本項は、すでに述べたこととダブるので、簡単に示そう。
朝日たたきの本質は、次の (1)(2) の二点だ。
(1) 本質は社会的バッシング
朝日たたきの本質は、「こいつをたたいてやれ」という世間的なブームだ。似た例として、イラク人質事件や、STAP細胞事件での、社会的バッシングがあった。
→ 社会的バッシング(STAP)
ここでは、バッシングの理由は、社会の方にある。ここを勘違いしないようにしよう。
多くの人は、「朝日が誤報したから、朝日を咎める」と思って、「朝日をたたくのは正しい」と思っている。しかしそれは間違いだ。人々が朝日をたたくのは、人々が朝日をたたきたいからだ。原因は、朝日ではなく、人々の方にある。朝日はただ、口実を与えただけだ。
誤報そのものが問題ではないことは、他社がいっぱい誤報していることからもわかる。
・ 読売の小渕官房長官の誤報
・ 日経の「 NTT が iPhone を扱う」という誤報(数年前)
・ 政府や読売の「イラクの大量破壊兵器」
・ 産経の科学関係の虚報 (永久機関の実現とか)
・ その他マスコミ各社の大量の誤報
誤報ならばどのマスコミもやっている。それは、「人は誰しもミスをすることがある」というのと同じだ。あなただって仕事上で、何度かミスをしたことがあるはずだ。しかし、だからといって、日本中からものすごいバッシングを受けるいわれはない。
STAP細胞事件でもそうだが、人の犯した些細なミスに対して、日本中でバッシングするとしたら、それは、バッシングする人々の方が異常であるからだ。ミスをした人には責任はない。日本中には、ミスをした人が、ものすごくたくさんいる。そのなかで、たまたま餌食になった人だけが、ひどいバッシングを受ける。
この社会的バッシングという狂騒こそ、今回の騒動の本質なのだ。
(2) バッシングと貧困化
ではなぜ、バッシングが起こるのか? 社会心理学的に私の推察を示せば、こうだ。
「不況のせいで人々は貧困化している。そのせいで、自らの利益ばかりを重視するエゴ体質になる。エゴ体質は、利己的体質であり、『利己的行動は善だ』と見なす保守的体質でもある。(個人のエゴが社会を改善する、という認識。)……かくて、社会が貧困化すると、人々のエゴが増長し、人々は保守化する。すると、その保守性を脅かす相手を、憎むようになる」
保守派の人々は、エゴ体質の人々であり、自分の富を死守しようとする。そのせいで、福祉などの形で「貧しい人々に優しく」というリベラルの政策を憎むようになる。
「オレの払った税金で、生活保護世帯や老人世帯が甘い汁を吸うのはけしからん! 許せない! 福祉を重視するリベラルな朝日は、特に許せない!」
こう思うようになるのだ。つまり、「不況ゆえに貧しい」という状況のせいで、人々はリベラルに対して攻撃的になるのである。
逆に、社会が豊かであれば、人々は他人に対して優しくなる。実際、日本で社会福祉が大幅に推進されたのは、バブル期だった。
バブル期以降では、ことさら社会福祉を推進することはなかった。それどころか、高額所得者への減税などが推進された。不況の時ほど、金持ち優遇の政策が取られた。奇妙なことだが、人々は貧しくなればなるほど、金持ちを優遇する政策[保守派政策]を好むようになったのだ。
バブル期の日本と似た例として、現在のスウェーデンもある。スウェーデンでは、保守派が「減税」という政策を取ったが、そのせいで福祉が切り捨てられる傾向があったので、14日の選挙では、「増税と福祉向上」を唱えた野党が政権を握り、与野党交替が起こった。
→ スウェーデン、政権交代で高福祉回帰(日経 2014-09-16)
こういうことが可能なのは、スウェーデンが経済的には成功しているからだ。長年の不況や景気低迷に悩む日本や南欧とは違って、スウェーデン経済は好調である。だからこそ、「自分がつらいから他人を攻撃しよう」と思うかわりに、「みんなで仲良く助け合って生きよう」と思うのだ。
ともあれ、社会的バッシングが起こるのは、「あいつらを傷つけてやろう」と思っている人々自身が傷ついているからだ。(経済的に)
そのことは、社会的バッシングを「社会的なイジメ」と理解することで、いっそうよくわかる。学校にいるいじめっ子というのは、たいてい、家庭環境がひどい状況にある。
・ 両親が離婚して、母子家庭
・ 父親が浮気して、両親が喧嘩状態( or 別居)
こういう家庭であれば、子供は傷つく。そうなると、傷ついた自分の心を抑えがたくなり、他人を傷つけたくなる。それがイジメだ。
そして、それと同様のことが社会的な規模で起こった現象が、社会的バッシングだ。
・ いじめっ子は母子家庭であるせいで貧しくなる
・ ネトウヨはニートなどであるせいで貧しくなる
こういう状況の下で、傷ついた者が、いっそう弱い立場にあるものをいじめたがる。……そういう形で、STAP細胞事件や朝日騒動という形の社会的バッシングが起こった。
その理由は、あくまで、攻撃する側にあるのだ。攻撃する側の心が(貧しさゆえに)傷ついているから、どうしても他人を攻撃したくなってしまうのだ。
ちなみに、産経新聞が朝日を攻撃するのは、産経新聞の社員の給料が安いからだろう。(一方、朝日は高給取りだ。) また、読売や週刊文春もまた、同様の傾向があるようだ。
以上のように、社会心理的に「攻撃」「バッシング」の根源が推定できる。
[ 付記 ]
週刊文春は、「朝日新聞出版はライバル社の『極秘資料』を盗んでいた」という記事を書いた。
→ 他社の資料巡る文春の記事、朝日新聞出版が経緯説明
読めばわかるように、朝日に途中入社した人が、前の職場の資料を流用した、ということだ。とすれば、「朝日が盗んだ」という報道は、週刊文春の誤報だろう。なぜなら、その資料が他社の資料であることを、朝日は知らなかったからだ。ここでは、知らなかったのだから、朝日には悪意がない。「盗もう」という意図すらない。(他社のものだったことをもともと知らないからだ。)
なのに、「盗んだ」というふうに報道した週刊文春は、誤報をしたことになる。なぜなら、「盗んだ」という言葉には「意図的に盗んだ」という意味合いがあるからだ。
現実には、これは、違法行為であるとしても、せいぜい「無断使用」という程度のことであり、意図的な「盗み」とはまったく異なる。なのに、これを「盗んだ」と表現して、意図的にやったかのごとく報道した週刊文春は、誤報をしたことになる。
( ※ それはちょうど、命令に反する行動を取った福島原発の所員について、「意図的に命令違反をした」というふうに表現した朝日の誤報と、同様である。意図でではない行為をあえて意図的であるように報道した、というニュアンスの誤報があった。それと同様の誤報を、週刊文春はやっていることになる。)
結局、朝日が「誤報した」とバッシングを受けるのであれば、週刊文春もまた「誤報した」とバッシングを受けるべきだろう。
ところが、たいていの人々(特に保守派の人々)は、週刊文春を批判しない。なぜか? 彼らは単に、たたきたい相手をたたくだけだからだ。
朝日については、たたきたい相手だから、たたく。週刊文春は、については、たたきたくない相手だから、たたかない。……それだけの違いだ。そこでは決して、「誤報したか否か」という点は問題にはならないのだ。本質はあくまで、「たたきたい相手をたたく」ということだけだ。
「朝日は誤報したからたたかれる」
と思っている人々は、大いなる錯覚をしていることになる。彼らはおおむね、読売と安倍に洗脳されているのだろう。
( ※ なお、もっと明白な箇所もある。上記の記事を見ればわかるように、「資料を盗んだ朝日を刑事告訴」という週刊文春の記事は、まったくの誤報だった。ここにも明々白々たる誤報がある。しかし、やらかしたのが朝日ではないという理由で、人々は誤報をまったく咎めない。)
【 関連サイト 】
「朝日たたき」で検索すると、いくつかのサイトが見つかる。
→ 朝日叩き、かすむ本質 政府の姿勢も検証不可欠
→ 朝日新聞叩きで紙メディア全体の信用が失われている
→ 「朝日叩き」が安易な「ナショナリズム」につながるのは気持ち悪い
→ 朝日「誤報」で日本が「誤解」されたという誤解
→ 朝日謝罪会見でハシャぐ読売、産経の“トンデモ誤報”集
ローレンツ「攻撃 ― 悪の自然誌」
同書の解説。
動物行動学者のローレンツは「つつき行動」というものがあることを発見した。家畜のニワトリで、強いニワトリは弱いニワトリをつつき、弱いニワトリはさらに弱いニワトリをつつく。最も弱いニワトリはつつく対象がいないので、地面をつつく。
( → 子どものいじめと、家畜の人間への攻撃行動の、相似 )

管理人さんは、無能で働き者の朝日記者が無能ゆえに誤読した、悪意はない、っていうお立場でしたっけ?
このサイトの内容、いいですね。
慰安婦問題を現在の日本の名誉の問題と考えること自体が間違い、という意見には強く同意します。
いいえ。無能であろうとなかろうと、ミスは誰でも犯します。ミスをしない人間はいない、というのが私の立場です。(神様じゃあるまいし。)
より根源的には、私の立場は、「政府が必要な情報を隠蔽したのが根源だ」となります。
隠蔽した政府に対して、「有能な朝日の記者が見事に調書をスクープした」という功績があります。ただし、その際、ミスが生じた。そのとき、ミスばかりに着目して、スクープしたという点を無視することで、話をすり替えたのが、保守系のマスコミです。
要するに、話のすり替えで詐欺的にだましているのが保守系のマスコミ。それにだまされる形で詐欺師に引っかかったのがネトウヨ。
比喩的に言うと、日比谷公園で10円カレーというのがふるまわれるというので、行ってみたら、たしかに10円でおいしい。だけど、水と福神漬けが付いていなかった。大きなプラス点はあったが、わずかなマイナス点があった。そこで「水と福神漬けが付いていないぞ! 最悪だ! 史上最悪のカレーだ」と不平を垂らしているのがネトウヨ。それに乗じて、大々的に攻撃しているのが、ライバルのカレー屋。
──
なお、
「朝日記者が悪意を持って調書に沿わない記事を捏造し」
というのは、馬鹿馬鹿しすぎる。朝日が下らない悪意をもつ必要がない。
「朝日は日本を貶めるために捏造報道をしている」
こんなことを信じるのは、よほどのアホだけだろう。アホに向けて洗脳工作をしているのが、保守系マスコミ。それにあっさり引っかかるアホが、ネトウヨ。彼らこそ、朝日に対する悪意の塊だろう。
そういう状況を見て高笑いしているのが、韓国人。「日本人は馬鹿ばっかりだな」と高笑い。「おれたちがさんざん文句を言った効果で、保守派は韓国でなく日本人を攻撃している。仲間同士で攻撃し合っている。いい気味だ。ざまあみろ。作戦成功! 万歳!」
韓国人を喜ばせるために日本人を攻撃しているのが保守派だ。国益を損ねている最悪の阿呆。
それにしても、今のネットはひどすぎる。韓国でも「すべては日本が悪い」と決めつけているアホが多いので、ひどいものだと呆れていたが、日本でも、「すべては朝日が悪い」と決めつけるアホが氾濫している。
日本はとうとう、韓国レベルにまで落ちてしまった。情けない。日本と韓国は、世界の笑いもの。似た者同士。どっちもネトウヨが氾濫している。
この逆のことを確信犯的に続けてきたのが朝日なんですけどね。(笑)
だから目糞鼻糞なわけです。
この程度のバッシングは、これまでの所業からすれば、
屁でもないでしょう。
朝日の業績が大きく落ち込むようなことにでもなれば、
少し考えてもいいですけど。
というより、朝日以外はすべて政府の腰巾着だから、朝日だけが目立ったということでしょう。
あとは、朝日さえいなくなれば、日本もプーチン体制と同様(反対派は一掃された状態)になりますから、そうしたい人が多いんでしょう。
あなたもそう思っているんでしょ? 「自由民主主義や言論の自由なんてクソ食らえ」と。
昔の人は「板垣死すとも自由は死せず」とか、「私はきみの意見には反対だが、きみの意見を言う自由は命を賭けて守る」と言ったが、今の日本は正反対。
文明開化した明治時代と違って、今は原住民の時代ですからね。弥生時代かな。
> 朝日の業績が大きく落ち込むようなことにでもなれば、
大きく落ち込ませる必要はないですよ。「髪の毛を一本抜いてもハゲにはならない」という理由で、毎秒1本ずつ抜いていくだけでいい。少しずつ落ち込ませて、気づかないうちに兵糧攻めするのが、保守派の狙いです。
とんでもない!
目糞鼻糞と言っているじゃありませんか。
朝日も毎日も赤旗も否定しませんし、読売や産経も
それほど信用もしていません。
自由に意見を発し、自由にそれを批判できる社会は
素晴らしいと思っているだけです。
時に過剰に振れたとしてもその事象を批判する意見も
また自由に発信されるということです。
> 素晴らしいと思っているだけです。
だったら、今の日本じゃダメですね。
今の日本では、朝日批判しか容認されないようですから。
ちょっと前だと、STAP批判ばかりだったし。
その前は民主党批判・菅直人批判。
いつも誰かをバッシングしている。
しかもそのすべては嘘。
みんなで「王様は裸だ」と嘘をつくことが強要されて、真実を語ることは許されない。それが日本。
なぜ小保方氏だけが不正になるのですか。
理研が小保方氏への社会的バッシングに迎合したから?
意味がよくわからないけど、国民の狂気を憂えている人は、日本を愛する人たちですよ。愛と優しさがいっぱい。平和が好きな人たち。
逆に、朝日を攻撃する人は、憎しみがいっぱい満ちています。朝日への憎しみに駆られたあげく、中国・韓国を利することで日本を傷つけていることに気づかない。憎しみが先。……たいていの戦争と同様です。