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太陽光発電を増やそうにも、大量の太陽光パネルを置く場所がない。大規模な適地は利用し尽くしてしまったからだ……という趣旨の記事が出た。
日本の国土面積あたりの太陽光の導入容量はすでに主要国トップで、大規模な適地にはほぼ導入済み。
( → 再エネの「切り札」、洋上風力広がるか:朝日新聞 )
なるほど、それを裏付ける情報はある。
・ 斜面の山林を伐採しているのは、平地を利用し尽くしたからだ。
・ 近年では大規模発電の申請が頭打ちになっている。
これらの事実から、「大規模な適地にはほぼ導入済み」という判断をしても、おかしくない。
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だが一方で、現実の衛星写真を見れば、日本の国土には大量の平地がありあまっている。特に、関東平野と濃尾平野には多い。
関東平野

Google Map
広大な平地の多くは農地だが、そのうちのかなりの部分は耕作放棄地となっている。これらの耕作放棄地は未利用地なのだから、太陽光パネルを設置できる。
つまり、「大規模な適地にはほぼ導入済み」という記事は、まったくの誤報であるわけだ。
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さらには、別の場所もある。それは、瀬戸内地方のため池だ。ため池には、太陽光パネルを設置することができる。ここもまた、広大な適地である。適地はありあまっているのだ。そのことは、朝日新聞自身が報道した。
ため池発電は、発電事業者に加え、ため池を所有する自治体、管理する土地改良区、水利組合がいずれも得する「三方良し」の取り組みだ。事業者にとっては山林伐採などの環境破壊が少なく、自治体には水面占用料、土地改良区と水利組合には水面使用料が入る。
新池でメガソーラーの稼働が始まると、香川県内では17年以降、「ため池発電」が急拡大。県などによると、20年と21年は4件ずつ設置され、21年には計21件に増えた。ところが、22年に入ると一転ブレーキ。四国電力の子会社が、同県さぬき市の長谷池に設置した1件にとどまった。
( → ため池発電、曲がり角 買い取り価格下落、参入が急減 密度日本一の香川県:朝日新聞 )
記事には「県内には約1万2千カ所のため池があり」とあるように、適地はたくさんある。ほとんど無尽蔵と言ってもいいくらい、たくさんある。それほどにも適地はありあまっているのだ。
ところが、それにもかかわらず、「22年に入ると一転ブレーキ」となった。その理由は、「適地がないから」ではない。別の理由だ。そこを勘違いしてはならない。
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では、別の理由とは? それは、同じ記事に記してある。
太陽光発電の場合、12年度の買い取り価格は10キロワット以上で1キロワット時40円(税別)だったが、21年度には、入札価格の上限が1キロワット時10.5円(250キロワット以上)に下がった。当初は設置コストが高いために、買い取り価格も高く設定されたが、再生エネの普及でじわじわと下がってきているという。
香川県内で「ため池発電」を運営する企業の担当者は「入札価格が下がったことで、利益を生みにくい状況になった」と指摘。
つまり、政府の買い入れ価格の低下が原因だ。つまり、国が太陽光電力価格を大幅に引き下げてしまったのだ。採算ライン以下になるほどに。そのせいで、事業者は(赤字になりたくないので)事業の申請ができなくなってしまったのだ。
要するに、太陽光発電の事業者は、「太陽光電力を売りたい」と言っているのに、国が「買いたくない」と言って、(買い取り価格を大幅に引き下げることで)買い取り拒否をしているわけだ。
ここでは、「国が買い取りを拒否していること」が太陽光発電が増えないことの理由なのであって、「太陽光発電の適地がなくなったこと」が太陽光発電が増えないことの理由なのではないのだ。(朝日新聞はそこを正反対に誤解している。)
《 加筆 》
国は倒錯的な方針を取っているが、歴史的に見ると、その倒錯性さらにはっきりする。
・ 当初 …… メガソーラーのコストが高い(30〜40円/kWh)ので、導入を抑制するべきだったのに、大量に導入した。
・ 近年 …… メガソーラーのコストが安い(10円/kWh)ので、導入を促進するべきなのに、導入を抑制する。
つまり、コストが高いときには、やたらと大量の導入をして、金の無駄遣いをする。コストが安いときには、導入を抑制して、太陽光発電の普及を阻害する。やるべきこととやっていることが正反対だ。
また、次の倒錯性もある。
・ 大手 …… メガソーラーのコストが安い(10円/kWh)ので、導入を促進するべきなのに、導入を抑制する
・ 家庭 …… 家庭のコストが高い(16円/kWh)ので、導入を抑制するべきなのに、導入を促進する
つまり、(導入するべき)安価なものの導入を抑制して、(抑制するべき)高価なものを促進する。やるべきこととやっていることが正反対だ。
さらに、次の倒錯性もある。(環境面)
・ 山林 …… 丘陵などの山面で、緑の樹木を伐採して、太陽光パネルを設置するのを推進する。(炭酸の吸収を阻害する。)
・ 平地 …… 耕作放棄地において太陽光パネルを設置するのを禁止する。(農地転用の禁止 → 別項 )
つまり、(抑制するべき場所である)山林では設置を促進し、(促進するべき場所である)耕作放棄地では設置を抑制する。やるべきこととやっていることが正反対だ。
政府の方針には、このような倒錯性が三重にもある。愚かさの三冠王だ。愚の骨頂。
[ 付記1 ]
東京都(小池都知事)もまた、同様の愚かなことをする。「東京都内にはメガソーラーの適地がないから」という理由で、「住宅の屋根に太陽光パネルを設置することを義務づける」という方針を取った。
しかし、メガソーラーを設置する場所は東京都内である必要はないのだ。関東のどこかの耕作放棄地で太陽光パネルを設置しても同じことなのだ。ならば、土地の高い東京都内で太陽光パネルを設置するよりも、土地の安い北関東で太陽光パネルを設置する方が利口だろう。そんなこともわからないで、「あくまで都内に設置する」ということにこだわるのが、お馬鹿な小池都知事だ。
仮に都知事がまともな頭をもっていたなら、次のように決めただろう。
「東京都内の土地保有者に太陽光パネルの設置を義務づけるのではなく、電力の消費者にグリーン電力の利用を義務づける」
たとえば、「都内の事業者には、事業用電力の 20% 以上のグリーン電力使用を義務づける」というふうにする。ここでは、供給の側でなく需要の側で規制することで、グリーン電力を増やす。そして、そのグリーン電力は、都内で発電使用が、田舎で発電使用が、どちらでもいいのだ。あえて土地の高い都内で発電する必要はないのだ。
なのに都知事は、あえて土地の高い都内で発電しようとする。「都内で発電することに意義がある」と思い込んでいるようだ。「五輪は参加することに意義がある。勝敗は二の次だ」というのに似て、「太陽光発電は都内で発電することに意義がある。そのために明るコストは二の次だ」というふうに思っているわけだ。
これを愚行という。頭の悪い人間は、こういう愚かなことをやるものだ。
[ 付記2 ]
断熱ハウスで、省エネをするついでに、太陽光パネルを設置した……という記事がある。前にも言及した、次の家だ。
→ 寒さ対策 .2(リフォーム): Open ブログ
ここで示した2番目の例は、朝日新聞記者のリフォーム例だが、そこでは建物のリフォームのついでに、「地上に太陽光パネルを設置した」という話がある。
ほくほくで使う電気は、庭先に組んだ架台に載せた2.7キロワットのソーラーパネルでつくり出す。19.2キロワット時の蓄電池を備えているので、夜間も電気が使える。
( → (あったかい家つくってみました 適温で暮らしたい:上)環境に心に「ほくほく」継続中:朝日新聞 )
ここでは、「地上に太陽光パネルを設置した」ということが重要だ。地上に設置するので、工事費用が格安で済むのだ。一方、東京都の推奨するように、屋根上に設置すると、いろいろと補強やら作業やらで、無駄に高コストがかかるようになる。まったく馬鹿げているね。
なお、同じ記事にも書かれているが、太陽熱温水器はエネルギー利用効率 60%となる。
給湯は太陽熱温水器が担う。エネルギー効率が約60%と、15~20%のソーラー発電より高効率で、創エネ機器として完成されている。
こういうことなのであるから、東京都は屋根に太陽熱温水器を設置することを推奨するべきだ。その方が効果があるからだ。
結局、「太陽光パネルは田舎に置いて、都内の屋根には太陽熱温水器を設置する」というのが、利口な人間のやることだ。
逆に、「太陽光パネルは都内の屋根に設置して、太陽熱温水器は都内に設置しない」というのは、馬鹿な人間のやることだ。
都知事がどちらであるかは、言わずもがな。
【 関連項目 】
ため池の太陽光発電、という話題については、7日前にも軽く言及したことがある。
→ 寒さ対策 .2(リフォーム): Open ブログ の [ 付記4 ]
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屋根に太陽光パネルを設置するべきではない、という話は、前にも記した。
→ 太陽光発電の話題を二つ: Open ブログ(2021年12月10日)
→ 屋根に太陽光パネルを載せるな: Open ブログ(2021年11月19日)
出典:セキスイハイム
