2013年11月29日

◆ 読売新聞本社ビルに自家発電は?

 読売新聞本社ビルは、地震対策をしてあるそうだが、自家発電はあるか? ない。 ──

 読売新聞本社ビル(新社屋)が竣工した。首相も式典に出席した。
  → 読売新聞東京本社ビル竣工式典に首相ら900人
  → あいさつする安倍総理

 このビルは、地震に備えての制振構造を自慢している。
 2011年8月に着工、大災害時でも新聞発行が続けられるように最新の制振構造とし、全館停電を防ぐために2系統の電気配線を張り巡らせた。
 東日本大震災の教訓から、長周期地震動への対策を講じ、千代田区とは帰宅困難者が出た際の受け入れ協定を結んだ。
 よみうり大手町ホールと小ホールの二つのホール、新聞記者体験ができる見学施設のニュースラボ、読売クリニック(診療所)を設け、使用電力が少ない発光ダイオード(LED)照明の採用、低層部屋上やビル周辺の緑化など環境・省エネルギーにも配慮した。
( → 2013年11月28日 読売新聞

 まさしく大震災のすぐあと(電力不足の最中)に着工されただけあって、制振構造・省エネを取り入れている。

 ──

 問題は、自家発電だ。自家発電はあるのか? ネットで検索してみたところ、その情報は皆無だ。つまり、自家発電装置はないらしい。
 念のため、紙の新聞を見ると、「新社屋完成」という宣伝記事が中央あたりの1面全部を使って宣伝してあるが、その面の隣の面に、担当した建設会社の全面広告もある。そこには、「地区における省エネ・耐震」という話(アイデア)もあって、「自家発電装置のあるビルの区域」という構想が示してある。
 この構想では、自家発電はビル内にあるのではなく、地区の一区画に集中的に配置されているらしい。しかし、これでは駄目だろう。

 自家発電というのは、単に発電機を付けるだけなら、簡単だ。ただしそれでは、熱効率が悪い。
 熱効率を良くするには、熱電併給(コジェネ)によって、熱と電気を両方とも利用することが必要だ。それによって総合的な熱効率が高まる。そして、ここで熱効率が高くなる理由は、「無駄に捨てられていた熱が湯として利用されること」である。
 つまり、熱電併給(コジェネ)によって、大量の湯を利用吸うことが、効率アップのポイントだ。とすれば、そのためには、大量の熱を利用する用途がなくてはならない。
 では、その用途はあるか? 人のたくさんいるビルならば、ある。暖房に使うこともできるし、給湯に使うこともできる。温水プールという手もある。機械の洗浄に使うという手もある。
 一方、地区の一区画に発電機を置いても、そこで生じた湯を別のビルに移動させるとしたら、その過程で熱が逃げてしまう。つまり、無駄。
 だから、熱電併給をするとしたら、発電機は、湯の利用場所と同じビルであることが必要だ。

 読売の新社屋は、そうなっているか? なっていないようだ。つまり、熱電併給は、ビル内にはない。ビル外にはあるのかもしれないが、あったとしても効率が低い。(しかも、ビル街にもない、という可能性が高い。地区一体の再開発ではないからだ。)

 ──

 結論。

 読売新聞社は、東日本大震災のあとで、耐震性と省エネの高いビルを建設した。そこでは「地震のときでも新聞を発行できる」ということを狙いとした。
 しかし実際には、その狙いは達成できそうにない。というのは、自家発電機がないからだ。電気が止まれば、新聞発行も止まる。間抜け。
 今からでも遅くはないから、なるべく近い場所に、自家発電機を設置するべきだろう。(ただしその場合、熱電併給で熱効率を高めることは、ちょっと難しそうだが。)



 【 関連サイト 】

 ビルの画像は、下記。
  → 画像 1
  → 画像 2
  → 画像 3
  → 画像 4
posted by 管理人 at 20:21 | Comment(6) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
陸の孤島になるような場所に、本社を構えることが
大地震の対応になっていないことに気づくべきだ
Posted by stranger at 2013年11月30日 05:21
こんにちは。

確かにその通りだと思いますが、震災のとき、どうやって燃料を手に入れればいいか、という問題もあるんですよね。

たとえば、札幌の医科大学では、発電時の蒸気利用(省エネ)+売電も兼ねてコジェネシステムを導入しましたが、燃料が都市ガスによるものなんです。

大地震では、ガスは真っ先に止まり、しかも復旧にはもっとも時間がかかります。

ある程度の大口契約かつ病院ですから、優先的に修繕してはもらえるでしょうが、それでも、やはり復旧までの時間は嵩むと思われます。

ですので、ある程度の液体燃料をプールするか、液化ガスを貯蔵する(むろん地震に耐えうるもの)必要があるでしょう。

医科大はともかく、そこまで見越して作るとなると、さすがにコストが大変だと思うのですが、先生は、省エネと両立させるような、何かいいアイディアはありませんか?
Posted by Kuri at 2013年11月30日 09:40
> 大地震では、ガスは真っ先に止まり、しかも復旧にはもっとも時間がかかります。

 なるほど。その問題がありますね。失念していました。そのことがあるなら、ガスによる自家発電は震災対策になりませんね。

 そこで考えると……
 対策は、二本立てかな。
  ・ 通常はガスによるコジェネ。
  ・ 震災対策はディーゼルで、燃料は5日分。

 これで何とかなりそうだ。震災対策用の電源は、非常用電源で、必要最小限の箇所にしか行かないようにする。どこかの集中制御室みたいなところで、配電盤を制御することになる。ビル建設のときに、電源の回線を独立させることが必要となるだろう。(照明とIT用と印刷用の電源だけが[交替で]生きて、空調用の電源は死ぬ。)

 あとは、ガソリンスタンドに小型発電機を設置することぐらいか。
  → http://openblog.meblog.biz/article/19694622.html
Posted by 管理人 at 2013年11月30日 10:28
もっといいものが見つかった。燃料電池だ。その燃料は、灯油やアルコールが使えるそうだ。
 → http://j.mp/IwNsuR
 → http://j.mp/18t6EX4
Posted by 管理人 at 2013年11月30日 11:32
> もっといいものが見つかった。燃料電池だ。その燃料は、灯油やアルコールが使えるそうだ。

おおっ! このような方法があろうとは!!

これなら、省エネと災害時の非常電源と、低コストのすべてを達成できそうですね!

うまくすれば、一般家庭にも導入できるかも知れません……最初はマンションや工場、ビル、病院などでの使用から始まるのでしょうが、社会にもっと普及してもいい技術だと思います^^

それにしても、唐突なご質問で恐縮だったのですが、真摯な対応。 ありがとうございますm(_ _)m
Posted by Kuri at 2013年12月01日 10:28
よく考えると、灯油は、補給やタンク設置が大変なので、都会の超高層ビルには向いていません。ガスの方が便利でしょう。
 従って、もう一つの案(ガスコジェネとディーゼル非常用発電)の方がお薦めです。
 地震のときにガスが途絶えるのは、直下型地震ではありそうですが、東海沖や南海沖の地震ではありそうでない。だから、通常電源とガス発電との2系統にすることには、十分に意義があります。
 電源が消えてガスだけが生き残るということは十分にありえます。実際、先の大震災でも、東京では電気だけが計画停電の形で順番で停電しました。こういうときにはガス発電が有利です。
 ガスも途絶えた場合には、小規模のディーゼルがあればいいでしょう。全部をまかなう必要はない。たぶん、出番はないはず。直下型の大地震でない限り。

> 一般家庭にも導入できるかも知れません……最初はマンションや工場、ビル、病院など

 これは、ありえますね。先に述べたのは、都会の超高層ビル。そうでなくて、上記のように小規模ならば、燃料電池が有望です。何しろ、効率がすごく高い。ガスよりも低コストになります。(ただし現状では、最初の固定費が高すぎるのが、難点。)
Posted by 管理人 at 2013年12月01日 11:35
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