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五輪汚職で、贈賄側の AOKI の3人に有罪判決が下った。
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、スポンサーへの選定などをめぐって大会組織委員会の元理事に賄賂を渡したとして、贈賄罪に問われた紳士服大手「AOKIホールディングス」側の判決公判が21日、東京地裁(安永健次裁判長)であった。 前会長の青木拡憲被告(84)に懲役2年6カ月執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)を言い渡した。
AOKIの前副会長の青木宝久被告(77)には懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)、前専務の上田雄久被告(41)には懲役1年執行猶予3年(求刑懲役1年)が言い渡された。
( → 五輪汚職、AOKI側3人有罪判決:朝日新聞 )
懲役刑の有罪ではあるが、執行猶予なので、実質的には無罪に近い。これは甘くないか? せめて罰金を付けるべきではないか?
そう疑問に思っていたのだが、翌日の続報を見て、氷解した。
AOKIホールディングスは21日、東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で有罪判決を受けた前会長の青木拡憲被告と前副会長の青木宝久被告から、計5億円の解決金を受け取ったと発表した。「当社に生じた損害の賠償に係る解決金」として2人から申し出があったとしている。
( → 「解決金」5億円、AOKIが受領 前会長らから:朝日新聞 )
解決金として5億円の支払いだ。賄賂 5100万円に対して、その10倍の賠償金を払ったわけだ。これは事実上、罰金みたいなものだ。身を切る金を支払ったわけだ。
なるほど。それで執行猶予となるわけか。それならば、妥当だろう。交通事故でも、高額の賠償金で執行猶予になることがある。それと同様だろう。
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ついでだが、教科書の贈賄事件もある。
大阪府藤井寺市立中学校の教科書選定をめぐる贈収賄事件で、大阪地検は21日、市立中学校の西留俊春・元校長(61)を加重収賄などの罪で在宅起訴したことを明らかにした。また、教科書会社「大日本図書」(東京)の元取締役(65)と社員(35)を贈賄罪で略式起訴した。元取締役は罰金50万円、社員は同30万円の略式命令を受けた。
起訴状によると、西留元校長は同市の教科書選定委員だった2020年4〜6月、各社の教科書を比較する調査委員に任命予定の教員の氏名や調査委員作成の資料を社員に漏洩。7月に謝礼として元取締役らから現金3万円を受け取ったほか、約3万4千円相当の飲食やゴルフの接待を受けたなどとされる。
( → 元中学校長を加重収賄罪などで起訴、大日本図書側は罰金 教科書汚職:朝日新聞 )
ここでは、懲役や執行猶予はなく、罰金刑だけがある。50万円、30万円の罰金だ。この金額が少ないように思えるが、「謝礼として元取締役らから現金3万円」というレベルのことなので、金額の少なさから、悪質性が少ないとみられたようだ。
一方で、会社には「教科書採用取り消し」という行政罰が下った。
教科書会社「大日本図書」が、中学校の教科書を当面発行できないことが決まった。大阪府藤井寺市の市立中学校の教科書選定をめぐる贈収賄事件を受け、文部科学省が初めて罰則を適用した。
文科省の規則には、選定などで不正があった教科や科目は、その会社が次の教科書検定に申請しても不合格にする罰則がある。同社は23年度の検定に申請しても自動的に不合格となる。
同社の教科書は22年度、全国の中学校で理科が約89万5千冊(シェア27%)、数学が約17万2千冊(同5%)、保健体育が約16万6千冊(同15%)使われている。23年度の検定にも、同じ3教科の教科書を申請する準備をしてきた。現在同社の教科書を使っている教育委員会なども、25年度からは別の教科書を選ばざるを得なくなった。
( → (社説)教科書不祥事 不適切な関係 根絶せよ:朝日新聞 )
なるほど。会社には莫大な損失が出るような行政罰を下した。個人よりも会社の罪が重くなるようにしたわけだ。組織犯罪に対しては、このような措置が重要だろう。
これは、法的処分ではなく、行政処分だが、妥当と言える。巨額の損失が出るような処分だという点では、非常に厳しい処罰であり、五輪汚職に対する判決よりははるかに厳しいと言える。
自民党が介入しない案件では、政府もまともに処罰ができるようだ。
[ 付記 ]
一方で、能年玲奈に対する出演規制という芸能事務所の妨害行為については、公取委が芸能事務所の側に処分をしようとしたのに、何もできないまま腰砕けになってしまった。
→ 公取委は頑張っている?: Open ブログ

つまり、(芸能界のように)自民党が介入するらしい事例では、政府はまともに処分をすることもできないわけだ。
かくて芸能界では、違法行為が堂々とのさばり続けるわけだ。
※ ジャニーズの被害者のように、自民党もまた、こわもての芸能事務所に、カマを掘られているのだろう。
※ 特に読まなくてもいい。
[ 補足 ]
「 AOKI が5億円をもらったのでは、 AOKI が罰されないだろ。大日本図書が罰されたのに比べて、不公平だ」
という批判が出るかもしれない。だが、この点は問題ない。
大日本図書の場合は、相手を買収することで、実際にシェアを得た。一方、 AOKI の場合は、相手は五輪理事であって、 AOKI が得たのは協賛スポンサーになることだけだった。この場合、協賛スポンサーになると、金を得るのではなく、金を払う(損する)立場になる。金を払った代償として得られるものは、五輪のユニフォームのメーカーとしての宣伝効果だけだ。その宣伝効果は、五輪の大幅縮小によって、ほとんど効果がなくなってしまった。さらに、その後、 AOKI の賄賂の報道が出たことで、圧倒的に不利な悪評がひろがることになった。これは線で効果をはるかに上回り、会社といては大損だと言える。5億円どころか、その 10倍以上の悪評がひろがったと言える。
というわけで、 AOKI という会社は今回の騒動で大損したわけだ。だから、特に行政罰を科さなくても、 AOKI は実質的に罰されたと言えるだろう。
※ なお、売上高を調べると、かなり減ったが、コロナ時代に重なるので、コロナのせいか、賄賂の悪評のせいかは、区別しがたい。
