2023年04月18日

◆ 異次元の少子化対策 .1

 岸田首相は「異次元の少子化対策」を唱えるが、その財源が問題だ。

 ──

 財源が問題だ、という指摘をする記事が出た。
  → 「異次元の少子化対策」試案 財源の裏付け、課題:朝日新聞

 この記事に限らず、あちこちで「財源をどうする」という批判が出ている。
 特に「増税」については、批判が大きい。
  → 負担増「よくない」60% 「異次元の少子化対策」財源 朝日新聞社世論調査:朝日新聞
  → 朝日世論調査(データ):朝日新聞

 そこで、「増税を避けて財源を捻出する」という狙いで、「社会保険料を上げる」という案が出ている。
 「異次元の少子化対策」を巡っては、今月から岸田首相が議長を務める「こども未来戦略会議」が財源についての議論を始めた。政府は国民や企業が負担している社会保険料に上乗せする案などを検討している。
( → 負担増「よくない」60% 「異次元の少子化対策」財源 朝日新聞社世論調査:朝日新聞

 ここまでは、報道されたことだ。

 ──

 一方、私の見解はそれに否定的だ。「社会保険料の値上げは良くない」と。その理由は、前項で述べたとおりだ。再掲しよう。
 保険を適用すれば、被保険者の保険料でまかなう。その場合、財源が不足する分は、保険料の値上げでまかなうことになる。従って、増税は不要だ。この「増税が不要だ」という点で、「有権者の悪評を防ぎたい」というのが、本音である。
 もっと正確に言えば、「増税の分はすべて防衛費の増額に回したい。そのために、出産費用の財源は、保険料の値上げでまかないたい」ということだ。
 で、(増税でなく)保険料の値上げによると、国民の負担はどうなるか? それは、次のグラフでも明らかだ。


hutanritu.jpg
出典:Twitter


 低所得者ほど、社会保険料の負担が非常に大きい。一方、高所得者では、社会保険料の負担が小さい。ここで、「社会保険料の値上げ」をすると、低所得者の負担が大きくなり、高所得者の負担が小さくなる。
 逆に、増税だと、低所得者の負担が小さくなり、高所得者の負担が大きくなる。
( → 出産費用に公的医療保険を適用?: Open ブログ

 グラフを示したが、そこでは「低所得者ほど社会保険料の負担が大きい」と示されている。それは大きな問題となる。その詳しい理由は、下記で説明した。
  → 少子化の対策 .5(補足): Open ブログ
 一部抜粋しよう。
 「低所得者では、社会保険料の負担が極端に多い」という状況がある。そのせいで、「税の累進制」がまるで働いていない。年収 100万円から年収 1000万円まで、負担率は 28% で、一定である。所得が少なくとも多くとも、負担率は同様なのだ。「税の累進制」がまるで働いていない。
 いや、もっと状況は悪い。
  (中略)
 この分を勘案すると、「税の累進制」がないどころか、「税の逆進制」があることになる。低所得者ほど、(実質的な)税の負担率が高くなっているわけだ。
 なるほど、住民税と所得税だけを見れば、「低所得者が優遇される累進制」が働いていると見えるのだが、社会保険料を含めて考えれば、「低所得者が冷遇される逆進性」が働いていることになる。……ここに、物事の本質がある。

 社会保険料の値上げをすれば、悪い状況が一層悪化することになる。
 
 なのに、政府は「社会保険料の値上げ」にこだわる。どうしてか? 「増税が不評だ」ということもあるが、別の理由もある。(前項)
 「有権者の悪評を防ぎたい」というのが、本音である。
 もっと正確に言えば、「増税の分はすべて防衛費の増額に回したい。そのために、出産費用の財源は、保険料の値上げでまかないたい」ということだ。

 政府は増税をしないわけではない。ただし増税の額はなるべく抑えたい。その上で、増税による歳入増は全額、防衛費のために回したい。その金を社会保障費に回したくない。だから、社会保障費の分は、社会保険料の値上げでまかないたい、ということだ。
 つまり、防衛予算の倍増の金をまかなうために、少子化対策の負担金を、低所得者から重点的にむしり取りたい、というわけだ。
 
 ※ ちなみに、過去の例で言うと、消費税の導入に際しては、「国民の福祉を向上させます」と宣伝しておいたが、実際にやったのは、法人税の大幅な引き下げだけだった。そのせいで、国民の負担が増える一方で、企業(および資産家)の税負担は大幅に減った。これが今日の不況や貧困の根源である。自民党の嘘つきこそが、諸悪の根源だ。そして、今回もまた。

 ──

 なお、世論調査で、新たに次のデータが得られた。
  → 少子化対策で社会保険料を引き上げ 72%が反対 毎日新聞世論調査

 国民は社会保険料を引き上げに大反対する。やっぱりね、という感じだ。政府はだまそうとするが、国民はそう簡単にはだまされない、ということだろう。

 しかし同時に、次の世論調査もある。
  → 岸田内閣支持率が45.3%に上昇 ANN世論調査

 政府が(国民の意思に反して)何をしても、国民は素直にハイハイと従う、ということか。




posted by 管理人 at 22:04 | Comment(3) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
自民と立憲の方の多くは国債発行を将来世代への借金と言って毛嫌いします。
維新は「身を切る改革」って言葉が好きで国民負担は当たり前ってことを言います。
僅かな議員さんだけ、国債発行は新規通貨発行と等しく、通貨発行益を財源にするアイディアを持ってるのですが、少数派ゆえに意見がつぶされます。
詳しくはMMTという経済理論を参照です。もしくは麻生さんが言ってた「(円を)刷って返せばいい。簡単だろ。」を理解してもらえれば、過度ではない国債発行なら、財源になります。
戦争のせいで、コストプッシュ型インフレは進んでますが、日本はデマンドプル型インフレには程遠いので、議員さんには、デマンドプルが進むまでは通貨発行益を財源にすることを真剣に考えてもらいたいです。
できれは、ここでもMMTを記事として取り扱って頂きたいです。
Posted by じみんとうを!ぶっこわーっす! at 2023年04月18日 22:55
後期高齢者への医療費1や介護費を現行の1割負担から徐々に値上して賄うしかないでしょう。
実際に両親の介護を経験しましたが、年寄りを生かすのに税金投入しすぎです。
Posted by メーオ at 2023年04月19日 08:29
> 後期高齢者への医療費1や介護費を現行の1割負担から徐々に値上して

 それはもう決定済みです。今後、どんどん値上げしていきます。ただしその金は高齢者向けに使われます。
 少子化対策費は、年額3兆円と巨額なので、高齢者に負担してもらうだけでは済みません。

 なお、次項末でも示したように、金をいくら出しても、少子化は解決しません。原因は金ではないので。
 今の政策は、「金をいっぱい出すが、効果はない」という無駄玉の政策です。そこがポイント。
Posted by 管理人 at 2023年04月19日 09:09
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