※ 【 追記 】 があります。夜になって新事実が判明しました。
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埼玉県ふじみ野市で人質立てこもり事件があった。経緯は、こうだ。
・ 犯人が医者を呼び寄せた。
・ 医者とスタッフが銃撃される。
・ スタッフは命からがら逃げ出した。
・ 医者は人質となった。ケガをして出血中。
・ ケガ人をすぐに手当てしないと死ぬ危険があった。
・ 犯人は「医者は生きている」と答えた。
・ 警察は何もしないで、ずっと放置した。
(警察は「医者は死なない」と判定したらしい。)
・ 犯人はやがて応答しなくなった。(医者が死んだ?)
・ 開始から 11時間後に、警察が突入した。
・ そのときにはすでに医者は死んでいた。
( → 立てこもり11時間、投げ入れられた閃光弾 事件前日には怒鳴り声:朝日新聞 など )
すぐに突入していれば、医者は助かった(そのときはまだ生きていた)のに、そのまま放置したので、おそらくは出血多量のせいで、事切れていた。
死ぬことになった理由は、明らかに「警察の放置」のせいであろう。これは刑法違反の罪に当たる。
遺棄罪:
老年、幼年、身体障害または病気(けが、泥酔、薬物等の影響を含む)のために扶助を必要とする者を、保護のない状態において、その者の生命・身体を危険にする犯罪。
( → 遺棄罪とは - コトバンク )
刑法 第217条
老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、1年以下の懲役に処する。
刑法 第219条
前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
警察のやったこと(やらなかったこと)の責任はきわめて重い。人の命を犠牲にしてしまった。正確に言えば、犯人の命を救うことを重要視して、犯人を射殺しなかったので、人質の命を犠牲にしてしまった。
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では、どうしてこうなったか? 疑問に思っていたが、報道を待っていたら、上記記事が出た。そこには、こうある。
自宅内部の状況がわからず、情報は容疑者との会話に限られた。捜査関係者は「銃を持っており、近づけなかった」と話す。
数回やりとりするなかで、渡辺容疑者は「被害者を救出したい」「被害者が動かない」などと答えたが、鈴木さん本人と話すことはできなかった。
そのうち、渡辺容疑者から応答がなくなり、立てこもりから11時間近くたった28日午前8時に防弾チョッキを装備した埼玉県警の特殊部隊が玄関のカギを壊して突入。閃光(せんこう)弾を投げ入れ、部隊はすぐ右手の6畳の和室へ。そこで渡辺容疑者の身柄を確保した。
突入のタイミングの判断について県警は28日夕の会見で、「被害者が撃たれたことは発生当初から把握していたが、安否が判然としなかった。早期に突入すれば被害拡大の恐れもあると判断した。応答がなくなったため、人命を最優先して突入した」と説明した。
「被害者が撃たれたことは発生当初から把握していたが、安否が判然としなかった。早期に突入すれば被害拡大の恐れもあると判断した」
とある。これは、次の意味だ。
「犯人を制圧するときに、流れ弾が人質に当たって死亡すると、責任問題となるので、犯人を制圧する(突入する)ことはできない。しかしながら、人質が出血多量で死ぬのは、犯人が殺したことになるから、警察の責任問題にはならない。大切なのは、人質の命を救うことではなく、警察が責任を問われないことだ。そして、そのためには、人質が死ぬのを待つのが最善だ。人質が死んでしまえば、警察のせいで死ぬことはない。だからあえて、人質が死ぬまで待っていたのだ。結果的に、警察は人質を犠牲にしなかったので、警察は責任を問われないで済むぞ。作戦は大成功!」
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ちなみに、(東京都の)警視庁の方針は、これとは逆で、「人質の命を救うことが最優先」であった。そのために、警察が批判されるリスクをあえて負って、短期決着の方針を取った。そして短時間で突入して、見事に人質を救い出した。ほんの半月前のことだ。
東京都渋谷区の焼き肉店で8日に起きた立てこもり事件で、警視庁は発生から約2時間40分後に人質の店長を救出し、突入した捜査員が容疑者の男を監禁容疑で逮捕した。こうした事件の捜査は人質の無事が最優先で、警察は容疑者の要求を聞きながら投降を促す。膠着(こうちゃく)するケースが多く、3時間弱での突入、逮捕は異例だ。
警視庁は店の構造を詳しく調べ、男に察知されないように店長を救い出せないか検討していた。
店には裏口があった。現場の状況や男の様子を何度も確認し、裏口から店長を救出する計画を考案し、男が隙を見せたら実行に移すと決めた。店長ともやり取りできており、計画を伝えた上でできるだけ男から離れるよう指示した。
捜査員らはゴーグルやヘルメット、防刃手袋などを装着した上で、繰り返し手順を確認しながら救出・突入の機会を待った。
9日午前0時過ぎ、現場周辺に「ドンドン」という大きな破裂音が何度か響いた。捜査員が店内に投げ込んだ閃光弾だった。直後に、多くの捜査員や盾などを持った制服警察官が店内になだれ込んだ。
閃光弾は激しい音と光で、立てこもり犯の動きを一瞬で封じる目的がある。捜査員らは今回、負傷することなく、店内にいた男を逮捕監禁容疑で現行犯逮捕した。店長はこの直前、裏口から無事に救出されていた。
( → 焼き肉店立てこもり、異例のスピード突入 人質を救った捜査の舞台裏:朝日新聞 )
警視庁は見事に短期決着をなし遂げた。それというのも、SAT という特殊部隊が、日頃から訓練しているからだ。
→警察の特殊部隊で強行突入するのはSIT? SAT?
埼玉県警にも、同様の組織で、RATS というものがある。
→ 埼玉県警察RATS - Wikipedia
だが、今回は、RATS の出番(投入)の時期が遅れた。ひとえに、現地の対策責任者に見通しが甘かったことによる。あるいは、人質の人命を軽視したことによる。「銃撃されたあと、出血中のままで放置していい」という判断をしたのは、頭がおかしいとしか言いようがない。医師の判断を仰がなかったのだろうか? それとも医師が「銃撃されて出血中の人を 11時間も奉仕しても大丈夫」だとでも言ったのだろうか? (ありえない。)
現場の判断で医者の意見を聞こうともしなかったという点で、人質の命に対する人命軽視の罪は非常に大きい。
現地の責任者を、刑法 217条・219条違反の罪で、訴追するべきだろう。
[ 付記1 ]
現場は普通の木造住宅であると判明している。
→ 「胸が、腹が痛い…」うずくまる男性 住民震撼、埼玉立てこもり | 毎日新聞
だったら、天井裏を通って、犯人のいる真上まで達してから、真上から狙撃すれば、簡単に制圧できたはずだ。電気を切ったあとで、暗視スコープを使えば、いっそう確実だ。
暗視スコープを使う方法は、「こっちは相手を確認できるが、相手はこっちを確認できない」という点で、圧倒的に優位性を確保できる。
次善が、閃光弾だ。相手がどこにいるかわからないので、相手を無力化できるかどうかは不確実だ。ひょっとしたら、相手は別室にいるかもしれない。その場合には、閃光弾は無効だ。だから、閃光弾を使うとしたら、相手がいることを確認する必要がある。
[ 付記2 ]
そこで、「科捜研の女」によると、現場の状態を見るために、サーモグラフィーによる監視をする、という例があった。その例では、犯人の所在地を確認することが目的だったが、同時に、人質の体温が低下しているので、人質の命が危険に瀕している、と察知したそうだ。
銃を持った犯人による立てこもり事件が起こり、マリコたち科捜研も現場に急行する。現場内部の様子を探るために取り付けたサーモグラフィーから人質の危険を察知したマリコの訴えにより、銃器対策部隊が室内に突入。
( → 注目ドラマ紹介:「科捜研の女」12弾 マリコの前に戸田菜穂演じる強敵・美紀江が現る )
埼玉県警に、こういう知恵があったら良かったのにね。(現実には、沢口靖子演じる榊マリコは埼玉県警にはいない。なぜなら、京都府警にいるから。)
ついでだが、X線で非破壊的に透視することのできる透視装置があるそうだ。
→ 後方散乱X線検査装置
また、テラヘルツ波を使う透視装置もあるそうだ。
→ 荷物の中身を透視する「テラヘルツ波」
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「科捜研の女」は、今シーズンを最後に、打ち切りが決まっているらしい。残念。
→ 【科捜研の女】打ち切り説の信ぴょう性は!核心考察!
テレ朝では、ドクターX、相棒に次いで、トップ3の3番目を維持する、高視聴率番組だ。4番目以下がはるかに下方であるのに比べると、トップ3の座は安泰に見えるのだが。科捜研の女をやめたら、もっとずっと低い視聴率の番組しか、残らないのだが。何を考えているんだか。
ちなみに、今シーズンの「科捜研の女」の2時間スペシャルは、とても面白くて、ネットでも好評だった。
【 追記 】
本項を書いた時点では、「犯行後に人質は生きていた」と報道されていた。だが、実は、それは犯人の嘘であって、本当は人質は即死していた……と新たに報道された。
人質となり殺害された医師の鈴木純一さん(44)は、散弾銃で胸部を撃たれて即死状態だったことが、捜査関係者への取材でわかった。29日の司法解剖の結果、死因は胸部に銃弾を受けたことによる心臓破裂と判明。受けた銃弾は1発で、貫通していたという。
殺人未遂容疑で逮捕された渡辺宏容疑者(66)は、自宅に立てこもった27日午後9時以降、捜査員との電話でのやりとりで、鈴木さんの安否について「大丈夫」「生きている」などと伝えていた。立てこもりは11時間近くに及んだが、県警は鈴木さんが発生からまもないうちに撃たれ、亡くなっていた可能性が高いとみている。
( → 埼玉立てこもり、死亡の医師は心臓破裂で即死か…銃弾1発が貫通 : 社会 : ニュース : 読売新聞 2022/01/29 21:40 )
司法解剖の結果、死因が新たに判明して、犯人の話が嘘だったと判明したわけだ。(29日の夜)
本記事を書いた時点では、その情報がなかったので、前提が違っていたことになる。人質は亡くなったが、その分、警察の本部長は命拾いしたね。

今回の事件の問題は、埼玉県警にもいるSITが出動しなかったか、出動が遅れたか、現場の指揮が悪くうまく活用されなかったか、ですね。
武力の差ではなく、指揮系統(組織の頭脳部)の差。
焼き肉店の事例と今回の事例とでは凶器のレベルが大幅に異なります。
情報ありがとうございます。本日夜になって、司法解剖の結果が出たようですね。
これを受けて、最後に 【 追記 】 を加筆しておきました。
> 焼き肉店の事例と今回の事例とでは凶器のレベルが大幅に異なります。
別に、犯人と戦うわけじゃないです。銃撃戦をするわけじゃない。「一方的に射殺すべし」が本項の主張です。
この点は、被害者が即死していてもいなくても、同じです。
管理人さんの引用にもあるように「籠城中に犯人が人質が生きていると警察に連絡していた」というだけで、その事実は確認されておらず、「撃たれて人質がそのごしばらくは生きていた」と報道しているメディアはなかったという認識ですが、そのような誤った報道をしていたのはどこのメディアですか?
>別に、犯人と戦うわけじゃないです。銃撃戦をするわけじゃない。「一方的に射殺すべし」が本項の主張です。
銃撃戦にならない保証はどこにあるのでしょうか?
また警察は前提として犯人を生きて捕まえるのを目的とするであって、射殺を目的とすることはありません。これは銃社会のアメリカの警察でもそうです。犯人の行動により怪我人がでていたとしても、拘束時に抵抗するなどしない限りは基本的に発砲しません。アメリカであっても武器でもって抵抗していない犯人を射殺すれば、実行した警察官は定職免職になります。だからアメリカの警察は全員ボディーカメラで自分の行動を記録することで、自分の身を守っているのです。
「撃たれて人質がそのごしばらくは生きている」と言っていたのは(メディアでなく)犯人です。
メディアは犯人の言葉を伝えただけです。正確には、犯人の言葉を伝えた警察の言葉(伝聞)を伝えただけです。
ちゃんと読みましょう。揚げ足取りをすることばかり熱中すると、誤読のかたまりになりますよ。
※ 「正確に書け」という意図かもしれないが、すでに判明していて誰でも知っている情報をいちいち正確に書く必要はない。「人質は生きていると犯人が告げた、と警察が公表した、とメディアと告げた、と私が書いた」というふうに多重化して書いたら、長たらしくて、何が何だかわからなくなるでしょ。
> 射殺を目的とすることはありません。
それはそうです。目的は犯人の無力化ですから、単に銃撃するだけでいい。殺すことは目的ではありません。「無力化が目的だが、その過程で、たまたま殺してもやむを得ない」というぐらいの意味です。
> 拘束時に抵抗するなどしない限りは基本的に発砲しません。
それは人質のいない場合。流血していて瀕死の状態の人質を拘束している犯人は、それ自体が殺人行為の実行中なのだから、犯人を射殺したとしても、それは正当防衛に該当します。
比喩的に言えば、ナイフで被害者をどんどん刺している殺人中の犯人がいたら、拘束に抵抗しているわけではないとしても、射殺されて当然です。1秒でも早く救うためには、射殺という選択が最善です。(正確には、無力化のための狙撃。)
今回はそれと同様です。殺人中の犯人には、殺人行為を止めるのが最優先であって、生け捕りにすることは優先項目ではありません。
※ その優先順序を間違える指揮官がいるから、11時間も放置する、という選択をするわけだ。あなたが指揮官だったら、11時間も放置するんでしょうね、きっと。いや、1週間ぐらいの持久戦を選ぶのかも。その間に死体が腐りそうだが。
> 銃撃戦にならない保証はどこにあるのでしょうか?
「天井裏から暗視スコープで」と書いてあるでしょ。それで相手を目視できれば、狙撃できる。
目視できなければ、作戦中止。かわりに、閃光弾に移る。ただしその場合は、銃撃戦になる可能性はある。
それが正しいかはまた別だろうし、見ただけでそこまでわかるのかって突っ込まれるだろうからそんな発表はしないと思いますけど。
被害者の医師は、外から見えないところにいたので、状況は不明でした。
> 眠ってきた頃にみはからって突入した
死亡しているのが確認できてたなら、眠るのを待つ必要はなく、すぐに突入できます。人質に危険が及ぶことはないからです。
> 出血もすごそう
心臓に損傷あったなら、出血は少しです。出血が多いのは、心臓が脈動して、血液を循環させるからです。心臓が止まれば、出血も最小限となります。
状況からすると、散弾の一つが心臓に入っただけなので、内出血があっただけで、外部への出血はなかった可能性もある。
https://hb-plaza.com/shotgun-slug-mv/
https://www.securico.co.jp/jbl/image/guns.html
犯人は、医師の他に理学療法士の男性(重傷)も撃っていて、この男性はすぐ病院に搬送されています。警察は、ここから、犯人がどの弾丸を使用したかをすぐ調べて、胸を撃たれた医師のダメージが最悪どのくらいかを見積もり、どのような対応をすべきかをきちんと考えるべきでした。(見積もった上でこの対応だったのかしら?)
> 天井裏を通って、犯人のいる真上まで達してから、真上から狙撃すれば、簡単に制圧できたはずだ。電気を切ったあとで、暗視スコープを使えば、いっそう確実だ。
⇒ 本文を読んだ時から目が点になりましたが、その天井裏にはどうやって入るのですか? まず屋根に上って、屋根に大きな穴を開ける? それと、犯人が主に籠城していた場所は2階ではなくて、1階の6畳の和室なのですよね?
https://news.yahoo.co.jp/articles/19b06c0c72481462d7bed5670b6ad59764444b29
2階から覗くとしても、2階に気づかれずに侵入する方法も分からないし、よしんば2階に入れたとしても、2階の床に、階下の部屋を暗視スコープで覗ける穴を開けていたら、すぐに相手に気づかれそう。とにかく、どこかの過程で気づかれて、その時点で銃撃戦になるならなってしまいます。
この場合は、犯人が潜んでいると思われる部屋の外側から、壁などに直径数ミリ程度の穴を、気づかれないように静かに手動のドリルなどで開けて、そこからファイバースコープを差し入れて中を観察する方法が最も確実でしょう。この方法は、1979年の三菱銀行人質立てこもり事件(この時はスコープではなくて肉眼で確認した)でも使われていますし、下の記事では、病院内立てこもり事件の際に、隣の部屋から通気口(通気管)を経由してファイバースコープを差し入れた事例が紹介されています。
https://www.ntv.co.jp/toppa/articles/94oqho19cum1nldqwg.html
こう言うとアスペみたいな意見なんですが、もう助かる見込みのない人を助けに行くために、興奮して殺傷力の高い散弾銃をもった人間に突入していくのはこちらの命が危険なので、落ち着くのを待っていた、てのもあるかなと。
こんな発表したら大炎上するでしょうし言うわけないと思いますが。
和風の木造住宅の天井裏に入るのは、押し入れの上の天井板を外すのが常道です。2階からではなく、1階の隣室の押し入れ。押し入れの天板は簡単に外せることが多い。
必ずできるとは限らないが、まずは試してみることができる。
> 壁などに直径数ミリ程度の穴を、気づかれないように静かに手動のドリルなどで開けて
そっちの方がはるかに大変です。分厚い壁に穴をあけるのと、たったの3ミリ厚の天井板に穴をあけるのとでは、難易度に大差がある。
ファイバースコープは、観察するにはいいけれど、狙撃するには足りない。天井板経由なら、穴をあけることなく、天井板ごと一挙に打ち抜くことができる。
仮に立てこもり場所が2階だとしても、そこでノコノコ天井裏(屋根裏)をつたって、別の部屋から犯人のいる部屋の上部に移動していて、万が一音などで気取られたら、下から銃撃されて終わりです。
それと、「穴をあけることなく、天井板ごと一挙に打ち抜くことができる」とありますが、暗視スコープ?を使ったとしても、天井裏(屋根裏)からどうやって犯人の位置を確認して、犯人に狙いを付けられるのでしょうか?
私がいっているファイバースコープの観察穴は、そこから狙撃するのではなく、覗いていて、例えば犯人が人質に銃口を向けていなかったり、居眠りをするなどスキを見せた時に、窓やドアを外から一気に破って突入、制圧するためのものです。そのやり方(流れ)が常套手段でしょう?