話を続けて、最後に重要点を述べる。( (12) の箇所。これが大事。)
――
(10) 北サハリン
南樺太と千島列島を占拠すれば、ロシアはあわて西方の軍を極東に移転させる、と期待される。もしその期待通りになれば、当初の目的(ウクライナにいるロシア軍を減らすこと)は達成される。
※ (3) の「目的」を参照。
→ ウクライナ戦争 11(日本の参戦): Open ブログ
だが、そううまく期待通りになるとは限らない。ロシアは、これが陽動作戦であることを見抜いて、無視するかもしれない。先の話を再掲しよう。
現実には、そううまく行くとは思えない。たとえば、日本が北方領土を占領したとしても、それだけであれば、ロシアはその状態を放置するだろう。
「ふん。ちびっこ日本が、辺境の小島を占拠したか。ま、今のうちは放っといてやろう。そして、ウクライナでの戦いが済んだら、その戦力を移動させて、極東に集中させて、全戦力で日本軍を蹴散らかしてやる。今のうちだけ、いい気でいろ。あとで泣きを見せてやる。喜んでいられるのも今のうちだけさ」
というふうに、いったん放置する戦略を取るだろう。そして、ウクライナ戦争のあとで、北方領土を奪回するつもりになる。
こう想定した上で、それへの対抗策を考えた。
上記のロシア軍の戦略を打開するには、次の方針を取るといい。
「北方領土を日本が占拠する。それに対して、ロシア軍がたくさん押し寄せたならば、戦わずに、にらめっこする。逆に、ロシア軍がちっとも来なければ、北方領土に限らず、樺太と千島列島も占拠する。特に、北サハリンのガス田を占拠する。そのことで、ロシアをあわてさせる」
北方領土を占拠されただけらなら、ロシアは「ふん。あとで奪回してやるさ」とタカをくくっているだろう。だが、北サハリンのガス田を占拠されたら、もはやあたふたとして大騒ぎするだろう。
「虎の子のガス田を奪われたら、北方四島の比ではない。圧倒的な損害となる。そんなことは断じて許せん!」
そう思って、西側にいる部隊が、大挙して、極東までやって来るだろう。そして、それこそが、本来の目的だ。(ウクライナ攻撃用の戦力を激減させる。)
南樺太と千島を占拠しただけでは、ロシアに無視される可能性が高い。そこで、南樺太と千島を占拠するだけでなく、北サハリン(北樺太)も占拠してしまえばいいのだ。こうすれば、ロシアは顔色を変えて、一挙に極東に戦力を送るだろう。そうなれば、当初の目的は達成されたことになる。(同時に、日本は北海道まで引き下がればいい。)
これで、陽動作戦は成功したことになる。

出典:Wikipedia
だが、この作戦を採ることには、法的な難点がある。
南樺太と千島列島ならば、前項の理由により、「そこは日本領だから占拠できる」という法的根拠があった。だから、そうすることが合法的であるという法的正当性をもつことができた。
ところが北サハリンの場合には、そういう法的正当性はない。とすると、北サハリンを占拠するという陽動作戦を採りたくても、それをやるだけの根拠がない。根拠もなしに占拠するのでは、ただの不法な侵略行為だ。そんなことをしたら日本が世界中から経済制裁を受けかねない。……それはまずい。困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「北サハリンについては、領土としての領有権を主張しない。単に一時的な占拠をするだけだ、と明示する」
具体的には、こうだ。
「ロシアは日本の北方領土を不当に占拠し続けたので、そのお返しとして、今度は日本が北サハリンを不当に占拠することにする。どちらも法的に不当であることを認める。そこで、最終的には交渉によって、それぞれの不当な部分を相殺する。つまり、北サハリンはロシアに返還して、北方領土は日本に返還する。そういうふうに最終的な合意をすることを目的に、日本は一時的に北サハリンを不当に占拠するだけである。ずっと領有し続けるつもりはない」
こう語ればいいわけだ。これなら、国際的な批判を浴びずに済むだろう。「まあ、どっちもどっちだな。あとは両国で、半々の言い分で合意してくれ」と世界は思うだけだろう。こうして、「日本が侵略行為をした」という批判を浴びずに済む。
※ なお、北サハリンを占拠しても、それでもまだロシアが西方の軍を移動させなかったら、ウラジオストクやハバロフスクも占拠してしまえばいいだろう。どっちみち「不法な一時的占拠」(お返しとしてのイヤガラセ)なんだから、いくらでもやり放題だ。(ただし、あとで返却する。)
※ 現実には、北サハリンが占拠された時点で、ロシアは堪忍袋の緒を切らして、大挙して極東に押し寄せるはずだ。「北サハリンがずっと領有されたら」と思ったら、絶対に我慢できないはずだ。ここのガス田は、金の卵を産むガチョウだからだ。たとえ一時時的であろうと、他国に渡せるわけがない。
※ ロシア軍が大挙して極東に押し寄せたなら、そのときは日本は部隊を北海道に引き下がらせれば済む。それで目的は達成されるのだ。日本の目的は、領土の回復ではなく、ロシアの戦力の分断である。そこを忘れないようにしよう。仮に領土の回復や取得ができるとしたら、それは、予定外のタナボタであるにすぎない。(それが目的だったわけではない。)
(11) ウクライナの委託
北サハリンについては、「一時的な占拠」とは別に、もっとうまい案がある。それは、こうだ。
「ウクライナの委託を受けて、日本が自衛隊をウクライナに貸与する。日本は自衛隊を、ウクライナの国旗を付けさせて、ウクライナ軍として運用する。その後、北サハリンを占拠したら、北サハリンをウクライナ領として領有させる」
つまり、実際にはすべてを日本の自衛隊がやるのだが、形式的には「ウクライナ国旗を付けたウクライナ軍が北サハリンを占拠して、北サハリンをウクライナ領にする」ということだ。
これは、ロシアがウクライナ領を侵略していることのお返しなのだから、ウクライナとしては、あれこれと文句を言われる筋合いはないはずだ。堂々とふるまって、こう言えばいい。「ウクライナ領を奪われたので、そのお返しに、ロシア領を奪い取るだけだ」と。
そして、そのあとは? それを考えるときの前提条件は、こうだ。(両方とも)
・ NATO軍がウクライナ領で軍事介入する。
・ 日本が北サハリンを占拠する。(ウクライナの代理で)
このあとは、次の二通りだ。(どちらか一方)
(a) ロシア軍が大挙して押し寄せたら、北海道に引き下がる。
(b) ロシア軍が放置したら、そのまま北サハリンを占拠する。
その後、ロシアはウクライナ領で NATO軍に打破される。そのとき、 どうなるか?
もし(a)の状態であれば、ロシア軍は戦力を分断されたせいで、ウクライナ領で NATO軍に大敗する。めでたしめでたしだ。
もし(b)の状態であれば、ロシア軍はウクライナ領で NATO軍に負けるが、そのとき、北サハリンをウクライナ軍に占拠されたままなので、北サハリンは(ウクライナの旗を付けたまま)ウクライナに領有される。こうして、ウクライナは北サハリンのガス田の権益をもらい受けて、戦時賠償として受け取る。その後、戦時賠償となる金を十分に受け取ったら、領土をロシアに返還すればいい。……最初からそういう方針を示しておけば、あとでロシアから「領土を返せ」と恨まれることもないだろう。また、「ガス田の権益で、破壊された国土の戦時賠償とする」というのであれば、十分な論拠となるので、世界からの支持を得ることもできるだろう。
つまり、日本が北サハリンの権益を奪い取ると、世界から批判されかねないが、ウクライナが北サハリンの権益を奪い取るなら、世界から批判されることはないのだ。……そういうふうに、話はうまく進むわけだ。
そして、ウクライナに戦時賠償をもたらして、ウクライナの復興を助けるために、日本が貢献したということで、日本は「立派なことをした」と世界から称賛されるわけだ。うまい案ですね。
というわけで、困ったときの Openブログ。 (^^)v
《 加筆 》
逆に言えば、そうなるのが怖いので、ロシアとしては、北サハリンを占領されることを絶対に許しがたい。それゆえ、北サハリンを奪われまいとして、西方から部隊を移動させる。そうなると、日本は北海道まで退却する。つまり、陽動作戦は成功する。……かくて、戦わずして目的を達成することができる。銃弾を一発も使わずに、ウクライナの状況を大幅に改善できるわけだ。
(12) 議論
以上の (1)〜(11) で、「日本の参戦」を具体的に論じてきた。
だが、これを読んでも、得心できない気分になる人が多いだろう。
「理屈はわかったが、それを実現させるのは、ちょっと無理じゃないの?」
と。
なるほど。それはそうだ。このような方策は、たとえ妥当性があるとしても、実現するまでには長い時間がかかるのが常識だ。「議論を出して、1カ月もしないで実現する」というのは、とうてい無理だろう。だとすれば、ウクライナ戦争には間に合いそうもない。つまり、実現可能性は皆無だ。
では、実現性のないことを論じることは無意味だろうか? いや、そんなことはない。たとえ実現性がないとしても、議論することには意味がある。というより、議論すること自体に意味がある。
このように議論をすることで、日本国内で「日本参戦」の可能性が高まれば、それはロシアの意思決定に影響を及ぼす。また、NATO軍にも、「共同防衛という軍事介入をするかどうか」という形で、その意思決定に影響を及ぼす。……そういう意味で、二重の形で、影響を及ぼす。かくて、日本で議論することが、ウクライナの命運を握ることになる。うまく行けば、こうなる。
・ NATO 軍は、日本における議論を聞いて、軍事介入を決める。
・ ロシアは、日本における議論を聞いて、早めに停戦を受け入れる。
こういう形で、ウクライナ戦争を止めることが可能になるのだ。
つまり、実際には銃弾を一発も撃たないまま、「日本が参戦する」という議論をするだけで、ウクライナ戦争を止めることが可能になるのだ。早期講和の形で。
これこそ、それは秀吉の「一夜城」を見習った方法だ。つまり、「戦わずして勝つ」という方策だ。ここに、本項の意義がある。
人は歴史に学ぶことで、最善の道を知ることができる。
※ ブラフでバイデンを屈服させることで勝利を得ようとしているポーカー上手のプーチンに対して、もっと上手にやって、ブラフでプーチンを屈服させて勝利を得る……という方策を示しているわけだ。
※ 「日本の参戦」というテーマは、これで終わりです。

すでにロシア領に確定しているのではないでしょうか>
平時ならば「樺太と千島を返せ」と言っても通じないが、今回のような非常事態ならば、「樺太と千島は日本領だ」と言い張って、NATO軍と連帯行動を取ることにも理屈が通る、ということ。
日本単独では、ロシアと戦うことはできないけれどね。
 ̄ ̄
なお、国家間の領土紛争では、時効というものはありません。竹島や尖閣列島だって、長い時期を経てから、突然、外国が領有権を主張してきた。
※ 人の命には寿命があるが、国家には寿命がない。