VW(フォルクスワーゲン)が排ガスの偽装を認めた。
ドイツの大手自動車メーカー、フォルクスワーゲンがアメリカの排ガス規制をクリアするため、ディーゼル車に不正なソフトウエアを搭載していたと指摘された問題で、フォルクスワーゲンは不正を認め、謝罪する声明を発表しました。
アメリカ環境保護局は今月18日、フォルクスワーゲンが2008年から、ことしにかけてアメリカで販売したディーゼル車およそ50万台に、排ガス規制をクリアするため不正なソフトウエアを搭載していたと発表しました。
これについて、フォルクスワーゲンのウィンターコルン会長は20日、ホームページ上で声明を発表し、「アメリカの環境基準に違反する不正を発見した」と述べ、不正があったことを認めました。
( → NHKニュース 2015-09-22 )
株価も下がった。
→ 独VWの株価が23%急落
最大でおよそ180億ドル(日本円で2兆1600億円)の制裁金が科される可能性があるそうだ。(上記の2記事のいずれも。)
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これを受けて私が思ったのは、こうだ。
「どうせこういう不正をやるのなら、世界中でやっているはずだ。特に、日本と欧州でやっているはずだ。だから、日本と欧州の政府は、同社の排ガス検査をやり直して、不正の有無を確認するべきだ」
要するに、詐欺師は常習犯に決まっているから、余罪を見出せ、ということだ。
だが、それは、本項の主題ではない。本項は悪人の糾弾が目的ではない。そんなことは2ちゃんねらーに任せてもいい。
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大事なのは、次のことだ。
「クリーンディーゼルは排ガスがきれいで燃費も良いので、エコなエンジンである。だから補助金を出して普及させよう……という政策が取られたが、その前提が崩壊してしまった」
これまでは詐欺師の言葉を信じて、詐欺師の商品に補助金を出していた。しかし、その嘘が判明したのだ。となると、次の二点が必要となる。
・ 政府が払った補助金(または減税)を、返金させる。
・ クリーンディーゼルの普及策を取り消す。
前者は、当然だろう。詐欺によって検査を合格したが、実際には検査を合格していないのだから、補助金(または減税)を受け取る資格がない。その分、返金させる。
米環境保護局(EPA)によると、問題のソフトウェアは、当局の排ガス基準の適合試験を検知し、試験がある期間だけ排ガスを減らす一方、通常の運転では機能を制限し、基準の最大40倍の窒素酸化物( NOx ) を排出していたとされる。
( → 朝日新聞 2015年9月21日 )
これが実状だ。つまり、検査中は排ガスがクリーンだというふうに測定されるが、実際には、基準の最大40倍の窒素酸化物を出しており、ちっともクリーンではないわけだ。だったら、補助金や減税という優遇策を受け取る資格がない。
後者は、政策全体への疑義となる。今回のフォルクスワーゲンだけでなく、ベンツやBMWやアウディも疑惑の対象となるからだ。端的に言えば、ボッシュのコモンレール式の高圧噴射型のディーゼルエンジンのことだ。これが「クリーンディーゼル」と呼ばれているが、きわめて疑わしいわけだ。
たとえば、ベンツのテクノロジーも疑わしい。
→ BlueTEC(ブルーテック)
ベンツのこいつは、ボッシュの部品が多く使われているので、怪しい。
とはいえ、日本のメーカーもそうかというと、そうではないようだ。
日産は、ボッシュの部品を使っていない。( → 出典 )
マツダは、そもそもまったく原理が異なる。
→ SKYACTIV-D
マツダのクリーンディーゼルは、「圧縮比を下げる」という形のものなので、原理がまったく異なる。
フォルクスワーゲンのエンジンは、「窒素酸化物が異常に多い」ということだが、これは、燃焼温度が極めて高いことを意味する。なぜかというと、炭素微粒子を完全燃焼させるためだ。ただし、高温で炭素微粒子を完全燃焼させると、同時に、窒素酸化物が異常に多いという弊害が生じる。二律背反だ。その問題が、今回のフォルクスワーゲンの問題となった。
一方、マツダは、まったく別の解決策をとった。圧縮比を下げるという方法だ。「着火しにくい」という点を逆手にとって、「着火するまでに空気を十分に混合させる」ことが可能となり、不均一な燃焼を避けることができるようになった。
→ SKYACTIV-D|SKYACTIV TECHNOLOGY(【MAZDA】公式)
これならば、窒素酸化物が異常に多いという問題は起こらないだろう。
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ただ、マツダの方式は別として、クリーンディーゼルというものはもともと炭素微粒子が残るという問題がある。特にひどいのは中国の PM2.5だ。本サイトでも何度が述べた。
→ サイト内検索
この炭素微粒子は、もともと解決しがたい。いくら「クリーンディーゼルです」と訴えたところで、実際には炭素微粒子( PM2.5 )が残っているのだ。しかも、これは健康に害悪をもたらす。
→ ディーゼルの環境汚染
ここでは、メーカーが「クリーンです」と訴えても、実はクリーンでないことを指摘している。
これは 2008年10月17日の記事だ。それから 7年たって、その問題が表に出たわけだ。「メーカーの偽装」という形で。
[ 付記 ]
じゃ、どうすればいいかというと、「ディーゼルは炭素微粒子を出す」という原則に立ち返って、ディーゼルをなるべく廃止すればいい。燃費だけなら、ハイブリッド車だって同じぐらいだ。
ただ、トヨタのハイブリッドは、高速走行には適していない。無駄な歯車を回しているせいで、非効率だ。
ゆえに、トヨタのハイブリッドとは違うハイブリッド(ホンダや日産やドイツ車のハイブリッド)を使えば、高速走行でも、効率を落とさずに済む。ハイブリッド車のエンジンは、ミラーサイクルエンジンを使うことにすれば、高速走行でもディーゼルに特に劣ることはないだろう。(効率は少し劣るが、小排気量のエンジンなので、内部抵抗が小さくて済むからだ。)
なお、マツダのディーゼルがどうなのかは、評価しがたいので、ここでは特に何も言わないでおく。
( ※ ただし、今回の偽装問題に関する限りは、マツダはシロだろう。)
【 追記1 】
読売新聞 に重要な情報があった。引用しよう。
環境技術に詳しい関係者によると、BMWやトヨタ自動車など他のメーカーは、マフラー内で「アドブルー」と呼ばれる尿素が主成分の液体を噴射し、窒素酸化物を水と窒素に分解することで排ガス規制をクリアしたが、問題となったVW車にはこの仕組みがなかったという。
**氏は「費用増を避け、車の価格を抑えることで、販売台数を増やしたいとの思惑があったのだろう」と指摘する。
( → 読売新聞 2015-09-24 )
なお、別記事によると、日本の自動車会社は米国ではディーゼル車を売っていないそうだ。理由は、技術的には可能だとしても、対策のコストが上がりすぎるから。(つまり商業的な理由。)
もう一つ理由がある。米国ではガソリンが激安なので、燃費を良くしたいという動機が働かないのだ。当然、元のコストが馬鹿高いディーゼルにするメリットはほとんどない。米国でディーゼル車を売るという発想そのものが根源的に狂っていると言える。「売らない」と決めた日本の会社の方針は妥当だろう。
※ ガソリンが激安の理由は、高額のガソリン税がないから。
【 追記2 】
VW の今後はどうなるだろう?
売上げはもちろん大幅に減るだろうし、制裁金も科せられるだろうが、別途、大きな問題がある。それは、現在走っている違反車をどうするか、という問題だ。
常識的に言えば、違法なソフトウェアを改修して、通常走行時には排ガスがクリーンになるようにするだろう。しかしこれだと、燃費が悪化してしまうので、ユーザーから大量の賠償を求められてしまう。裁判費用が大変だ。(特に米国では。)
となると、その手は使えない。かわりに、こうするだろう。
「上記のアドブルーという尿素の装置を装着することで、燃費を悪化させないまま、排ガスをクリーンにする」
これが最も妥当だろう。他のメーカーはもともとそうしているのだし。
ただし、この方法だと、アドブルーという尿素の装置にコストがかかる。おおざっぱに見て、5万円ぐらいか。これをすべてのディーゼル車(販売済み)に装着するとしたら、大変なコストがかかる。米国だけならまだしも、昔の欧州の分まで含めると、大変だ。
どうなるんでしょうねえ。

→ http://openblog.meblog.biz/article/10690697.html
→ http://shimesaba.dyndns.org/?p=24043
以下皮肉
日本の自動車大手**自動車が燃費規制を逃れるために不正を行っていた事が判明、影響が世界に広がっている。これは特定の燃費計測(規格として定められた10.15モード等)のみ著しく燃費が良くなるようにプログラミングを行い、実走行ではこの表示の半分も燃費を達成できない・・・・やめにします。
タイムスタンプは 下記 ↓
検査の趣旨をないがしろにするものなので、明らかに不正でしょう。常識で考えましょう。
ただし、違法ではないので、刑事罰は下されません。
ま、入学試験のカンニングと同様。検査を無効化してインチキするわけ。誰が見ても「不正」だが、あなたの理屈だと「不正でない」となる。
> この様な実走行とかけ離れた試験を行っている制度
それは全然別の話。インチキとは違う。「この入学試験は学力の一部しか測らないので、正確さが足りない」というような問題であるにすぎない。
今回の不正は、「普段は 40倍もの排ガスを出すのに、試験の時だけは優等生のフリをする」というものであり、劣等生のカンニングと同様です。
トヨタ燃費やトヨタ馬力に慣れている国の人だと測定方法に合わせてECUのプログラムに細工する方が常識になるのではないでしょうか。
勿論私はそのような風潮は気に入りませんが。
トヨタ燃費はバレているし、公然の秘密ですからね。
というか、これは、トヨタが悪いんじゃなくて、日本の燃費の測定方法が間違っているから。トヨタのせいじゃなくて、政府のせい。政府が馬鹿すぎるのは、トヨタの責任じゃない。政府がまともなテスト方を取ればいいだけ。
今回のは、試験の特殊環境におかれると自動的に排ガス装置を全開運転するようにして、その状況だと燃費が悪くなるので、実際の走行時には排ガス装置をオフにするプログラムですから。
排ガス装置が常時オンで、試験のようなスピード、加減速の状況で規制を満たすけど急加速時は超えてしまうとかなら、10.15モードの燃費のようだ、と言えると思いますが。
欧州では来年から、ディーゼルの新基準が適用される。 Euro-6 というもの。かなり厳しい。
→ http://www.bosch.co.jp/press/group-1409-02/
この新基準に対して、現行車はまったく達成ができていないそうだ。実測したら、新基準を大幅に上回り、現行基準をも不合格になる。
→ http://j.mp/1QAwHfY
ディーゼルは、何だかんだ言っても、ガソリン車よりはずっと汚い。この件は、先に述べたとおり。 [ 付記 ] で述べた通り。
なお、マツダのディーゼルも、やっぱり他社並みで、汚いそうだ。現行車は、新基準をパスできない。現行基準をも、パスできていないらしい。ディーゼルは、どれもこれも、みんな駄目らしい。
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VWが指摘を受けたのは、「Defeat Device(ディフィートデバイス=無効化機能)」と呼ばれる違法プログラムを使用した疑惑だ。
ディフィートデバイスは排出ガス規制に適合させるためのシステムを、試験の時だけ作動させ、ユーザーが実際に使う時には停止や作動を制限する(defeat:打ち負かす)プログラムで、欧米では反社会的行為として排出ガス規制の中で禁止が明文化されている。
→ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150924-00010000-carv-bus_all
欧州にも飛び火して、VW の自動車は販売禁止になりそうだが、欧州ではディーゼルの比率が 50%程度なので、このままだと VW の売上げは半減して、とんでもない影響が出る。
BMW もやっている、という報道もある。ベンツとマツダは「当社はやっていません」と声明した。この2者は売上げが急増するかも。
一方で、欧州の検査はもともとザルで、実際には基準を満たさないディーゼル車がほとんどだ、という記事もある。
→ http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NV6QZY6K50XX01.html
会社が違法行為をしたのではなく、政府側が基準を満たさない車をパスさせていた、ということだ。
こっちの検査まで正常化したら、マツダなどにも影響が出そうだ。
タイムスタンプは 下記 ↓