「簡易検査はやめよ」と私は主張している。昨年秋には、次の3項を書いた。
→ 簡易検査はやめよ ( 2009年09月10日 )
→ 簡易検査による死者増加 ( 2009年10月27日 )
→ 簡易検査でまたも死ぬ ( 2009年11月08日 )
つい先日も、次の項目を書いた。
→ 簡易検査で死ぬな ( 2010年11月05日 )
以上のいずれも、簡易検査を安易に信用することで死者が出ることについて、警告を鳴らしている。
ところが、上記の私の見解を批判する医者が多い。たとえば、次のように。
「ただの素人論議」( → 出典 )このように「素人論議だから駄目だ」という理屈で、私の主張を否定する。論旨が正しいかどうかではなくて、単に医者でない人間が語るからという理由で、相手を侮辱する。こうして、
インフルエンザについて「ぼくのかんがえたインフルエンザ対策」を開陳するのはダメだろう。( → 出典 )
「簡易検査を安易に信用するな」
という命題を否定しようとする。
──
では、昨秋以降、現実には何が起こったか? マスコミは報道しないし、医者は黙っている。私も昨秋に語ったあとは語らずにいた。
そこで、私がネットで調べた情報を示そう。どうせ上記の医者は、「素人が調べるのはけしからん」と怒り狂うだろうが、私としては専門家のかわりに情報を示す。(以下、引用。)
────────────
(1) 神奈川県 ( → 出典 )
川崎市は1月20日、新型インフルエンザへの感染が確認された川崎市在住の女性(29)が、敗血症のため市内の病院で死亡した、と発表。女性に基礎疾患なし。
1月13日に40度の発熱。川崎市内の医療機関を受診するも、インフルエンザの迅速診断では陰性。
1月16日に別の医療機関で受診。肺炎の診断を受け集中治療室に入院。タミフルを処方。
1月19日午後4時20分ごろに死亡。
(2) 長野県 ( → 出典 ,公式発表 )
長野県は1月24日、新型インフルエンザに感染した東信地方の20代の女性が死亡したと発表。死因はインフルエンザによる肺炎。女性に基礎疾患なし。
長野県衛生部によると、女性は1月3日に発熱などの発症。簡易検査を受けたが陰性。
1月7日に肺炎と診断され、東信地方の病院に入院。1月9日には人工呼吸器を装着したが簡易検査は陰性。
症状が回復せず、1月12日に遺伝子検査(PCR検査)を実施した結果、陽性と判明。タミフルを投与開始。
1月24日に死亡。
(3) 北海道 ( → 出典 )
札幌市保健所は10日、新型インフルエンザに感染した同市内の40代男性が7日に死亡したと発表した。男性に基礎疾患はなかった。
市保健所によると、男性は2月下旬に風邪の症状で市内の医療機関を受診。熱が下がらないため3月3日に市内の別の医療機関にかかったが、呼吸困難となり、同日に別の医療機関に搬送された。
搬送先の簡易検査ではインフルエンザA型の陰性だった。
3月9日から人工呼吸器を装着、翌10日に市衛生研究所が検体を詳細(PCR)検査し、新型の感染を確認した。抗インフルエンザ薬を投与したが、5月7日午後2時ごろ、新型インフルエンザ肺炎で死亡した。
(4) 秋田 ( → 出典 )
北秋田市の鷹巣病院で起きたインフルエンザ集団感染で、……
9日に死亡した1人は10月28日の簡易検査で陽性となったが、7日の検査で陰性となったため、インフルエンザの治療をやめたという。
(5) 米国 ( → 日本産科婦人科学会 )
新型インフルエンザで …… 8名(妊婦6名、褥婦2名)が死亡した。これら8名中に症状出現後48時間以内にタミフル投与がなされた症例はなく、また6名は初期簡易検査でA型陰性であった。症状出現後48時間以内にタミフル投与を受けた妊婦に比して、タミフル投与開始が遅れた妊婦では4.3倍ICU入室・死亡の危険が高いという結果だった。
────────────
以上が事実だ。いずれも、
「簡易検査で陰性となったので治療しない」
という方針が取られた上で、患者は死亡した。
病院の方針のせいで、患者は死亡した。(治療しても死亡した可能性はあるが、それが弁解にならないということは、あらゆる医療ミスに共通する。)
とすれば、結論は明らかだろう。あらためて繰り返そう。
「簡易検査で陰性となったので治療しない」
という方針はあってはならない。
にもかかわらず、現実には、その方針がかなり広く取られている。だから、死者は絶えない。
このことについて、強く警告を鳴らす必要がある。本項でも、再三再四、ここで強く警告しておく。
[ 補足]
上の例では、長野県の例が一番ひどい。
1月7日に肺炎と診断され、東信地方の病院に入院。1月9日には人工呼吸器を装着したが簡易検査は陰性。症状が回復せず、1月12日に遺伝子検査(PCR検査)を実施した結果、陽性と判明。タミフルを投与開始。ということだから、肺炎と診断され、人工呼吸器を装着した状況でも、「簡易検査で陰性」というだけで、抗インフルエンザ薬を投与しなかったことになる。簡易検査というものをあまりにも過剰に信用しすぎている。
状況からして、開業医の診療所ではなく、かなり大きな病院だったと思えるが、それでもこういう状況なのだ。だからこそ、「簡易検査を信頼するな」という情報を広く告知する必要がある。そうすれば、先日の秋田県の死者も避けられたはずだ。
[ 付記1 ]
しかし、私がこういうふうに警告を鳴らすと、
「素人だからトンデモだ!」
と主張して、このような情報を示すことに反対する医者がいる。
世の中には、ドクターキリコのように、人を殺すことを目的とする医者がいる。手塚治虫の漫画を読んだときは、机上の空論かと思ったが、現実に死者を増やそうとする医者がいるのだから、呆れたものだ。彼らは、患者の死を減らそうするどころか、その逆のことをする。
予言しておこう。
本項では「簡易検査を信頼しすぎたことによる死亡」という例をいくつか示した。これに対して、彼らはまたもや、「素人談義だ!」「トンデモだ!」と喚いて、私が情報公開したことに反対するはずだ。
さらには、本項の間違いを探そうとして、鵜の目鷹の目で粗探しをしようとしたあげく、どこかの文章を誤読して、曲解して、そのあげく、「こいつはこんな間違いをしている!」と騒ぎ立てるはずだ。そのあげく、「渾身のマジレスだよ」と大威張りするはずだ。
誤読を「マジレス」と呼ぶのも奇矯だが、それより、患者の死を増やすことに渾身の力を込めるというのも、まったく奇矯なことだ。
本項では (1) 〜 (5) の例を示した(氷山の一角にすぎないだろうが)。このような情報公開で、患者の死をなるべく減らそうというのが私の方針だ。なのに、その方針を叩きつぶして、さらに患者の死の例を増やしたがる医者がいる。したがって、ドクターキリコである彼は、きっとまた、「こいつはこんな間違いをしている!」と騒ぎ立てるはずだ。「素人のくせに情報公開するのはけしからん!と言って。
[ 付記2 ]
私が「簡易検査をやめよ」と述べたことに対して、「簡易検査を使ってもいい場合も少しはあるぞ」という反論ならば、成立する。というのは、そのような例外は、もともと含意されているし、私自身も認めているからだ。
( ※ 単純化して書いたときには、例外について言及しなかっただけだ。)
しかるに、上記の医師の主張は、そうではない。「例外がある」ということではない。私の主張への全否定である。「おおむね正しいが、少しは間違っている」というような話ではなくて、「素人の話だから全面的に間違いだ」(トンデモだ)という話である。
したがって、彼の主張は、私の主張への否定を通じて、「簡易検査を安易に信頼せよ」という方針を世間に告知していることになる。
仮に、「簡易検査を使ってもいい場合も少しはあるぞ」(例外があるぞ)という反論ならば、私の主張とも矛盾しないし、医学的であるとも言えるのだが、残念ながら、彼の主張はそうではなくて、「簡易検査を安易に信頼するな」という主張への全面否定である。
要するに、WHO や感染症学会や厚労省の方針を、真っ向から否定する。なぜか? 私もまた同じことを主張しているからだ。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という理屈。それで患者が死のうが、知ったこっちゃない、という方針。
[ 付記3 ]
なお、彼が「素人」と批判する私の方針は、木村もりよの方針とだいたい合致する。WHO の方針ともだいたい一致する。( WHO の言及していない点もある。日本独自の点。)
・ やたらと「パンデミックだ」と大騒ぎする必要はない。
・ 水際阻止は無意味だ。
・ 発熱外来は無意味だ。
・ 全県の学校閉鎖は無意味だ。
・ 春夏に患者を減らそうとしても無意味だ。(どうせ冬には流行する。)
・ 夏季に患者数が減ったのは「終息」ではない。
・ 10月に患者数のピークが来ることはない。(冬にピークが来る。)
・ 一般の健康な大人は、タミフルもリレンザも不要だ。
・ 重症者にはペラミビルを処方せよ。
・ 簡易検査は、原則、不要だ。(初期の「陰性」は信頼できない。)
彼は今回、最後の点だけを批判したが、私の見解を全否定しているのだから、上記のような方針( WHO の方針には合致するが、日本政府の方針には合致しないものが多い )を、すべて否定していることになる。
どうせなら、各条項を、個別に否定してもらいたいものだ。

母数が示さずに個別の例を示すだけでは、
危険がどうかを判断するための指標にはなりませんが。
(1) 女性(29) 基礎疾患なし
=一般の健康な大人
だから、タミフルもリレンザも不要(のはず)。 簡易検査の有無は、治療ではないので、予後には関係なし。
(簡易検査をやったら、肺炎が悪化、とかいうことはないはず)
→発熱3日後にICU管理が必要なほどの肺炎を発症、死亡されています。
受診当日に、タミフルやリレンザを投与されていたら、助かったのでしょうか・・。
(2) 20代の女性 基礎疾患なし
=一般の健康な大人
だからタミフルもリレンザも不要(のはず)。 簡易検査の有無は、治療ではないので、予後には関係なし。
発熱4日後に肺炎を発症。その後人工呼吸器管理となりましたが、死亡されています。
発熱してすぐにタミフルやリレンザを投与されていたら、死ななくてすんだのでしょうか。
(3) 40代男性 基礎疾患なし
=一般の健康な大人
だからタミフルもリレンザも不要(のはず)。 簡易検査の有無は、治療ではないので、予後には関係なし。
2月下旬から発熱。3月3日再診の当日に呼吸困難で搬送されています。その後死亡。
発熱してすぐにタミフルやリレンザを投与されていたら、死ななくてすんだのでしょうか。
この辺は難しいところです。
に提示させていただいた厚生労働省のプレスリリースのページをみると、たとえば
184例目
44歳 男性 基礎疾患なし (=一般の健康な成人)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2010/02/dl/infuh0201-02.pdf
発熱した次の日に簡易検査A(+)リレンザ吸入開始
発熱した翌々日に死亡しています。
137例目
30代男性 基礎疾患なし (=一般の健康な成人)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2010/01/dl/infuh0104-04.pdf
腰痛、鼻汁、咽頭痛 あり、午前中に医療機関受診(発熱なし)
午後、手足のしびれ、呼吸困難などあり、救急搬送。血中酸素濃度低下あり、高次医療機関に転送。
そこで簡易キットA(+) タミフル投与。
人工呼吸管理しましたが、即日死亡しています。
かなり早期に抗インフルエンザ薬を投与されたにもかかわらず、急転直下の転機をとり、死亡されています。発熱1−2日以内に服用しているにもかかわらず、です。
179例目
50代 男性 基礎疾患なし
発熱の当日に劇症肝炎(参考:http://www.nanbyo.or.jp/zaidan/nanbyo/tokuteisikkan_list/18/n18h1.html)
と診断されていますので、急転直下の経過です。
その後高次医療機関に搬送され、人工呼吸器管理となっています。
その時点(発熱2日後)人工呼吸器管理となってから、インフルエンザ疑われ、迅速検査A(+)。
おそらく胃管を挿入し、そこから流し込むかたちでタミフル投与。
その後、やはり劇症肝炎のため死亡されています。
171例目 http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2010/01/dl/infuh0120-05.pdf
30代男性 基礎疾患なし。
発熱当日は(自分でもっていた?)解熱剤を服用。2日後に外出できるほどに回復。
発熱4日後に呼吸不全状態となり搬送。その日の簡易検査でA(+)となりましたが、
同日死亡しています。
上二例のように、タミフル・リレンザ投与どうのこうの、とか言う前に、医療機関にたどり着いた時点で瀕死の状態になってしまっている例も散見されます。
死亡例のなかには、これら急転直下型の転機をとるものがあり、
簡易検査をするとかしないとか、
初診の時点で抗インフルエンザ薬を処方すべきとかしないべきとか、
考える間もなく悪化して、死亡されているものも見られます。
こういう方の場合、治療の判断自体が難しく、
インフルエンザかどうかを判断することよりも、まず目の前の問題(救命措置)を解決することでいっぱいいっぱいになると思いますし、たとえばラピアクタを点滴して、あっというまに改善されるものでもないです。
簡易検査そのものは毒性がありませんから、それ自体は人を殺しません。勘違いしないでください。
──
> 一般の健康な大人
> だから、タミフルもリレンザも不要(のはず)。 簡易検査の有無は、治療ではないので、予後には関係なし。
そういう反論は私も考えましたが、詳細は不明なので、論評はできないはずです。私としては、喘息持ちなどの可能性が高いと考えています。詳細を知るまでは何とも言えません。
喘息持ちでないとしても、誤診の可能性はかなり高い。最初の医療機関では陰性だというだけで治療を放棄していますが、別の医療機関で受診たら肺炎だと診断されています。この病院では症状その他から肺炎だと診断したわけで、簡易検査は使わなかったようです。最初の医療機関でもきちんと調べれば 40度という高熱(など)から肺炎だと診断できた可能性があり、そこで抗インフルエンザ薬を処方していれば、救えた可能性がある。少なくとも、「やるべきことをやらずにいた」とは言えそうだ。
>(2) 20代の女性 基礎疾患なし
長野県の例は、 [ 補足 ] として加筆したので、そちらを見てください。
> 発熱してすぐにタミフルやリレンザを投与されていたら、死ななくてすんだのでしょうか。
発熱してすぐではなくて、肺炎になってから。
> (3) 40代男性 基礎疾患なし
これも3月3日に呼吸困難だから、その時点で抗インフルエンザ薬を処方できた。特にこの人の場合、ペラミビルがすでに販売されていたのだから、ペラミビルを使えた。
現時点では、ペラミビルが処方できるので、簡易検査に頼り切る(ペラミビルを処方しない)ことの危険性はいっそう高まっています。
> 考える間もなく悪化して、死亡されているものも見られます。
抗インフルエンザ薬を使えば全員が救える、という意味ではありません。「こうすれば必ず救える」という趣旨ではありません。
「救えるものを救おう」というだけであり、「救えないものまで救おう」ということではありません。「人間として最善を尽くせ」というだけのことです。「神になって生死を左右せよ」という意味ではありません。
ペラミビルだって、それを使えば救える患者がかなり増えるだろう、と見込めうから、それを使うだけです。それを使えば必ず助かるというわけではありません。しかし、それを使わなければ死ぬ可能性は大幅に高まります。
いちいち言わなくても、ご存じでしょ? 私は N氏みたいに「こんなことも知らないのか、馬鹿者め!」なんて威張り散らす趣味はないので、そちらがちゃんとご存じであるはずのことを指摘するだけです。
→ http://www.kansen-wakayama.jp/pdf/new_infull2_011.pdf
トンデモマニア医者ならば、「素人がそんなふうに情報提供するのはけしからん! トンデモだ!」と怒り狂いそうだが、まともな医者ならば、有益な情報だと理解できるだろう。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/12/dl/infuh1205-02.pdf
発熱したその日に簡易検査(+) タミフル処方されています。
そのまま解熱せず、5日めに肺炎をおこし、即日人工呼吸器管理となっていますが、昼にはなくなっています。
発熱から死亡までの期間が割りとあり(5日間以上)タミフルを早期に服用していたにもかかわらず、死亡されました。
抗インフルエンザ薬が、
重症肺炎への移行をどのくらい予防するか、
また、
重症肺炎になってしまった人の死亡率をどのくらい改善するのか、
これについてはまだきちんとはわかっていないみたいです。
重症肺炎患者に対する抗インフルエンザ薬の投与が推奨されるのは、
「原疾患に対するおそらく唯一の治療であること」
「抗サイトカイン療法や呼吸支持療法(=人工呼吸など)と競合したり、重篤な副作用の確率が低い」
などの理由だと思います。
噛み砕いて言うと
「死亡率に関しては良くわからないけど、少なくとも状態を悪化させることは無いだろう」くらいだと思います。
投与しなかったから、患者は死んだ!とまで言い切る根拠は、いまのところちょっと弱いです。
重症例の治療における抗インフルエンザ薬の寄与度にかんしては、これから知見を積み重ねていくことになると思います。
慣例的に、「できれば投与しよう」という流れになってくれば、多くの重症インフルエンザ肺炎患者に早期に抗インフルエンザ薬の投与が行われることになるでしょう。
そのとき、重症例の救命率がさほどでもなければ・・・。 たくさん抗インフルエンザ薬をつかっても、あまり救命率は改善しなかったということになるかも知れません。
>「救えるものを救おう」というだけであり、「救えないものまで救おう」ということではありません。「人間として最善を尽くせ」というだけのことです。「神になって生死を左右せよ」という意味ではありません。
救えるものと、救えないものが、目の前に患者さんがいる状態ですぐに判別できればいいのですが、現在はそれを予測する手段もないです。
「救えた方」と「救えなかった方」がいらっしゃって、 その経験から、
できるだけ多くの方を救うにはどうしたらいいか、という知見が集まりつつあるところなんだと思います。
タミフルとリレンザの併用による1例報告も、その知見の中のひとつでしょう。
http://www.intmedpress.com/serveFile.cfm?sUID=59e997f6-568f-4b4f-aba4-e728806855fa
入院してしまったインフルエンザ患者さんに
(1) リレンザのネブライザー吸入+リマンタジン(アマンタジンの仲間の薬で日本未承認) 使用
(2) 生理食塩水のネブライザー吸入+リマンタジン
の2群を比較した試験です。
死亡例はいなかったようですが、酸素吸入の期間や入院期間では、2群間に差は無かったようです。
>「簡易検査で陰性となったので治療しない」
という方針はあってはならない。
にもかかわらず、現実には、その方針がかなり広く取られている。だから、死者は絶えない。
抗インフルエンザ薬の投与だけが治療ではないです。
それ以外の、重症肺炎に準じた治療はされているはずです。
抗インフルエンザ薬を投与しなかったから、死んだ! という意見が正しいかどうかは、今後検証されていくと思います。
(いま、正しいかどうかわからない意見なわけですから、
「そんなもの確かめているうちに死者が増えるぞ!」というのは的を得ない意見になってしまいますよね。余計なことですが。
多分いまは疑われれば積極的に投与が行われているはずです。ラピアクタも出て点滴で投与できるようになりましたし。)
この件について、私なりに考えます。
まず、私は前に、次のように示しました。
「妊婦などの虚弱者は、タミフルよりもリレンザ。副作用が少ないから」
http://openblog.meblog.biz/article/1571127.html
「基礎疾患患者は、タミフルよりもリレンザ。重症化したあとでは、リレンザを使えないから。特に、初期にリレンザの大量投与」
http://openblog.meblog.biz/article/1759254.html
以上は、虚弱者と基礎疾患患者でしたが、上記の例からすると、普通の大人に対しても、「タミフルよりもリレンザ」という方針を取るべきかもしれません。
一般に、リレンザは呼吸器に作用するので、呼吸器から重症化するタイプ(肺炎など)には有効性が高いと思えます。また、倍量投与も有効性が高いと思えます。一方、タミフルは、全身に作用するので、大量投与は副作用が心配です。
現状では、タミフルが第1選択薬になっていますが、即効性が得られないようであれば、二日目にはすぐにリレンザに切り替えた方がいいかもしれません。
また、イナビルもあるので、最初からイナビルにするという選択がベストかもしれません。イナビルは効果が高いので、その分、使用量が少なく、副作用も少ないと思えるので、イナビルを第1選択薬にすることで、重症化例を減らすことができそうに思えます。
> 重症肺炎患者に対する抗インフルエンザ薬の投与が推奨されるのは、
> 投与しなかったから、患者は死んだ!
いや、重症肺炎患者ではなくて、重症化寸前のところです。記事で言えば、「肺炎」などがわかった時点。
(2)(3)では、肺炎と診断されてからタミフルの投与まで、かなり長い時間がかかっています。(1) では肺炎という診断さえされませんでした。(陰性だから、という理由でらしい。)
いずにせよ、肺炎という診断の時点で、抗インフルエンザ薬を投与するべきだったと思います。それで死なずに済んだかは断言できないが、受けるべき医療を受けられずに死んだということは事実です。
ちなみに、自分が旅先で入院した場合を想定してください。酒を飲んで、気を失って、気がついていたら、ベッドに収容されていた。肺炎だと診断されたが、簡易検査では陰性だったという理由で、抗インフルエンザ薬を処方されない。「抗インフルエンザ薬を処方してください」といくら頼んでも、「簡易検査で陰性だから、あなたはインフルエンザではありません。抗インフルエンザ薬は無効です」と言われる。病院を抜け出したいが、起きあがれずに、脱出不能。そのまま一週間が経過。肺炎が重症化した段階で、ようやく抗インフルエンザ薬を処方される。「お望み通り、抗インフルエンザ薬を処方しました」と言われるが、手遅れで、死ぬ。
それで納得できますか?
> 投与しなかったから、患者は死んだ!とまで言い切る根拠は、いまのところちょっと弱いです。
断言はできなくとも、当然やるべきことはやった方がいいでしょう。さもないと、あらゆる救急医療はなされなくなります。「救急医療をなせば必ず助かるという保証はないのだから、救急医療なんかやらないよ」という理屈。
医者でもこれは、寸前と重症化の違いの判断なんてできません。
こういう状況では、寸前かも、というデータはほぼ、重症化と同じ意味です。
>ちなみに、自分が旅先で入院した場合を想定してください。 以下について
これを納得できるかどうかと、学問的な、あるいは理論的な根拠とはまったく別次元と思います。
かりに答えるとすれば、自分なら、抗インフルエンザ薬をルーチン投与されて、そのまま安心され、他の可能性についての考察が甘くなるほうが納得いかないです。
実は細菌性肺炎だったとか、マイコプラズマ肺炎とか、リケッチア感染症とか、知らない間に結核に感染してたとか、インフルエンザ以外のいわゆる風邪のウイルスでこうなる可能性とか、慢性活動性EBウイルス感染症とか、好酸球性肺炎とか、いろいろあります。
実際は、「インフルエンザ」以外でこのような経過を取ることも結構あるのです。
そして、重症化そのものの管理にてんやわんやするなかで、このいくつもの選択肢から正解を見つけ出すことはかなり至難の業です。
(現場を知っているかたなら、同意していただけるのですが・・・)
救急医療という観点でいえば、重症化したインフルエンザ肺炎にたいしての一番の優先事項は、血液の酸素濃度を保つことと、循環を安定させることです。
これが保たれないと、酸素が脳にいきわたらず、数時間の経過で取り返しのつかない障害が脳に残る可能性があります。
抗インフルエンザ薬を投与することで、真っ白だった肺がみるみる正常にもどり、血圧も安定。こういう経過をたどった症例は、いままで探した中では見つからないです。
これを担保するには、まず酸素投与や人工呼吸器管理。そして、昇圧剤の投与などによる循環の補助です。
これは重症化した患者ならみなやられているはず。簡易検査(−)の人でも、重症化していればやってるはずです。
(質問です)
1、抗インフルエンザ薬投与でみるみるうちに改善した例について、情報をお持ちですか?
2、「救えるもの」と「救えないもの」をどうやって判別すればいいでしょうか。
3、重症化した例と、重症化寸前の例の違いは?
4、
>普通の大人に対しても、「タミフルよりもリレンザ」という方針を取るべきかもしれません。
一般に、リレンザは呼吸器に作用するので、呼吸器から重症化するタイプ(肺炎など)には有効性が高いと思えます。また、倍量投与も有効性が高いと思えます。一方、タミフルは、全身に作用するので、大量投与は副作用が心配です。
とかかれていますが、点滴投与のペラミビルは、なんで重症例にすすめられたりしてるとおもいますか?
きっと、リレンザ=吸入だから呼吸器に作用
タミフル=内服だから全身に作用 と単純におもってませんか?
もし、リレンザが呼吸器に重点的に作用するという根拠をお持ちでしたら、お示し願います。
そちらの質問は「重症化した患者にどうすればいいか」ということで、そればかりを質問しています。しかし私はそんなことはまったく論じていません。そちらの関心はそのことにあるのでしょうが、そちらの関心は私の知ったことではありません。
共通点は「インフルエンザの死者をなくすこと」であり、その点は共通しています。しかし私の目的は「死者なくすこと」なのに、そちらの質問はいつのまにか「重症者の治療法は」という自分の関心だけになっています。しかしそれは私の知ったことではない。
私が述べているのは「重症化する前にちゃんと治療せよ」ということだけです。比喩的に言えば、「ミルクがこぼれたあとでどうすればいいか?」ではなくて、「ミルクをこぼさないようにする方法」です。「ミルクがこぼれたあとでどうすればいいか?」と何度も質問されていますが、それは私の知ったことではありません。また、「患者が死んだあとで葬式はどうすればいいか?」と質問されても、私の知ったことではありません。私の言っていることは「重症化する前にちゃんと治療せよ」ということだけです。
──
>>重症肺炎患者ではなくて、重症化寸前のところです。
>医者でもこれは、寸前と重症化の違いの判断なんてできません。
その区別をする必要はありません。重症であれ何であれ、肺炎になったらさっさと治療すればいいのです。「重症化するまでは治療を始めない」という方針ならば、区別が必要ですが、私はそうではありません。
> このいくつもの選択肢から正解を見つけ出すことはかなり至難の業です。
それは存じています。(というか当り前というか……)
そのあとは医師の判断しだいです。きちんと検査して、病気を正確に診断すればいい。
ただし、凡庸な医者(間違いはしない)の場合を想定すると、次のようになるはずです。
(1) どうせインフルエンザだろ、と決めつけて、抗インフルエンザ薬を投与する。
(2) それでも効かなかったら、別の病気を疑って、別の薬を投与する。
この場合、(1) によってほとんどの患者は治癒します。というのは、インフルエンザの流行期には、ほとんどの患者はインフルエンザだからです。(仮に他の肺炎が多ければ、それが流行していることになるが、そんな話は聞いたことがない。)
(2) の場合は、抗インフルエンザ薬が有効でなかったことになりますが、その場合、(1)では誤診したことになります。しかし、(1)で誤診しても、致死的になることは(通常)ないので、誤診のデメリットは少ない。インフルエンザで死ぬ人は例年1万人規模ですが、他の肺炎で死ぬ人は僅少です。
以上のように凡庸な医者の方針を取った場合、抗インフルエンザ薬が第1選択となり、その結果は、昨年の日本と同様で、「抗インフルエンザ薬のおかげで死者数が例年よりも大幅に少ない」というふうになります。
要するに、誤診があったとしても、「抗インフルエンザ薬が第1選択」という方針で、死者を大幅に減らすことができます。これで私の目的は達成されます。
誤診がいくらあっても構わないんです。結果的に死者数が大幅に減れば。(誤診による死者が少し出ても、それはもともと医者の誤診による死であるから、今回の方針とは関係がない。制御できない定数と見なされる。)
先に述べたとおり。方向違い。
2、「救えるもの」と「救えないもの」をどうやって判別すればいいでしょうか。
先に述べたとおり。判別する必要はない。最善を尽くせばいいだけ。あとは人事を尽くして天命を待つ。
3、重症化した例と、重症化寸前の例の違いは?
先に述べたとおり。判別する必要はない。肺炎になったらただちに治療開始。区別する必要があるのは、「重症化するまで治療しない」という間違った方針を取る医者だけ。
4、
> 点滴投与のペラミビルは、なんで重症例にすすめられたりしてるとおもいますか?
「重症者にペラミビル」というページに書いてあるとおり。
http://openblog.meblog.biz/article/1759254.html
すでに紹介したページなので、きちんと読んでおいてください。
そちらの理由は「点滴できるから」ということで、それはすでに自分で書いたことでしょ? 私はそれだけでなく別の理由も書いていますよ。「重症化した患者はすでにタミフルやリレンザを処方して、それが有効でなかったから」というふうに。
> リレンザが呼吸器に重点的に作用するという根拠
そのくらいは医師として自分で調べたら? 私はどこかでそういう情報を見つけましたよ。CDC かどこかだったと思うが。1年前なので良く覚えていない。
また、そんなことは当り前なので、いちいちメモする必要もないでしょう。たとえば、鼻炎スプレーは鼻腔に集中的に効きます。同様に、吸引薬のリレンザならば、呼吸器で当然でしょう。
それを疑うという理由がわからない。あなたの発想だと、鼻炎スプレーの薬剤を錠剤として消化器から吸収しても、鼻腔に集中的に効く、ということになりますが、そんなことを本気で信じているのですか? (古いタイプのマレイン酸クロルフェニラミン。同様に、新しいタイプのクロモグリク酸でもいいですけど。それを消化器から吸収してもいいと思いますか? ま、錠剤もあるから、錠剤が無効とは言えないけれど。実際、鼻炎の患者にどちらを処方しますか?)
最後にひとつ。
> 抗インフルエンザ薬投与でみるみるうちに改善した例について、情報をお持ちですか?
ということへの情報は、すでに明示してあるので、1例を示します。
《 吸入薬リレンザを静脈注射、インフル重症患者が劇的に回復 》
http://openblog.meblog.biz/article/1759254.html
このページは、すでに先に示しました。特にあなたの関心のある「重症者の治療」という話題で。
私が自分のサイトへのリンクとして示したページは、きちんと読んでおいてください。そこに説明が書いてあるという意味です。
せっかく私が返事をしているのに、その返事をろくに読まないのでは困ります。
質問した以上は、その返事をきちんと読んでください。「私の話題は重症者の治療ではない」ということも、返事をちゃんと読めばわかるはずなんですが。