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妊娠中絶を話題にすると、朝日新聞のようにリベラルな立場では、「女性の中絶する権利を守れ」というふうに主張しがちだ。
・ 強姦などのあとで中絶する権利を認めよ。
・ 中絶に男性の合意を求めるのは非合理だ。(強姦相手など)
・ 妊娠中絶の費用が高額なのは問題だ。
これらの各論は、確かに「ごもっとも」と言える。理由はこうだ。
・ 強姦された女性に出産を強要するのは非倫理的だ。
・ 強姦相手は不明なのに、男性の合意を求めるのは無理難題だ。
・ 中絶薬を使っても、母体の管理で、入院に高額の費用がかかる。
なのに、健保が適用されず、費用が高額になる。(強姦でも)
たとえば、下記に記事がある。
→ 中絶の選択肢、いまだ手術しかない日本 根強い国際標準求める声:朝日新聞
→ 飲む中絶薬、承認申請 英企業、厚労省に WHOが推奨:朝日新聞
→ (取材考記)「産めない」…選択は高額手術のみ、法の問題も放置 田中聡子:朝日新聞
→ レイプで妊娠 中絶手術に「加害者の同意」を求める医師側の知られざる事情 | 文春
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ただし、マスコミが取り上げがちな「強姦による妊娠中絶」というのは、比率としては圧倒的に低い。現実にある妊娠中絶の大部分は、経済的な貧困(年齢未熟を含む)が理由である。

出典:TSHP

出典:朝日新聞
このことから、次の結論を得る。
「妊娠中絶の主たる理由は、経済的な貧困なのであるから、妊娠した女性には、経済的な援助を与えるといい。そうすれば、経済的な貧困を理由に中絶することがなくなる。かくて日本は少子化を脱する」
一方で、現実には逆の施策を取っている。
「妊娠した女性には、経済的な負担を強いている。出産の直接経費だけは、国からの援助が出るが、その額は不十分だ。働く女性の収入減に対する補償もあるが、その額も不十分だ」
ググればわかるが、出産にかかる費用は 53〜56万円ぐらい。一方、国から出る金は 42万円。
他に、出産前の検査の費用も 5〜10万円ほどかかるが、費用は全額自己負担のこともあり、全額公費負担のこともあり、部分的に公費負担のこともある。(自治体ごとに異なる。)
仕事の休業補償もあるが、やはり、額は不十分である。
→ Q. 貯蓄がなく、出産費用が足りるかどうか不安です
というわけで、とにかく経済的支援をなすことが重要だ、と言える。それによって、妊娠した女性が中絶しなくなれば、それだけで少子化のうちのかなりの部分が解消する。
[ 付記1 ]
妊娠中絶は、長らく、日本人の(広義の)死因の1位を占めてきた。公式には、脳卒中や癌が死因の1位であるとされることが多かったが、それを上回る数の妊娠中絶があった。この件は、先に述べたとおり。
→ 悪性新生物は 生物か?: Open ブログ
出産と妊娠中絶との比率は、下記にある。
日本における人工妊娠中絶数の推移。講義で毎年使っている資料。1948年に経済的理由による中絶が合法化されると、人工妊娠中絶が激増した。結果、合計特殊出生率は1947年の4.5から60年には2.0まで低下。当時の避妊知識の乏しさを示す。 pic.twitter.com/POVOsCvXVr
— 谷謙二/TANI Kenji (@ktgis) July 6, 2014
減ったとはいえ、20%もある。この数値は、とても大きな数値だ。妊娠中絶をなくすだけで、出生率は(現状比で) 1.2倍に上がるのだ。
[ 付記2 ]
暴論または極論に思えるかもしれないが、少子化対策としては、「児童売買」を認めるといいだろう。
妊娠・出産したあとで、産まれた子供を手放すかわりに、(女性は)高額の金銭を得るわけだ。(500万円ぐらい)……そうすれば、
・ 出産した女性は、休業補償の金を得る
・ 不妊の夫婦は、子供を得る。
という形で、win-win となる。誰も困ることはなく、幸福になる人だけがいることになる。
とすれば、これは「良いこと」なのである。特に、「人を死なせる」ことに相当する妊娠中絶を避けるという意味では、人の命を救うことになるのだから、圧倒的な善行であると言える。普通の親切を何万回も繰り返しても、たった1回で1人の命を救うことには及ばないのだ。
なのに、これが悪徳に思えるのは、「児童売買」という言葉に人が囚われているからだろう。つまり、「人さらいをして児童売買をする」という極悪非道の犯罪行為と、混同してしまっているのである。(概念の混同ゆえに起こる誤認)
そこで、この誤認を避けるために、次のことを制度化するとよさそうだ。
「実質的には児童売買と同様のことをするが、金を得る方と払う方を分離して、国家が実務を行う」
具体的には、次の二点だ。
・ 出産して子供を手放した女性には、国が補償金を払う。
・ 子供を得る不妊夫婦は、国に手数料を払う。
この二点を完全に分離すれば、直接的な「児童売買」にはならないから、もはや「児童売買だ」と非難することはできなくなる。特に、国が売買の差益(利ザヤ)を得なければ、それはもはや悪徳な商売ではなく、ただのボランティアふうのサービスであるにすぎなくなる。
こうして、双方がともにハッピーになり、さらに、国家的には少子化の問題を解消する方向に向かう。「三方一両得」という感じだ。名案だろう。
困ったときの Openブログ。
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《 加筆 》
現状では、この制度がないので、双方が不幸になる。(二つの不幸)
・ 出産した女性は、所得補償を得られず、貧困化する。
・ 不妊の夫婦は、うまく新生児を得ることができない。
さらには、生まれた子供が不幸になる。(第三の不幸)
・ 児童養護施設(孤児院)にいつまでもいるので、不幸だ。
・ 貧しさゆえに、大学に進学することも、しにくい。
・ 女性だと、児童養護施設でレイプされることもある。
つまり、「児童売買は悪だ」と思う世論のせいで、当事者のすべてが不幸になるわけだ。ここでは、世論そのものが犯罪的な悪人なのである。
《 再加筆 》
児童養護施設から大学に進学することは、不可能ではないそうだ。学費を全額、自分でまかなうことを前提とすれば、「働きながら進学する」ことは可能であるそうだ。
ただし、状況はかなり厳しい。下記に事例がある。
→ 「勉強していると浮いてしまう」施設から医学部現役合格した生徒が願うこと
[ 付記3 ]
さらには、極論になるが、「プロ妊婦」というのを認めてもいいだろう。次のようなものだ。
「妊娠・出産を仕事として請け負う。妊娠中と、出産後のゼロ歳児育児中には、相応の金銭を対価として受け取ることで、生活が出来る。年収 500万円程度をメドとする。(実働 14時間ぐらいを想定する。)」
この場合、精子を誰から受け取るかで、二通りに分かれる。
(1) 産まれた子供を引き取る男の精子を使う場合。……これは、「代理母」となる。精子の使い方は、通常の性的結合でもいいし、人工授精でもいい。本人同士で勝手に決めればいい。
(2) 産まれた子供とは無関係の男の精子を使う場合。……これは、人工授精と言うことはありそうにないので、女が勝手に自分好みの男とエッチして、精子を入手すればいい。エッチすることでも、高額の金銭を得ることも可能だ。(売春である。これ自体は、名目的には違法だが、処罰の規定はない。密室で行えば、誰にも咎められない。)
このようなプロ妊婦がひろまれば、世の中には、結婚できる男女と、結婚できない底辺男女と、かわりに金をもらってエッチと出産をする女性が生じることになる。(あと、その女性とエッチしたがる男性もいる。)
社会的にはモラル崩壊みたいな感じになるが、こうでもしないと、少子化は劇的には変えられないかもね。
( ※ 特に推奨しているわけではありません。一種の思考実験です。……ただし、これをネタにして、未来小説や未来漫画を書くことはできるかも。)

> 出生率は(現状比で) 1.25倍に上がるのだ。
と記しましたが、数値を 1.2 に修正しました。
※ 20% という数値は、妊娠に対する比率ではなく、出生に対する比率なので。