2023年07月06日

◆ NHK の受信料は高い? .2

 ( 前項 の続き )
  NHK の受信料を引き下げるための、第2の案を示す。これなら月 600円まで下げられる。

──

 第2案(衛星放送の分離)


 第1案に続いて、第2案を示そう。それは、衛星放送を分離することだ。
 NHK の受信料は高いと言われるが、高いのは特に、衛星放送の分だ。地上波だけなら、そんなに高くない。
 料金を見ると、地上波は月1,225円、衛星放送(地上波も)は月 2,170円だ。
  → 放送受信料のご案内 - NHK
 こうして見ると、月1,225円というのはそんなに高くないが、月 2,170円というのは高すぎる、と思う人が多いだろう。特に、「衛星放送なんかろくに見ない」という人も多いだろうし、そういう人は、「見るわけでもないのに、こんなに高い金を取るなんて、ふざけている」と思うだろう。
 そこで、NHK の本体には地上波だけを残して、衛星放送は NHK から分離してしまえばいい。こうすれば、高コストの衛星放送の負担がなくなるので、NHK の受信料を大幅に引き下げることができる。
 最大でも、受信料の負担は月1,225円だけで済むようになる。月 2,170円という義務はなくなる。

 ※ 「単に衛星放送の契約をしなければいいだろ」と思う人が多いだろう。だが、それは、戸建てではできるが、マンションではできない。マンションには衛星放送の受信設備がもともと全戸配備されているので、全戸が衛星放送の料金の支払いを義務づけられる。「私は衛星放送を見ないんです」と言っても無駄だ。否応なしに衛星料金を取られてしまう。……実は、NHK 受信料の問題というのは、マンション住民にとって衛星放送が解約できない問題のことだ。ここが最大の問題なのだ。ここを解決することがが大事だ。ここを何とかすれば、支払額が月 2,170円から月1,225円に下がるので、多くのマンション住民にとっては、問題が激減する。

 ──

 さて。衛星放送を分離したあとは、衛星放送をどうするか? これには、次の3通りがある。
  ・ 廃止する
  ・ ネット配信に転じる
  ・ 民営化する

 以下、順に述べよう。

 (A)廃止する

 衛星放送は廃止する、という案がある。といっても、単に廃止するだけでは、設備の維持費の赤字が出てしまう。今さら衛星放送を廃止したからといって、衛星や設備の固定費の負担がなくなるわけではない。その赤字を誰かが負担しなくてはならない。それはまずい。赤字の負担まで考える必要がある。
 そこで私の提案はこうだ。
 「衛星放送は、原則廃止だが、地上波のバックアップとしての機能は残す。地上波の番組をそのまま衛星放送で流せばいい。地上波と同じ番組を流すわけだ。そのための負担は、地上波の NHK が負担する。
 一方、衛星放送の独自番組の製作・放送は不要だ。BSプレミアムに該当する番組はなくす。その分、受信料を引き下げる」

 なお、バックアップとしての衛星放送は必要だ。災害時の予備がないと、地上設備が壊れたときに困る。また、僻地対策にもなる。
 さらに言えば、「将来的には、地上波の設備を廃止して、衛星放送に統一する」という案も出ている。衛星放送ならば、僻地対策も含めて、放送局の負担は減るからだ。(地上波の莫大な放送設備を維持する必要がなくなる。)
 ただ、この方針は実現の見込みは低い。なぜなら、放送局の負担は激減するが、家庭の負担は大幅増になるからだ。地上波のアンテナはもともと必須だが、衛星放送を受信するアンテナの設置には(機器と工事費で)25,000〜40,000円ほど余分にかかるからだ。
  → BSアンテナの取り付け費用はどのくらい?

 実際、NHK の契約者数は、地上波に比べて衛星放送の契約者は半分ぐらいだ。
  → 総務省|令和2年版 情報通信白書|加入者数
 マンションでは全数が強制的に加入させられるのと比べると、戸建て住宅では衛星放送を契約していない家庭が過半数になるとわかる。
 こうした点からも、「地上波を廃止して衛星放送に統一する」というのは、ちょっと無理っぽいとわかる。昔のように日本が豊かな時代ならともかく、近年は日本人がますます貧しくなってきているので、「衛星放送を強要する」という方針は、ちょっと成立しにくい。

 (B)ネットへの移行

 衛星放送をやめて、すべてネットに移行する、という案もある。この場合は衛星放送は不要になり、衛星放送用のアンテナも不要になる。いろいろと合理的ではある。
 とはいえ、この方式はマネタイズが難しい。そのことは、民放各局のネット配信がうまく行っていないことからもわかるだろう。Tver とか、 Hulu とか、民放各局の独自配信とか、いろいろあるが、地上波の放送に比べると、規模も質も圧倒的に低い。採算ベースになっているかどうかも疑問だ。

 (C)民営化

 NHK の全体でなく、NHK の衛星放送部門だけを民営化する、という案がある。企業分割のように、事業を分離して、その部門だけを独立採算にするわけだ。部分的な民営化とも言える。この新会社を、「衛星部門会社」と仮称しよう。
 詳細は下記の通り。

 (i)ニュース

 ニュース枠は、NHK が枠を買い取って、無料放送する。放送時間は1日3〜5時間ぐらいを目途。NHK は番組の内容だけを提供して、放送設備は新会社が提供する。委託放送の形で、NHK が新会社に料金を払う。
 この場合、NHK は地上波のニュースをそのまま衛星放送に流すだけだから、番組製作コストはかからない。委託経費がいくらかかかるだけだ。コストは多額にはならないので、NHK の負担は大きくないし、国民が(衛星ニュースの)受信料の形で払う負担も大きくない。
 これはまあ、災害などで地上波が届かなくなった場合のバックアップ用途であり、ユニバーサル料金みたいなものだ。
 
 (ii)ドラマ

 ドラマは、有料にして、スクランブル放送にすればいいだろう。WOWOW などと同様だ。契約したい人は契約すればいいし、契約したくない人は契約しなければいい。
 ドラマの内容は、朝ドラの再放送や、NHK の過去の番組の膨大なアーカイブを利用してもいい。その場合、NHK から番組購入する形になるので、新会社(衛星部門会社)が NHK に番組利用料を払うことになる。
 新会社は、独自番組を自主製作してもいいが、現実的には厳しい。視聴率が低いし、視聴者数が少ないので、製作費をまかなえるだけの収入を得ることは困難だろう。換言すれば、当面の少ない収入では、高額のドラマの自主製作は無理だろう。だから、ドラマの自主製作はしなくていい。
  ※ 現状ではドラマの自主製作をしているから、衛星料金がやたらと馬鹿高値になる。それをやめれば、衛星料金を大幅に引き下げることができる。義務化も免れる。

 なお、ドラマの一部は、CM つきで無料放送してもいいだろう。この分は、CM が付くので、スクランブル化しない。(衛星部門会社は、民営化されるので、CM 付きの放送ができる。)

 (iii)スポーツ

 スポーツ放送も、ドラマと同様だ。有料化して、スクランブル放送する。ただし一部は、CM 付きで無料放送する。
 実は、スポーツ放送と CM とは、相性がいい。スポーツには、休みの時間が多いので、その間に CM を流せるからだ。
  ・ 野球ならば、イニングの交替の間
  ・ サッカーならば、前半と後半の間
  ・ 相撲ならば、取組中以外の大部分の時間
  ・ 水泳や陸上ならば、試合中以外の時間

 こういうふうに、休みの時間が多いので、その間に CM をたくさん流せるのだ。

 たとえば、現行では、高校野球や大相撲の放送中に、CM はまったく流されないが、ここで CM を流すようにすれば、多額の収入を得ることができる。その分、視聴者の負担は下がる。
  ・ 地上波ならば、受信料が下がる。
  ・ 衛星放送ならば、有料料金が下がる。

 いずれにせよ、すでにある料金が下がるので、CM を導入することのメリットはある。しかも、視聴者にとっては、ほとんど害悪がない。(肝心の部分はちゃんと見ることができるからだ。)

 ※ NHK に部分的に CM 付きの放送を導入せよ……という案は、前に述べたことがある。
  → NHK に広告を導入せよ: Open ブログ

 事例としては、大リーグの大谷や、高校野球や、大相撲などで、CM 付きの無料放送とするといい。スクランブル化はしない。なお、有料化にともなって、主催者には番組料を払う必要が生じる。たとえば、大リーグや相撲協会や高校野球連盟に金を払う必要が生じる。が、だとしても、その額はあまり高額にはならないはずだ。あまり高額になるようなら、放送をやめてしまえばいい。だが、放送中止になると、スポーツの主催者としても困る。だから結果的には、双方が納得のできる範囲内で、適正な価格に落ち着くだろう。
(大リーグやプロ野球や大相撲協会に払う権利料は、安い料金で済む。)

 折衷案


 第1案と第2案の折衷案もある。

 (a)
 地上波については、第1案に従って、電波利権の 2000億円(または 1000億円)をつぎこむ。これによって NHK の受信料(地上波は)を大幅に引き下げる。さらには、スポーツ放送には CM を導入する。……以上によって、現状の月1,225円から、その半額程度まで値下げする。
 ※ さらには、携帯電話からも電波使用料を取ってもいいかもしれない。しかしこの場合、CM のスポンサーや民放から金を取るのでなく、携帯電話のユーザーから金を取ることになるので、弊害がある。この案は、良くないようだ。
 ※ 料金は半額ぐらいまで引き下げられるが、受信料の支払いは義務づけられる。この点では、現在の NHK 受信料と同様だ。

 (b)
 衛星放送については、第2案に従って、事業を分離する。無償のニュースと、無償の CM入りのスポーツ放送と、有償のドラマ(スクランブル)とを併用する。
 このうち、有償の部分は契約しなくてもいい。この点が、現在の衛星放送とは違う。また、無償の部分は、完全無償なので、この点も現在の衛星放送と違う。
 マンションの住人は、現状では月 2,170円の支払いが義務づけられているが、改訂後は、衛星放送の有償分を契約しないことで、月 600円程度まで下がる。約3割程度だ。7割ダウンとも言える。

 ──

 結局、上の(a)(b)の方針を取れば、義務となるのは地上波の 600円ぐらいだけで済むことになる。(あとは衛星放送の有償分があるが、それは契約してもしなくてもいい。)
 ここまで料金が下がれば、負担感は薄いので、十分に受け入れられるだろう。

 なお、ここまで価格を下げることができた理由は、電波料の徴収もさることながら、スポーツ放送などに CM を導入することが大きい。また、衛星放送の独自ドラマを作らないことにするコスト削減の効果も大きい。



 [ 付記 ]
 「各局から合計 1000〜2000億円を徴収できそうだ」と述べた。そんなに民放の金を吸い上げたら、民放が赤字になって倒産してしまう……と心配する人もいるだろう。
 だが、大丈夫。電波使用料がかかる分、民放は CM の代金を値上げすればいいのだ。値上げすれば、負担するのはスポンサーとなるので、民放の負担は大きくない。民放が赤字で倒産するということはない。
 ただ、CM 料金値上げをすると、CM を購入してくれる会社が減ってしまうだろう。だが、それはそれでいい。CM の総量が減れば、かえって視聴者は喜ぶ。CM を出稿する広告主も、自社 CM の目立つ度合いが高まり、価値が上がるので、CM の総量が減るのは好都合だ。その分、高い金を払っても、ペイする。



 [ 参考 ]
 受信料の改定とは別の話題だが、関連する話をしておこう。
 「衛星放送の代わりに、ネット配信すればいい。ただし、各局の個別契約でなく、全局を一括して契約する。また、単発の支払いでなく、サブスク(定額見放題)とする。さらに、日本語放送でも字幕を提供する」
 以上の条件を満たすような配信サイトがあればいいのだが、現実には存在しない。
 NHK は、NHKプラスという配信をしているが、サブスクではなく、単発の支払いである。
 民放各局も、局ごとに配信しているのが普通だ。サブスクのこともあり、単発の支払いのこともある。
 民放のドラマを配信する独立事業者もある。U-NEXT や Hulu や Lemino などがそうだ。
   → ドラマ見放題サービス12社比較表
 U-NEXT のドラマは、TBS とテレビ東京だけであるらしい。
 Hulu のドラマは、NTV が主体で、そこにテレ朝やフジの番組が混じり、さらには NHK の番組もいくらかは混じるらしい。(詳細は未調査。)
 日本語ドラマの字幕は、U-NEXT は不可で、Hulu は一部で可であるらしい。この点は、Netflix が全部で字幕可になっているのに比べて、大差がある。ただし、Netflix の国内ドラマの本数は、あまり多くないようだ。昔の作品はかなりたくさんあるようだが、最新作はあまりないようだ。
 ※ とはいえ、最新作は、地上波でいくらでも録画できる。録画する手間はかかるが。

 こうして見ると、どれも機能や内容が不足している。「国内の全局の放送を見放題で」という要求に応えるサイトは、現時点では、存在しない。困ったことだ。
 現状では、最もコスパがいいのは Netflix だろうが、そうなると、国内の民放と NHK は収益を得る方法の大部分を Netflix に奪われてしまうことになる。日本の各局は、全部合わせて束になって対抗することで、ようやく Netflix に対抗できるというものだ。なのに、バラバラになって競っているようだと、ネット番組の市場を Netflix に奪われてしまう。各局が我を張っているから、大同団結ができず、そのせいで、売上をすっかり失ってしまう。
 これでは大損だ。馬鹿丸出し。……何だか、イーロン・マスクのツイッター社みたいな馬鹿丸出しだな。



 【 関連サイト 】

 → BSを見ないのでNHKの衛星契約を解約した -

 ※ マンションでは、NHK の衛星放送は原則、解約できない。しかし、ある特殊な状況では、解約できることもあるそうだ。かなり例外的な話。あまり参考にはならないが。

posted by 管理人 at 22:37 | Comment(5) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> ※ マンションでは、NHK の衛星放送は原則、解約できない。しかし、ある特殊な状況では、解約できることもあるそうだ。かなり例外的な話。あまり参考にはならないが。

⇒ 大した話ではないかもしれませんが、地デジ専用テレビ(地デジ放送のみのチューナーが内蔵されているので衛星放送はBSもCSも映らない)というものは、けっこう一般にある(売っている)みたいですね。そういうテレビに買い替えれば、マンションに住んでいても衛星放送のほうは解約できますよね。

 https://search.rakuten.co.jp/search/mall/%E5%9C%B0+%E3%83%87%E3%82%B8+%E5%B0%82%E7%94%A8+%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93/
Posted by かわっこだっこ at 2023年07月06日 23:37
 最初から衛星放送を契約しないという場合には、地デジ専用テレビは有効だろう。
 一方、すでに衛星放送を契約している場合には、契約の解除を要求しても、要求に応じてもらえないらしい。
  → https://canij.com/3447
 いったんテレビを廃棄して、NHK との全契約を解約してから、地デジだけで契約し直す、というような方法が必要らしい。ものすごく手間がかかる。闘争になる。下手をすると裁判だ。

 簡単にうまい手があると、NHK も大幅に収入減になるから、そうあっさりとは応じてくれないらしい。
Posted by 管理人 at 2023年07月07日 00:06
 Posted by かわっこだっこ at 2023年07月06日 23:37
> そういうテレビに買い替えれば、マンションに住んでいても衛星放送のほうは解約できますよね。

⇒ 私は、当初のコメントから上のように「買い替える」と言っていますので、当然、前のテレビがBSが受信できるものなら、それは廃棄(あるいは売却)するという想定です。この場合は、管理人さんがコメントで提示された先のサイト(下に再掲)でいうと、「テレビを撤去しワンセグでの視聴に変える」と同じやり方ですよね。廃棄するならリサイクル関係の書類がもらえますし、売却ならその控えや領収書がもらえますので、それらの書類を見せるだけです。

 https://canij.com/3447

 そうすれば、形式上は、いま現在が衛星契約ならそれを解約して地デジだけの契約をし直すということになるかもしれませんが(電話一本で終わりということにはならないでしょうが)、別に「ものすごく手間がかかる」ということではないし、「闘争になる、下手をすると裁判だ」ということにもならないとも思います。

 そうではなくて、NHKと揉めるかもしれない場合というのは、先ほどのサイトの記載でいうと、「BS放送カットフィルターの装着」とか「テレビのBS端子をニッパで折る」ような対応をして交渉する場合、あるいは、サイトには書いてないですが、「テレビが自然故障したのでBSが見られなくなった」などと主張する場合ですよね。私は、それは言っていません。

※ それと、本項の主旨は別に「節約術」ということでもないので、話が横道にそれるかもしれませんが、「家族割引制度を利用する」という方法があります。例えば、実家などがある場合は、そこでの受信契約(親などが契約者の場合)をいったん解約して、自分の名義で再契約します。それで、自分のクレカなどで2軒まとめてしばらく支払っておいて、実家のほうを「自分の別宅」であると主張します。そうすると、その2軒のうちどちらかは半額割引になります。これは、私が実際にやっていた方法です。実は、私の親は国民年金くらいで収入がなく、私から仕送りもしていたので同一生計とみなされたので、契約違反とかではありません。なお、その申し出をしたときに、親の収入証明書を求められたり、仕送りの履歴を提示したりはしなくて大丈夫でした。NHKとは全然もめてません。

※ さて、最後にクイズです。先日の記事で「◆ Amazon Prime の強制加入 .2」というのがありましたが、現在のプライム料金って「年間プラン4,900円(税込)または月間プラン500円(税込)」なんですか? ところが私は、年間2,450円(半額)で契約しています。さて、どうやっているのか、おわかりになりますか?
Posted by かわっこだっこ at 2023年07月07日 00:59
NHKラジオ第一
NHKラジオ第二
NHKFM
って裏番組チャンネルを3つも持ってますが、これらも運営にはコストがかかりますが、地上波の方に付属するんですかね?。
あるいは廃止ですかね?。
ラジオ第二はもう役目を終えているような気はします。
Posted by じみんとうを!ぶっこわーっす! at 2023年07月07日 06:50
ラジオも広告を取れば、赤字は最小限にまで減らせるでしょう。民間のラジオ放送もあるくらいだから、大幅赤字にはならないはず。多少の赤字は、地上波の分で補填できる。
 まあ、廃止してもいいかもね。今はネットやスマホもあることだし。
Posted by 管理人 at 2023年07月07日 11:10
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