( ※ 本項の実際の掲載日は 2012-12-05 です。)
笹子トンネルが遠からず再開しそうだ。
《 笹子トンネル下り線、対面通行検討…渋滞対策 》このように、「まずは下り線で、次いで完全復旧」という形で、再開をめざしているようだ。その前に、安全確認をするらしい。では、安全確認とは? 打音検査のことであるようだ。
中日本高速道路が、中央自動車道上り線の笹子トンネル崩落事故に伴う年末年始の渋滞対策として、下り線トンネルを対面通行とする検討を始めたことが、4日わかった。
下り線トンネルの天井板の安全確認は、4日夕までに全長約 4.7キロのうち1.9キロが終わった。異常がなければ、今週末にも完了する見通しだ。同社は、下り線トンネルの出入り口付近に連絡道路を仮設することを想定している。同支社は「年末年始の一般道混雑緩和を図るとともに、一日も早い完全復旧を目指したい」としている。
( → 読売新聞 2012-12-05 )
というのは、笹子トンネルだけが、打音検査を受けていなかったからだ。
→ トンネル崩落事故 笹子だけ「打音検査」実施せず
→ 中央道トンネル崩落事故 笹子だけ打音検査していなかった
→ 打音検査、2000年が最後
そこで、遅ればせながら、すでに打音検査が始まっているそうだ。
→ 山梨事故受けトンネル点検始まる ジェットファンなど打音検査
→ 東日本高速:トンネル打音検査も実施
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では、打音検査とは、どのようなものか?
打音検査は,コンクリート構造物の表面付近のコンクリートの状態を簡易に調べる方法。橋桁や橋脚,トンネルの覆工などの表面をハンマーでたたき,発生した音によって状態を把握する。コンクリートが健全な場合は高い音が,はく離や空洞などがある場合は低い音がする。ここには動画があるので、どんなことをやるのかは、見ればわかる。
( → 日経 (動画あり) )
これで、異常音が聞こえたら、どうするか? 次の方策もあるようだ。
基本的には、先ほどビデオで出てきました、目視でやるわけですね、例えばここですと、ここの上に立って、ここの上にライトを当てて、この状態見るわけですが、本当に知りたいのは、このコンクリートの中のボルトの状態ですね。異常音があれば、ボルトを引き抜いて、うまく働いているかどうかを確認するらしい。なるほど、それなら万全に思える。
表面は分かるかもしれませんが、中が隙間が空いているかどうかというのは、目視で分からない。
目視では分かりませんので、それに代わる方法として、このボルトの頭をたたいて、このコンクリートとボルトの間に隙間があれば、音が変わると、打音といっておりますが、そういうものできちっとした状態になっているか、そうじゃないのかということを判断をしてくという調査方法が考えられます。
●音が少し怪しい、いつもと違うと思った場合どうすればいいのか
これからは、打音で具合が悪いというふうになったときには、これはやっぱり選択的に、全部を引き抜くというわけじゃないんですが、選択的にその場所のボルトを引き抜くと。その引き抜き力というわけですけれども、その引き抜きの抵抗力が、これを支えてるわけですね。
実際にこれ、引き抜いてみて、それが設計時と比べてどうなのかと、だいぶ落ちてるのかどうかということを調べていく必要があると思います。
( → NHK クローズアップ現代 2012年12月3日(月)放送 )
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しかし、である。問題は、打音検査で異常音がしなかった場合だ。その場合にも、打音検査で足りるか?
先の文章を一部再掲しよう。
発生した音によって状態を把握する。コンクリートが健全な場合は高い音が,はく離や空洞などがある場合は低い音がする。つまり、はく離や空洞などがある場合は、異常音がするので、わかる。
では、はく離や空洞などがない場合は? つまり、単に強度が低下した場合は? もちろん、打音検査ではわからないはずだ。
そして、今回は、そうであった(単に強度が低下した)可能性が高い。そして、そうだとすれば、同じような異常があったとしても、打音検査では見逃される。
とすれば、次のようになる可能性が高い。
「下り路線では、打音検査で、異常が見出されなかった。そこでさっさと高速道路を再開した。それでも異常は起こらなかった。そこで全面復旧した。万歳。みんなが喜んで通行した。
しかしながら、トンネルのコンクリートの実態は、上り路線も下り路線も、まったく同様だった。コンクリートを削って調べれば一目瞭然なのに、削って調べることをせず、打音検査だけで済ませた。欠陥は隠蔽されたまま、再開だけが先行した。
年末年始には、大勢の通行客が押し寄せた。そのとき地震が起こった。同時に、下り路線では、大崩落が……。
事件後、道路公団は発表した。
『前回、上り路線でコンクリートが弱まったので、その影響で、下り路線でもコンクリートがいっそう弱まっていた。原因はそれです。原因は見事に解明されました。対策を前もって取らなかったことは仕方ありません。事故は想定外のことでした』」
毎度毎度、想定外。…… そうですかい。 (^^);
【 追記 】
打音検査は、人間がやるため、習熟度の違いなどによる個人差が生じて、見逃しが生じやすい。その点、専用の機械で診断すれば、見逃しが生じにくく、しかも高精度の検出が見込める……という話がある。
(1) 何に対して何をする技術であるのか?
・ 建造物の構造体等に剥離、劣化、膨張、空気・異物混入等が生じている不健全部が存在しているか否かをその表面側から非破壊で点検するために用いる検査器です。
(2) 従来は、どのような技術で対応していたのか?
・ 点検用打撃ハンマーを用いてくまなく叩打(打音検査)して、打撃音の微妙な違いに基づいて不健全部を判別しており、作業者の習熟度、作業環境等により正確度、信頼性に欠けていました。
(3) 新規性及び期待される効果
・ 打撃音を自動解析し、データを電子保存できます。
・ 保存した大量の電子データ(音・声・写真)を再現することにより、何時でも構造物の比較検討ができます。
・ 連続打撃音のため従来見出せなかった叩打点間の不健全箇所を検知することができ信頼性、正確度が向上します。
( → NETIS 新技術情報提供システム:国土交通省 )

タイムスタンプは 下記 ↓
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《 笹子トンネル:下りも不具合670カ所 緊急点検で突出 》
目視や打音で点検した結果、笹子下り線では天井上部につり金具を固定するアンカーボルトで▽ゆるみ608カ所▽腐食による欠損22カ所▽引っ張ると脱落2カ所−−があった。つり金具に天井板などを固定するボルトや内壁の固定具のボルトに脱落やゆるみ、破損や変形が計19カ所あった他、アンカーボルト付近の19カ所でコンクリートがひび割れていた。
→ http://mainichi.jp/select/news/20121214k0000m040068000c.html
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呆れた話だ。
そもそも、本項の本文を見ればわかるように、次のような報道があった。
> 下り線トンネルの天井板の安全確認は、4日夕までに全長約 4.7キロのうち1.9キロが終わった。異常がなければ、今週末にも完了する見通しだ。
この時点では、「異常なしなので、再開の予定」となっていた。
ところが、「天井板を撤去する」と決めたあとでは、本日ニュースのように、こんなにも大量の欠陥が発覚する。
ということは、隠してたんだな。悪質。
なお、これほど大量の欠陥が見つかったことから、「原因はコンクリートの劣化」という推定が、いっそう確実になったと言えるだろう。