笹子トンネル以外にも、同様のトンネルがたくさんある。
→ 笹子と同じ構造、37トンネルを緊急点検へ (読売新聞)
→ 危ないトンネル全国に49本 天井崩落「笹子」と同様式 (zakzak)
放置すれば、同様の事故が続発しそうだ。当然、改修が必要となる。では、どうするべきか?
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今回の事故については、現場は特別な条件があった、という見解もある。
検査をしたばかりなのになぜ事故が起きるのかが疑問だったが、今朝のスッキリでは当時笹子トンネルを工事したひとが地層が横に走っている地点があり、其の地点では工事中から崩落があったことをはっきりと覚えているそうだ。
( → 個人ブログ )
山村武彦(防災システム研究所長)は次のように厳しい指摘をした。
「30年以上も経っており劣化は間違いないが、それと併せて現場は地震の際に地質的に揺れが溜まりやすいところなんです。昨年の東日本大震災でトンネル内にひずみができ、ボルトなどの金具に負担がかかるようになっていたのではないでしょうか。巨大な地震が発生したあとはそういうことが起こり得るので、点検はしっかりやる必要があります。
東日本大震災の最大の特徴は、つり天井があちこちで落ちたことです。従来の建築基準では分からなかった揺れ方をしており、東北の小中学校1600校では全部天井が落下した。
30年以上もボルトなどを放置したまま取り換えなかったということが基本的に問題で、10〜20年たったら劣化を前提に取り換える必要がある」
( → j-cast )
同トンネルを月に数回、営業車で通行していたという食品メーカー社員の男性は、事故の予兆とも思える現象を目撃していたと証言する。
「あのトンネルは、とにかく漏水がひどかった印象があります。1年ほど前までは、トンネルの壁面を伝って水が流れている程度だったのですが、最近では、車のフロントガラスや屋根に直接滝のように落ちてくることもあった。トンネル自体も見た目からしてかなり老朽化していることもあって、営業仲間の間でも『あそこはそろそろヤバい』と冗談交じりに言っていたのですが、まさかこんなことになるとは……」
( → 日刊サイゾー )
どうやら現場には特有の事情があったようだ。そのせいで、特に危険な状況にあり、ここだけで崩落が起こった、と見なせそうだ。
とはいえ、似た状況になるところも多そうだから、同様の事故が起こる可能性はある。
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そこで、まずは、同様の事故が起こりそうな現場を探すべきだ。
・ 漏水の多いところ。
・ 地震で地層がズレた可能性のあるところ。
これらの地点が危険地帯となる可能性が高いので、早急に重点チェックする必要がある。(記事によればすでに全体の点検を実施中だが。)
ここで問題が見つかったら、どうするか? 問題箇所を全面改修した方がいいだろう。コンクリートそのものを作り直す必要もあるかもしれない。箇所の数はそう多くはないだろうから、いくらかの費用をかけたとしても、総額ではたいしたことにはならない。
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次に、他の箇所だ。つまり、特に異常が見つからなかった箇所だ。
同様の構造をもつトンネルは多数あるが、それらは、異常は見つからなくとも、すべて老朽化の問題が生じている。かといって、それらのすべてを建て直すわけには行かない。
前項では、現状への代案を示した。だが、これはかなりコストがかかる。この方式で全国のトンネルを改修するのは、ちょっと無理だ。かといって、放置するわけにも行かない。では、どうするか?
以下では、新たな代案を示そう。次のようなものだ。
「かなり低いコストで安全性を高める」
この目的で、具体的な案を示す。
補強
全面的な改修ではなく、補強による改修をするといい。この場合、現状の吊り金具はそのまま残され、さらに追加的に、補強となる吊り金具が設置される。
(1) 追加
基本は、次のような感じの追加だ。
現状
┃
改修
┃┃┃
現状では吊り金具が中央に一つあるだけだが、改修後には吊り金具が2本追加される。このことで、次の効果を得る。
・ 接合部が3倍に増えるので、一箇所の負担が3分の1に。
・ 新たな接合部が2箇所できて、そこは新品である。
(元の箇所は老朽化しているが。)
これらの効果によって、現状比、5倍ぐらいの強度を得る。
( ※ 現在箇所は 1 から 0.5 に落ちている。そこに 2が追加されれば、0.5 から 2.5 へと、5倍になる。)
(2) 連結
さらに、次の補強を追加する。
「上記の三つの吊り金具の上部を連結させる」
たとえば、 || を TT ないし Π のようにする。(1) では3本だから、次のような感じ。
┳┳┳
このように水平状に連結したら、水平状の金具のあちこち(つまり、吊り金具と吊り金具の中間部)でも、コンクリにボルト留めする。このことで、金具全体とコンクリとの接合部を、3箇所よりもずっと多くできる。たとえば、7箇所。
追加の部分は、6箇所で、新品。
既存の部分は、1箇所で、老朽化。効果は半分。
比較して、現状は 0.5 だったのが、改修後は 6.5 になる。現状比で 13倍の強度を得る。
(3) 斜め
吊り金具は、現状では、コンクリに垂直に打ち込まれる。数は、2本。
→ 解説図 (毎日新聞)
しかし、ボルトを垂直に打ち込むというのは、強度が弱い。強い力で引っ張れば、抜けてしまう。にもかかわらず、現状ではトン・レベルの重量物をぶら下げている。根本的に弱い方式だ。
そこで代案として、次の方式を採る。
「ボルトを垂直に打ち込むかわりに、斜めに打ち込む」
図で書くと、こうだ。
現状
┃┃
改修
\ /
つまり、2本を垂直に打ち込むのではなく、2本を斜めに打ち込む。傾きはそれぞれが逆である。
ただし、単に斜めに打ち込むだけだと、まずい。この斜めのボルトに下向きの力がかかると、最下端の部分に、横方向への力がかかる。
\ /
← →
こうなると、力のかかった部分のコンクリが崩壊する。それはまずい。
では、どうするか? この部分に水平状の金具を当てればいい。
\ /
こうすれば、(すぐ上の矢印のような)横方向の力を、金具で吸収できる。結果的には、垂直方向の力だけが残る。その垂直方向の力は、「斜めのボルトとコンクリ」で吸収する。そうすれば、「垂直のボルトとコンクリ」という現状よりも、抜け落ちる危険が少なくなる。
なお、上記の金具は、いちいち新規に考えなくても、先の (2) によって、すでに設置が決まっている。だから、その金具をそのまま使えばいい。
ただし、(3) の効果が必要なので、ボルトと金具の接続には、厳密な精度を必要とする。さもないと、(上の矢印のような)横方向の力を金具で吸収できないからだ。この点に注意することが必要だ。
いずれにせよ、斜めに埋め込む方式によって、垂直に埋め込む現行方式に比べて、4割増しぐらいの強度を得られるだろう。
(4) コンクリの打ち直し
現場のコンクリは、長年の経過によって、表面がかなり劣化していることが推定される。
そこで、この部分のコンクリを、いくらか削ってから、新たにコンクリを打ち直すといい。以前よりも厚くなるようにするといいだろう。
打ち直しといっても、全面的にやるわけではなく、金具を当てる箇所をやるだけだ。それほど多くのコストはかからないだろう。
これによる強度の増加は、2割増し程度か。
まとめ
以上の (1)(2)(3)(4) を組み合わせることで、
13 × 1.4 × 1.2 = 21.84
つまり、21.84倍の強度を得られる。
ざっと見て、20倍の強度を得られる。しかも、コストはかなり低く、工期は短い。工事中にトンネルを閉鎖する必要もない。
このような補強を、対象となるトンネルのすべてで実行するべきだ。
送気パイプ
補強とは別に、「送気パイプ」を設置するといいだろう。これは、前項の最後に追記したものだ。あらためて図を示すと、右図の通り。この方式を採れば、天井裏に高い空気圧がかかることがないので、空気圧のせいで天井が崩落する危険が減る。
詳細は、前項に記してあるので、そちらを読んでほしい。
→ 前項
※ 図の青線部分は無視していい。
上部中央の円形(送気パイプ)だけが重要である。
送気なしのシステム
吸排気のシステムが必要ない、という見解がある。
そもそもこうした巨大な構造物としての排気トンネルが現在 必要なんでしょうか?このコメントを参考にして、新たな案を提出したい。こうだ。
35年前の設計思想がそのまま続いているとすれば、 その頃から排気ガスの排出量や有害物質の構成は自動車自体の燃焼システム の改善等で(以前NHKの新電子立国で解説していましたが)80年代以降 飛躍的に改善した訳ですし
( → 前項のコメント欄 )
「送気なしで、排気だけのシステム」
詳しくは、以下の通り。
※ 面倒なので、読まなくてもいい。実用性も高くない。
現状では、天井裏を、「送気ダクト」と「排気ダクト」とで、二分している。これを一体化して、すべて「排気ダクト」とする。
では、その空気は、どこから吸い込むか? 二つの案がある。
(i) トンネルの両端の開口部から空気を吸い込む。このあと、トンネルの中央部(など)から、空気を吸い込んで、天井裏の排気ダクトに送る。そのあと、排気ダクトを通じて、空気はトンネルの両端の開口部まで送られる。
(ii) あちこちの天井裏から、少しずつ空気を吸い込む。
この (i) (ii) のどちらかでもいいし、両方の併用でもいい。いずれにしても、次の効果が見込める。
「排気ダクトの分は減圧されているので、天井を情報に引き上げる効果がある。その分、吊り金具にかかる負担が減る」
この件は、前項でも述べたとおり。
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なお、トンネルの両端の開口部から空気を吸い込んだ場合、「空気が中央まで届くか?」という疑問があるが、短いトンネルならば大丈夫だろう。実際、短いトンネルは結構ある。首都高など。
ただ、長いトンネルだと、そういう具合には行かないと思える。
参考
→ 日本の長大トンネル ベスト19 (PDF) (日本トンネル協会)
[ 付記 ]
本項では、断面図の方向での対策のみを述べた。
一方、道路の進行方向への対策も必要だろう。理由は、次のことだ。
→ 内壁が約100メートルにわたり崩落
1箇所が崩落すると、その部分の両側が「てこの原理」みたいな形で引っ張られるので、次々と崩落してしまう。連鎖反応みたいなものだ。
( ※ 似た例は、糸のほつれに見られる。1箇所がほつれると、次々とほつれてしまう。その箇所が弱まるからだ。)
この問題を解決するには、進行方向でのつながりを分断するといい。つまり、独立させて、連鎖しないようにするわけだ。
( ※ 「連鎖すればかえって崩落の確率は下がるのでは?」と思うかもしれない。しかしそれが成立するのは、各部分が剛体として連結されている場合だけだ。変形する軟体で連結されていると、一箇所の崩壊が次々と連鎖してしまう。……この意味でも、根本的な設計ミスがあったことになる。)
【 関連サイト 】
あとで調べたら、次の例が見つかった。
→ 神戸長田トンネルの断面図
「フェイルセーフとしての落下防止ワイヤー」が4本ある。
吊り材も両端に2本ある。
数は少ないが、これでも笹子トンネルよりはずっとマシだろう。
発想としては、本項で述べた発想に似ている。ずっと小規模ではあるが。

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笹子トンネル下り線、対面通行検討…渋滞対策
中日本高速道路が、中央自動車道上り線の笹子トンネル崩落事故に伴う年末年始の渋滞対策として、下り線トンネルを対面通行とする検討を始めたことが、4日わかった。
下り線トンネルの天井板の安全確認は、4日夕までに全長約4・7キロのうち1・9キロが終わった。異常がなければ、今週末にも完了する見通しだ。同社は、下り線トンネルの出入り口付近に連絡道路を仮設することを想定している。同支社は「年末年始の一般道混雑緩和を図るとともに、一日も早い完全復旧を目指したい」としている。
→ http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121205-OYT1T00045.htm
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簡単に点検しただけで、同じ箇所のあるトンネルを再開する。……きわめて危険ですね。問題箇所を見逃していたとしたら、再度、同じ事故が起こる。
「点検して異常がなかったこと」は、「危険がないこと」を意味しないのだが。コンクリの内部は、たたいたぐらいじゃわからないのだから。
大事なのは、点検じゃなくて、しっかり対策を取ることだ。たとえば、本項で述べたような。
そのような対策も取らずに安易に再開すると、ひどいことになるかも。最低限、つり下げワイヤを追加するぐらいは、するべきなのだが。また、隔壁の分離も必要だ。さもないと、イモヅル式の連鎖が起こりやすい。