川内原発の再稼働にゴーサインが出た。規制委が[安全性を確認した]というのが理由だ。
原子力規制委員会は16日の定例会合で、九州電力川内(せんだい)原子力発電所1、2号機(鹿児島県)の安全対策が新規制基準に「適合している」とする審査書案を了承した。
( → 読売新聞 2014年07月16日 )
想定する地震の最大の揺れ「基準地震動」は、活断層の知られていない場所で起きた過去の地震を新たに考慮に加え、従来の 540ガル(ガルは加速度の単位)から 620ガルに、想定する最大の津波の高さ「基準津波」も約4メートルから約6メートルに引き上げたことをいずれも妥当とした。
( → 毎日新聞 2014年07月16日 )
報告の内容は、読売新聞・夕刊 2014-07-16 に詳しい。きちんと読むと、いろいろと情報が記してあるが、「大甘の評価基準で、危険なものを安全だと評価している」とわかる。(一種の捏造である。「危険」を「安全」と見せかけている。嘘つき。……どうせ素人にはバレないと思って、見え見えの嘘をつく。)
以下では具体的に指摘しよう。
(1) 揺れ 620ガル
620ガルの揺れを想定しているということだが、低すぎる。この件は、すでに関電の大飯原発のときに「ダメだ」という地裁判決が出ている。本サイトでも論じた。
→ 大飯原発再稼働の地裁判決
大飯原発では 700ガルに耐えられるというが、1260ガルを越えることもあるのだから、700ガルぐらいの耐震性ではダメだ、という判決だ。
上記リンクの項目でも示したように、過去の地震ではもっと大きな数値のガルが記録されている。一部再掲しよう。
阪神淡路大震災の引き金となった1995年の地震(マグニチュード=M=7.3)で計測された最大加速度は891ガル、2000年の鳥取県西部地震(M7.3)では同1482ガルだった。03年宮城県北部地震(M6.4)は2037ガル、07年新潟県中越沖地震(M6.8)が国内観測史上最大の2515ガル、08年岩手・宮城内陸地震(M7.2)はそれを軽々と上回った。2011年の東北地方太平洋沖地震(M9.0)は2933ガルを示している。
こういう数値なのだから、620ガルで合格だと見なす報告書は、あまりにも大甘なのである。
これは、「危険」であるものを「安全」と示す、という点で、「捏造」とも言えるぐらいだ。( STAP細胞の比ではない。大量の人命を危険にさらす、ウルトラ級の捏造だ。どうせ騒ぐのなら、こっちで騒げ。)
(2) 津波 6メートル
6メートルという数値もあやふやだ。2000ガルを越えることもある地震を 620ガルと評価するぐらいだから、津波 6メートルいう予測も、最大予測値の3分の1ぐらいに低く見積もられている可能性がある。(断言はしないが。)
ただ、それはそれとして、もっと問題がある。防潮堤があまりにも薄っぺらなことだ。本来ならば、土手のように壊れないものにするべきなのに、薄っぺらな壁だけで防潮堤を作っているようだ。その証拠は、衛星写真だ。
どう見ても、薄っぺらな壁しか存在しないようだ。これはちょうど、浜岡原発と同様である。
→ ぺラペラのおもちゃみたいなもの (防潮堤の画像あり)
→ 浜岡原発の防潮堤 (防潮堤の画像あり)
→ 中部電力が公開した浜岡原発の防潮堤 (画像)
《 訂正 》 防潮堤は薄っぺらなのではなくて、皆無でした。
項末のあたり(後半部)の 【 追記 】 を参照。
こんな薄っぺらな防潮堤で、巨大な津波に耐えきれるか? 津波が単に「水位が上がる潮」にすぎないのであれば、耐上部だろう。しかし実際には、津波は高速で押し寄せて、堤防に衝突して、衝撃波を与える。
衝突によってものすごい炊煙を上げることもある。まるで巨大爆弾だ。
このような衝撃を受けて、防潮堤が耐えられるか? もちろん、耐えられない。釜石の湾口の防潮堤は、巨大なコンクリの塊が破壊された。以前は直線状に連なっていたものが、今では分断された残骸が残っているだけだ。
湾口だけでなく、陸上でも同様である。そのことは、田老地区の防潮堤で明らかだ。この件は、前に述べた。
→ 田老地区の防潮堤と津波
→ 防潮堤が破壊されたわけ
陸上の巨大なコンクリの塊でさえ、あっけなく破壊される。なのに、薄っぺらなコンクリの防潮堤ぐらいで、耐えられるはずがない。そもそも、衝撃によって倒壊してしまう可能性がある。この件は、下記で述べた。(浜岡原発の防潮堤が薄っぺらで倒れる、という話。)
→ 大飯原発再稼働の地裁判決 [ 付記2 ]
→ 浜岡の防潮堤(改良案)
──
結論。
川内原発を安全だと見なした上で「再稼働OK」という報告は、危険なものを安全だというふうに偽っている捏造報告だ。その具体的な捏造箇所は、ガルの数値と、防潮堤だ。どちらも何の効果もないに等しい。
嘘八百の詐欺報告書。
[ 付記 ]
じゃ、どうすればいいか? 「原発は永遠に停止」か? いや、そうは思わない。
第1に、ガルや防潮堤という発想がダメだ。そんなことをやっても、耐えられるはずがないのだ。だから、「耐えられるようにする」という発想そのものを捨てるべきだ。(自然の力は巨大すぎて、対抗できないのだ。)
第2に、自然の力によって原発が破壊されることは十分にある、と理解するべきだ。
第3に、原発が破壊されてもそれでも危険でないような対策を取るべきだ。つまり、「フェイルセーフ」である。これこそが取るべき方針だ。
では、具体的には? 「水棺」である。これこそが最後のフェイルセーフとなる。これを取った場合のみ、再稼働は可能となる。
この件は、前に何度も述べたので、そちらを参照のこと。
→ サイト内検索
【 追記 】
衛星画像では「薄っぺらな防潮堤」と述べたが、実は、薄っぺらな防潮堤(防潮壁)さえもない、というのが事実だとわかった。
読売新聞・朝刊 2014-07-17 に、概観図がある。それはネット上では見られないが、かわりに、似た写真が見つかる。
→ 川内原発 の写真
要するに、原発全体を囲む防潮堤はない。海岸線には防潮堤は存在しない。かわりに、海水ポンプを囲む部分にだけ、防護壁がある。下記に画像がある。
原子炉冷却用の海水をくみ上げるポンプ設備の周囲に設置した津波防護壁(高さ10メートル、総延長70メートル)や、海沿いの防護堤(高さ3メートル、総延長300メートル)
( → 読売新聞 2014年07月08日 )
2014-07-17 の記事を読めばわかるが、この防護壁は、それはコンクリートの厚いブロックを組み合わせた厚い防護壁である。しかるに、ブロックを組み合わせた厚い防護壁というものは、その隙間に水が入るせいで、ブロックが海水の浮力を受けてぐらついてしまって、容易に崩壊する。このことは、田老地区の防潮堤が壊れたことが先例となっている。
→ 防潮堤が破壊されたわけ
川内原発は、その教訓に学んでいない、と言える。いや、まったく学んでいないわけではなくて、防潮堤の片面(右側の青っぽい面)を鉄板で覆っているので、いくらかは改善している。しかし、他の面(左側の灰色っぽい面)は、コンクリが剥き出しだ。これでは、ブロックが海水の浮力を受けてぐらついてしまって、容易に崩壊する。
また、記事を読めばわかるが、緊急時のための発電用の発電車(トラック)というのも用意されているのだが、それらは、高台に避難しているわけではない。とすると、津波が来たら、これらの発電車はすべて水没してしまうだろう。いったいなんのためにこれらの発電車を用意しているのか、わけがわからないという状況になっている。
とにかくまあ、どこからどこまで、手抜きである。形だけ「対策をしました」というだけで、実効性はないものばかり。すべては「張り子の虎」みたいなものだ。形はあるが、効果はない。
これらはすべて「規制委をだますため」にあるとしか思えない。「対策はしました」というポーズだけ取る。だから、形だけ。実効性はなし。……ま、捏造みたいなものだ。これで規制をだまし、国民をだますわけだ。
ひどいものだ。
【 関連サイト 】
ちょっとググってみたら、池田信夫が面白いことを言っていた。ピエロみたい。
基準地震動を超える地震が来た5回のうち、地震で破壊された原発は1基もない。
判決は「大飯原発には1260ガルを超える地震は来ないとの確実な科学的根拠に基づく想定は本来的に不可能である」というが、もちろん不可能である。そんな巨大地震が来たら、福井市が全壊して裁判官が死ぬ可能性もゼロではない。そんな論理的可能性を心配していたら、日本中どこにも人は住めない。だから現実的なリスクを安全基準で定めているのだ。田舎の裁判所が、勝手に安全基準を変えることはできない。
( → 池田信夫 blog : 大飯原発についての幼稚な判決 2014年05月22日 )
勘違いを指摘しておこう。
(i)ガルが問題なのは、「その揺れによって原発が破壊されること」ではない。「細管(配管)が破断すること」ことだる。揺れが直接に原発を破壊するのではなくて、揺れは細管(配管)が破断するだけだ。その後、破断を契機として、原発の全体がメルトダウンに至る。
福島だって、いきなりメルトダウンが起こったのではない。停電を契機としたトラブルが引き金となった。
なのに、「地震で破壊された原発は1基もない」というような発想は、原発事故の原理をまともに理解できていないことになる。
(ii)「そんな巨大地震が来たら、福井市が全壊して裁判官が死ぬ可能性もゼロではない。そんな論理的可能性を心配していたら、日本中どこにも人は住めない。」
とのことだが、アホは言わないでほしい。すでに 700ガルを上回る大きな揺れはあちこちで起こっているのだ。再掲しよう。
阪神淡路大震災の引き金となった1995年の地震(マグニチュード=M=7.3)で計測された最大加速度は891ガル、2000年の鳥取県西部地震(M7.3)では同1482ガルだった。03年宮城県北部地震(M6.4)は2037ガル、07年新潟県中越沖地震(M6.8)が国内観測史上最大の2515ガル、08年岩手・宮城内陸地震(M7.2)はそれを軽々と上回った。2011年の東北地方太平洋沖地震(M9.0)は2933ガルを示している。
このくらいの数値は容易に起こる。しかし、だからといってそれらの地域に人が住めないということはない。
池田信夫は、700ガルを「大地がぶっ壊れるような大地震」だと勘違いしているのだろうが、実際には、700ガルなんて、たいした数値ではないのだ。この件は、前に下記項目で述べた。
→ 浜岡原発は停止へ(菅直人)
そのリンクに、次の二つがある。
→ ガルと震度の対応表1
→ ガルと震度の対応表2
この両者を見ると、700ガルは、震度6または7ぐらいに相当するようだ。
一方、関東大震災では、神奈川県のほぼ全域が震度6または7ぐらいになった。東京の下町のあたりもそうだ。
→ 関東大震災
これらの土地に人は住めないのだろうか? まさか。
700ガルぐらいの数値は、決して珍しくはないのだ。それは過去に何度もあった数値だし、将来的にも何度もある数値なのだ。ゆえに、「そのくらいの数値になることは十分にあるだろう」と考えるべきだし、「川内原発が破壊されることは十分にあるだろう」と考えるべきなのだ。
大切なのは、「原発が破壊されることはない」というふうに嘘をつくことではなくて、「たとえ原発が破壊されても安全であるようにフェイルセーフの仕組みを作ること」なのである。
そして、そのためには、「危険」を「安全」と偽るような捏造をしてはならないのだ。
原子炉冷却用の海水をくみ上げるポンプ設備の周囲に設置した津波防護壁(高さ10メートル、総延長70メートル)や、海沿いの防護堤(高さ3メートル、総延長300メートル) 
タイムスタンプは 下記 ↓
地下にあったのが原因とほぼ断定されています。
原発が壊れて使えなくなっても、放射能漏れが
無ければ廃止する必要は無いはずです。
もちろん無くても問題が無ければ無いほうがいいんですけど。