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3.3億円の所得があったのに、まるまる脱税した、という事例が報道された。
壊れた陶器を漆や金で修復する伝統技法「金継ぎ」を行う漆芸家の男性が名古屋国税局の税務調査を受け、2021年までの5年間で約3億3千万円の申告漏れを指摘されたことがわかった。追徴税額は約1億7千万円に上る。
名古屋国税局の調査で、17〜21年の5年間の収入は計4億2千万円だったが、税務申告をしていなかった。
国税局は、5年間の収入から経費を差し引いた所得を約3億3千万円と認定。重加算税などを含め、所得税と消費税計約1億7千万円を追徴した。
( → 「金継ぎ」漆芸家、3.3億円申告漏れ 「さぼった。忙しくて」 文化教室講師や監修で収入:朝日新聞 )
「約3億3千万円」に対して、「重加算税などを含め、所得税と消費税計約1億7千万円を追徴」
というのは、罰金の額が少なすぎる。もともと取られる税の分を除けば、罰金の額はたいしたことはない。
では、重加算税は、どのくらいの額が設定されているのか? ググるとわかるが、こうだ。
重加算税の税率は?
重加算税(過少申告) 原則35%
重加算税(無申告) 原則40%
つまり、35% または 40% だ。(追徴額に対して。)
これは甘過ぎだ。およそ 1.2億円ほども国の金を盗んでおきながら、懲役にも禁固にもならずに、納付金だけで済む。しかも、執行猶予にもならない。(執行猶予ならば、また罪を犯せば、猶予の取り消しとなって、実刑となるが。)
これでは甘過ぎるというものだ。最低でも(40%でなく) 100%の罰金[= 重加算税]を科するべきだ。できれば、150%にするべきだ。仮に 150%ならば、3.3億円の所得に対して、税金が1.2億円で、重加算税が 1.8億円。合計で 3.0億円。3.3億円から 3.0億円が追徴されて、残りは 3000万円となる。……このくらいが妥当だろう。
現状のように、40% の重加算税だけで済ませるのなら、ついでに刑法で摘発して、実刑(懲役刑)を科するべきだ。つまり、次のいずれかだ。
・ 40% の重加算税 プラス 懲役1年
・ 200% の重加算税だけ
このどちらかであれば、納得できる。
一方、現状のように、「40% の重加算税だけ」というのは、甘すぎる。こんなに甘いのなら、「脱税をした方が得だ」と思うだろうね。「やっても、バレなければ大丈夫。時間がたてば、時効になるし」と。
巧妙なやり方を考えれば、バレないのだから、現状の「リスクと罰」を考えるなら、どう考えたって、脱税をした方がお得である。
今の制度は、脱税を推進するようになっている。それほどにも、大甘だ。まったく、呆れた話だ。
【 関連項目 】
脱税以外の場合にについては、前項で、かなり高い罰金が示されている。
解決金として5億円の支払いだ。賄賂 5100万円に対して、その10倍の賠償金を払ったわけだ。これは事実上、罰金みたいなものだ。
罰金刑だけがある。50万円、30万円の罰金だ。……「謝礼として元取締役らから現金3万円」というレベルのことなので、
( → 執行猶予と罰金刑: Open ブログ )
いずれにしても、犯した罪の額の 10倍ぐらいの罰金を払っている。それにくらべれば、0.4倍という重加算税の倍率は、際立って低すぎる。脱税にはこれほどにも甘いのだ。
【 関連サイト 】
諸外国との比較
→ 加算税の国際比較(内閣府)
それによると、日本は 35 or 40%(固定)、アメリカは 75%以下、イギリスは 100%以下、ドイツは 10%以下、 フランスは 80%(固定)。
ドイツが軽いように見えるが、その分、懲役刑が重い。罰金が高い国ほど、懲役刑は軽い傾向にある。
【 追記 】
(1)
さらに詳しく調べたところ、現実には次の加算金が加わると判明した。
・ 住民税(所得税額の 10%)
・ 延滞税(不納付の期間に応じる。年利 7%〜15%ぐらい。)
双方を加えると、0.4倍という重加算税の倍率は、0.45 〜 0.48 倍ぐらいにまで上昇しそうだ。とはいえ、これでもまだ 1.5倍(妥当な倍率)に比べれば、まだまだ低い。
「脱税はした方がお得だ」(ただしバレないように工夫すること)
という結論は揺るぎない。
(2)
本項を読んで、「脱税を推奨するのか!」と怒る人も出そうだ。だが、脱税を推奨するのは、私でなく政府だ。私はそれを批判する側だ。勘違いしないように。
(3)
そもそも、政府が銀行の口座をすべてチェックして名寄せすれば、所得税の脱税はほぼ一網打尽になるはずだ。なのに現実には、銀行口座をチェックしていないようだ。だから今回も大規模な脱税ができた。
実は、朝日カルチャーセンターの講師をしていたので、講師料を銀行経由で支払われていた。だから、銀行の名寄せをすれば、見つかるはずなのだが。マイナンバーだってあるんだし。……政府は税務調査に、マイナンバーを使った方がいいね。ろくに使わないから、5年間も脱税が見逃される。
一番甘いのは、政府の税務調査か。

税務署はこの方が高額所得のあるのを知っていてあえて泳がせて、後ほどガッツリ重加算税で回収した上でマスコミに連絡して宣伝効果を得るというスキームです。
この方は所得がそれなりになった段階で法人化して税理士をつけておけば色々な経費で税金は大幅に圧縮されたでしょう。
子供手当の所得制限廃止が議論されていますが、生活実態と所得がそれなりの関係になるのは税金ガラス張りのサラリーマンだけで、自営業者や会社経営者は色々な節税手法を駆使して節税に励んでます。
事務手続きの能力や意欲が低い高収入の人が何もしなくても適切に徴税できる制度が作られるべきだと思います。
嘘に決まっているでしょ。どんなに忙しくたって、5年間に1日も休みを取らなかったはずがない。その休みの日に、税理士に電話一本をかけるだけで済む。5年間に1時間の時間を取る暇がないほど忙しかった、というのなら、その人はとっくに死んでいます。
泥棒の嘘を真に受けると、だまされるだけです。
※ 私だって、ずっと忙しいさなかに、時間を取って、確定申告を書いたんだよ!
>事務手続きの能力や意欲が低い高収入の人
そのために、税理士がいるんだよ。
というか、5年で 4億円ぐらいの売上高があるのなら、経理担当者を一人雇用してもいいくらいだ。400万円×5年間= 2000万円。その全額が控除対象となるので、実質的には 1200万円ぐらいの支払いで済む。