2023年07月17日

◆ 誹謗中傷とマイナンバー

 ネットの誹謗中傷はよろしくない。これを抑止するために、マイナンバーでネット発信を管理する、という発想がある。

 ──

 ネットの誹謗中傷はよろしくない。そのせいで死者も出ている。木村花・りゅうちぇる などの事例がある。
 そこで、これを規制するべきだが、どうすればいいか? 
 

 自民・維新


 この件で、次の記事が出た。行政府が直接規制するべきだ、という方針が出たのだが、それは言論統制に当たるぞ、という批判。
 自民党議員や大阪府の吉村洋文知事が、とんでもないことを言い出した。ネット投稿を取り締まるというのだ。
 自民党の牧原秀樹衆院議員は自身のTwitterで、次のような持論を展開。
「SNSで誹謗中傷をして侮辱罪等の刑法犯に該当する者はアカウントを削除した者も含めて『すべて』逮捕すべきだと考えます。言葉の暴力はあってはなりません」
 吉村知事も同様に、
「この9月にネット上の差別や誹謗中傷への対策強化の条例案を出す。1年かけて専門家会議の意見を聞き、ネット上の差別には大阪府が発信者に直接注意指導を、誹謗中傷には幅広い相談体制の充実を、その他、対策を条例化する」
 なんと、今秋からのネット利用規制を検討していると明らかにしたのだ。
 正しいことを言っているように錯覚するが、誹謗中傷であるかどうかの判断をするのは国家権力なのだから、中国共産党やロシアの「言論弾圧」「ネット規制」を日本でも断行する、と言っているに等しい。
( → まるで中国!「全て逮捕せよ」「条例で取り締まる」自民党議員と大阪・吉村知事が「ryuchell自殺」を政治利用し始めた | アサ芸プラス

 ここでは「言論弾圧だ」と批判しているが、よく読めば、それほどひどい話ではない。批判の論拠は、「誹謗中傷であるかどうかの判断をするのは国家権力なのだから」ということだが、そのことは必ずしも明言されていない。判断をするのは中立的な第三者機関である可能性も排除されていない。
 むしろ、現状のように、「誹謗中傷はやり放題で、ほとんど規制されていない」という状況の方が、よほどひどいとも言える。

 韓国の規制


 同じ記事では、韓国の方針が紹介されていて、これを代案として推奨している。
 日本よりも芸能人や有名人、スポーツ選手への誹謗中傷が激しい韓国では、全国民の個人情報とインターネット上の個人を識別するIPアドレスを紐づけている。
 これは誹謗中傷を防ぐ目的もあるが、子供達を薬物や性犯罪から守る目的、北朝鮮人や中国人が自国民になりすまして情報撹乱、世論誘導するのを防ぐ目的もある。
 ryuchellの自殺を政治利用して言論弾圧に乗り出す前に、自民党議員や吉村知事には、海外ユーザーのアカウント規制、マイナンバーとIPアドレスの紐付けなど、やるべきことはいくらでもある。

 マイナンバーとIPアドレスの紐付け、という方針が推奨されている。(韓国の真似)
 なるほど。これはこれで有益かもしれない。

 ただし、その情報を誰が管理するのか、という問題は残る。
  ・ 誹謗中傷の被害者が加害者情報を得るために用いるのか?
  ・ 国家が国民を統制するために用いるのか?  

 この二つのうち、前者ならば問題ないが、後者だと問題がある。
 こうして問題点が整理されてきた。

 では、こうして問題点を整理したあとで、どう結論するか? 

 本サイトの案


 結論としての案は、ここで新たに出す必要はない。実は、本サイトでは以前、結論となる案を示したことがある。つまり回答はとっくに提示済みである。その内容は以下の通り。

 現状では被害者が加害者情報を得ようとしても、裁判所の許可を得る必要があるので、手間もコストもかかって、大変だ。それだけの手間とコストの負担をするという犠牲を払う人だけが、誹謗中傷を止めることができる。現実には、相手の数が多数になると、そんな手間や費用をかけることができないから、事実上、野放しになる。これでは実効性がない。
 そこで、被害者が司法に訴えるという手間を省いて、行政府が直接、加害者情報を取得して、被害者に通知する、というシステムを整備するといい。こうすれば、被害者にとって、手間とコストという負担がかからない。

 該当箇所を再掲すると、こうだ。
 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「司法に頼らずに、行政府が介入して、誹謗中傷をやめさせる」


 ここで、行政府というのは、警察部内における「誹謗中傷の担当局」であってもいい。だが、それだと各県ごとの対応となるので、専門部局はきわめて小さな組織になってしまう。それでは十分に対処できない。(年間取扱件数が1件ぐらいになったら、担当人員もほとんどいないことになる。)
 そこで、警察のかわりに、デジタル庁あたりに専門部局を設定すればいいだろう。(国の組織として、SNS の誹謗中傷の対策をする部局となる。)

 この組織には、裁判所の「アカウントの開示命令」と同様の権限を持たせるといい。つまり、次のことだ。
 「この組織には、司法的な裁定の権限を持たせる。被害者の言い分を聞いて、その言い分が妥当であると裁定したならば、ネット業者に対して、アカウントの開示を命令することができる」(その権限を法的に持つ。)


 この場合、「アカウントの開示を命令する」という点では、既存の裁判所と同じ機能をもつことになる。(新しい法律の裏付けによる。)
 ただし、この際、費用は行政府が全面的に負う。被害者の側は、裁判の費用を負担する必要がない。単に行政府に届け出をするだけでよく、費用負担は必要ない。……こうして、誰もが(金を払わなくても)自らの法的権利を守ってもらえる。

 現状では、高額の裁判費用を払える人だけが、自らの法的権利を守ってもらえる。しかし、それでは一般人は、自らの法的権利を守ってもらえない。それではまずい。だからこそ、上記のような新提案をするわけだ。
 困ったときの Openブログの案として。

  ※ この案を実現するには、新規立法を必要とする。
( → SNS の誹謗中傷の対策: Open ブログ

 案としては、これでいい。ただし、先の記事の「言論統制」という懸念を払拭するには、次の点に留意するといいだろう。
 
 マイナンバーとIPアドレスの紐付け、という管理策は、とっても取らなくてもいいが、少なくとも違法となる行為をした犯罪者については、その情報を得る仕組みが必要だ。(民間会社への強制介入または情報提供命令でもいい。)
 こうして得た個人情報は、政府が管理すると、言論統制になる。だから、司法的な性質をもつ独立組織がやるべきだ。組織の形態としては、公取委ふうだ。また、脱税摘発や麻薬摘発の役人ふうだ。警察に似ているが、警察そのものであってはならない。あくまで司法的な性質をもつ独立組織であるべきだ。
 その後、誹謗中傷という違法行為を見つけたら、調査する権限をもつ。その後、違法性を確認したら、被害者に通告する。
 被害者は、その情報を得て、警察に訴えるかどうかを決める。警察に訴えた場合には、警察は調査して、検察に送り、刑事罰へ向かうことになる。(逮捕になるか書類送検になるかは、ケースバイケース)
 被害者としては、賠償金を得て和解してもいい。あるいは、賠償金をもらわないまま、警察に訴えて、刑事罰で処分してもらってもいい。賠償金が高額ならば、被害者からの「減刑嘆願書」が出るので、懲役にはならないだろう。賠償金がゼロまたは低額ならば、懲役になることもありそうだ。
 いずれにせよ、行政府が介入することで、被害者の多大な負担なしに、誹謗中傷を止めることができる。

 こうすれば、木村花・りゅうちぇる の事例のような悲劇は、避けられるだろう。

posted by 管理人 at 23:20 | Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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