まず、話の流れを示す。
(1) 「イスラム人質の動画は合成画像だ」という説があった。
→ イスラム国邦人人質:公表した映像は加工、合成の疑い - 毎日新聞
→ 映像は合成の可能性? 影が逆向き、時間差撮影か - 産経WEST
→ 「イスラム国」人質映像 科警研で分析急ぐ | 日テレNEWS24
→ イスラム国、日本人人質動画はクロマキー合成の可能性はあるのか
→ 合成か?イスラム国の日本人人質動画の影がちょっとおかしいと話題に
→ イスラム国が人質の後藤氏&湯川氏動画をクロマキー合成にした理由
→ イスラム国の映像は合成!!という主張
(2) 「影の向きは不自然ではない」という反論があった。
→ 「影の向きが左右逆になる事がどうして有り得るのか」と、「影の向きが合っているのだとしたらなぜ合成っぽく見えるのか」
(3) 「人質1名が殺害された」という新たニュースが出たが、「実は2カ月前にすでに殺害されていた」という推測が出た。理由は写真の撮影時期が古いこと。
→ 湯川遥菜さんは数ヶ月前に殺されていた!
一部抜粋。
いま現地は乾季。湯川の写真には緑の草地が映っている。これは雨季の前後。【 追記 】
写真の季節がいまに合わない
=2か月ぐらい前に殺されている。
この情報は間違いらしい。シリアの雨季は 12月〜3月。
→ 出典[PDF]
──
以上の見解を見たあとで、私なりに見解を出す。
まず、人質の動画はこれ。
これを見たあとの私の判断は、こうだ。
(A)まばたき
瞬きが不自然である。
左の人質は、しきりに何度も瞬きをしているが、あり得ない。瞬きというのは、数秒おきにいっぺんやるものであって、続けて二度も瞬きするというのは、不自然だ。
右の人質は、瞬きの回数が少なすぎる。
また、どちらの人質も、瞬きの動きが高速すぎる。瞬きというのは、もっとゆっくり始まるものだ。なぜなら、加速度というものがあるので、いきなり高速に瞼を動かすことができないからだ。ところが画像では、加速度というものを無視しており、いきなり高速で瞼が動く。これは物理法則的にあり得ない。
ちなみに、他のニュース番組でアナウンサーの瞬きを見るとわかるが、次のようになっているはずだ。
・ 数秒に1回という、ほぼ規則的な間隔。
・ 瞼は最初はややゆっくり動く。(いきなり高速ではない。)
以上の点からして、この「瞬き」の動画は、合成による動画である、と推定できる。静止画を何枚か合わせて合成した動画であろう。
さらに言えば、二人とも動きが極端に少ない。このことからしても、静止画を元にした動画であると、強く推定できる。
(B)首の影
ネットでは、地面に映った胴体の影が話題になっていた。
しかしそれよりは、首の影を見るといい。
・ 左の人質は、首の影が左肩の上にある。
・ 右の人質は、首の影が右肩の上にある。
つまり、影の方向が反対である。これは原理的に言って、絶対にあり得ないことだ。
また、動画の後半では、斜め方向から撮影した画像があるが、ここでは、顔の左半分が映っていて、その左半分の影の状態が、二人の人質で異なっている。(一方は暗く、他方は明るい。)
このことからしても、二人の撮影時期は異なる、と判断できる。(つまり、合成動画だ。)
──
結論。
この二人の動画は、合成されたものである。
特に、静止画からコンピュータ上で加工されたものである可能性が高い。
《 補足 》
「静止画を加工したのではなく、動画のフレームレートを落としただけでは?」という見解が来た。(コメント欄。)
そうかもしれない。その可能性も十分にある。ただ、それにしては動画の動きがあまりにも少なすぎるので、当面は、どちらであるとも断定はせず、両論併記の形にしておきたい。
※ ま、もともと私の個人的な推測であり、科学的な実証とは違うので、真偽についてはもともと決定的なことは断定されていません。
推定。
また、実際には、2カ月ぐらい前に殺害されていた、という推定も、十分に成立する。(これまで放置されていた方が不思議だ。)
髪の毛やヒゲがあまり伸びていないことからしても、撮影時期は2カ月以上前であるだろうし、その後の新しい動画が提供されていないことからしても、二人ともすでに殺害されている可能性が高いと言える。
たぶん、お金がなくなって切羽詰まったので、古い静止画を利用して、新たに動画を作成して、金を儲けようとしているのだろう。
で、それがうまく行かないと判明したので、新たに要求を引き下げたのだろう。(金ではなくて死刑囚の釈放、というふうに。)
いずれにしても、二人はとっくに殺害されていた、と見なすのが妥当だろう。あとは、詐欺師の嘘にだまされるかどうか、という問題が残るだけだ。
[ 余談 ]
その後、一方の人質が殺害された静止画が公開された。
ここでは、「画像が動画ではなくて静止画だ」という点がポイントだろう。信憑性を高めるのであれば、合成が容易である静止画ではなく、動画を使うべきだった。数日前に公開した動画が本物であるのならば、同じ機材を使って同様に殺害の動画を公開するべきだった。その方が信憑性が高まるからだ。
なのに、そうしなかった。信憑性の低い静止画を公開しただけで、動画を公開しなかった。では、なぜ?
私は次のように推定する。
今回の静止画が動画ではなかったのは、信憑性を高める必要がなかったからだ。日本がそれを真実であると信じようが信じるまいが、どちらでも構わなかった。なぜならそれはまさしく真実の画像であるから、日本がそれを勝手に勘違いしようと、日本の責任であり、ISIS としてはどっちでも良かったからだ。「こっちは真実を示したんだ。あとは勝手にしやがれ。誤解したければ勝手に誤解しろ」というつもりだったのだろう。
要するに、信憑性を高めようという工作がなかったがゆえに、その静止画はまさしく真実の画像であると推定できるわけだ。
逆に、動画の方は、信憑性を高めようとする(下手な)工夫がいろいろと見て取れる。この点からしても、この動画はフェイクである可能性がかなり高い。特に、「後日の殺害静止画とは同一のグループが作成したのではない」ということから、「真実の静止画を撮影したのとはまったく別のグループが高度な手法で合成した」と推定できる。
以上のことから、私としては、次のように推定したい。
「動画の方を作製したのは、ISIS ではなくて、ISIS に依頼されたプロのIT業者である。中央の黒服男は、ISIS の戦闘員ではなく、IT業者によって雇用された俳優である。この動画の人物はスタジオでそれぞれ別個に撮影されたものであり、その二つの人物と背景画像とを合成してできたのが、この動画である。
二つの人物のうち、左側の人物は、照明が顔の右側から当てられているが、右側の人物は、照明が顔の左側から当てられている。このことからしても、別々に撮影された画像だとわかる。なお、顔はともかく、胴体は中央の人物といっしょに撮影されたものだろう。つまり、顔の部分だけ、胴体部分に嵌め込まれた、コラージュである。
特に、0:38 や 0:54 のあたりでは、駒落ちが見られるので、何らかの加工がなされたことは明白である。加工や編集のない画像だということはありえない。
結局、この動画は、ISIS に依頼されたプロのIT業者が作製した(合成した)ものだ、と推定できる。そして、殺害したときの静止画の方は、業者に依頼せずに、ISIS が自分で撮影したものなのだろう。
以上のように考えれば、すべては整合的に理解できる。

脱帽
>写真の季節がいまに合わない
>=2か月ぐらい前に殺されている。
シリアは、地中海性気候なので、冬に雨が降るってことを知らない人の文章だな。
もし、もっとインターバルの長い間隔の静止画を繋げたら、顔の位置が動いてガクガクした映像になるでしょう。まして、
>さらに言えば、二人とも動きが極端に少ない。このことからしても、静止画を元にした動画であると、強く推定できる。
とお書きですが、この2人が自然に動いていたとしたら、都度撮るその静止画をつなぎあわせた画像は、左右上下にガクガク動く画像になるでしょう? そこにこの推論の破綻があるように思いますが、どうでしょう。
これはかーくんご指摘のように、単にレームレートが低いだけと想像するのが極めて自然です。フレームレートを落とした画像が、ギクシャクして見えるのは頻繁に経験することです。Youtubeなどで探してみると容易に見つかります。おそらくまばたきについても、おっしゃる現象と同じように見えるものがあると推察できます。
また、首の影の位置が異なる件ですが、これも条件によっては違って見えることがありそうです。管理人さんがリンクしている
http://togetter.com/li/772457?page=2
に、Toshihide Miyataという方がtweetで実験画像とともに説明しています。この現象が起こっている可能性があり、管理人さんの「原理的に起こりえない」をすでに否定していると思います。
この映像はおそらく3Dソフトで、平行光を当てたもものをレンダリングしたのでしょう。首は円筒形で、その傾きも様々ですから、投影された影が反対方向に無いているように見えることが、いくらでも起こるという実験結果と考えるのが妥当だと思います。
この首の影については私も3Dソフトで実験してみたいと思ってます。
その件はたしかにそうかもしれないので、最後のあたりで 《 補足 》 の形で加筆しておきました。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00285314.html