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ロシアはここ 2,3日間で、優勢から劣勢へと転じたようだ。おおおむね、次のようになる。
・ 17日まで …… ロシアが優勢気味だった。最終的にはロシアが勝利と予想された。
・ 18日 …… 変化が窺えた。現状は膠着だが、ロシアが不利な兆候が現れた。やがてはロシア劣勢になりそうだと私は判断した。最終的には兵站の問題でロシアが敗退しそうだと予想した。
・ 19日 …… 1日を経過して、戦況の変化ははっきりと現れた。もはや部分的な兆候というだけでなく、全般的に急激な変化が窺える。ロシアの敗退は確実になりつつある。
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以下では日付順に述べよう。
(1) 17日まで
17日までは、ロシアが優勢だという分析が多かった。ウクライナはかなり善戦していて、ロシアに大きな被害を与えているが、しょせんはロシアの火力が 10倍ぐらいはあるので、ある程度の被害を被りつつも、最終的にはロシアがウクライナを支配すると見込まれた。
たとえば、3月9日の記事にはこうある。
ロシア軍の消耗度合いは限定的で、制空権をめぐってもロシアが優位性を得つつあるという。
高官は「ロシア軍の戦闘力の95%は使用可能だ」と述べ、破壊・使用不能となったのはごく一部にとどまるとの見方を示した。ウクライナ軍の戦闘力もまだ大半が使用可能だという。
( → ロシア軍の消耗は限定的か 3方向からキエフ包囲の動き 米高官 :朝日新聞 )
また、3月16日にはこう記した。
欧米からの支援が急激に増加する見込みもないので、現在の趨勢が続くとすると、近い将来にはウクライナの敗北が決まりそうだ。
( → ウクライナ戦争 15(補遺1): Open ブログ )
(2) 18日
ところが、最近になって、急激に変化が生じた。「欧米からの支援が急激に増加する見込みもない」と書いたあとで、欧米からの支援が急激に増加することが決まった。
→ 米国で予算成立、ウクライナ支援に1.6兆円 対空兵器や弾薬提供 :朝日新聞 3月16日
ここでは、ただの金額が記してあるだけなので、はっきりしなかった。しかしここには相当に多くの兵器が含まれていることが判明した。
米国はウクライナに100機の「戦術的無人航空機システム」を供与すると発表した。複数のメディアは、この無人機システムが爆発物を搭載して機体もろとも標的に突っ込んで自爆する「スイッチブレード・ドローン」だと報じている。この無人機はKamikaze Drone(神風ドローン)とも呼ばれている。
( → 「自爆ドローン」100機を含むウクライナへの8億ドル軍事支援 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) )
《 加筆 》 ( 170字)
このドローンは、AeroVironment社の「Switchblade」(300、600)というもので、比較的安価なものだ。
一方、無人機としては別途、MQ-9 というものを提供するという案もあるが、英語情報を探ったところ、これはまだアイデア止まりで、実現に至る道筋はできていないようだ。ウクライナ政府は3月初めから「MQ-9 を」要求しているのだが、米国政府が承諾しないらしい。
なお、MQ-9 は、ユニットコストが 15億円ほどだ。あまりにも高すぎる。戦車よりもずっと高い。となると、自爆には不向きである。
このドローンが有効なのは、攻撃用には対地ミサイル搭載できることだ。それも、1400kg も搭載できる(英語版 Wikipedia )。
すると、何ができるか? ロシア軍のレーダーを探知して、レーダーを破壊できる。すると、ロシア軍の地対空ミサイルの「目」を奪うことができるので、地対空ミサイルが無効化する。こうなると、航空戦では圧倒的に有利になれる。うまく行けば制空権を奪える。そうなると、ドローンから敵の戦車を対地ミサイルで攻撃し放題となる。
また、米国はこれまでに対戦車ミサイルジャベリン 2600発を供与していたが、そろそろ数が尽きかけてきたようなので、追加で 2000発を供与する。これでロシアの戦車はますます破壊されることになりそうだ。
なお、ロシアの戦力の損耗は5%程度にすぎない(95%は使用可能だ)と述べたが、それは3月9日の時点の話だった。3月18日ごろになると、損耗は 40% に上ると判明した。( → 出典 )
このころ、戦況は膠着状態であると判明した。キエフ(キーウ)に近づきつつあるので、近いうちに総攻撃が始まると予想されたが、総攻撃は始まらず、その場にとどまり続けている。他の地域でも、ロシア軍の進軍がほぼ止まっていると報道された。ウクライナ軍の抵抗が相当に強いらしい。
→ ウクライナでロシア軍の動きがほぼ停止=英国防省情報当局 | ロイター
→ ロシア軍、7000人死亡か ウクライナ侵攻停滞 遠距離攻撃は続く(毎日新聞)
→ CNN.co.jp : 膨れ上がるウクライナでの死者数、ロシア軍の態勢にさらなる疑問符
典型的なのは、南東部の都市であるマリウポリだ。ここは、東部の支配地域に近いし、南のクリミア半島や海岸にも近い。最前線とも言える。ロシアからの補給は豊富だし、圧倒的な攻撃を受けているし、とっくに陥落していていいはずだった。
なのにいまだに激戦が続いている。
→ 口にするのは雪を溶かした水 マリウポリ攻防戦、市民35万人が孤立:朝日新聞
一方で、まもなく陥落しそうだという報道もある。
→ マリウポリ中心部にロシア軍侵入、陥落すればクリミアにつながる要衝 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン
ただ、陥落するにしても、陥落しないにしても、いずれにせよ、ウクライナの抵抗が予想以上に強いと言える。こんな前線でロシアが大量に戦力を消耗していると、その先に進むことは非常に大きな困難が待ち受けていると言えそうだ。
なお、ロシア軍には、戦争の「ほころび」も目立ち始めた。将軍クラスが次々と戦死しているのだ。すでに 20人中の5人が戦死した。将軍クラスが戦死することは稀なので、これは異常事態だと言える。
→ 苦戦するロシア軍 ある司令官の死で露呈した通信システムの脆弱さ|テレ朝
→ ロシア軍将官、4人目が戦死か ウクライナが狙い撃ちとの見方も - BBCニュース
以上のことから、私はこう予想した。
「戦況は現状では膠着状態だが、ロシアが不利になる兆候がいろいろと出ている。となると、このあとでは、戦況は変化して、ロシアは優勢から劣勢に転じそうだ。おそらく最終的には、兵站の不足が露呈して、兵站の不足で敗走しそうだ」
こういうふうに私は予想した。
※ 18日は、疲れて休載したので、何も書かなかったが、下書きでは上のように書くつもりだった。ところが、それから1日たって、19日になると、状況はかなり大きく変化していた。ただの兆候と見えたものは、はっきりとした先触れとなっていた。
(3) 19日
ロシア軍には兵站の問題があることがはっきりとした。
→ ウクライナ首都キエフに向けた40マイルに及ぶ露軍の車列を2週間も停滞しているにも関わらず撃破しなかった戦術分析の和訳をまとめてみた - Togetter
大量の軍を維持するには、大量の燃料・食料・弾薬を補給しなくてはならないが、その輸送部隊が狙い撃ちされて、動けなくなってしまった。そのせいで、前線にいる戦車部隊は補給不足になって、こちらも動けなくなってしまったそうだ。
ここでは兵站の問題がはっきりと現れている。今はまだ「動けなくなった」という状況で済んでいるが、やがては補給不足で、もはや動けない戦車を放棄して、敗走するしかなくなる。
その兆候はすでに現れている。テレ朝ニュース(19日21時)によると、ウクライナ軍はキエフ(キーウ)付近で、ロシア軍を押し戻しているそうだ。これまでは膠着状態であったのだが、ウクライナ軍が優勢になりつつある。となると、この分では、ウクライナ優勢の傾向はいっそう拡大しそうだ。特に、キエフ(キーウ)付近では。
※ 南部や東部では、そう簡単ではないが。
ともあれ、前日に予想した「兵站の問題」がすでにはっきりと露見しつつあるので、このまますれば、長期的には、ロシアは兵站の問題で、戦力が不足して、戦力的に破綻するだろう。
特に重要なのは、「ロシアは工業国ではない」ということだ。軍事力だけは世界でも超一流だったが、それは、他国から輸入する物品に依存していた。その輸入がもはや途絶えるとなると、兵器の補充生産もろくにできないことになる。特に半導体の不足は致命的だ。( ※ 本項末に追加情報あり。)
今後、戦争が長期化すれば、米国はジャベリンなどの兵器をいくらでも補給できるが、ロシアは補給するべき兵器を生産できないまま、いずれは兵器不足になって、兵器が枯渇する。こうなると、戦争を続けることは物理的に不可能になるだろう。
武器弾薬が尽きると、「刀折れ矢尽きる」という状況になる。遠からず、ロシアはそういう運命になりそうだ。
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一方で、ロシア国内でも、プーチンにとっては不穏な動きも出ているそうだ。
→ 「プーチン失脚」は時間の問題か…ロシア国内「3つの支持基盤」が反逆する異常事態に
プーチン失脚というのは、希望的観測というもので、そううまくは行くまい。ただ、可能性としては、わずかながらもその可能性はあると言えるだろう。
【 関連サイト 】
(1)
兵站としての食糧の不足については、下記に参考情報がある。
→ 現地では“食料”奪い合いも…ロシアは中国に“支援要請”か ウクライナ侵攻20日目|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト
→ ロシアが中国にMRE(戦闘糧食)の支援をお願いしているみたいだけど、AmazonやeBayで大量に売っていたロシア軍のMREはもしかして…? - Togetter
(2)
マリウポリでは膠着状態にあると言ったが、戦況はそうであっても、そこにいる都市市民にとっては、状況はあまりにも悲惨である。下記に英文記事があるが、画像はあまりにも悲惨なので、【 閲覧注意 】 と注記しておこう。この世の地獄とも言える。
→ Inside Mariupol's devastation: AP journalists document war's toll | AP News
下記の和文情報もある。 New !
→ CNN.co.jp : 「マリウポリは地獄」、生存者とドローン映像が明らかにする破壊の規模
→ マリウポリ、命の危機 35万人孤立、市街戦激化 ウクライナ侵攻:朝日新聞
(3) 《 加筆 》
→ 「ロシアの半導体産業について。(1/25) / Twitter
ロシアの半導体産業が壊滅的な状況だ、と解説している専門情報。クリミア占領後の経済制裁で、西側の部材が入ってこなくなり、ロシアの半導体産業はまともに成立していない。民需用はすでに壊滅している。軍需用はかろうじて(インチキ国産で)生き残っていたが、今回の経済制裁以後はもはや軍需用の生産も成立しないようだ。
かくて、兵器の補給は不可能となりそうだ。
※ 半導体不足で通信機器がなくなり、軍用通信が使えなくなる。そのせいで一般の電話回線を使うが、すると会話を盗聴される。それで将軍の位置が特定されて、将軍暗殺に至ったらしい。(ただし、半導体不足以外の理由もある。初期にウクライナの通信施設を破壊したせいで、インターネットが使えなくなり、インターネットを使うロシア式軍用通信機器もすべて使えなくなったらしい。ウクライナの首を絞めたつもりが、自分の首を絞めてしまった。)
※ ドローンなどの電波を妨害(ジャミング)するための装置も、半導体不足で生産できなくなり、そのせいでウクライナのドローン(安価な民生品)の妨害もできないでいるようだ。それで戦車が次々と撃破されるようだ。
(4)
ウクライナ優勢の情報としては、下記もある。
→ CNN.co.jp : キエフ攻撃の主要2ルートを「封鎖」、ロシアの進軍阻止 ウクライナ軍
【 関連動画 】

ロシアの半導体産業が成立しない、という話。
もしこのまま停戦になれば、ロシアの通常兵器は実は張り子の虎だったということで、世界の笑いもの?になるでしょう。だからこそプーチンは停戦できないのかもしれません。
兵器の軍事技術の話になるので、次回の項目で書く予定です。たぶん今日。(延期ならば明日)
スイッチブレードとはAeroVironment社が開発したloitering munition(空中に滞在できる自爆ドローン)で、発射機込みで人間が背負えるサイズ・重さです。スイッチブレード300は米軍がアフガニスタンで4,000機以上使用しており、2代目のスイッチブレード600は飛行範囲が90km、最高速度は185km/h、飛行時間は40分です。(下掲サイト)
https://milirepo.sabatech.jp/switchblade300-600/
軍事専門家が 「このドローンは MQ-9 だ」と書いていたので、つい鵜呑みにしてしまいました。ちゃんと考えれば、間違いに気づいたはずなのに、粗忽でした。
ご指摘に従い、文中に
《 加筆 》 ( 170字)
を挿入しました。