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東芝が家庭用燃料電池から撤退した。
東芝は14日、7月末で家庭用燃料電池システム「エネファーム」の製造・販売から撤退すると発表した。エネルギー部門子会社の東芝燃料電池システム(横浜市)で手がけているが採算が悪化している。経営再建に向けてグループで事業の選択と集中を進めるなか、将来的な収益回復も見込みにくいと判断した。
東芝はガス会社向けに2009年に発売し累計で約8万台を売る。14年度にシェア首位となったが15〜16年度は営業赤字となり、パナソニックなどにおされて苦戦していた。
( → 東芝、家庭向け燃料電池から撤退 :日本経済新聞 )
パナソニックは撤退しないということだ。では、東芝だけが駄目で、市場を独占するパナソニックは好調か? いや、こちらも好調ではない。
今後もさらなる白金使用量の削減など、コスト低減につながる技術開発や機能の拡充を進めていく方針を示した。
その背景にあるのが、エネファームの普及状況だ。家庭や商業施設の省エネに貢献する製品として、政府は家庭用燃料電池を2020年に140万台、2030年には530万台を普及させる計画を掲げている。政府はこれに向け補助金制度を拡充するなど、エネファームの普及を促してきたが、2016年3月時点で国内累計販売台数は約16万台にとどまっている状況にある。
( → パナソニックの水素戦略、カギは2つの燃料電池 (1/2) - スマートジャパン )
2020年に140万台と計画したのに、2016年3月時点で国内累計販売台数は約16万台。累計でこれだけだから、年間の販売台数がいかに少ないかがわかる。計画には遠く及ばない。燃料電池は、開発も販売も、予想を大幅に下回っていると言えるだろう。
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では、家庭用燃料電池でなく、自動車用燃料電池はどうか? 実は、これも同様だと考えていいだろう。というのは、
・ 自動車用 …… 最先端・高級品
・ 家庭用 …… 二番煎じ・普及品
という関係にあるからだ。前者の技術が、数年後に大量生産でコストダウンして、後者の技術になる、という関係だ。
で、前者の開発が遅れているから、後者の開発も遅れている、ということなのだろう。つまり、後者の開発が遅れていることは、前者の開発が遅れていることを意味する。
要するに、自動車用の燃料電池は、政府がいくら音頭を取っても、技術的に停滞しているわけだ。いや、停滞というほどひどくはないが、「急激に開発が進む」という思惑は、まったくはずれたわけだ。
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実は、このようなことは、私が十年ぐらい前から、ずっと述べていた。「燃料電池の開発はなかなか進まないので、実現は程遠い」というふうに。
→ 燃料電池の死 - サイト内 検索
→ 燃料電池 - サイト内 検索
→ 全項目 一覧:「燃料電池」(新しい順)
そして、この先もずっと開発はのんびりとしたものになるだろう。そのことは、10カ月ほど前にも述べた。
→ 燃料電池車の将来は暗い
こういうふうに、「燃料電池の開発の遅れ」は、これまで何度も述べてきたことだし、特に新味はない。
とはいえ、今回の東芝の撤退は、状況が思ったよりもかなりひどい状況であることを、示唆していると言えるだろう。
[ 付記1 ]
何度も言ったことを、どうしてまた書くのか……と思う人もいそうだ。そのわけは、こうだ。
「燃料電池の開発の遅れ」を指摘しているのは、私など、少数の人だけだ。政府やトヨタなどは、燃料電池の開発をめざしているし、そこに熱中している。安倍首相も「東京五輪で燃料電池車」なんていうアピールをするほどだ。
燃料電池車というのは、誤った方針(路線)なのに、その道を進もうとするのが、現代の主流派だ。そこで、私が「人々は間違っている」と指摘するわけだ。
※ 日本のトヨタ・ホンダは燃料電池車に邁進しているが、欧州や米国の会社は、電気自動車に邁進するようだ。こちらの方が正解だ。(なお、日産自動車も、電気自動車重視。)
[ 付記2 ]
家庭用燃料電池は効率がいい、と言われるが、その理由は、(水素と酸素の発電で)発生した水を、高温の湯として、熱利用できるからだ。特に、風呂水や料理の給湯。
とはいえ、これだと、大量の湯が余ってしまうことも多い。そうなると、名目上は「お湯ができたので無駄がない」と見えても、「できたお湯の使い道がない」という形で、無駄が生じやすい。特に、家族の人数が少ないと、そうなる。
家庭用燃料電池は効率がいい、という話は、話半分で聞いた方がいいだろう。
【 関連サイト 】

お湯が沸くと発電しなくなる機種があり、電力の6割をまかなえると思って設置したが、実際には3割にしかならなかったと嘆く声がある。逆に、太陽光発電やエコ家電と併用すると、発電量が少ないので、ほどんどお湯を沸かさないと嘆く声もある。さらに、低周波公害で隣人トラブルを引き起こし、裁判に負けて、慰謝料を取られたうえに、撤去を命じられるという踏んだり蹴ったりの憂き目に遭う人もいる。
そのような機械が売れると思う方がどうかしている。
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_0719.html
http://b.hatena.ne.jp/entry/www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_0719.html
裸の王様も、いつまでも続くことはないのかも。
2006年ごろから、私がずっと指摘していたことだが、ようやく世間も追いついてきたようだ。
ただそれだけではなくバラ色の皮算用で煽動する研究開発グループも経営判断を誤らせる要因かもしれません。
1995年ぐらいの段階で、甘い予想をしていたが、それから何年たっても実現は遠い。なのに、そのことを理解できないで、「もうすぐ完成」と思い込んで、ダラダラと無駄な投資を続ける。
これは MRJ とも似ている。予想の甘さと莫大な投資。
正しい方策は、「開発は困難だ」という事実を正しく認識すること。
燃料電池車の場合は、「実現は遠い未来だ」(20年ぐらい先だ)と理解すること。「開発困難だ」と諦める必要はないが、もっとゆっくりしたペースの方がいい。多額の投資をすれば開発できるというものではない。時間がかかる。
MRJ の場合は、初期のうちに中断するべきだった。そして、もっと長期計画をとるべきだった。いきなり中型機に進むのではなく、まずは小型機で開発するべきだった。そこでは、赤字になるだろうが、赤字幅は少なかったはずだ。20年ぐらいかけて、中型機に進むべきだった。
いずれにしても、やたらと楽観しすぎて、時間を節約するために、多額の投資をしたあげく、無駄になった。