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難民の送還をめぐる議論がある。入管法改正案が立案されたことにともなる。3月上旬からずっと議論が続いている。
政府は7日、不法残留する外国人らの迅速な送還や、入管施設での長期収容の解消を目的とした入管難民法改正案を閣議決定した。難民認定の申請中は送還が一律に停止される規定を見直すなど、廃案となった2年前の旧法案の骨格を維持した。難民支援者らは「保護されるべき人が送還されてしまう」と批判しており、対決法案となる。
入管庁は、送還を妨げている理由として、難民認定の申請中は回数や理由を問わずに一律に送還が停止される規定の「乱用」を挙げ、収容の長期化も招いていると問題視する。このため、改正案では、3回目以降の申請者(相当な理由がある場合は除く)や、3年以上の実刑判決を受けた人らには規定を適用せず、送還できるようにした。
また、紛争から逃れた人らを難民に準じて保護する「補完的保護対象者」制度の導入も盛り込んだ。入管庁は、難民条約上の難民に当たらないとみるウクライナ避難者らが、新制度の対象になると見込む。難民同様に定住者の在留資格が与えられる。
( → 難民申請中、送還可能に 骨格維持し閣議決定 入管法改正案:朝日新聞 2023年3月8日 )
反対意見もある。
トルコ国籍のクルド人で、埼玉県で暮らす30代男性は不安を募らせる。既に3回の難民申請を退けられて4回目を申請中だが、改正案では原則2回の不認定で送還されてしまう。
15年に日本人女性と結婚した。17年に仮放免が取り消され、8カ月収容された後、再び仮放免された。
難民申請を繰り返すことで、日本で14年余り暮らしてきた。SNS上でトルコ政府やエルドアン大統領を批判しており、「トルコに帰れば、その瞬間に逮捕される」と恐れる。妻は「日本人と結婚していることも配慮してほしい」と嘆く。
( → 難民申請の繰り返しは「乱用」なのか 「帰国した瞬間、逮捕」の恐怖:朝日新聞 )
これはまた何とも非人道的なことだ。
さらには、人間扱いせずに、命さえも奪おうとするようだ。
体調が悪くても医療を受けられず、市販の痛み止めばかり飲んでいる――。難民申請をしても認められず、在留資格を得られないまま日本で暮らすクルド人の男性が19日、記者会見で医療保険にも加入できない現状を訴えた。
( → 痛み止めばかり…難民認定されない外国人 医療受けられず改善訴え:朝日新聞 )
その一方で、政府は低賃金労働者はどんどん流入させようとする。
→ 「特定技能2号」大幅拡大へ 外国人労働者、永住に道 政府方針:朝日新聞
→ 外国人の無期限就労OK「特定技能2号」拡大を 入管庁が自民に提案 | 毎日新聞
人権のある人間として難民を受け入れることはしないが、ただの低賃金の労働者としてなら外国人労働者を受け入れる(企業の金儲けのためであれば外国人を受け入れる)という方針だ。
外国人を受け入れるのか受け入れないのかは、何らかの原理原則があるわけではない。「おれたちの金儲けに役立つか」ということだけが判断基準だ。地獄の沙汰も金しだい。悪代官の裁定は小判の枚数しだいというわけだ。

こういうことであるから、与野党の方針は大きく二分される。悪代官であるか否かで、立場は正反対となる。
つまり、自民・維新は人権を無視する方針を取る。立憲だけが人権に配慮しているようだ。
→ 入管法改正案、修正協議へ 自民・維新合意 立憲の対応が焦点:朝日新聞
→ 入管法改正、修正協議始まる 立憲が対案、与党の対応焦点:朝日新聞
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さて。以上は現状だが、これについては、私は特に論じないでおこう。材料はすべて提供されている。(私が新たに出す情報はない。)上の情報を見た上で、読者が自分の良心に従って結論を出すといい。……おっと、言い間違えた。「良心」に従って、ではない。「欲得または良心」にしたがって、である。欲得にしたがうか、良心にしたがうかは、各自が自分で決めるといい。
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それとは別に私の独自の主張を述べておこう。こうだ。
「そもそも難民が発生するのは、歴史的な経緯がある。それは、各国が植民地化されていた、という歴史だ。ならば、難民の発生は、(植民地の)宗主国に責任がある。したがって、日本に来た難民は、(祖国でなく)宗主国に送還するべきだ」
たとえば、スリランカ人・ミャンマー人は、イギリスへ。カンボジア人やベトナム人は、フランスへ。それぞれ、宗主国に送還すればいい。そのあとは、宗主国が自らの責任で対処すればいい。
日本は宗主国の歴史的責任の尻拭いをする(難民を日本で受け入れる)必要はない。かといって、宗主国に加担する(難民を祖国に送還する)べきでもない。かわりに、宗主国に責任を取らせるという形で、難民を宗主国に送還するべきだ。
なお、日本が責任をもつべき独自の植民地があるとしたら、朝鮮だけだ。(満州もありそうだが、満州からの難民はないので、問題にならない。)
ただ、朝鮮人については、すでに在日朝鮮人について責任を取っている。
・ 韓国籍のまま、日本人と同様の扱いとする。(在日朝鮮人)
・ 日本国籍を取得できる。(帰化)
そのいずれも可能となっている。十分に人権は配慮されているので、何も問題はない。日本については、「植民地と宗主国」の関係は解決済みだ。
だから、(日本に植民地化された朝鮮以外の)他のアジア諸国の難民についても、宗主国が独自の責任で対処すればいいのだ。日本がその尻拭いをする必要はない。
その意味で、私の立場は、自民・維新や、立憲など、与野党のいずれともまったく異なるものだ。
[ 付記1 ]
次の報道がある。
→ <特報>香港当局、日本での言動を問題視 国家安全維持法違反で香港人留学生を逮捕 - 産経
こういうことがあるので、香港人はみんな難民となる資格がある。しかし、難民となる資格があるからといって、香港人や中国人をみんな日本で受け入れていたら、日本に中国人の8億人が押しよせたあげく、日本を中国人で乗っ取られてしまう。
だから、ただのきれいごとでは話は済まないのだ。「難民をどんどん受けれよう」と言っている人は、「日本が中国人に乗っ取られる」という可能性をちゃんと考えてから言ってもらいたいものだ。
[ 付記2 ]
次の見解もある。
→ 旧宗主国の謝罪、内省促す可能性 - 日本経済新聞
アジア各国の独立戦争では、独立勢力は、(宗主国と対立するために)日本側に付くこともあり、(宗主国に代わって占領した日本軍を打破するために)宗主国側に付くこともあった。国ごとに多様だったようだ。
→ アジア・アフリカ諸国の独立年表 - Wikipedia
