2011年09月13日

◆ 地震対策に自家発電を

 地震対策として、食糧や水の心配をする人が多い。しかし、ライフラインの寸断ということで考えれば、電力の寸断が問題となる。そこで、自家発電を推進するといい。自家発電は寸断されにくいからだ。 ──
 
 9月上旬には地震対策が話題になった。そこで地震に対して、食糧や水の心配をする人が多い。たとえば、次の記事は食糧不足を懸念している。
 発生が予想される首都直下地震を巡り、公共交通機関の混乱などで大量に生じると想定されている「帰宅困難者」向けの非常食備蓄が大幅に不足していることがわかった。
 東京都では、鉄道や幹線道路の復旧状況から、計約448万人の帰宅困難者を4日以内に解消する想定だが、都や区市町村の備蓄だけでは計約318万食で、1人当たり「0.7食」分にしかならない計算だ。都では「民間の協力がなければ対応は困難」としており、各自治体も条例で企業に社員向けの非常食備蓄を求めるなどの動きが出ている。
 首都直下地震の発生に備え、都や区市などで非常食を備蓄しているが、停電や断水などで避難所を利用する住民向けが大半だ。今年3月の東日本大震災では、都内でも大量の帰宅困難者が発生。公共施設などで9万4001人が夜を明かし、一部で住民向けの非常食が提供されたが、都内では避難した住民がほとんどいなかったため大きなトラブルは起きなかった。
 都では、通勤・通学先から帰宅困難となる計約392万人(旅行者を除く)の半数に当たる約196万食を備蓄。水を注ぐと食べられるアルファ化米(100グラム)、クラッカー(88グラム以上、24〜26枚)などを用意しているが、中央、港、新宿など企業が集中する都心区では、帰宅困難者の非常食を用意していないケースがほとんどだ。
( → 読売新聞 2011年9月7日
 しかし、食糧の心配はしなくてもいいだろう。たしかに非常食は不足するだろうが、非常食でない食糧はたっぷりあるからだ。食品販売店や、料理店などに。
 ただし、ガスや電気が使えないと、それらの食糧を料理できない。穀物は固いままで、食べられない。肉や魚は、生のまま、腐るだけかもしれない。
 家庭でも同様だ。即席食品や米や麺類はある。水もたいていある。だが、ガスや電気が使えないと、調理できない。(インスタント食品だって、お湯ぐらいは必要だ。お湯なしでもいいのは、シリアル食品やパンぐらいだろう。)

 ──

 というわけで、食糧不足の根源は、食糧そのものではなくて、ガスや電気だ。ガスや電気を早急に復旧することが、ライフラインの確保において最重要となる。(水も大切だ。)
 そこで、解決策を提案しよう。

 (1) 自衛隊

 ガスや電気や水道は、通常は、担当会社の社員が人海戦術でやる。しかし、広域になると、復旧まで1カ月ぐらいはかかるだろう。
 そこで、ガス会社や電気会社などを手助けするために、自衛隊が非常要員として協力するといい。
 換言すれば、自衛隊の業務に、ガスや電気の復旧作業も含めるといいだろう。工兵みたいなものだ。
 ただ、それは軍事業務とは別だ。そこで、自衛隊の業務に「災害救助」を正式に組み込むといいだろう。外国軍と戦うばかりが能じゃない。人を銃弾で殺すばかりが能じゃない。自国の国民を守るために、ガスや電気や水道の復旧をする能力を持つといい。
 自衛隊は今回の地震では、ガレキの撤去に多大な貢献をなした。プロ(?)の自衛隊員がやると、そこいらのボランティアの数倍もの能力で次々とガレキを撤去していったらしい。専門能力のある人材というのは、それほどにも圧倒的な力を発揮できるのだ。とすれば、その能力を、ガレキの撤去だけに使うのは惜しい。ライフラインの復旧にも役立ててほしい。
 また、このような能力を身につけることは、自衛隊を出て社会人として働く際にも有用になるはずだ。
( ※ 自衛隊が勝手にやるのも問題だろうから、電力会社の社員の指示のもとで働くことになる。普段から災害復旧の協力が必要だろう。)
( ※ 台風の被害が起こったときなどには、電力会社の社員よりも、自衛隊のレンジャー部隊みたいな人の方が、役立ちそうだ。)

 (2) 自家発電

 地震対策としては、自家発電を推進するといいだろう。たとえ広域の停電が起こっても、自家発電があれば、その被害から免れることができることが多いからだ。(絶対に大丈夫、とは言えないにしても、広域の停電から免れるケースは、かなり多くなるはずだ。)
 自家発電は、燃料さえあれば、1日ぐらいは稼働できる。燃料を補給すれば、さらに継続的に発電を続けることもできる。
 問題は、コストだ。普段は使わない発電設備を用意して遊休させるのは、無駄となる。そこで、普段から自家発電を使えばいい。では、それは可能か? 「コジェネならば可能だ」というのが私の判断だ。
 
 コジェネというのは、熱電併給のことである。熱効率は非常に高い。ただし、それで生じたお湯の使い道がないのが、難点だ。そこで、お湯の使い道を用意することで、「コジェネによる自家発電」を普及させることができる。これを国家的に推進するといいだろう。(再生エネよりもコジェネの方が大切だ。)
 具体的には、次のような例だ。
  ・ ホテル
  ・ 店舗一体型のマンション

 このような例では、業務部門では発電し、居住部門ではお湯を使える。(料理店でもお湯を使える。)だから、エネルギーが無駄にならない。低コストで発電できることになる。
 また、1ビルでなく複数のビルを連結することにより、コジェネを推進することもできるだろう。
 また、マンションでは単独でコジェネの発電をしたあと、そのお湯はマンションで使って、発電した分は電力会社に販売してもいいはずだ。(この場合には、マンションで発電するのは、一般の独立系の電力事業者でもいい。)

 以上のような方針を推進するには、電力市場の自由化が必要だろう。それにともなって、自家発電の推進をして、それによって地震対策をするといい。
 現状では大手の電力会社が広域に電力を提供しているが、これは地震には非常に弱いシステムだ。一箇所が止まれば広域で停電が起こるからだ。「親亀こけたらみなこけた」みたいな脆弱なシステムだ。むしろ、電力供給は分散させた方がリスクは少なくて済む。
 地震対策の意味で、そういう分散供給システムを整備するべきだろう。
 
 結論。

 これから増やす分の電力(原発に変わる分)は、低コストのコジェネにすればいいのだ。この案は、次のように、別の主張と対比される。
  ・ 孫正義  …… 太陽光発電で、高コストの発電。
  ・ 池田信夫 …… 原発で、高い危険性のある発電。
  ・ 私(南堂)…… コジェネで、低コストの安定的な発電。

 


 [ 付記 ]
 独立系の電力事業者や自家発電を普及させるには、東京電力の料金を引き上げた方がいい。電力料金がどんどん値上げされれば、自家発電をする動機が高まるからだ。
 東京電力は「燃料代が高騰したので、電気料金を値上げしたい」と述べている。その方針をさっさと認めるといいだろう。つまり、電気料金を引き上げた方がいいだろう。(皮肉込みですけど。)

 問題は、順序だ。次の順にするべきだ。
  1. 被災者の保証のために 15%の値上げ。
  2. 電力購入の自由化(独立系の電力事業者から買えるようにする。)
  3. 今回の燃料費高騰の分で 15%の値上げ。

 以上の順で、電気料金を 30%ほど引き上げることを認める。ただし同時に、東京電力以外からも電力を買えることにする。
 こうすれば、人々は東京電力からは電気を購入しなくなる。そういうわけで、東電は設備拡張の必要がなくなる。これから増える発電所は、すべて、分散型の自家発電となる。そこでは低コストのコジェネ発電がなされる。
( ※ 要するに、「値上げする」ということの意味は、「料金を多く払う」ということではなくて、「値上げした会社からは誰も買わなくなる」という意味だ。)



  【 関連サイト 】 

  → カリフォルニアからメキシコに至る一帯で大規模停電 原子炉も停止

 停電というのは、杞憂ではなく、現実に起こることだ。それへの対策をしておくことは、無駄ではあるまい。
posted by 管理人 at 19:59 | Comment(7) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>しかし、食糧の心配はしなくてもいいだろう。たしかに非常食は不足するだろうが、
>非常食でない食糧はたっぷりあるからだ。食品販売店や、料理店などに。
この言葉のみ解釈した場合には異論があります。
ttp://www.ajs.gr.jp/column/column_201105.html

自家発電というインフラを軸に「対策を設計する」管理人様の発想を菅前首相が実践
されたような『会議』で練り上げれば非常に実践的な方策が生み出されると思いました。
Posted by 七氏井 at 2011年09月14日 12:45
排出される温水はこれに利用すればいいのではないでしょうか

http://www.kobelco.co.jp/topics/2011/09/1186618_11213.html
Posted by KM at 2011年09月14日 13:48
武蔵小杉のタワーマンションは、自家発電設備はあるけれど、燃料タンクが小さすぎて、すぐに動作停止になるそうです。


パークシティ武蔵小杉の自家発電装置の現実
http://community.myhome.nifty.com/bbs/thread/141972/res/179
http://community.myhome.nifty.com/bbs/thread/141972/res/184
http://community.myhome.nifty.com/bbs/thread/141972/res/190
Posted by ZZZ at 2011年09月14日 14:09
> 1ビルでなく複数のビルを連結することにより、コジェネを推進する

電力供給を伴わない地域冷暖房というやつは昔からやっていますが、なかなかコスト的に厳しく、廃れてきている面があります。

大規模施設では電熱併給にしたほうが電力を買うよりずっと安上がりになるので結構採用しています。
http://www.mori.co.jp/projects/roppongi/technologies02.html
http://www.centrair.jp/environment/facilities/fc-natural-gas/index.html
Posted by けろ at 2011年09月14日 23:43
コジェネって、ガス(都市ガス)を使うやつ?
だったらガスが止まれば止まるのでは。
電気が止まる大地震ならガスも止まるような気がする。
(あと現行のコジェネは商業電力が止まると制御用の機械が止まるので停電時には使えないとか。まあこれは小型の蓄電池でもつければどうにかなりそうだが)
Posted by NOGUE at 2011年09月15日 00:13
調べてみたところ、電力よりもガスの復旧の方がずっと早いようです。

 ガス http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110605/biz11060523270007-n1.htm
 電力 http://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1182682_1049.html
Posted by 管理人 at 2011年09月15日 00:36
災害時には水の不足が心配です。
いっそのこと汲み取り式にすれば水不足でもトイレは使え、その分を飲料用に回せます。
ガスもプロパンにしてしまえば供給が止まる確率が減るので冷蔵庫の食材も調理できます。

一極集中を解消するのが一番なんですけどね
Posted by linu at 2011年09月17日 17:40
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