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欧州の死刑廃止の論調を見ると、その底に「人道主義」が感じられる。それも、かなりいびつな「人道主義」だ。
そこで、これを根源だと見なして、似たものを捜すと、たしかに似た例が見つかる。
(1) 麻薬
欧州は、日本のテロリストを死刑にしたことについて大騒ぎしているが、もっと重大な事件については等閑視している。それは、メキシコの政治家の大量殺害だ。麻薬マフィアが、自分の意に沿わない政治家を大量に殺害している。
《 政界の145人が殺害された理由 メキシコ、根深い汚職 》
国内で昨年の殺人件数は2万5339件。過去最悪を記録した。警察自身が事件に関与している場合があり、捜査されなかったり、容疑者が逮捕されてもすぐに釈放されたりすることも問題化している。
政治と犯罪組織の関わりも根が深い。大統領選と同時に実施した州知事選や議員選などでは、昨年9月から投票日までに候補者48人を含む政界関係者145人が殺害された。
何のつてもない若者は、簡単に稼げる麻薬密売に手を染める。犯罪組織は勢力争いで治安を悪化させる。そして政治家が犯罪組織を利用する。こんな構造ができあがっている。
政治家の汚職も深刻で、現職のペニャニエト大統領の「制度的革命党」を中心に、既存政党の州知事経験者ら14人が公金横領などの罪で訴追された。大統領自身も妻が所有する豪邸を巡り、汚職疑惑が発覚した。
( → 朝日新聞 2018年7月3日 )
ここでは単に「犯罪組織」と記されているが、これは麻薬マフィアのことだ。そのひどさは、前にも別項で論じた。そこに次のリンクがある。
→ メキシコ女性市長 麻薬マフィアに娘の目の前でさらわれ暗殺される
こういうふうに麻薬マフィアが跋扈(ばっこ)して、政治家や国民を大量殺害しているという事実がある。
ならば、こういうところを問題視すればいいのだが、欧州は相も変わらず、年平均で5人ぐらいしかない 日本の死刑執行ばかりを問題にしている。
これでは釣り合いが取れない。判断基準がきわめてアンバランスというしかない。非合理の極み。
(2) 難民
難民についても同様だ。「かわいそうだから難民を受け入れる。一方、難民を受け入れない日本は非人道的だ」と欧州は日本を非難する。
しかし難民を受け入れるといっても、せいぜい 200万人かそこらだ。一方で、世界の難民は数千万人にも及ぶ。しかも、急増中だ。
→ 世界の難民、6千万人に迫る (2015.06.19)
→ 世界の難民・避難民 「17年、7千万人規模に急増」 (2018/1/28)
これほど莫大な難民がいるのに、そううち 200万人ぐらいを受け入れたからといって、焼け石に水であるにすぎない。他の大部分はほったらかしなのだ。
なのに、「 200万人ぐらいを受け入れた自分たちは人道的だ。そうではない日本人は非人道的だ」と日本を非難するのが、欧州人だ。呆れる。
そもそも、中東で大量の難民が発生しているのは、欧米のせいだ。
第1に、過去の植民地支配。
第2に、米国のイスラエル支持(アラブ敵視)政策。パレスチナ占領の支持など。
こういうふうに、欧米に全面的に責任があるのに、それを自分たちで尻ぬぐいもせず、よその地域の日本に責任を求めるのは、とんだお門違いだ。
では、日本はどうしたか? 大戦後、戦時賠償をしたり、援助をしたり、技術指導をしたりして、アジア諸国の経済発展に尽くしてきた。だからこれらの国では、経済成長が起こって、大量の難民発生は生じなかった。
( ※ 一部に例外はあるが、それは、日本のせいというより、戦後になって生じた独自の政治事情のせいだ。)
だから、欧州が何かをしたいのであれば、日本に学べばいいのだ。つまり、中東に平和をもたらして、中東の経済発展に尽くせばいいのだ。
なのに現実にやったのは、イスラエル支持とアラブ敵視の政策ばかり。あと、おまけで、少数の移民受け入れ。
でもって、「おれたちは中東の移民受け入れをしているが、日本は何もしない。日本は身勝手だ」と批判する。
呆れるしかない。盗人猛々しい、とすら言える。(過去に植民地からさんざん簒奪(さんだつ)した歴史を忘れてしまっている。)
(3) 人質
似た例だが、米国における「人質救出策の重視」という世論もある。
米国兵が敵国の人質になったら、何が何でも救出しようとする。そのためには、人質の人数以上の犠牲が生じてもいい、と考える。たとえば、5人の人質を救うための軍事作戦で、6人以上が死んでも、「それは名誉の戦死だから構わない」と考える。
頭がおかしいとしか思えない。
( ※ ま、誰もがそうだというわけではないのだが、米国内でもごりごりのタカ派だと、そう考える人が多いようだ。こういう人々が政権内部に多いので、たとえ実行に至らないまでも、事前にはいろいろと報道されることが多い。)
これが日本だと、そんなことを考える人はいない。むしろ「人質は死んでも仕方ない」と思う人が多い。それがまあ、合理的な判断だろう。
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ともあれ、やたらと奇妙な「人道主義」にとらわれるのは、欧米の人ばかりだ、ということがわかる。
そして、こういうところから、欧州の死刑廃止の論調(日本批判)も生じるのだろう。

「『殺人である中絶』を行う医師は殺してしまえ!」とか
テロリストは逮捕・裁判を減ること無くその場で射殺とか
無辜の市民十数万人を原爆で殺害しても、戦争終結のためやむを得ない犠牲だとか
人道を通り越して
イルカ・クジラを殺す人間は殺してしまえとか、
「主義」というよりも「激しい好き嫌い」ですね。
難民援助と称してテロリストに資金を与えて武器を購入させるとか、わけわかめ。