2016年03月08日

◆ 被災地の農地接収

 東日本大震災の復興処置は大失敗だったので、次の大震災ではその失敗を繰り返さないようにするべきだ。特に、農地の接収ができるようにするといい。 ──

 東日本大震災の復興処置は大失敗だった。特に、前項の [ 付記3 ]で述べたように、仮設住宅というのが大失敗だった。1000万円をかけて、ゴミしか建設できなかったからだ。どうせなら、同じ金をかけて、新築住宅を建設した方が良かった。
( ※ 2000万円をかければ、4倍の広さの新築住宅ができる。これだけでコストは半減だ。しかも、高品質で、長寿命だ。)
( ※ 仮設住宅は、確かにコストは低いが、ただの「安かろう、悪かろう」であるにすぎない。価格を半分に値切ろうとしたせいで、ただの粗悪品になってしまった。)

 さて。仮設住宅でなく新築住宅にするのはいいが、それなら、恒久的な住宅として、住宅の設置場所が必要だ。
 仮設住宅の場合は、小学校の校庭や公園などに設置されたが、そのせいで、小学校や公園が使えなくなってしまう、という問題が生じている。特に、小学校では、被害が甚だしい。
 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の公立小中高、特別支援学校で、仮設校舎を使ったり、校庭に仮設住宅があったりして、本来の学校生活に戻れていない学校が 121校にのぼることがわかった。この地域の学校全体(851校)の14%を占めた。
( → 朝日新聞

 これでは困る。では、どうすればいいか? 全校では、次の提案をした。
 「仙台では、農地がたっぷりと余っているのだから、この農地を接収して、農地転用して、住宅地にすればいい」

 これで何も問題ないはずだ。
 ただ、方針としては正しくても、法的な問題がある。土地は私有財産なので、勝手に没収するわけには行かないからだ。
 そこで、これを解決するために、「震災のときの農地接収」を立法措置するといいだろう。

 ──

 具体的には? 憲法の私有財産権を脅かさないためには、「強制的な買収」(有償の没収・接収)ではなくて、「使用権だけを買収する」という形にするといいだろう。そして、以後は、一定の金額を払う。
 ただし、払うのは、住宅地としての賃貸料ではなく、農地としての賃貸料だ。そして、一定の期間(50年)が過ぎたあとでは、農地にして返却する。
 逆に言えば、農地の所有者は、50年後には必ず農地になっているわけで、50年間は農地転用ができない。経済的なメリットは、ごく小さい。
 これでは可哀想なので、単純な売却もできるようにする。その場合には、農地としての価格よりも、かなり高額で買収することにする。
 さらに、特別なプレミアムを与える。
 「広大な土地を売却した場合には、そのうちの5%を自分のものとして保留することができて、しかも、その部分は農地転用を認める」


 例を示そう。
 1ヘクタール(10,000平方メートル)の土地を持っている農家がある。

 (1) そのまま農地を保有したければ、保有していていい。ただし、強制的に政府が借りて、そこに住宅を建設して、被災者を住ませる。農家は、農地としての賃貸料を受け取る。年額10〜 50万円程度。それが 50年間続く。
 50年後に、その土地は更地となって返済される。その後はふたたび農地となる。この 50年の間は、農地転用がなされることはない。

 (2) 土地を売却したければ、土地を政府に売却できる。農地として売却するので、300万円程度で売却する。ただし、全体の5%にあたる 500平方メートルの土地を保有しつづけることができる。この 500平方メートルの土地は、農地転用され、住宅地となる。そこに自分が住んでもいいし、そこを売却して住宅地として販売してもいい。住宅地として売却すれば、かなり高額の金を受け取ることができる。
 ざっと調べたところ、仙台の場合、 500平方メートルだと、3000万円〜5000万円ぐらいになる。たとえば、これ。
  → ハートヒルズ錦ケ丘

 これだけの金額(に相当する不動産)を受け取れるのであれば、金額的には文句はあるまい。
 「金じゃないんだ、土地が大事なんだ」
 と思う農民もいるだろうが、その場合には、(1) にして、50年後の返済を確約すればいい。(農地のまま。)

 ──

 現状ではどうか? 次のようなことをしている。

 (A) 農地(牧草地)

 現状では、福島の近辺では、農地を農地のまま使うことに熱中している。
 ま、米や野菜を作れるのであれば、それはそれでいい。特に問題ない。
 ただ、「牧草地」にするのは、駄目だ。なぜなら、牧草の放射線は少なくとも、その牧草を大量に食べた牛は放射線が蓄積されるからだ。
 「福島で牧草地を復興させよう」なんてのは、あまりにも馬鹿げている。これらの土地は、別の用途に使うべきだ。たとえば、住宅地とか、工場用地とか、小学校用地とか、公園とか。
( ※ 福島近辺以外では、放射線がないので、どうしようと勝手だ。)

 (B)土地造成

 土地が足りないので山を崩して土地を造成する、ということをやっている地域もある。特に、リアス式海岸のあたりだ。
 しかし、いくら土地が足りないといっても、田畑の土地ぐらいはある。これらの田畑をつぶして、住宅地にすればいい。それだけのことだ。
( ※ 広大な平野がある宮城県を除いても、田畑ぐらいはたっぷりとあるのだ。)

 この件は、下記項目で論じた。
  → 被災地の復興は必要か?
 ただしこの項目では、「田畑を住宅地に」と言ってはいるが、例外となる地域がある。それは、釜石だ。釜石は、かつて釜石製鉄所があった影響で、人口が多くて、余っている土地がない。
 では、どうすればいいか? それは、上記項目似書いてある。そっちを読めばいい。
( ※ 簡単に言うと、人口は多いが、失業率がすごく高いので、人口そのものを減らすべきだ、となる。つまり、外部に出ていく。多大な人口を維持できるだけの産業が、今はなくなってしまったからだ。もちろん、ここに被災者用の住宅を新築するなんて、とんでもないことだ。)

 ──

 というわけで、とにかく、地震のときには、
 「あり余っている田畑を住宅地にする」
 という方針を取るべきだ、とわかる。だから、その方向で、今のうちに立法措置をしておくといい。

 一方、現状は駄目だ。
  ・ 校庭や公園に、仮設住宅を建設する
  ・ 山を崩して、住宅地を造成する

 こんなことをやっても、大金を投入して、ゴミをつくるようなものだ。ただの無駄、無駄、無駄。



 [ 付記 ]
 書き忘れたが、この措置が適用されるのは、大災害の直後だけだ。国家存亡の危機みたいな場合にのみ適用される、限定的な措置だ。
 通常の自然災害(たとえば鬼怒川氾濫など)では、適用されない。もちろん、平時にも適用されない。あくまで例外的な場合にのみ適用される。(1世紀にいっぺん、というような大災害のときだけだ。)



 【 関連項目 】
 
 本項と同じ方向の話。田畑の農地転用を、という話。
  → 被災地の土地転用を進めよ

 逆の失敗例。山を崩して土地造成、という愚行の指摘。
  → 津波被災者の権利(陸前高田)
posted by 管理人 at 23:28 | Comment(6) |  震災(東北・能登) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
財産権や、借地権との整合性がとれてるの?
Posted by 現行法との整合は? at 2016年03月09日 08:44
そこを考えるのが、法律家の仕事。ただし私の見解を言うなら……

財産権:財産は金額的には大幅に増えるのだから、問題ない。例。100万円の価値の農地を、300万円で買い取る。

借地権:50年という定期借地権を設定するだけ。

ま、憲法違反にならない範囲であれば、立法の工夫次第で、何とかなるだろう。基本的には、誰もが得するのだから、問題はないはず。

ま、もし問題が出たとしても、現行法を改正してしまうという手がある。これで大丈夫。法律なんてものは、いくらでも変えることができるのだ。
Posted by 管理人 at 2016年03月09日 12:59
50年後に農地として返すとなると結構金かかりそうですけども。うえにコンクリいれてしまったら深さ2mくらいのすべての土を入れ変える必要があるのではたしてどのくらいかかるでしょうか。
そして田んぼのばあい場所によりますが1aあたり年2〜5万くらいの地盤改良費とか払ってる場合があるので実際の借り賃は1haあたり年100万くらいですかね。
個人的には最初の件あるので宅地にして宅地で借りて宅地で返すほうがまだ安上がりなんじゃないかと思うのですが。
Posted by Zio at 2016年03月09日 17:07
> 50年後に農地として返すとなると

 これは、建前としてあるだけで、50年後に農地として返してもらいたがる人は、現実にはいないでしょう。単に選択肢として用意するだけです。「あなたの望み通りにできますよ。ただし大損します。それでもよければ、どうぞ」という選択肢。
 大損する選択肢を用意するが、実際にそれを選択する人はいるはずがない。仮に選択したとしても、50年後には、「農地として返してもらうか、5%の土地を住宅地としてもらうか、どっちでも」と言えばいい。農地ならば二束三文。住宅地ならば1億円。誰だって住宅地の方を選ぶでしょ。

> 宅地にして宅地で借りて宅地で返す

 そうです。現実にはほとんどがそれです。農地を選ぶのは、「大損してまで農地にこだわる」という頭のイカレた変人だけです。人数はゼロか1人。
 「どうしても土地を明け渡したくない」という人向けに、「そんなことをすると大損しますよ」と教えるのが目的。実際にその選択肢を取る人はいるはずがない。
Posted by 管理人 at 2016年03月09日 19:33
> 借り賃は1haあたり年100万くらいですかね。
   
 ググったら、10〜30万円ぐらいです。下記参照。
  → http://www.city.tsubame.niigata.jp/industrial/026000017.html
  → http://www.city.nagasaki.lg.jp/jigyo/370000/379007/p007811.html
   
 30万円は、新潟の米どころの田んぼ。
 一般の畑では、5〜10万円ぐらい。平均では6万円。
  → http://www.tochikatsuyou.net/farmland/kasu-2/
Posted by 管理人 at 2016年03月09日 19:55
借地料+土地改良費+水利費用(下2つはローンの10〜15年払いとかがこの辺では普通です)でそんなものかと。固定資産税免除および下2つのローンは国もちなら20万とかでいけそうです。
今の法律のままで土地収用法というのがあり、収用できるのでそれで収容したほうが早いかも。ただ今回のように持ち主の生死、所在地がわからないような状態だとそれも大変そうではありますが。
仮設住宅に5年とかは相当無駄であるのは完全同意です.ただ一般住宅の場合は仮設住宅のように一気に数を用意はできないのでその辺の問題も出てくるかとは思います。いまだに宮城などでは建設は順番待ちですし隣接県などでは大工系が高給で宮城に取られて人手不足です。
Posted by Zio at 2016年03月10日 09:25
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