ネットを見ると、「ブロンクス爆撃機」と訳す例が多い。たとえば、これ。
bombers(爆撃隊)が意味するところは、ヤンキースのホームランバッターたち、または強力打線。
( → 英辞郎 )
bombやbombard は「爆撃」とか「爆撃する」ということで、「集中打を浴びせる」意味にも使われる。
( → ベイスボール英語辞典 )
しかし、これでは意味が通らない。攻撃と爆撃とは何の関係もないからだ。
──
では、正解は?
bomber というのは明らかに、ホームランの打撃を、大砲みたいなものだと見なして、爆弾 bomb にたとえているわけだろう。
そう思って、調べてみたところ、そのものズバリが見つかった。
bomb A home run.
( → Glossary of baseball (B) - Wikipedia )
bomb は、比喩でなく、ただの慣用用法で、「ホームラン」という意味があるのだ。
とすれば、bomber 「ホームランを打つ人」のことだし、bombers は「ホームランを打つ人々」のことだ。
なるほど、爆撃機は、爆弾を落とすから、bomber と呼ばれる。爆撃機の集団は、bombers (爆撃隊)と呼ばれる。しかし、それだからといって、Bronx Bombers を「ブロンクス爆撃隊」と訳すのは、とんだ誤訳だ。
では、正しい翻訳は? こうだろう。
「ブロンクス爆発打線」
意訳するなら、
「ブロンクス大砲隊」
だろうか。というのは、日本では、ホームランバッターには「大砲」という言葉を使うのが普通だからだ。たとえば、ランディ・バースを「B砲」と呼ぶようなものだ。
(「K砲」は掛布で、「O砲」は岡田。道頓堀ボンバーズ。 (^^); )
【 追記 】
道頓堀ボンバーズ(?)は、1985年のころにあっただけだ。
同様に、ブロンクス・ボンバーズも、今は見る影もない。松井のいたころにはあったが、それは次のようなものだった。
デーモン・ジーター・カノ・ジアンビ・Aロッド・松井・シェフィールド・ポサダ。
当時は当り前に思えた、今から思えば夢のような打線。ただし、その後に薬物が判明した人もかなりいる。

(Bombersを画像検索でググると、大半爆撃機の写真が...)
単純に「爆弾」と「ホームラン」を表す'bomb'を両意で引っかけて、'Bombers'と命名したのではないでしょうか。
そこからすると、「爆撃隊」は直訳であって誤訳とは言えないと思います。
ちなみに、英語で大砲は'Gun'、砲兵隊は'artillery unit'ですので、「大砲隊」は一寸無理筋かと。
「言葉には複数の意味がある」と思う人が多いけれど、基本的には、言葉は一つの意味しかありません。それが幅広い領域で別々の形で使われますが、別々の意味として使われるのではなく、共通の一つの概念で理解されます。
「爆弾」と「ホームラン」は別々の概念ではなくて、ひとつの「爆発的なもの」という概念で理解されます。爆弾はもちろん爆発する。ホームランも同様で、打者がドカンと打ってボールを遠くに飛ばす。それは爆弾と同じ概念(つまり爆発的なもの)で理解されます。
ここで、「爆撃機」は、「爆弾を落とすもの」という意味ですから、「爆発的なもの」という概念はありません。爆撃機は、それ自体は爆発することもないし、何かを爆発させることもありません。(爆発するのは爆弾であって、爆撃機ではありません。)
したがって、ブロンクス・ボンバーズは「爆発するもの」ではあっても、爆撃機ではあり得ません。(敵を爆撃するのならともかく、自分自身が爆発するからです。)
一方、「大砲」は、「発射するもの」という概念で理解されます。だから、砲弾を発射したり、野球のボールを発射したり、……という共通の概念で、ホームランバッターを「大砲」と呼ぶことが可能です。ここでは、鉄の大砲とホームランバッターという別々の概念があるというよりは、共通する一つの概念ゆえに共通する言葉で呼ぶわけです。
それぞれの言語は、言葉の意味の文節の仕方が異なります。日本語の「青」という言葉と、英語の「青」という言葉は、意味する領域が微妙にズレています。同様に、「爆撃隊」「 bombers 」という言葉も、意味する領域がズレています。「爆撃隊」「 bombers 」には、共通する領域もありますが、共通しない領域もあります。ブロンクス・ボンバーズは、英語の「 bombers 」の領域には入りますが、日本語の「爆撃隊」の領域(広義の領域)には入りません。
一方、ホームランバッターは、日本語の「大砲」の領域(広義の領域)に入ります。
ここでは、「言葉の広い領域に入るかどうか」が問題になっています。「二つの異なる語義の一方を取る」というようなことではありません。語義というものは、複数のものが別々に並立しているのではなくて、共通する一つの基本概念が、さまざまな文脈で微妙にズレながら適用されるものです。あるときには軍事の領域で。あるときには野球の領域で。……領域が異なると、具体的な意味内容(狭義の意味内容)はズレますが、基本的概念が変わるわけではありません。
ボンバーズではなく「ボマー」です。
この間違いは日本に蔓延していますが、英米人は絶対にボンバーズなどとは発音しませんよ。
次に意味の問題ですが
> では、正解は?
bomber というのは明らかに、ホームランの打撃を、大砲みたいなものだと見なして、爆弾 bomb にたとえているわけだろう。
「大砲みたいなもの」を「爆弾」と呼ぶのはあまりに乱暴では?
両者はかなり違いますよ。英語でも日本語でもそれぞれ全く別の単語が割り当てられていますし。
次に
> bomb は、比喩でなく、ただの慣用用法で、「ホームラン」という意味があるのだ。
「ボム」が「ホームラン」の意味になるのは、慣用用法ではないと思いますが。
野球の試合におけるホームランが、「爆弾」のように一気に試合のけりをつける(ことがある)
つまり、「一発で破壊する、一発でやっつける」という意味・イメージから
ホームランを「ボム」と呼ぶようになったのではないかと想像します。
この場合、ボム=「爆弾 または爆弾のようなもの」という言葉の原義からは全くと言っていいほど、離れていません。
つまり、これですんなりと説明できるわけです。
「慣用」など持ち出さなくとも。
で、「ボマーズ」は「爆弾を落とす者たち」であり、つまりは爆撃隊だったり爆撃機(複数)だったりします。
あくまでも敵に爆弾を落とす側であって、自分は爆発はしませんよ。
それから日本語でホームランバッターを「大砲」と呼ぶのは、日本語内部の話であって、英語とは全く関係ないでしょう。
日本人はホームランを大砲にたとえ、アメリカ人は爆弾にたとえた。それだけの話です。
STAP細胞問題について何か書いてるかなと覗きに来たのですが、こっちの方に引っかかってしまいました。
ではこれにて失礼いたします。
それは誤読でしょ。私はそんなことは書いていません。曲解過ぎ。
> 野球の試合におけるホームランが、「爆弾」のように一気に試合のけりをつける(ことがある)
それは、野球音痴過ぎる発想です。ホームランは一気に試合のけりをつけるとは言えないし、一気に試合のけりをつけるのはホームランでなくヒットであるのが普通です。だからこそ「勝利打点」という概念がホームランとは別にある。
また、一気に試合のけりをつけるという概念は、日本語では「サヨナラ」であり、英語では「 walk off 」です。これは爆弾とはまったくイメージが異なりますね。
英語(米語)の野球用語を日本語の野球用語に訳するわけですから、「大砲隊」で意味もニュアンスも伝わるように思います。野球ファンでない人にも伝えたいのなら、「爆発打線」の方がわかりやすいでしょう。
ただし、この「大砲隊」の撃つ「大砲の玉」は野球のボールのことですから、「爆撃隊」の落とす「爆弾」とは直接は関係ないと思います。
"Yankees bomb" で検索してみれば、"Yankees bomb Angels", "Yankees bomb Beckett" などの見出しがいくらでも見つかります。
「自分自身が爆発する」のだったら "bomb" は自動詞として用いられるはずで、上記のような用法はありえません。
このような場合は、「ベイスボール英語辞典」にあるように
> bombやbombard は「爆撃」とか「爆撃する」ということで、「集中打を浴びせる」意味にも使われる。
と解釈するのが自然であり(もう少し丁寧に訳せば、「"bomb"を用いて激しく攻撃する」といったところでしょうか)、"bomber"も「爆撃機」と訳して差し支えないでしょう。
少なくとも「とんだ誤訳だ」とまでは言えません。
でもね。「爆撃機」の「機」は,飛行機のことでしょ? で、爆撃機は空を飛ぶけど、打線は空を飛ばない。空から爆撃するんじゃなくて、地上から攻撃する。だったら、砲撃の方が近いでしょ?
bombard は、「砲撃する、爆撃する」というふうに辞書にあります。
ここでは、砲撃の方が妥当ですね。
1.(transitive, intransitive) To attack using one or more bombs; to bombard.
bombardと同義ととってよさげ。
〜する者の接尾辞 -er をつけてbomberとすれば、
bombする者≒bombardする者=砲撃する者、
複数形で砲撃隊にたどり着けそうですね。
あとは、余談とチャチャですが
Wikipediaのヤンキースの項(英語)に以下がありました。bombersが(ランナーを溜めての)ホームランをイメージしているようですね。
George Steinbrenner announced his plan to transform the Yankees from the Bronx Bombers into the "Bronx Burners", increasing the Yankees' ability to win games based on speed and defense[31] instead of "waiting around for a 3 run home run".
>ブロンクス・ボンバーズは「爆発するもの」ではあっても、爆撃機ではあり得ません。(敵を爆撃するのならともかく、自分自身が爆発するからです。)
自分自身が爆発しちゃったら a suicide bomber (いわゆる自爆テロ)ですよん。
このa (suicide) bomberは爆撃機ではなく、爆弾を作って仕掛けて爆発させるヒトのこと。
ユナボマーの用例に即して言えば爆弾魔ですが、ユナボマーと自爆テロをひっくるめた概念に対応する日本語はなさそう。
「爆発する」は、比喩的用法で、「大砲の爆発」のイメージです。
「打線が爆発する」というのは、普通の表現です。お間違えなく。