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奄美空港で格安航空会社を利用しようとした障害者が搭乗拒否にあった……という報道がある。
鹿児島県奄美市の奄美空港で今月5日、格安航空会社(LCC)バニラ・エア(本社・成田空港)の関西空港行きの便を利用した半身不随で車いすの男性が、階段式のタラップを腕の力で自力で上らされる事態になっていたことがわかった。バニラ・エアは「不快にさせた」と謝罪。車いすでも搭乗できるように設備を整える。
( → 車いす客に自力でタラップ上がらせる バニラ・エア謝罪:朝日新聞 )
これに対して、「この障害者は、前にも因縁をつけていた、常習的なクレーマーだ」という批判が上がった。
→ 合法的なバリアフリーの当たり屋に遭遇した件で謝罪 : 市況かぶ
また、「事前連絡で対応するといったバニラエアは悪くない」と擁護する意見も出た。
→ 車椅子搭乗拒否の件について気になったこと: 不倒城
これを受けて、「バニラエアは悪くないのに、煽動的に報道する朝日が悪い」と旭批判をする人も多く出た。
→ はてなブックマーク - 車椅子搭乗拒否の件について気になったこと
しかし、以上のほとんどは、朝日の記事を読んでいないことから来る誤解である。
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まず、朝日の記事(有料版)を最後まで読めばわかるように、正しい解決策はすでに取られた。それは「アシストストレッチャーと階段昇降機の設置」である。
奄美空港だけ車いすを持ち上げる施設や階段昇降機がなく、車いすを担いだり、おんぶしたりして上り下りするのは危険なので同社の規則で認めていなかったという。
バニラ・エアは奄美空港でアシストストレッチャー(座った状態で運ぶ担架)を14日から使用、階段昇降機も29日から導入する。
( → 車いす客に自力でタラップ上がらせる:朝日新聞 )
「(アシストストレッチャーと)階段昇降機の設置」が正しい解決策であり、その正しい解決策はすでに取られた。29日(本日)から実現している。
したがって、「事前対応するといったバニラエアは悪くない」という批判は、まったく見当違いである。次の二点で。
・ 正解は、事前連絡で対応することではなく、階段昇降機である。
・ 「事前連絡しない」という障害者の方針は悪くない。
だいたい、階段昇降機があれば済むのだから、「事前連絡しない」という障害者の方針は、何も悪くない。ごく当たり前のことを要求しているだけだ。これをもって障害者を批判することは、お門違いだ。
また、「コストアップになる」という批判もおかしい。階段昇降機のコストなんて、たいしたことはないからだ。航空機本体の 1000分の1ぐらいだろう。また、複数機体で共用できるから、分担できる。
正しい結論は「階段昇降機の設置」なのに、それを読みもしないで、「階段昇降機を設置しないで事前連絡で対応するべきだった」という批判は、まったくの見当違いである。つまり、批判は見当違いだらけだ。
それがいかに見当違いであるかは、現状では問題が解決済みであることからもわかる。
※ (アシストストレッチャーと)自動昇降機は、すでに設置されており、問題は解消したからだ。
[ 付記 ]
誤解・誤読が生じていることは、以下のことでわかる。
たとえば、上の批判(不倒城)では、次の記述が結論とされている。
奄美空港の施設不備に対してバニラエアが適切な対応をとってこなかったというのは事実でしょうし、そこは批判されて然るべきなんですけどね。
( → 車椅子搭乗拒否の件について気になったこと: 不倒城 )
これに賛意を示す人が多いが、まったくの誤解(誤読)である。
「奄美空港の施設不備に対してバニラエアが適切な対応をとってこなかった」
というのは事実ではない。なぜなら、
「奄美空港の施設不備」
というものは存在しないからだ。
施設不備(階段昇降機が設置されていないこと)は、奄美空港の責任ではなく、バニラエアの責任である。
今回も、「バニラ・エアは……設備を整える」と記してあるように、バニラエアが設備を整備しているのだ。再掲しよう。
奄美空港だけ車いすを持ち上げる施設や階段昇降機がなく、……
バニラ・エアは奄美空港でアシストストレッチャー(座った状態で運ぶ担架)を14日から使用、階段昇降機も29日から導入する。
( → 車いす客に自力でタラップ上がらせる:朝日新聞 )
つまり、「アシストストレッチャー」「階段昇降機」の二点を、バニラエアが整備する。空港が整備するのではない。
そして、これは、当然だ。なぜなら、これらの設備は、航空機の機体ごとにサイズが異なるから、航空会社がそれぞれ自前で設置するべきものだからだ。
( ※ ググればわかるように、JAL などの各航空機会社が、階段昇降機の整備を示している。 → 検索 )
空港が整備するべきものは、すべての航空機に共通する設備だけだ。個別の航空機ごとに異なる設備は、それぞれの航空機の持主である航空会社が整備する。
比喩的に言えば、道路は国や自治体が整備するが、それぞれの自動車ごとに異なるもの(車庫とか車椅子乗降装置とか)は、自動車の持主が整備する。それと同様だ。
上記の批判者は、
「奄美空港だけ車いすを持ち上げる施設や階段昇降機がなく」
という文章を読んで、誤読したのだろう。
正しくは、
「奄美空港だけで、バニラエアが整備していない」
なのだが、日本語では主語や助詞が明示されないことがあるので、
「奄美空港だけが整備していない」
と勘違いしたわけだ。「が」と「で」の勘違い。
( ※ きちんと整備していないのはバニラエアなのだが、「空港が整備していないのだから、空港が悪い。担当外であるバニラエアは悪くない」というふうに、勘違いした。)
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かくて、誤読・誤解によって、壮大な大騒ぎが起こった。「アシストストレッチャー」「階段昇降機」の設置によって問題は解決済みだ……という報道を読みもしないで、「事前連絡を拒否した障害者が悪い」というふうに話を転じて、バッシングが起こった。
毎度毎度、記事をちゃんと読みもしないで、批判が生じる。新聞を購読しない人が多いせいか、「読みもしないで批判する」というバカ騒ぎが、何度も起こる。
(ネット)リテラシーの問題かもね。
【 追記 】
乙武さんのコメントがあった。興味深い内容があったので、引用しよう。
木島さんが事前連絡をしていた場合、どうなっていたのか。バニラ・エアは適切な対応を取り、木島さんは滞りなく搭乗することができていたのだろうか。答えは、NOである。毎日新聞の取材に、バニラ・エアは「関空−奄美線では、自力で歩けない車椅子のお客さまから事前に連絡があった際には搭乗をお断りしていた」と回答している。何のことはない。事前連絡をしたところで、結局は乗れないのだ。
事前連絡をすることでスムーズに搭乗できるという前提なら、「木島さんは事前連絡すべきだった」との批判も理解できる。しかし、事前連絡をしたところで「お断り」ならば、するだけムダというものだろう。
( → バニラ・エアが燃えている。しかし、木島さんも燃えている ? )
というわけで、「事前連絡するべきだった」という批判は、てんで見当違いだったわけだ。
※ 参考:毎日新聞
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より直接的には、直接、本人による体験記がある。
事前連絡したら、まず乗れなかったのですよー。設備がないことを理由に全て断っていたんです。
新聞記者の取材でも明らかになっています。実際に何人か断られた方も知っています。
そもそも飛行機に乗るのに、大きな手伝いは必要なく、私は事前連絡せずに乗っても問題ないと考えています。
事前連絡をすると、ていよく断る、たらい回しになるといった経験は当事者なら多いと思います。
また、階段を腕ではって上るのは、屈辱的だとは全く思いません。上らされたのではなく勝手に上ったのです。
航空会社へのあてつけでも、パフォーマンスでもなく、私ができる階段を昇降する手段です。
( → 歩けない人は乗せれません )
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一方、飛行機会社の側としては、「事前連絡の必要あり」とのことだ。車椅子の人については、事前の座席指定や準備などが必要だからだ。詳しくは下記。
→ 車いすで飛行機に乗る時は | いすみ鉄道 社長ブログ
※ ただしこれが整理するのは、「事前連絡すれば乗せる」場合。
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ちょっと訂正する。
「階段昇降機」は、エスカレーターのことではなくて、「椅子運搬装置」であるらしい。つまり、一般人も使えるものではなく、身障者専用である。具体的な画像は、下記。
→ ANA の階段昇降機 、画像
この画像で見ると、(電動でなく)手動で上下させているようだ。となると、あまり費用はかからないだろう。
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その後、障害者差別を禁じる法律を守らなかったバニラが悪い、という趣旨の報道が出た。これに世論は収束しつつあるようだ。
→ http://j.mp/2tuNVKD (記事)
→ http://j.mp/2u3sI7x (はてブ)
【 関連サイト 】
動画ニュース。
【 関連項目 】
前にも似た騒動があった。
→ サイト内 検索

整備していないのはバニラエアだけで、そこは批判されて然るべきかもしれませんが、悪意にとれば、その条件を狙って講演のネタ作りを目論んだ、とも受け止められます。
別に問題ないでしょう。世の中の問題点を指摘するのは、けっこうなことです。
高木浩光さんがやっているのと、同じようなことです。批判があるから、世の中の問題点が改善される。ここで、「高木浩光さんが税金で給料をもらっているのはけしからん.講演会で金をもらうのもけしからん」なんて言い出すと、世の中のバグが放置されてしまう。
だけど、そもそもそういうことはどっちでもいいことだ。こういうのは「ゲスの勘ぐり」と呼ばれるので、紳士は(思っても)口に出さない方がいいです。
目的を円滑に達成するために事前に問題点を想定して予め対策を講じておくのは極当然のことです。乙武氏がかつて炎上させた、レストラン予約の話と同根のものを感じるわけです。
旅行をつつがなく楽しむならば起り得る事態をある程度考えておくべきで、バニラエアも”事前にお知らせ下さい”としていました。それを意図的に無視し、想定し得たのにあえて目を逸らした結果が本件ではないかと。起こるべくして起こったというか、確信して引き起こした騒動と捉えています。
この部分に、旅行を楽しむより、バニラエアと事を構えることを優先しているように感じます。世の中の問題点を指摘するのは、結構なことです。しかしながらその手段として故意に騒動を起こして喧伝するやり方は支持できません。
解決ならば、すでに済んでいます。29日には階段昇降機が導入と決まっています。
記事になったのは 28日。この時点で記事にしても、すでに導入は決まっているので、記事は「導入のために騒動を起こした」という趣旨にはなっていません。
騒動が起こったのは、関係者が騒動を起こしたのではなくて、他の人々が勝手に勘違いをしたからです。
→ https://anond.hatelabo.jp/20170629141750
人々は、自分の愚かさ(勘違い)が招いた結果を、朝日と障害者へと、責任転嫁しているだけです。
特に、障害者の人は、何も騒動を起こしていません。普通の仕方で搭乗しただけです。騒いだのは、ネットの人々だけ。それも、誤読による結果。詳細は上記リンク。
ちょっとこのあたりは既定だったのか、或いは泥縄的対応なのか精査が必要かも。勿論、導入のために騒動を起こしたとは捉えていません。別の意味で...
《 奄美大島 − 大阪 》
バニラ・エア 1 時間 25 分 ¥10,480〜
日本航空 1 時間 30 分 ¥43,100〜
4倍も差があるんですね。バニラにしたがるわけだ。
なお、うまく日を選ぶと、7000円以下でも行ける。ただし、高い日もある。日による格差が大きい。ホテルみたいだ。
http://j.mp/2tnZylY
2017年にバニラ・エアのタラップを這い上がった車いす客、15年前にもANAに対して行った同様の行為を目撃されていた可能性
https://togetter.com/li/1124519
それはあるけど、高コスト。階段昇降機の方がずっと安価。コストは 10分の1以下かな。
ただし LCCのピーチ は、リフトを用意している。
→ http://mainichi.jp/articles/20170628/k00/00e/040/292000c
→ http://kurumaisyu.exblog.jp/17573244/ (実物画像あり)
> 必要な設備が無い場合は安全のために搭乗拒否も仕方無いと思います。
実際にそうしています。「事前連絡を受けて、その時点でお断りする」という方針。つまり、障害者は拒否する、という差別。
その差別と戦って、差別を是正させたのが、今回の事件。
下記に新しい報道があります。今回の結論ふう。
→ http://j.mp/2tuNVKD (記事)
→ http://j.mp/2u3sI7x (はてブ)
記事から一部抜粋。
「そもそもバニラ・エアが、障害者差別解消法に定められた合理的配慮をしていなかったこと。これが最大の問題です。声をあげた当事者に向かってバッシングがいくのはおかしい」
もともと違法行為があった、という点が肝要。
不衛生だからダメと入浴を断られた話も出ていますね。
どこまで自己責任でどこまでが社会許容なのか。
個室付き浴場ならみんな,
這って
入るのに。
単に搭乗を拒否するのではなく、そういった何らかの配慮をする意志をホームページで明示しておけばここまでバニラ・エアが非難されることもなかったのでは。
設備に不備があってそれが法令違反であったとしても、間に合わないその時点では、双方に現実的な対応が必要です。
差額は1回3万円以上になるので、そんな補填をしたら大赤字です。階段昇降機の方がはるかに安上がり。
赤字ですよ。ただこの時点で階段昇降機は間に合わなかったわけです。
今回に限り、金銭的解決をしておけば、本件によるバニラ・エアの大幅なイメージ毀損は免れただろう、ということです。次回以降は会社が判断すればいいことです。
私はやはり、事前連絡すべきだと思いますし、批判するなら「事前連絡したら断られた。どういうことか?」という形が望ましいと思います。
いすみの社長が書かれている通り、緊急時の不都合も絶対にあるわけです。だから、配慮は必須。(差別と配慮との峻別は必要かとは思いますが)
事前連絡無しに車椅子の団体100名がいきなり来たら、対応できなくて当たり前。
事前にそいういう予約が入ったら、ボーディングブリッジ対応に変更するとか、事前搭乗を早めるとか、発着インターバルを大きく取るとか、企業努力は可能なはずです。
バニラに全く非がないとは思いませんし、実際にすぐ対策を取れたんだから「やっとけよ」とも思います。
それでも、「事前連絡は不要と考えている」なんていう言い草は褒められたものではありません。
わざわざ軋轢を生むような手段を敢えて取る事はないだろうに……と強く思います。
http://www.mbc.co.jp/news/mbc_news.php?ibocd=2017062900023741
参考リンク
→ https://abematimes.com/posts/2597649
> 渦中の木島英登氏が激白「騒動になったのは想定外。僕は終わった話だと思っている」
介護者が見たバニラエア問題
http://ncode.syosetu.com/n2821ec/
>結論を先に言うとバニラエアは完全に悪者じゃない。一生懸命対応しようとしていたが、詰めが甘かった。
>障害者の円滑な移動に関してバリアフリー新法という法律が施行されている。...
>ただし、いきなりエレベーターを増設したり段差を解消するわけにもいかないので、平成32年ごろまで猶予期間がある。
>バニラエアはHPで事前搭乗の申請を募ったり、空港に工事準備をしたり、ゆっくりとではあるが努力していた。
>今回はタイミングが悪かったというしかない。
>利用する側も移行期間であることを考慮して、事前連絡などの協力はしなければならない。
>それで男性は車椅子を降りて自力で登ったというが、これはどう考えたらいいのだろう。
>結論から言うと、パフォーマンスだ。
バニラエアを悪者だと非難していたのは、ごく一部の人だけなので、そこは論点じゃない。第1、障害者本人が、バニラエアを批判していない。「もう解決した」と言っている。
今回の問題は、「この障害者を大々的に非難することが正しいかどうか」です。
私は「障害者を非難するべきではない」という立場。解決済みなんだし、他人が文句を言う必要はない。
バニラエアがどうするべきかということは、もう解決済みのことなので、論点じゃない。
>結論から言うと、パフォーマンスだ。
それは本人が否定していますよ。他人から見たら奇妙に見えるだろうが、本人にとっては単に健常者が歩くのと同じぐらいの手間だそうです。筋力もあるので、困っているわけでもない。本人が不自由していないんだから、他人がとやかく言うことはない。それは障害者差別ですよ。
「あの障害者は、いかにも大変そうに歩いているが、それは障害者のパフォーマンスだ!」
と非難するなんて、あまりにも心なきわざです。
だいたい、当事者間では解決済みの問題を、第三者がとらえて、あれこれ批判するべきじゃない。
朝日の記事がちょっと扇情的だったので、それに踊らされた人が多すぎるようだ。
一言でいえば、今回の騒動は「空騒ぎ」である。どういう形で騒ぐにせよ、騒ぐこと自体が間違っている。「騒ぐな」という論説だけが正しい。
https://abematimes.com/posts/2597649
の中で、
> "プロ障害者"と言われても良いかなとは思う
と自認されているわけだからそれなりの意図があったのは確かなんでしょう。ある意味騒ぎは避け得なかったかも。
(日本では特にひどい)劣悪な障害者インフラが改善されていくことの報道は大切です。欧米では当たり前のことが、日本ではこんなバカ騒ぎになる、という報道でもいい。
ただし、すでに解決済みの問題について「クレーマーだ」などと非難するのは、見当違いだし、人権問題でもある。
朝日が最初の時点で、冷静に報道すれば良かったのかもね。朝日はやたらとセンセーショナルに報道するから、火のないところに煙が立つ。朝日の報道姿勢は問題だな。
なお、プロ云々は、下記で。
https://anond.hatelabo.jp/20170630225814
これが例えば加齢や一時的な怪我で自力歩行が困難となった高齢者、或いは負傷者が当事者だったらここまでの騒ぎにならなかったでしょう。朝日も取り上げなかったかも。
障害者のケースがことさら注目され、同じく自力歩行が困難な高齢者、負傷者のケースが軽視されるというのも公平性が保たれていないなぁ、というのが素直な印象です。