【 追記 】 記述を全面的に書き直しました。( 30日22時04分 )
──
【 注意書き 】
《 本項は、いったん執筆されたあとで、書き直されました。 》
トヨタの自動運転車が、五輪会場で走行している最中に、人身事故を起こした。
これは、本来ならば、(近距離の検知をする)ソナーによって避けられる事故だった。なのに、それが避けられなかったことで、「ソナーが働いていなかった」と疑われた。
そこで私が報道記事を調査したところ、「トヨタの自動運転車にはソナーが搭載されている」という記載がなかった。なので、「トヨタの自動運転車にはソナーが搭載されていない」と推定してから、元の記事を書いた。
ところが読者の指摘によって、その推定は誤りだと判明した。トヨタの自動運転車には、実はソナーが搭載されているそうだ。(少なくとも市販車はそうであるし、今回の実験車も多分そうだ。)
となると、ソナーがあるのに機能しなかったことの理由が、疑問となる。ソナーが機能していれば、この事故は避けられたはずだからだ。
というわけで、今回の事故には「謎」が生じたことになる。
この謎への答としては、次の三つが候補となる。
・ ソナーが機能しなかった。(欠陥?)
・ ソナーは機能したが、自動ブレーキが機能しなかった。
・ (ソナー or 自動ブレーキを)操作者が手動で OFF にした。
そのいずれであるかは、現時点では判明していない。細かな理由も判明していない。
……以上が、新たな結論となる。(よくわかっていません、という結論。)
《 以下では、元の記事を修正して記載していますが、参考としてお読みください。むしろ、読まなくてもいいです。 》
トヨタがオリンピック会場で自動運転車を実験的に走らせるということは、2年前に報道された。
eパレットは高精度の3次元マップ技術などを使って設定された経路上を自動で走る。車体には「ライダー(LiDAR)」と呼ばれるレーザー光のセンサーが複数取り付けられ、周囲360度の障害物を常時認識している。
eパレットは、自動運転の6段階のうち上から2番目の「レベル4」を実現しているという。
( → 横付けぴたり、自動運転EV「eパレット」に乗ってみた - 東京オリンピック:朝日新聞 2019年10月23日 )
これを読んだとき、私は「ホントかよ」と疑った。実現できるかどうかを疑ったのではない。実現すること自体は簡単だ。無謀ささえあれば、できるからだ。
問題は、トヨタみたいに自動運転技術の低い会社が、無謀にも実現させたら、単に危険行為をするだけなので、事故が起こるのではないか、ということだ。
そう懸念していたのだが、その懸念は、不幸にも的中してしまった。
「だったら2年前にそう書いておけばよかっただろ」
と読者は思うかもしれない。たしかに、そうだ。私としても、危険性を指摘する記事を書こうというつもりはあった。だが、
「さすがに天下のトヨタだし、いくら何でも危険だらけの未完成な技術で実施することはあるまい」
というふうに、トヨタを信頼する気持ちもあった。
「やたらと偽装していた三菱自動車や三菱電機じゃあるまいし、天下のトヨタは、いい加減なことはしないだろう」
という信頼する気持ちもあった。
しかしその信頼は裏切られたのである。以下ではトヨタの自動運転技術の問題点を考えよう。
──
まずは報道を見よう。
東京パラリンピック選手村で26日、柔道(視覚障害)男子81キロ級の北薗(きたぞの)新光選手(30)とトヨタ自動車が開発した自動運転車「eパレット」が接触する事故が起きた。
豊田社長によると、事故は選手村内のT字路をeパレットが右折した際に発生。横断歩道でいったん停止した後、オペレーターが手動操作で発進した直後に、歩行中の北薗選手と接触したとみられるという。
豊田社長は事故時の状況について「車内からは(歩行者が)死角だった」と説明。その上で、事故の要因については「パラリンピックの会場で、目が見えないことや耳が聞こえないことへの想像力を働かせられなかった」と述べた。
( → パラ選手と接触事故、車開発のトヨタ社長「申し訳ない」:朝日新聞 )
豊田社長によると、事故は車両がT字路を右折する際に起きた。曲がる前の直進は自動運転で走行し、横断歩道前でいったん停止。その後、乗車していたオペレーターのマニュアル操作で再スタートした瞬間に接触したという。「スピードにして(時速)1、2キロ。時間にして1、2秒の間に接触が起こった」と語った。
事故の原因はまだ不明だが、車両は電気自動車(EV)で、ガソリンエンジン車と異なり接近時の音が静かなため、接近を知らせる音量をこれまでの2倍にするなどの対策を講じるとしている。現在、車両は運行を停止している。
( → トヨタ社長が謝罪、自動運転車が選手村でパラ選手と接触事故 | ロイター )
同社広報担当の本間英章氏は、接触事故が発生した際にeパレットがオペレーターによる手動操作から自動運転に切り替わっていたかどうかはまだ分かっていないと話した。
( → トヨタ自動運転バスが接触事故、パラリンピック選手村でー社長が謝罪 - Bloomberg )
最初の記事では「死角だったこと」や「歩行者が障害者であったこと」が原因のひとつだとされている。
2番目の記事では、「音が静かだったこと」が原因のひとつだとされている。
最後の記事では、「手動運転か自動運転か」が原因の要素となるとされている。
だが、以上のすべては、まったく見当違いである。今回の事故が起こった理由は、自動運転技術が低かったからではないのだ。それよりもはるかに低レベルの「自動ブレーキ技術」がまともに作動しなかったことが問題なのだ。
──
自動ブレーキ技術とは何か? もちろん、自動的にブレーキをかける技術だ。誰でも知っているとおりだ。それは技術的にはごく容易であり、市販車の多くにも搭載されている。軽自動車にも搭載されていることが多い。
ところが、トヨタのeパレットでは、自動ブレーキがまともに作動しなかったのだ。自動「運転」技術はあったが、自動「ブレーキ」技術はないも同然だったのだ。(部分的には、だが。)……ここが問題の根源である。
※ なお、トヨタのeパレットの自動運転技術は、レクサスLS や トヨタミライの技術を応用したものである。
→ トヨタが新自動運転実験車 レクサスLSがベース - YouTube
──
なお、元記事では
「自動ブレーキが搭載されていなかった」
と私は書いたが、その根拠は下記だ。
カメラとミリ波レーダー、そしてLIDARという3種類のセンサーを使う
( → トヨタが異例のLIDAR4個、20年冬発売「レクサスLS」で | 日経クロステック(xTECH) )
ソナーを使っているならば、センサーは4種類になるが、トヨタのセンサーは「カメラ、ミリ波レーダー、LiDAR という3種類」だけである。4種類でなく 3種類である。だからソナーはそこには含まれていないのだ。……そう解釈した。
しかしトヨタの分類では、「カメラ、ミリ波レーダー、LiDAR という3種類」は「自動運転技術」に属するが、「ソナー」は「駐車支援技術」に属する、ということらしい。両者は別のグループに分けられるので、ソナーは自動運転技術には含まれないことになるらしい。
ひょっとしたら(いかにも馬鹿らしいことではあるが)、トヨタはソナーを駐車するときにしか作動させないつもりなのかもしれない。そこで、自動運転をしている最中には、「ソナーによる自動ブレーキ」という機能を解除しているのかもしれない。
「駐車支援機能なのだから、駐車場にいるときにしか使いません。公道の上を走行しているときには、ソナーは使いません。ソナーは自動運転技術でもないし、自動ブレーキ技術でもないからです」
というふうな。
これはもはや、ジョークかギャグのたぐいだが、案外、トヨタのことだから、真面目な顔をして、ジョークやギャグを実車に取り込んでしまうのかもしれない。……かくて、「自動運転中には、駐車機能であるソナーを自動的に OFF にします。人が近づいても、自動ブレーキをかけません」というふうにしたせいで、今回の事故は起こったのである。
……というのは、もちろん冗談です。 (^^);
──
ともあれ、自動運転車には、(トヨタの見解とは違って)自動運転にはソナーが必要である。次のような箇所があるからだ。
「斜め方向の近距離」
ここは、 LiDAR や カメラの死角位置にあたる。だからこそ、ソナーが必要なのだ。前方や側方ならば、LiDAR や カメラが検知できる。また、斜め方向でも、距離が離れていれば、LiDAR や カメラが検知できる。しかし、斜め方向で近距離になると、死角ができる。だから、この死角を埋めるためには、ソナーが必要なのだ。
そして、そこに人が近づいたなら、自動的にブレーキをかける必要があるのだ。
──
ちなみに、トヨタ以外の他社でも、ソナーをちゃんと付けている。
(1) ホンダ・レジェンド
多数のセンサー(5つのレーダーと5つのライダーセンサー、2つのカメラ、12のソナー)
( → ASCII.jp:自動運転レベル3を実現したホンダ「レジェンド」 の技術とできること )
ホンダ・レジェンドの「自動運転レベル3」は、高速道路の渋滞時に限られる。(高速運転は除外されて、時速 30km以下の低速時に限定される。)……そういう状況であれば、自動運転にはソナーは必須だろう。
(2) スカイライン
下記の図には、斜め方向のコーナーソナーを含む、6方向のソナーがある。
→ 日産:スカイライン| カメラ補助ソナー機能について
(3) 日産 デイズ
日産 デイズは、スカイラインと同様に、6方向のソナーがある。
→ 日産:デイズ | ソナー機能について
(4) 三菱 eKワゴン
三菱 eKワゴンは、日産 デイズの姉妹車だが、独自に8方向のソナーがある。
障害物を検知して音で教えてくれるソナーが前後で計8つも搭載されていて駐車をアシストしてくれる
( → 踏み間違いも防げる安心アシスト!ここまで進化したイマドキの軽「三菱 eKワゴン」 | レスポンス(Response.jp) )
[ 付記 ]
なお、今回の事故が起こったことには、別の理由も考えられる。それは、次のことだ。
「 LiDAR やミリ波レーダーは、もともと反射波を検出するので、反射の弱い物体を検出しにくい」
具体的には、こうだ。
・ LiDAR は、近赤外線を使うので、黒いものを検出しにくい。
・ ミリ波レーダーは、ミリ波を使うので、衣服や人体を検出しにくい。
要するに、LiDAR や ミリ波レーダーは、人体を検出する能力がもともと低いのだ。だから、歩行者との衝突事故は、もともと起こりやすいのだ。
これを避けるには、反射波を検出するのとは別の原理の検出器である「ステレオ・カメラ」を使うのが最善だろう。
ステレオ・カメラは、LiDAR に比べると、遠距離の検出の精度がやや劣るので、( 100km/h を大幅に超えるような)高速走行には難がある。だが、それ以外の場面では、大きな利点があるのだ。特に、人体との衝突の回避という点で。
ところが、トヨタの自動運転車には、ステレオ・カメラが搭載されていない。ソナーがないだけでなく、ステレオ・カメラもない。とすれば、もともと人体との衝突回避能力は低かった、と言っていいだろう。
今回は、「近距離での斜め方向の衝突」という事故があったが、それとは別の形で、「黒い衣服を着た人体との衝突」という事故は、いつか容易に起こるかもしれない。
※ この件は前にも論じた。
「黒い物体については、 LiDAR では測定できないが、ステレオカメラならば測定できる」
( → 日系各社の自動運転技術: Open ブログ )
なお、トヨタの LiDAR は、バンパー付近の低い位置にあるので、検出対象も低い位置のものだけになりがちだ。特に、近距離ではそうだ。とすれば、たとえ上半身は白い衣服を着ていても、下半身が黒いズボンだと、対象は黒ゆえに検知されなくなる。
今回の事故も、それが理由であった可能性がある。つまり、「被害者は黒いズボンをはいていたせいで、機械の検出漏れが起こって、そのせいで事故が発生した」というふうに。
これは、歩行者が黒いズボンをはいていたのが悪いのではなく、黒いズボンを検出できないトヨタの技術が未熟だからだ。この意味でも、トヨタの技術は低レベルだと言える。
( ※ しかも、どこが低レベルであるか、自分で気づいていないありさまだ。)
( ※ 「死角だったのが原因だ」と言い張るのに至っては、呆れるばかりだ。死角があるのなら死角を解消する必要があるのに、死角を放置していたのだとしたら、言語道断だとも言える。)

> 出典は下記だ。(後略)
⇒ これは、高速道路走行時などの運転支援(自動運転)時には、近接用の超音波ソナーは使用しないということではないんですか? 駐車時の運転支援用でしたら、レクサスLSもミライも、ソナーは前後左右に複数ついています。グレードやオプションの違いによって、ICS(インテリジェントクリアランスソナー)やIPA(インテリジェントパーキングアシスト)といった装備の有無があれば、ソナーの位置や数は変わってくると思いますが。
また、他社との比較として、ホンダレジェンド、日産スカイライン、日産デイズ、および三菱eKワゴンをあげられていますが、このうちスカイラインとデイズとeKワゴンについては、それらの超音波ソナーはトヨタと同じく駐車支援用に用いているだけでは?
自動運転レベル3のホンダレジェンドだけは、ソナー数が12個もあるので、高速道路などでの運転支援時にも使われているのかもしれませんが。ただし、引用の ASCII.jp の記事やメーカーサイトなどをみてもよくわかりません。
調べてみたら、レクサスLS にもソナーはあった。(前に調べたときは見つからなかったが、調べ直したら見つかった。)
ただし、ブザーを鳴らすだけであって、自動ブレーキは働かない。
この点に留意して、今晩、記載を書き直します。
なので、駐車場とかでの踏み間違いでは止まるのですが、加速してしまってからだと限度がある。元特捜部長さんの事故は、そういう起こり方をしていたようです。
ご指摘ありがとうございました。
⇒ 働きます!!
トヨタブランドの中で最も下のクラスはパッソ(開発はダイハツ)だと思いますが、それでもソナーと連動した急発進抑制はついています。ブザーを鳴らすだけなんてのは、今は後付けのディーラーオプションでしか存在しないと思います。また、パッソが駐車時の急発進抑制だけで自動ブレーキが付いていないのは、直近のフルモデルチェンジ時期が古いためです。最近の新型車でしたら、全車標準装備か、少なくともメーカーオプションで低いグレードでも付けられるはずです。
※ 下のレクサスLSの「安全装備」のページから、駐車場⇒パーキングサポートブレーキをクリックして、パーキングサポートブレーキ (静止物)[PKSB]を参照してください。
https://lexus.jp/models/ls/features/safety/
報道されている内容からすると、前後をカメラ、側方含む360度をLiDARで監視するシステムのようです。
最高速が20キロですので、この構成で問題ないと判断したのかと思います。
今回の事故はLiDARの死角の極至近距離に被害者の方が入ったため接触に至ったのだと推察します。
ちなみに、自動運転システムそのものの設計はティアフォーという、最近規模を拡大しているベンチャー企業です。
トヨタのレクサスやミライなどの運転支援システムはソナーセンサーも勿論使用してます。でないと幅広い距離、速度に対応できませんから。
センサーらしいものが見当たります。左車輪の前に、小さな ◯ があります。
https://global.toyota/pages/news/images/2019/10/09/1330/001.jpg
https://bityl.co/8Xkg
しかし側方はやはり死角になっているようです。
特にレベル4ならば。
左折時に真横に自転車や歩行者がいたらどうするのですか?
https://bityl.co/8XoK