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世間の人々が「正しい」と信じていることが、実はまったくの間違いだったと判明する……ということは、しばしばある。「裸の王様」ふうだ。そういう事例を指摘するのが、本サイトの役割の一つだが、改めて、本項でそういう問題を示そう。(ビッグ・ホームランみたいな指摘だ。)
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まず、前項では、「SAF(持続可能な航空燃料)」というものが示された。これは、「ゴミや廃食油などが原料」だと説明された。
→ 航空燃料の脱炭素化: Open ブログ
廃棄物だけが原料ならば問題はないのだが、植物由来のバイオ燃料もまた、SAF(持続可能な航空燃料)であると見なされているようだ。このことは、Wikipedia を見ればわかる。
SAFとは、ジェット機で使用される高度な航空バイオ燃料種別の名称であり、持続可能なバイオマテリアル円卓会議 (RSB) などの信頼できる独立した第三者によって持続可能なものとして認定される。
SAFの持続可能性認証は、主にバイオマス原料に焦点を当てた燃料製品が、長期的な地球環境・社会・経済の「トリプルボトムライン」の持続可能性を考慮した基準を満たしていることを証明するものである。
SAFに適用可能な持続可能なバイオ燃料認証制度を最初に立ち上げたのは、欧州に拠点を置く学術的なNGOである持続可能なバイオマテリアル円卓会議 (RSB) であった。
航空会社は、提案されている航空用バイオ燃料は、その導入と市場性を確実にするために、現状と比較して持続可能なバイオ燃料の長期的な環境上の利点を独自に認証していることが重要であると考えている。
( → 持続可能な航空燃料 - Wikipedia )
この説明を見ると、廃棄物よりはバイオ燃料こそが SAF の主体である、とわかる。
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では、バイオ燃料は好ましいか?
コスト的には、最も有望である。前項でも示したとおり、合成燃料(廃棄物由来)よりも、バイオ燃料の方が低コストで液体燃料を作成できるのだ。一般に、(自治体が回収する)都市ゴミを除けば、たいていの産業廃棄物は、広範に分散しているので、輸送コストが莫大にかかる。それに比べれば、畑という一箇所で大量の植物を集めることのできるバイオ燃料の方が、総合コストは低く済むのだ。
その意味で、コスト的に最も有利なバイオ燃料が、脱炭素化のためには最も有望である……と見なされてきた。これに異を唱える人はいなかったようだ。(せいぜい「都市ゴミの方がバイオ燃料よりも有望ですよ」というふうに、横から口を挟む人がいただけだ。真っ向からバイオ燃料を否定したわけではない。)
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ここで本サイトが独自意見を出そう。
「バイオ燃料は、脱炭素化という目的のためには、適していない。バイオ燃料なんかはさっさとやめた方がいい。かわりに、畑に太陽電池を敷き詰めた方がいい」
これは、前出項目を引き継いでいる。
→ 太陽光発電は屋根より中山間地で: Open ブログ
→ 中山間地にあるメガソーラー: Open ブログ
ここでは、「中山間地にある農地を潰して、太陽光電池を敷き詰めよ」というふうに主張している。
それと同様のことが、世界一般において、SAF にも当てはまるのだ。
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では、どうしてそう言えるのか? コスト的にはバイオ燃料が優れているのに、どうしてバイオ燃料を否定するのか?
答えを言おう。「コスト的にはバイオ燃料が優れている」というのは、あくまで「液体燃料を使う」という前提にしたがった場合のことだ。その前提の上で、「合成燃料よりはバイオ燃料の方がコスト安だ」と言っているだけだ。(液体燃料を作るためには。)
だが、ここで、「液体燃料を使う」という前提をはずすことができる。その場合には、「充電池とモーターで飛行機を飛ばす」という別案が生じる。
このような飛行機を「電動航空機」という。その技術開発は、今まさに進んでいる。(次世代技術として)
→ 電動化による航空のイノベーション
→ オールジャパンで目指す航空機の電動化 | 経済産業省 METI Journal
→ 電動航空機 - Wikipedia
→ Wrightが大型機の動力源になる2メガワット電動旅客機用モーターの試験を開始
画像は下に二つ示す。
【職員紹介】
— JAXA新卒/既卒採用 (@jaxa_career) April 6, 2020
質問を多数頂いている、「航空宇宙工学以外の専攻でも働けるか?」について、今回は航空機電動化に向けて日々研究を行う電気系出身の若手職員を紹介します。#電動航空機 #電気屋 #JAXA #航空 pic.twitter.com/JVuCeiyPuu
Eviationの全電動ラグジュアリー航空機が初飛行へ #SmartNews https://t.co/q6GzbSdVwg
— ドローンワークス (@DroneWorksJapan) August 3, 2021
このような電動航空機が実用化されると、どうなるか? 発電された電気をそのまま使うことができる。とすれば、「液体燃料を使う」という制約は撤廃される。あえて「太陽光電力 → 液体燃料」というような変換を経ずに、発電された電力をそのまま使うことができるのだ。
するとそこでは、飛躍的な効率アップを実現できる。なぜなら、次の差があるからだ。
太陽光エネルギーの変換効率:
・ 植物は 0.3 % 程度
・ 人工光合成は 7% 程度
・ 太陽電池は 20% 程度( 50% も可能)
出典は下記にある。
→ ユーグレナのエネルギー効率: Open ブログ
→ 人工光合成が本命: Open ブログ
→ 人工光合成は可能か?: Open ブログ
バイオ燃料の場合には、太陽光エネルギーのうち、 0.3 % 程度しか利用できない。(植物による変換効率の限界)
人工光合成ならば、太陽光エネルギーのうち、 7% 程度を利用できる。
太陽電池ならば、太陽光エネルギーのうち、 20% 〜 50%を利用できる。
このように、利用できるエネルギーに、圧倒的な差があるのだ。
換言すれば、同じ土地面積を使った場合に、生産できるエネルギー量に圧倒的な差があるのだ。バイオ燃料を作った場合に比べて、太陽電池による電気エネルギーを作った場合には、生産できるエネルギー量が 100倍ぐらいになる。とすれば、脱炭素化の効果も、100倍ぐらいになるということだ。
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結論。
植物を植えて、その植物からバイオ燃料を作ることで、脱炭素化を進めよう……という方針が世界的にある。だが、その方針は、根源的に誤っている。
正しい方針は、植物を植える代わりに、太陽光パネルを敷き詰めて、電気エネルギーを生産することだ。そして、その電気エネルギーをそのまま使うことだ。
そのことで、生産できるエネルギー量を 100倍に増やすことができる。つまり、同じ土地面積があっても、脱炭素化の効果を 100倍に増やすことができる。
[ 付記 ]
この意味からしても、農地に作物を植えて農業生産をするよりは、農地に太陽光パネルを敷き詰めるだけの方が、効率的な生産活動になる、とわかる。
といっても、人間は電気を食べることはできないので、「人間用の食物を作るのをやめて、電気を作れ」とまでは言えない。それでも、産業活動用のエネルギー源としてなら、バイオ燃料を作るよりは、電気を作る方が効率的なのだ。

北海道で作った氷を首都圏に運んで冷房に使う、なんていうのも同様で。
実験としては楽しいかもしれませんが。
得られるエネルギーより、投入するエネルギーの方が大きい、というジョークネタの新版か。
過去の例 → http://openblog.seesaa.net/article/435851557.html
※ 効率うんぬんを言う前に、長い距離を通るうちに、温まります。
ちょっと調べたら、これは事実。大阪の水は、琵琶湖から淀川をゆっくり流れてくる水なので、下流では水温が高くなってくる。
東京の水は、もっと短い距離で山から下ってくる水なので、水温が低めだ。しかも、浄水場が下流でなく中流域にあることが多いので、その点でも水温が低めだ。