香川はずっと不調だった。その理由については、いろいろと推測がなされていた。有力だったのは、「筋トレのしすぎで、体格が変わって、俊敏さを失った」というものだった。
ところがこのたび、監督のクロップが実状を打ち明けた。太もも を故障していたそうだ。
《 香川の不振は太ももが原因…ドルト・クロップ監督明かす 》
ドルトムント・クロップ監督が、日本代表MF香川真司の不振の原因を明かした。「(チームに復帰して)最初の4週間、彼は太ももの問題で、左足でしかシュートしなかったが、それを誰にも話さなかった。マンチェスターU時代の再現を恐れていたのだろう」と26日、ドイツ紙シュテルンのインタビューで説明した。
( → サンスポ 2015.1.28 )
《 クロップのコメント (雑誌シュテルンより) 》
彼は最初の4週間は左足だけでシュートしていたんだ。なぜなら彼は太ももに問題を抱えていたからね。だけど彼はそれを誰にも言わなかったんだよ。彼はまたマンチェスターでのスタートのようになる事を恐れていたんだ。そこで彼はそうした不運の後で突然ベンチ外になってしまった。いつの事だったか彼は僕にその事を話してくれたんだ。1年半をそう簡単に人生から消去することは出来ないね。戻ってきたけれど、別人として戻ってきたわけだ。判断も違ってくる。(訳注:思っていたことは違うというニュアンス)
( → ドイツの反応 Ich liebe Fussball!! )
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これで真相が判明したように見える。しかしながら、ここには矛盾がある。最初の復帰戦では見事にプレーしたからだ。あのときは別に問題もなく大活躍した。
しかも、である。あの復帰戦では、足にケガをしたのだ!
次の動画の最後の方で、香川の故障の状況がわかる。
このときは、「足がつった」と報道された。本当に足がつっただけなら、次の試合から正常に出場できるはずだったが、次の試合では欠場し、そのあと何試合かも半分ぐらいしか出場しなかった。
足がつったため64分に途中交代していた。ドルトムントを率いるユルゲン・クロップ監督は、ランニングのみで15日のトレーニングを終えた香川について「少し張りがあるようだ。何周か走ったところで終わりにさせた」と状況を説明している。
( → 香川、アーセナル戦前日はランニングのみ )
アーセナル戦前日の15日もランニングのみの軽めの調整となった。クラブの公式Twitterによると、「筋肉の問題」のため、この日はベンチスタート。チームがリードしている展開もあり、最後まで出場機会は訪れなかった。
( → ドルトムント香川は「筋肉の問題」で欠場 )
つまり、本当は、足がつっただけでなく、何らかのケガがあったことになる。
その後、少しずつ出場したが、どうも精彩を欠いていた。
そして、10月22日。香川はガラタサライ戦に出場して、活躍したが、またも負傷した。今度は太ももだ。
トップ下でスタメン出場の香川もキレのある動きを披露。同24分に中央から抜け出し左足でシュートを放つなど、積極的な姿勢を見せた。前半41分には、中央の香川から横パスを受けたMFロイスが豪快なミドルシュート。3点目を奪い、勝利を決定付けるとともに、香川のアシストも記録された。
後半37分にアクシデント発生。敵陣左サイドで香川が突然、左太もも裏を押さえ、その場に座り込むと、そのまま途中交代となった。
香川が苦痛の表情を見せたことからも負傷は明らか。詳しい症状は不明
( → 東スポ 2014年10月23日 )
このときも、「足がつっただけ」と報道された。
→ 香川、ガラタサライ戦負傷交代も重症ではなく足をつっただけ
しかし現実には、そうではなかったようだ。以後、ずっと精彩を欠いていた。「香川ははっきりと不調だ」と報道されるようになったのも、10月23日以降のことだ。
では、ケガとは何か? 上記記事では「左太もも」にケガをしたとされる。
一方、冒頭の記事では、左足は正常だったらしく、右足の方に問題があったように読める。
とはいえ、どっちの足に問題があるかは、記事だけでははっきりとしないし、本人の深刻がどれだけ正しいかもわからない。(ずっと黙っていたという隠蔽の問題もある。)
ただ、どっちの足が不調であったとしても、結果は同じである。問題は、どっちの足かではなくて、ケガの種類だ。このケガは、どんなケガだったのか? 足がつっただけではないとしたら、なんだったのか?
これについては、「肉離れだろう」というのが、私の推定だ。肉離れというと、軽症のものだと思われがちだが、実はかなり大変なケガである。治療にも、かなり時間がかかる。
肉離れ(にくばなれ)とは、急激に筋肉(骨格筋)が収縮した結果、筋膜や筋線維の一部が損傷すること。完全に断裂する筋断裂、直接的な外力による打撲とは異なる。
筋損傷(筋肉の損傷)は程度により筋間損傷、部分断裂、完全断裂などに分類されるが、肉離れは筋膜や筋線維の部分損傷である。定義の詳細は文献などにより異なる。スポーツをしている最中に起こりやすく、筋肉が収縮している(力が入っている)時に強制的に引き延ばされることにより生ずることが多い。
《 治療 》
軽症で2-4週、中程度で4-6週が復帰の目安となるが個人差は大きい。
( → Wikipedia )
肉離れと筋断裂はほぼ同じですが、一般に軽症を肉離れ、重症を筋断裂といいます。
( → 肉離れと筋断裂の違いは何ですか? - Yahoo!知恵袋 )
スポーツによるものが多く、典型的なふくらはぎの肉離れは、下腿二頭筋の内側頭の筋肉の部分断裂です。大腿部のものは、前面は大腿四頭筋、後面はハムストリングの筋部分断裂です。 筋肉が伸ばされながら収縮すると、筋力に負けて部分断裂を生じることがあります。それが「肉離れ」です。
( → 「肉離れ」|日本整形外科学会 )
肉離れというのは、かなり大変なケガなのだ。(ここを誤解している人が多い。)
そして、このことを前提とすれば、一連のケガは、次のように推定できる。
・ イギリス滞在中には、出場機会に恵まれなかった。
(太ももに小さなケガがあったのかもしれない。)
・ 復帰戦では大活躍したが、太ももにケガをした。
(イギリス時代の小さなケガが影響したのかもしれない。)
・ 復帰戦以後は、欠場して、回復に努めた。
・ 完治しないまま、ガラタサライ戦に出て、再び負傷した。
(ここでかなりひどいケガをしたと思える。)
・ 以後、ケガを隠して出場したが、精彩を欠いた。
・ 1月中には、かなりの欠場を経て、ケガを完治させた。
・ 2月7日には、完治した状態で出て、大活躍した。
結局は、「ケガを完治させないまま出たせいで、いっそうひどいケガを負ってしまった」ということになる。復帰戦でもそうだったし、ガラタサライ戦でもそうだった。……それが、香川がずっと不調だったことの理由である。
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教訓。
肉離れというものを甘く見てはいけない。それは筋肉の部分断裂である。数日か1週間程度休んでいれば治る、というような甘いものではない。なのに、甘い見通しで、無理に出場すれば、治りかけた筋肉が再び断裂して、状況はいっそう悪化する。
つまり、肉離れというものは、完治させる必要があるのだ。完治しないままプレーすることは、絶対に慎むべきなのだ。そのことを理解しないまま強行出場すると、いっそうひどいことになる。
ちなみに、錦織の場合は、疲労の極限状態となって、プレーができなくなることがあった。これは「筋肉がつった」という状況かも知れない。
しかし香川の場合には、動画からもわかるように、激しい痛みを伴う筋肉断裂だった。このようなケガは、数日か1週間程度休んでいれば治る、というような甘いものではないのだ。このことをはっきりと理解する必要がある。
( ※ 特に、野球選手は、「肉離れ」をしばしば患うことがある。その場合も、完全に治癒しないまま強行出場して、状況を悪化させることがしばしばある。困ったことだ。……「肉離れ」という名前が悪いのかもしれない。「筋肉の部分断裂」という言葉で呼び変えた方がいいかもしれない。)
( ※ この件は、高校野球や高校サッカーなどでも共有するべき知識だとも言える。「肉離れなんて根性で治せ」なんて思っている監督がいると、選手生命を奪うことになりかねないのだ。マスコミはもっと世間に警鐘を鳴らすべきだ。……と私がここで警鐘を鳴らしておこう。)
【 関連サイト 】
香川は2月7日の試合で大活躍した。「昔の香川が戻ってきた!」と大好評。
→ 【海外の反応】香川真司、美しいゴールをアシスト
→ 香川が今季初アシスト! 海外の反応
→ 海外の反応: The 翻訳 POST
→ 《ドイツの反応》「昔のシンジに近づいている。」
→ 香川がアシストしたドルトムントのゴールが美しすぎると話題に
→ ワールドサッカーファン 海外の反応
→ アメージングパスワークでフライブルク撃破!
→ 海外の反応 香川はフル出場 : Foot bro
とても好評だ。
とはいえ、好事魔多し。あんまり頑張りすぎると、再び肉離れを起こしかねない。疲労が溜まらないように、注意した方がいいだろう。下手をすると、再び長期離脱しかねない。
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《 オマケ 》
ウエイト・トレーニングで、筋肉隆々のムキムキマンになったが、肉離れで故障ばかりしている……という野球選手の例。
→ 清原選手、故障が絶えないのはなぜ

以下、引用。
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アジアカップ最終戦で右ハムストリングを負傷した長友は、8日のセリエA第22節パレルモ戦の前半に再び右太ももを負傷。
『ガゼッタ』は10日、その長友の離脱期間が2カ月に至る可能性もあると報じた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150210-00000009-goal-socc
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治りきらないまま強行出場すると重症化して、かえって悪化する、という見本。
昨日、私が本項を書いたら、その翌日に、このニュースだ。何ともまあ……