える。「財布を入れ替えているだけ。不十分な処分だ」(損保関係者)との批判も出ている。
たしかにそうなので、報酬の返上でなく、株主の権利の抹消、つまり、「100%減資」が最善の策だろう。
これならば、いったん会社をつぶして、事業は別会社の形で存続させることができる。
※ 100%でない部分的な減資は意味がない。株式数を半減しても、残った株式の価値が倍になるだけだ。減資が意味を持つのは、100% 減資の場合だけだ。
※ あるいは、大幅減資のあとで、新株発行で、既存株を薄めるという手もある。
※ 民事再生のときは、ガリバーあたりに格安で売却するという手もある。
なお、このようにして、損を被れば、株主としての責任を果たしたことになるので、情状酌量されて、裁判の判決では減刑されるかもね。ただし、そのためには、赤字で不渡りを出す前にやることが必要だ。赤字で不渡りを出してからでは、手遅れとなる。
【 関連動画 】
※ 本文中では「事業停止」を予想していたが、早くも部分的に現実化しているようだ。

→ ビッグモーター、保険金不正請求の賠償額は50億円超
https://www.netdenjd.com/articles/-/287939
なめているんだろうか。こんな小額なのを受け入れたら、損保の会社は株主代表訴訟を受けて、経営者は莫大な負担を強いられるぞ。
ビッグモーターの修理部門の年間売上げの3割の 10年分ぐらいを請求するべきだ。 おおざっぱに、1000億円ぐらいにはなるはずだ。50億円なんて、とんでもない。
そもそも、売上げの3分の2が不正請求だったんだから、まともに返済していたら倒産必須、となるぐらいの賠償金を請求するべきだ。さもないと、100%減資ができないし、経営者がこのままのさばることになる。会社清算のためには、莫大な賠償金の請求が必要だ。