2023年07月03日

◆ 小笠原に遠隔医療ロボットは可能か?

 小笠原の医療で、遠隔医療ロボット(ダヴィンチ)を使う、という案が浮かんだ。それは可能か?

 ──

 小笠原の医療で、これまでいくつかの案を出した。
  ・ 自衛隊ヘリや飛行艇 (現状)
  ・ オスプレイや小型ティルトローター機
  ・ 患者を運ぶかわりに医師を運ぶ(片道輸送)

   → 小笠原の離島医療: Open ブログ
 
 さて。それとは別に、新たに次のアイデアが浮かんだ。
 「遠隔医療ロボット(ダヴィンチ)を使うことで、リモートで手術をする。これならば、医師を運ぶことすら不要だ。最も迅速に手術が可能になる」
 これはいかにも、うまいアイデアだ。

 ──

 さらに、都合のいいことに、(海外製の)ダヴィンチの特許切れで、国産機種が半額で入手可能になるそうだ。
 コストの問題ですが、日本ロボット外科学会で行われたメディカロイドによるプレゼンテーションでは、「ダヴィンチの半分くらいの価格帯を狙う」と紹介されました。ダヴィンチの廉価版Xの半額となると、1台1億円前後と想定されます(インタビュー時点でヒノトリの価格は未発表)。これを先の試算に当てはめると、ヒノトリの場合、ざっくり年間100件の手術を行えばペイできることになります。
( → 国産手術支援ロボット「hinotori」は、巨人「ダヴィンチ」を凌げるか?|Beyond Health|ビヨンドヘルス

 では、これでうまく行くか? 

 ──

 じっくり計算してみたが、1台1億円前後というのは高すぎる。記事には「年間100件でペイできる」というが、そんなに多数の手術は、小笠原ではありえない。
 そもそも、ダヴィンチの手術は、内視鏡手術が主用途である。すべての手術が可能なわけでもない。基本的には、大型手術には向いていない。
 そこで、遠隔地の熟練医師による分は、高度な手術支援だけに限定して、大部分手術は、現地の不慣れな医師に任せる……という「人間との併用」という方式も考えられる。しかし、それをするにしても、それが可能な範囲は限られる。年間100件なんて、とても無理だ。となると、大幅赤字になりかねない。

 ──

 結論。

 高額すぎるし、適用範囲も狭すぎる。名案のように見えたが、名案にはならない。ダヴィンチを使うという案は、不採用となる。

 ※ じゃあ、どうするか? 先に述べたように、通常は、本土から医師を派遣すればいい。片道運送なら、半分の時間で済む。また、特に急がないのであれば、現行通り、自衛隊の普通のヘリで、患者を運搬すればいい。この場合、往復となるので、往復 10時間近くがかかるが、急ぎでないのなら、何とかなる。何より、コストがあまりかからない。
 ※ 本土と小笠原の距離は 1000km 。自衛隊ヘリの速度は 210〜240km/h ほど。オスプレイは 500km/h だ。急患だと、オスプレイを使うと時間を半減できるが、コストは2倍増では済まず、べらぼうにかかる。



 【 関連動画 】










 【 関連サイト 】

 → 離れた場所から熟練の専門医が手術を支援「手術支援ロボットを用いた遠隔手術」




 [ 付記 ]
 参考。CT(X線診断装置) の価格。
 これはどのくらいか? 中古で 700万円というのが相場だ。
  → 中古医療機器の価格相場は?中古と新品医療機器を比較してみよう|クオンヘルスケア
 このくらいの価格ならば、導入は可能だろう。小笠原にも導入できる。(たぶん導入済みだ。)

posted by 管理人 at 20:56 | Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
予算獲得のために遠隔手術をデモ的に行う研究はあると思いますが、本気で臨床的に遠隔手術を検討しているところは無いんじゃないでしょうか。ダビンチ導入の理由は患部を拡大して見られることと、何よりも「手の振るえが伝わらない」ことが大きいと聞いています。
Posted by ホンロン at 2023年07月04日 11:10
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ