JR西日本の事故の裁判で判決が出た。「社長個人には刑事罰は科せられない(無罪だ)」という判決。
→ JR福知山線事故 歴代3社長に無罪(NHKニュース)
→ JR福知山線脱線事故、歴代3社長に無罪判決(ハフィントンポスト)
※ 事故の概要は → Wikipedia
判決は、法的には妥当だろう。事故が起こったのは、安全対策の手抜きが理由だが、それは刑事罰の対象にはならない。刑事罰の対象になるには、「人を殺そう」という悪意が必要だ。そういう悪意は、社長にはなかった。あったのは、「金儲けをしよう」という営利主義だけだった。そして、営利主義というのは、どれほど非倫理的であっても、それ自体は犯罪ではないのだ。当然、刑法の対象にはならない。
( ※ 民法の損害賠償の対象にはなる。)
──
この問題を JR北海道の事故と関連づける。すると、共通点に気づく。
「営利主義を突き詰めたせいで、安全対策が手抜きされた」
これは JR西日本の場合と、まったく同じである!
とすれば、次の結論が出る。
「 JR北海道は、今は大きな事故が起こっていないが、安全対策の手抜きのせいで、いつかは大事故が起こるだろう」
要するに、JR西日本の大事故は、JR北海道の将来の姿なのだ。どっちも安全対策が徹底的に手抜きされた。この二者の違いは、次の点だけだ。
・ JR西日本では、すでに大事故が起こった。
・ JR北海道では、まだ大事故が起こっていない。
つまり、事故の発生の時点が、過去であるか未来であるか、という違いがあるだけだ。どちらも大事故が不可避であった(である)という点では、共通しているのである。
※ ただし JR西日本は、現在では巨額の安全対策費を投じて、
状況は改善された。(出典:朝日新聞・夕刊 2013-09-27 )
──
おもしろいのは、このあとだ。
JR西日本で大事故が起こったあとで、人々は「安全対策の手抜き」と大々的に批判した。
ところが、JR北海道では、逆である。一応は「安全対策の手抜き」を批判したが、その後、根本原因が「金がないこと」であると判明したあとでは、人々は「金がなければ廃線」という方針を拒んで、「金がなければ危険なまま維持」という狂気の方針を選んでいるのである。
たとえば、これだ。(リツイートは 88人もいる。)
◆ JR北海道は路線廃止せよ http://t.co/OmiAqX2Rrp 鉄道事故は根絶したいけど高速バスの事故は「やむを得ない」らしい。人命を失うって意味ではどちらにも可能性はあるのに。鉄道が嫌いなだけなのでは?
— もじばやし@一念発起 (@mojibayashi) September 25, 2013
ここでは、「どちらも危険性がある」というふうに一緒くたにしている。「 JR北海道は安全対策が徹底的に手抜きされている」ということを無視している。
これはいわば、「 JR西日本だって、自動車と同様に危険があるのだから、JR西日本が特に危険だったわけではない」と弁護するのと同様だ。とんでもない詭弁。
大切なのは、「危険性の有無」や「安全対策の有無」ではない。それが「どの程度であるか」ということだ。定性的ではなくて、定量的なものだ。
そして、「 JR西日本や JR北海道では、安全対策が徹底的に手抜きされていた(いる)ということに気づかない人が、あまりにも多い。そのせいで、「危険なままでも JR北海道を維持したい」考える。
それはちょうど、「危険なままでも JRの電車を走らせたい」と考えた、JR西日本の社長と同じである。彼らはいずれも、乗客を危険にさらして、やがて来る巨大事故を放置しているのである。
──
結局、JR西日本も、多くの人々も、発想は同じなのである。
「事故はまだ起こっていないから、これからもずっと起こらないだろう。だから、事故が起こるまでは、安全対策を手抜きしたまま、電車を走らせればいいさ」
これは東電と同様だ。
「事故はまだ起こっていないから、これからもずっと起こらないだろう。だから、事故が起こるまでは、津波対策を手抜きしたまま、原発を稼働させればいいさ」
何とよく似ていることか!
原発事故であれ、JR西日本事故であれ、 JR北海道の現状であれ、そこにある発想はいずれも同様だ。ただ、東電と JR西日本の場合には、「会社が悪い」「社長が悪い」というふうに他人のせいにできたのだが、 JR北海道の場合には、国民の側が「安全対策の手抜き」に加担しているのである。
こういうことからして、日本ではいかに安全対策が軽視されているか、よくわかるというものだ。私が口をすっぱくして、「安全対策を」と主張しても、
「人命を失うって意味ではどちらにも可能性はあるのに。鉄道が嫌いなだけなのでは?」
なんて言い出す人が多い。(上記のツイート)
鉄道マニアにとっては、安全確保よりは、危険であっても鉄道を維持することの方が、ずっと大切なのかもしれない。(その意味では、JR西日本の社長も、鉄オタであったのかもね。……で、鉄オタであることを理由に刑事罰を科することはできない、ということでしょう。)
( ※ そう言えば、「撮り鉄が桜の木を切ってしまったらしい」という話題が広がったことがある。 → 出典1 ,出典2 ,検索 )
【 追記 】
北海道でも、都市部の人は、事態を深刻に考えた方がいい。
過疎線を維持することで直接の被害を受けているのは、都市部の人々だ。過疎線を維持することにばかり莫大な金が投入されるので、肝心の都市部の安全対策がなおざりにされている。今回もずさんな安全対策が明らかになったが、その直接の被害を受けているのは、都市部の人々だ。彼らは金を回してもらえないので、現状ではとても危険な状況にさらされている。
福知山線では、安全投資の金を省くことで、とても危険な状況が維持された(そのあげく、大事故が起こった)。それはちょうど、北海道の都市部の人々の状況だ。札幌周辺の人々は、福知山線の事故を見て、「明日はわが身」と思うべきなのだ。
もうちょっと危機意識を持ってほしい。最大の被害(危険性の放置)を受けているのは、あなたたちなのだ。札幌付近の電車に乗る限り、明日死んでも不思議ではない。
( ※ 現状でも小さな事故は札幌周辺で多発している。走る列車の本数が多いのだから、事故の件数が多いのは当然だが。)

結局はそういうことなのでしょうか……。公共の……建前であっても、そんな考えが当たり前になってきている今が恐ろしい。
タイムスタンプは 下記 ↓
以下、引用。
 ̄ ̄
《 JR四国、橋50本補修せず 点検記録不備も1000本超 》
JR四国が管理する鉄道橋約2600本の昨年度の定期検査状況を会計検査院が調べたところ、約50本で補修の必要性が見つかりながら3年以上放置されていたり、全体の45%に当たる約1100本で検査記録に不備があったことが27日、分かった。
→ http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2706K_X20C13A9CC1000/
 ̄ ̄
というわけで、JR四国も、JR北海道と同様の対処が必要となるだろう。
タンクでの酸欠致死も多々あります。
これ迄大丈夫だった。明日も大丈夫
浸水被災地に再度住居を構えて戻る人々も同じ考えなんでしょう。でも拠り所が自分の経験であればそうなります。
ナチ党の迫害が慢心による事故に変わったというだけ。あの詩をパロディ出来そうですね……。