2022年11月17日

◆ 大阪:万博とカジノの浪費

 大阪市は水道工事代も出せないほど困窮化しているが、それというのも万博とカジノで浪費しているからだ。

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 大阪の水道工事


 大阪市は水道工事代も出せないほど困窮化しているそうだ。
 大阪市によりますと、市内にある水道管の約半分が老朽化していて、市は再来年度から事業費650億円以上をかけて、約45キロメートル分の水道管を更新する方針でした。
 しかし、円安などによる電気料金の高騰で、浄水設備の費用などが嵩み、水道事業の収支は今後、悪化する見通しです。
 市は、事業費を約50億円減らすため、約5キロメートル分の更新を見送ることを決めました。
( → 大阪市 収支悪化で水道管の更新事業を縮小|読売テレビニュース





 動画の画像を見ればわかるように、老朽化の程度はひどい。このままだと、加速度的に老朽化が進んで、漏水や断水がたくさん発生するだろう。10年後には、大阪市内のあちこちで、断水が発生するかもしれない。
 「だったらそのときに補修すればいいさ」
 というのが大阪市の目論見だろうが、それは甘い。あとで補修しようと思っても、そのときに業者が十分にいるとは限らない。
 一般に、設備の補修というものは、毎年一定量を少しずつ実施するものだ。これが計画的補修というものだ。ところが、あるとき補修の量をゼロにすると、どうなるか? その時点で、業者の受注がなくなるので、多くの業者が廃業する。かくて業者の量が大幅に減ってしまう。もともと 20社がやっていたとすれば、仕事量がゼロになるので、多くの業者が廃業してしまう。20社のうち、15社が撤退して、5社が休業中で、活動している会社はゼロ、というふうになる。
 その後、5年たったら、大阪府は業者に大量の発注をしようとする。これまで少しずつ補修をするのをサボっていたので、一挙に2倍量を発注しようとする。そこで、40社の受注を見込む。しかし、そのときに残っているのは、今なお休業を続けている3社だけだ。その3社も、主要な人材は退職していて、残っているのはわずかな社員だけだ。3社合わせて1社分ぐらいの仕事量しかできない。
 結果的に、大量の漏水と断水が発生したまま、放置状態となる。大阪市は、飲み水もなく、風呂の水もなく、トイレの水もない。水洗トイレは水を流せないまま、小便と大便の異臭が発生するようになる。大阪市は糞便まみれの糞便都市となる。……これが将来の大阪だ。
 そして、こういうことが起こるのも、「計画的補修」ということをやらなかったことによる。ちなみに、将来の計画ができない子供は、勉強の予定も立てることができず、試験の直前になって大あわてで騒ぐが、試験前だけ勉強しても、まともな点数を取ることができず、赤点になるしかない。……計画を立てられない大阪市は、計画を立てられない馬鹿な子供と同じだ。

 大阪の万博費用


 では、どうして大阪はこんなに困窮化しているのか? 
 「それは万博に巨額の金を掛けるからだ」
 と批判する人が多い。確かに、大阪市は万博に巨額の費用を投じる。272億円だ。こんなことに無駄金を投じるなら、財政が悪化するのも仕方ないと言える。
 ただ、万博の場合、入場料収入が見込めるので、272億円がまるまる赤字になるわけでもないようだ。ちなみに、1970年の Expo'70 では、373億円の入場料収入があったが、このときは 3350万人の観客がいた。日本人の3人に1人が来たことになる。国民的な大規模なブームだったと言える。
 ただ、それで黒字だったかというと、そうでもない。費用は(関連事業費込みで)6500億円もかけたからだ。
  → 日本万国博覧会 - Wikipedia
 今回(2025年)の万博もまた、巨額の赤字は免れまい。とすれば、その分、財政は困窮化する。

 大阪のカジノ費用


 大阪府と大阪市は一体化して、カジノ事業を推進する。この費用が途轍もない額になっている。民間の IR 事業者の分は別勘定だから、考慮の外に置くことにするが、土地改良費という名目で、IR 事業者にプレゼントする金が 788億円にも上る。(万博費用の 272億円を張るかにしのぐ。両者の合計額は 1060億円にもなる。水道の補修費用の 50億円が霞んでしまう金だ。)
 夢洲の土地は土壌汚染や液状化対策が必須。大阪府は土地改良に必要な費用として788億円を負担するとしています。そのほか、大阪市は夢洲で開催される2025年の日本国際博覧会に向けたインフラ整備に合計272億2,500万円を投じる計画です。
( → 大阪カジノリゾート計画の全貌、1兆800億円の調達方法と収支計画 | M&A Online - M&Aをもっと身近に。

 当時大阪府知事だった松井一郎・大阪市長は「特定の政党が間違った情報を流布してますけど、これだけははっきり言っときます。IR、カジノに税金は一切使いません。民間事業者が大阪に投資してくれるんです」と断言していた。ところが、約800億円もの巨額をカジノのために市が負担して公金をつぎ込もうというのである。
 しかも、こんなことになるのは最初からわかっていた話だ。そもそも夢洲は市が建設残土や浚渫土砂を埋め立てて廃棄物を受け入れている人工島であり、液状化や土壌汚染の問題は以前から指摘されていた。実際、桜田照雄・阪南大学教授は「有害物質を含んだ浚渫土砂も埋め立てに使われた可能性がある」と指摘(東京新聞2018年11月30日付)。2018年9月には複数の業者が10年以上にわたって下水道工事で出た大量の産業廃棄物を夢洲に不法投棄していたこともわかっている。
 その上、松井市長は「民間事業者が大阪に投資してくれるんです」と言っていたが、今回の対策費をカジノ事業者は1円も出さない。
( → 大阪カジノ土壌改良に800億円負担は維新・松井市長の命令! 大石あきこは「情報公開請求したら黒塗り」とカジノ実態隠しを告発|LITERA/リテラ

 夢洲は、地中に国の基準を超えるヒ素やフッ素が存在することや、液状化の可能性があることが判明している。このため、土地を所有する大阪市が特別会計の「港営事業会計」から約790億円を出して対策を講じる方針。
 IR建設予定地の「適性確保」にかかる790億円の内訳は、液状化防止の地盤改良に410億円、土壌汚染対策に360億円、地中障害物撤去に20億円。市は大阪港にある倉庫の使用料や埋め立て事業の収益からなる特別会計「港営事業会計」から支出する方針だ。財源は起債で確保し、IR事業者からの年間25億円の土地賃貸収入やインフラ整備の負担金約203億円などで返済することを計画している。
( → 大阪IR、パナなど20社が出資 地盤改良に市が790億円負担も:朝日新聞

 大石あきこ衆院議員が、こんなツイートをおこなったのだ。

〈待て待て待て待て 松井市長。「しっかりソロバンはじい」たろと思って、IR(カジノ)の経済効果の元データをIR推進局に情報公開請求したら、こんな墨塗りで出てきたけど。どないせえっちゅうねん?〉

 そして、このツイートに貼り付けられていたのは、金額がすべて黒塗りになった紙資料。
( → 大阪カジノ土壌改良に800億円負担は維新・松井市長の命令! 大石あきこは「情報公開請求したら黒塗り」とカジノ実態隠しを告発|LITERA/リテラ



 「公金は支出しない」と公約していたのに、蓋を開けてみたら、788億円を支出する。それでも「これは市の財政とは別勘定だから、公金を出したことにはならない」と弁明する。「別勘定といっても、どっちみち市の財政だろ」と批判されると、「将来の収入で補填されるので、赤字にはならない」と弁明する。「では将来の収入とはどういうものか?」と質問すると、黒塗りの真っ黒なデータを出す。
 もう、どこからどこまで、嘘で塗り固めているようだ。

 ──

 だが、これでは「嘘つきだ」と指摘するだけであって、「大赤字だ」と指摘したことにはならない。相手が隠していることを示して、不誠実だと批判することはできるが、現実に大赤字を出していることを批判できない。困った。どうする?

 そこで、困ったときの Openブログ。ちゃんと数字で指摘しよう。
 まず、収入としては、次の記述がある。
 土地を所有する大阪市はIR事業者への賃料として月額428円/uを徴収する計画を立てています。月2億1,000万円、年間25億円。賃貸借期間は土地の引き渡しから35年後まで。35年間で880億円の不動産収入が得られることになります。
( → 大阪カジノリゾート計画の全貌、1兆800億円の調達方法と収支計画 | M&A Online - M&Aをもっと身近に。

 支出と収入について、次の記述もある。
 IR建設予定地の「適性確保」にかかる790億円の内訳は、液状化防止の地盤改良に410億円、土壌汚染対策に360億円、地中障害物撤去に20億円。市は大阪港にある倉庫の使用料や埋め立て事業の収益からなる特別会計「港営事業会計」から支出する方針だ。財源は起債で確保し、IR事業者からの年間25億円の土地賃貸収入やインフラ整備の負担金約203億円などで返済することを計画している。
( → 大阪IR、パナなど20社が出資 地盤改良に市が790億円負担も:朝日新聞

 収入は 880億円と 203億円で、合計 1083億円。
 支出は 790億円( or 788億円)。
 双方の差額をとると、 1083億円−788億円=295 億円 となるので、差し引きして 295億円の黒字だ……というのが、大阪市の見込みだろう。
 
 しかし、こんな勘定は成立しない。支出の 788億円は今すぐ払う必要がある。一方、収入のうち、インフラ整備の負担金約203億円はすぐにもらえるとしても、家賃収入 880億円は、35年後の分まで含まれている。そんな先だと、利息の分だけ損をすることになる。880億円のうち、その半分については(利息の分だけ)価値が半減していると見なすといい。前半の 440億円はそのまま入ると考えて、後半の440億円は価値が半分となる(220億円になる)と考えていい。合計して、現在価格に換算して 660億円の家賃収入となる。
 これと 203億円を足すと、 863億円 の収入となる。
 一方、支出は 788億円だから、差し引きして、 75億円の黒字 となる。

 つまり、この土地をオリックス・グループに売却したことの損得は、 75億円の黒字 になる。それっぽっちだ。
 こんな馬鹿げたことをするくらいなら、何もしないで公園にでもした方がまだマシだ……とも言える。だが、公園だと、IR 事業による税収が得られない、という難点が生じるだろう。困った。どうする?


casino.jpg
Stable Diffusion による生成画像


 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 そもそも、土地改良費が必要なのは、二つの理由がある。
  ・ 高層建築を作れるように、地盤を強力に補強する。
  ・ 地下に建造物を作れるように、土壌汚染を浄化する。

 つまり、もともと建築には不適切な場所を、ことさら高層建築ができるように過剰整備するので、やたらと土地改良費が必要となるわけだ。それも、オリックス・グループの利益のために。

 だったら、そんなことはやめてしまえばいい。つまり、こうだ。
  ・ 建物は高層建築をやめて、中層建築にする。
  ・ 建物は地下建築をやめて、地上建築のみにする。

 こうすれば、土地改良費は必要なくなるのだ! 

 だから、大阪府は、オリックス・グループに、こう呈示すれば良かったのだ。
 「土地改良費は一切、負担しません。その分は自腹でまかなってください。ただし、土地改良費が必要となる分、土地の価格を値引きします」

 すると、オリックス・グループは、こう言う。
 「高層建築も地下建築もできないのなら、その分、土地代は少ししか払えないね。ただし、高層建築も地下建築も必要ないなら、土地改良費はほとんどゼロで済むね。差し引きして、300億円ぐらいなら払ってもいいよ」

 かくて、25億円の赤字が、300億円の黒字に転じる。
 そして、それも、「土地改良費を大阪府が払う」という馬鹿げたことをしないからだ。……これぞ、名案というものだ。

 逆に言えば、今の大阪府の契約は、オリックス・グループに 300億円ほどの金をプレゼントしているのも同然だ。儲かるのはオリックス・グループであり、損するのは大阪府だ。
 だから大阪では、市民が将来的に、糞便まみれの糞便都市に住むことになるのだ。


dirty-toilet.jpg
Stable Diffusion による生成画像




 [ 付記 ]
 上の試算では、土地改良費が 788億円ということになっているが、これはあくまでも「当初の予想工事費」である。現実には、この手の工事は、「実際には工事の難所が見つかったので、追加の工事費が発生しました。当初には予想されなかった新たな難所なので、追加の工事費をお願いします」というふうになるのが常道だ。政府のやる公共事業というのは、いつもこのようにして、大幅に増額になる。
 今回の土地改良費も同様だ。当初予想は 788億円だが、現実に払う金は 1200億円ぐらいに増額となるだろう。特に、現在は建築資材価格が大幅に上昇しているので、それだけでも 100億円は増額になるはずだ。
 試算では 25億円の赤字となっているが、現実にはそれをはるかに上回る巨額の赤字となるはずだ。
 ただし、私の案をとれば、土地改良そのものをやめてしまうので、土地改良費は不要になる。そのかわり、建物は高層建築でなく中層建築になるが、何ら問題はない。もともと計画では、場所のほとんどは公園になるはずで、土地はありあまっているからだ。


casino-yoso.jpg
出典:未来の地図


 こうして 50年ぐらいたったら、地盤も安定するので、そのときは大幅な土地改良費もなしに、高層建築を作ることも可能になるだろう。(ただし地下は汚染されたままなので、地下は利用できないままとなるが、それで別に不都合はない。単に地下は使わなければいいだけだ。地下を使うことで得る利益 40億円のために、土地浄化費用 400億円をかけるのは、馬鹿げている。)



 【 関連項目 】
 カジノを誘致すると、その場所では税収が増える。一方、日本全体では、多額の金を外国のカジノ業者に吸い取られるので、日本全体では大損する。このことは、前に述べた。
  → カジノの話題 いろいろ: Open ブログ


posted by 管理人 at 23:58 | Comment(2) |  東京五輪・万博 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
技術・技能というものは継続してこそ伝承発展していくものなので、経済屋さんが良く言うように「選択と集中」を過度に進めたら、どこかに集中したあおりを食った他分野の技術・技能が枯渇してしまって、その後にカネを投入しようとしても担い手がいないんですよね。
水道だけじゃなくって、ビルも道路もダムもトンネルも港湾も、みんなそうです。無駄は排除するとしても、ある程度の事業量は継続して確保されないと会社も人材も無くなってしまいます。
たぶん、もう手遅れという感じがしますけど。高齢化と低賃金化が進みすぎていて。
Posted by けろ at 2022年11月19日 11:57
 足し算を間違えていました。ついうっかりで、
  660億円+203億円
 を、863億円でなく、763億円 と書いてしまいました。小学3年生にも負けるミス。恥ずかしい。

 これにともなって、土地販売の収益を、赤字 25億円から 黒字 75億円に修正しました。
 つまり、評価は「赤字」から「少額の黒字」に転じるわけです。もっとも、この額が少なすぎるのは問題なので、全体的な評価は、ほとんど変わりません。
 ※ 何もしないで、土地だけを 300億円で売る方がいい、という結論も同じです。

 
Posted by 管理人 at 2022年11月20日 08:58
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