政府は医薬品の減税をするそうだ。医療費削減のため。
《 <市販薬購入>1万2000円超で所得控除 》
対象となる市販薬を一世帯で年間一万二千円を超えて買った場合、所得税を軽減する制度が創設される。軽い病気はドラッグストアなどで売られる市販薬で治してもらうことで、膨張する医療費を抑制するのが狙いだ。
対象となるのは「スイッチOTC薬」と呼ばれる市販薬。医師の処方が必要だった医療用医薬品を一般用医薬品に転換したもので風邪薬や胃腸薬、目薬、発毛剤などの製品が出ている。
( → 東京新聞 2015-12-11 )
《 市販薬の所得控除、「スイッチOTC薬」限定で 》
対象をスイッチOTC薬に限ったのは、医療費の削減につながる関連性の高い薬に絞るべきだと考えたためだ。薬の成分の効能や安全性の確認が進み、副作用などが少ないと認められた市販薬で、病院治療の代替になり得ると判断した。
例えば、年間4万円分のスイッチOTC薬を買えば、約2万円分を所得から差し引いて所得税を計算できる。年収500万円で所得税率が20%なら、所得税は4000円減る。また、検診などを通じて、健康に配慮した生活を送っていることも条件とする。
( → 読売新聞 2015-12-02 )
上記の報道はちょっと古いが、最新版では、自民党内で決定という報道が出た。
→ 2016年度税制改正大綱
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さて。これのどこがまずいか?
(1) 所得控除
所得控除ならば、金持ちほど減税額が大きくなり、貧乏人ならば減税額が小さい。格差是正とは逆で、格差拡大の政策だ。「金持ち専用減税」みたいなものだ。馬鹿げている。
(2) 消費税の軽減税率
どうせなら、消費税の軽減税率を適用した法が効果的だ。記事によれば、
「年間4万円分のスイッチOTC薬を買えば、……所得税は4000円減る」
ということなのだから、最初から「税率0%」にすればいい。そうすれば、
「年間4万円分のスイッチOTC薬を買えば、……消費税は4000円減る」
というふうになる。効果は同等だ。(減税の種類が所得税から消費税になるが。)
また、この方法ならば、 (1) の「金持ち減税」という難点もない。
「軽減税率」というのは、これまでは存在しなかったので、制度的に無理だったが、これからは制度的に可能になるのだから、「スイッチOTC薬だけ、軽減税率0%」にすればいいのだ。
どうせ軽減税率を使うのなら、こっちの方に使うといいだろう。少なくとも、(1) のような「金持ち減税」の制度よりは、ずっとマシだ。
[ 余談 ]
これとは別の話題。
「消費税の軽減税率」というのは、馬鹿げた案ではあるが、どうしても「食料品全般に軽減税率」というのをやるのであれば(というか、もはや決定済みであるが)、その場合の財源は簡単に見つかる。
それは、いわゆる「益税」だ。これが約 6000億円だということなので、ちょうど、不足する財源の額に等しい。
だから、「益税」を廃止すれば、いま大騒ぎになっている財源の問題は、簡単に解決するのだ。
( ※ 「益税」を廃止する方法は、税務の話になるので、細かくなりすぎる。興味のある人は、自分で調べるか、考えてください。別に、難しい方法ではない。いちいち説明するまでもない、小さな問題。)
