保育園に子供を預けている家庭が、新たに子供を産んで育休を取ると、すでに預けていた子供が退園させられる……という事例だ。ここで、家庭の側が反発している。埼玉県所沢市で起こった問題。
0〜2歳の保育園児の母親が下の子を出産し、育児休業を取得した場合、園児を原則退園させる運用方法を今年度から始めたのは違法だとして、保護者が25日にも市を相手取り、退園の差し止めを求める行政訴訟をさいたま地裁に起こす。
「原則退園」は、待機児童の解消が目的で、母親が出産した翌々月末までに通園中の0〜2歳児を退園させ、育休中は下の子と一緒に家庭で育ててもらうというもの。
これに対し、妊娠中の母親らから「いったん退園すると、慣れ親しんだ元の保育園に戻れない」と反対が続出。
( → 読売新聞 2015-06-21 )
ここでは、育休中に退園になっている(手元で育てる)こと自体は、あまり問題になっていない。「育休のあとで復園できる保証がないこと」、特に「別の保育園に移されてしまうこと」を懸念している。ここが問題点なので、留意しよう。
で、この懸念については、実は問題がないことが判明している。
保護者の一部には不安の声が広がっているが、不安解消のための措置が、復園する際の入園選考指数の100点加算。通常60〜70点台で入園できるため、復園を確実に担保する。弟や妹も同じ園に入れるように100点を加算し、優先的に同じ園に入ることができるようにする。
( → 産経ニュース 2015-06-21 )
通常60〜70点台で入園できるところへ、100点加算で、170点ぐらいになるわけだから、復園は「絶対確実」と言ってもいいはずだ。(そもそも毎年大量に入園と退園があるのだから、間違いない。)
だから、実質的には、何の問題もないのだ。にもかかわらず、「万一、復園できなかったら」という恐怖で、人々は騒いでいるわけだ。
つまり、もともと何の問題もない状態で、「問題が起こったら」と騒いでいるわけだ。ここには、一種の情報の混乱や妄想が働いていることになる。
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だとすれば、問題は、簡単だ。実際に起こる現象は、何一つ変える必要はない。そのかわり、書類上の言葉だけを変えればいい。それによって「懸念」を「安心」に変えることができる。
では、どうやって? そこは、頭の働かせようだ。具体的には、こうだ。
「退園というのをやめて、休園にする。上の子は、保育園を退園するのではなく、休園しただけで、一定期間後には自動的に元の保育園に通う」
つまり、家庭の望みが叶うように、制度を整備しておくだけだ。具体的には、こうだ。
「休園した子供は、退園してから復園するのではなく、もともと在籍し続けている。したがって、新規に入園する子供の数は、休園した子供の数の分だけ、減らされる」
たとえば、休園した子供が5人で、新規入園が 15人だとしよう。
(1) 新制度 …… 休園5人は別枠で、新規入園が 15人。
(2) 旧制度 …… 新規入園 20人。(うち、退園したのが5人)
どっちも現実は同じだ。ただ、形式的には、「休園」か「退園後の入園」か、という違いがある。家庭は後者(退園後の入園)に対して懸念をもっているのだから、前者(休園)にすればいい。それだけのことだ。
すべては書類上の扱いを変えるだけで解決する。現実レベルでは何一つ変更する必要はない。単に文字を書き換えることだけで済む。(情報の問題だ。)
[ 付記 ]
それでも「やだ、やだ」という家庭が出ることも想定される。そこで、次のことを実施すると、不満を防げる。
「休園を受け入れるかどうかは、家庭の自由。休園を受け入れなくてもいい」
「休園を受け入れる家庭については、上の子と下の子を、同じ保育園に入れることを保証する」
「休園を受け入れない家庭については、上の子と下の子を、同じ保育園に入れることを保証しない。というより、下の子については、減点して、原則、他の保育園に移ってもらう」
つまり、休園を受け入れないと、上の子と下の子が別々の保育園に入れられるので、親の手間(送り迎え)は倍増する。踏んだり蹴ったりとなる。
一方、休園を受け入れれば、その問題はなくなる。
かくて、「アメとムチ」という方法で、すべては丸く収まる。
たいていのトラブルは、頭を使えば、解決できるものだ。
[ 補足 ]
細かい話をしよう。
休園の場合、一定期間後に復園することはあらかじめ決まっている。(その分、新規入園が少なくなる。)
まず休園の人が先に補充され、次に、新規入園の人が入園する。
これは、「 100点加算」の場合とまったく同じこと(優先順位の決定をするだけ)なのだが、点数でなくて明示的に「こちらが優先」というふうに示すわけだ。
もし空きが出ないとしたら? そういうことのないように、人数をうまく調整しておけばいい。「たとえば、半年後に退園が確実」となるように、年長の子供を入園させる。
【 追記 】
今回の問題は、「情けは人のためならず」という言葉で説明できる。
所沢市の方針であれ、私の方針であれ、子は一時的に園から出る。そのあと、「後になって入れるという保証がない」と心配する。
しかし、「情けは人のためならず」だ。自分が他人に情けをかけてあげれば、他人が自分に情けをかけてくれる。つまり、「後になって入りたい」と思ったときには、別の誰かが「このたび育休に入るので、席を一つ空けます」というふうにしてくれて、その席に着けるのだ。つまり、おたがいさま。
人は自分が何かを与えるとき、「与える」ということばかり考える。しかし、相互互助の仕組みであれば、「与える」だけでなく「与えられる」ということもあるのだ。そしてまた、そういう相互互助の制度を取ることで、全体としては空きの量が増えるので、それだけ保育園に入りやすくなる。
つまり、「1を与えて1を受け取る」というのは、損得なしのように見えるが、誰もが同じことをやれば、「1を与えて 1.2を受け取る」というふうになれるのだ。(「合成の誤謬」の正反対。)
※ 増えた 0.2 は、「保育園に入りやすくなる」という効果。
自分の損得だけでなく、全体の損得を考えるようになると、誰もが総計ではハッピーになれる。
( ※ ただし、実を言うと、「情けは人のためならず」という分を除いても、将来の心配はない。「休園」ならば、もともと自分の席は確保されているからだ。たとえば、1年間の休園があれば、その1年間の分だけ席があくから、あとから入ってきた人は、もともと1年間分の権利しかない。あとになって追い出されるとしたら、育休に入った人ではなくて、育休のかわりに臨時に入った人の方だ。だから、休園の場合、何も心配することはないのである。……この点が、「退園」とは異なる。)

この制度は待機児童解消が目的ですから、このやり方ではそもそも休園させる意味がないと思いますが。
http://www.city.sumida.lg.jp/fukusinohiroba/kodomonikansuru/hoikuen/nyuuen_goannai/kakono-mousikomijyou.html
こちらは一例なのですが、多くの保育園は2才児以降の受け入れが少なく、3才児以降は0(欠員のみ)という園も珍しくありません。
この点で、いくら点数が高くとも同じ園に復帰できない子が出るのは必至となります。
この文は、おそらくは、
「休園した子供は、退園してから復園するのではなく、もともと在籍し続けている。したがって、新規に入園する子供の数は、休園していて復帰する子供の数の分だけ、減らされる」
の書き間違いだと思います。
管理人さんは、次々と記事を書いて、そのときに余り見直したりしないで掲載される傾向があります。あまり、揚げ足を取らないであげてください。
確かにその意味なんだけど、もとの文章でも同じでしょ? 書き間違えというほどでもないし。
> by KOON
育休を半年ぐらいだと思っているんじゃない?
育休は普通、1〜3年間も取ります。(産休を含む)
→ http://girlschannel.net/topics/69567/
それだけ長い間、他の子供を預かれるのだから、十分に有効です。
例。9月から2年間の育休に入った人がいるので、
9月からの2年間の空きが出て、その分、待機児童を入れる。
実際には、育休に入る人が次々と出てくるから、以後もOK。
> by jaguarsan
受け入れのとき条件付ければいい。
たとえば、1歳の子供を受け入れることにして、「2年後には必ず退園してもらう」というふうに約束する。
あなたもたぶん誤解していると思うけど、育休は1〜3年も続くんです。その間、他の子を受け入れることは可能です。
ま、3カ月とか半年とかだと、無理っぽいけどね。そのくらいの短期のときには、「常に空きを1人分ぐらい用意しておく」というぐらいの運用が必要だろう。
> この点で、いくら点数が高くとも同じ園に復帰できない子が出るのは必至となります。
いや、2歳児が入園するのではなく、0歳児または1歳児で入園して、1年以上たって、すでに2歳になっている子供がたくさんいます。だいたい、毎年、3分の1〜5分の1ぐらいが退園するはずです。空きはどんどん生じるでしょう。
幼稚園は、保育園に比べると状況はマシなので、働くママさんを優先することにすれば、かろうじて何とか問題は解消しそうだ。
ともあれ、幼稚園とうまく連携させれば、3歳以上の子供をうまく預けられるので、本項の問題もあまり心配しなくていいだろう。
保育園では、年齢別に定員を決めている。「0歳児 20名、1歳児 20名、……」というふうに。
これだと、(年齢ごとに)どこかで空きができて、どこかで定員超過になる、ということが起こりがちだ。その問題を、どうするか?
うまい案がある。1歳11カ月の子を 2歳児のクラスに入れたり、2歳1カ月の子を 1歳児のクラスに入れたりすればいい。つまり、区切り線を少しだけ変更するわけだ。
これで定員の増減の微調整ができる。うまいアイデア。
私は休学の場合は制度上その枠を待機児童で埋めることが出来ない、というのが今回のような形となった理由だと思ったのですが。
ググってもその辺りの取り決めが分からないのですが、休学分の欠員は園児を新たにとって良いということでしょうか?
あと、今回の制度では定員一杯の園に復園する場合は別枠を補助するということですので、少なくとも管理人さんの案よりも待機児童は減るようですよ。
そんなことはないと思いますが、仮にそうだとしたら、制度がおかしいのだから、制度を変えればいいだけの話。
私の言っていることは「退園」というのを「休園」という名称に変える、という言葉の問題だけです。実態はどちらも差はありません。言葉を変えただけで何か問題が起こるはずがありません。
> 定員一杯の園に復園する場合は別枠を補助する
それは本題とは別の、二番目の話題。どっちでもいい。ただし、別枠の場合、同じ保育園に入れる保証はないから、親は怒る。それが今回の問題の発端。
> 少なくとも管理人さんの案よりも待機児童は減るようですよ。
そんなことはないでしょう。こっちで減っても、あっちで増える、というだけ。総数が同じなのだから、全体の増減はありません。
もっとも、右手で減って、左手で増えると、右手だけを見た人が「減った、減った」と大喜びする……というのは、毎度ある話。
今回の例で言うと、退園した家庭はよその保育園に入れるが、よその保育園では、その分、空きが一つ減る。総数は同じ。
タイムスタンプは 下記 ↓
第二子出産による欠員は基本的に突発、しかも二年後には退園を迫られる。
この状況で復職を許す企業というのはかなり限られると思います。
また幼稚園という施設は午後2時か3時くらいには降園となります。例外として預かり保育というサービスがありますが、保育園より短いためフルタイム勤務の両親にはマッチしません。
http://www.eikando.ed.jp/life/
思うに管理人さんの案は充足率0.8を1にするには有効かと思います。
しかし現状は焼け石に水、0.5くらいしかない現状ではお互い疑心暗鬼になって改善には寄与しないのではないでしょうか。
いわゆる囚人のジレンマの状態です。
そんなことないですよ。
大事なのは、「復園がもともと予想されていてスケジュールに組み込まれている」という点。これがあるから、あとから補充される分(あいた席を埋める分)は、ごく限定されるのです。 <FONT COLOR="#dd0000">【 追記 】</FONT> の最後を参照。
なお、仮にここで失敗したとしても、大丈夫。復園する人が突発的に少数生じるだけなら、一時的な定員超過の形でも済むし、あるいは、 2015年06月22日 20:35 のコメントの方法で、学年の区切りを変えれば済む。
> しかも二年後には退園を迫られる。
そんなことないですよ。一部に退園を迫られる人が出るかもしれないが、基本的にはたいていの場合で現状維持です。次々と育休入りの人の欠員が出るのだから。
> 充足率0.8を1にするには有効かと思います。
現状では日本全体で 充足率 0.99 ぐらいです。入れないのは、全体の1%ぐらいの人だけ。データの出所は下記。
→ http://www.garbagenews.net/archives/2087326.html
余る分(待機する分)は、前記のように1%程度だから、5%も空席ができれば、全員が入園できる。なおかつ、空席が4%ぐらい出ることになる。
これなら、たいていの地域で、問題は解決するだろう。(一部のひどい地域を除く。)
保育士ごとに枠が決まっているので、そんなに柔軟に増減しないですよ。
少なくとも一時的には増えるか減るかのどっちかです。
別枠の人件費ということなので、担当幼児の数が少なく負担が軽く、たぶん現在休職中の保育士を狙って求人を掛けるのでしょう。
それが上手くいけば待機児童は減ります。
一方で、数人の別枠のために現職の保育士が保育園間を移動してしまうなら、逆に増えます。