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本項は、前項の「ゾウの鼻はなぜ長い?」で述べたことが、そのまま当てはまる。前項を先に読んでほしい。
→ 前項
ゾウの鼻が長いのも、キリンの首が長いのも、理由は同じである。前項で述べた論法は、キリンにも同様に当てはまる。
(誤)
キリンの首が長くなった。
( = 首の長いキリンと首の短いキリンがいた。生存競争の結果、首の長いキリンが増えた。)
(正)
首の長いものがキリンになった。
( = キリンの原種に、首の長いものと首の短いものがいた。首の長いものが巨大化して、キリンになった。)
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※ ゾウとキリンの違いは? ゾウは牙があるので、太って鈍足でも大丈夫。キリンは逃げるしかないので、走れるように痩せている。どちらも巨大化したが、巨大化の仕方は違っている。ゾウは太っていて、キリンは痩せている。
※ キリンの首が長いのは、地上の水を飲むためとも言える。足が長いから、首も長い。その点は、馬やオカピと同じ。首の長さは、ちょうど地面にある水を飲めるための長さだ。( → 参考図 ) 単に高いところの葉を食べるためなら、首はもっと長くなってもいいはずだが、そうはならない。
※ 絵で示そう。首が長いのが有利であれば、キリンはこうなっていたはずだ。
まとめて言おう。
首の長いキリンと首の短いキリンが生存競争をしたのではない。キリンの先祖に、首の長いものと首の短いものがいた。それはまだ巨大化していなかった。ところがあるとき、首の長いものが出現した。それは、首が長いので、巨大化することができた。
こうして、キリンの先祖のうち、首の長いものだけが、どんどん首を長くし、体を巨大化していって、キリンになった。それ以外のものは、首が短いので、巨大化できないままだった。
ともあれ、キリンの首が長いことの本当の理由は、樹葉の位置なんかじゃなくて、体の巨大化が有利だからだ。四肢が長くて、早く駆けることができれば、それだけ有利だ。また、遠くの肉食動物が近づくのを早く見出すこともできるので、有利だ。また、たとえ小型の肉食獣に噛みつかれても、蹴飛ばすことができる。(小型の鹿類ではそうは行かない。)
一般に、草食動物というのは、巨大化することが最も生存競争で有利である。ただし、巨大化したくても、巨大化しにくい。しかるに、首が長いものだけは、首の長さに応じて、うまく巨大化することに成功した。それがキリンだ。
結論。
キリンの首が長いのは、首が長いと有利だからではなく、体が巨大だと有利だからだ。ただし、首が長いものだけが、巨大化できた。
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さて。この際、首だけの長いものは、最初は有利ではなく不利だった。(まさしく上の図のようだったので。)
また、(首が短くて)体の巨大化という性質をもつのも不利だった。
だが、「首が長い」「体が巨大」という双方の性質をあわせもつと、元の種よりもいっそう有利になった。つまり、不利な形質が二つ合わさることで、かえって有利なものになることができた。
このことは「クラス交差」という言葉で説明される。
詳しい話は、前に述べたことがある。下記。
→ 進化論 Q&A2
ここでは進化の原理を「クラス交差」(不利な遺伝子が組み合わさると、有利に転じること)で説明している。
該当箇所を転載しよう。
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上記のポイントは何か?
「首が長いものが有利だ」
という点は、それでいい。しかし、
「首が長い遺伝子が突然変異で生じる」
という点は、問題だ。なぜなら、首が長いだけならば、その個体はかえって不利であるからだ。
つまり、首が長い遺伝子だけでなく、他の遺伝子もいっしょに備わる必要がある。(さもなくば滅びてしまう。)ところが、複数の遺伝子が同時に突然変異を起こす、という確率は、非常に小さい。
ではどうして、複数の突然変異をもつ個体が生じたのか? その答えとなる原理が、「クラス交差」という概念で示されるわけだ。
従来の発想では、次のようになっていた。
「首の長い個体は有利だった。ただし体が大きくないと不利なので、首が長くて体が大きい個体が有利となった。そこで、その方向に進化していった」
しかしこの発想では、「首が長い」という突然変異と「体が大きい」という突然変異が同時に生じる必要がある。その確率は非常に小さい。ほとんどありえない。
本項の発想では、次のようになる。
「首の長いだけの個体は不利だし、体が大きいだけの個体も不利である。ただし、それらの個体が交配すると、双方の遺伝子を持つ個体が誕生する。その個体は有利なので、その方向に進化していった」
両者の発想には、「複数の突然変異の同時発生」か、「交配」か、という違いがある。
[ 付記 ]
クラス進化論の発想がなぜ大切か?
「首が長いものが有利だから、首が長くなる」
という説には、限界があるからだ。
なるほど、ある程度までなら、その説は成立するだろう。しかし、どんな種であれ、種内における突然変異の範囲には、限界がある。そのことは、次の項目で示した。
→ 犬の小進化(品種改良)

種内で生じる突然変異のバラツキは、
一定の範囲内に限られている。
大きな犬が有利だという理由で、人間がいくら品種改良しても、犬の大きさは限界がある。また、逆方向に小さくしても、犬の小ささは限界がある。
キリンだって同様だ。キリンの原種のなかでどれほど首を長くしようとしても、その程度は限られている。オカピのようなものから、現代のキリンまで、小進化だけで首を長くしようとしても、とても無理なのだ。
まったく別の形質になるほどにも大きな変化をもたらすには、小進化だけでは足りない。その意味で、「首が長いと有利だから」という説は、必要条件ではあっても、十分条件ではないのだ。
( ※ その十分条件を満たすためには、大進化の原理である「クラス交差」というものを導入する必要がある。)
【 補説 】
「高い葉っぱを食べることができると有利だ」
という説は、実は疑わしい。なぜなら、そもそも樹葉を食べる必要はないからだ。樹葉というものは、草よりも硬くて、咀嚼に手間がかかる。同じ咀嚼をするだけなら、硬い樹葉より、柔らかい草を食べる方がいい。他の草食動物はみんなそうしている。
しかし、キリンはそうは行かない。巨大化の代償として、やむなく首が長くなった。首が長くなると、草を食べることができなくなる。なぜなら、地面のそばに口を置くと、咀嚼したものを上の方まで飲み込むことができないからだ。どうしてもやるなら、ときどき首を高く持ち上げて、咀嚼したものを飲み下す必要がある。しかし、そんなことを何度もやったのでは、首が凝ってしまう。
そこで、下方にある草を食べるかわりに、上方にある樹葉を食べることにしたのだ。硬いのであまり食べたくはないのだが、それしかないのだから仕方ない。
つまり、キリンが高い樹葉を食べるのは、高い樹葉を食べると有利だからではなく、首をほぼ直立させて食べるしかないからだ。(斜めや水平にしたら首が疲れる。)
なお、体が一回り小型のミニキリンがいたとしよう。それはキリンに比べて、生存競争で不利だろうか?
樹葉を食べるという点では、不利ではない。キリンは自分の身長と同程度のものを食べるのが一番楽だから、わざわざ低い位置のものを食べようとはしない。だからミニキリンとは競合が起こらない。どちらも共存できたはずだ。(樹葉の食い合いは起こらない。)
ただし、肉食動物からの逃避という点では、差が付いたはずだ。ミニキリンの方がずっと多く肉食動物の餌食となっただろう。だからミニキリンは滅びてしまったわけだ。
ここでは、樹葉の食い合いで競争があったのではなく、肉食動物からの逃避(捕食されないこと)で競争があったわけだ。
【 追記1 】
「高い位置の樹葉を食べることができるので有利」
という説が間違いであることの科学的な証明は可能だ。
もしその説が正しければ(仮定)、次のようになるはずだ。
「樹葉は、キリンの背の高さより下は食い荒らされており、キリンの背の高さより上では豊かに茂っている」
しかし、このような事実はない。ゆえに、仮定は成立しない。(背理法)
要するに、樹葉はあまりにもたくさんあるから、背の高い方がうまく食べられるということはない。キリンよりも背が低くても、豊かな樹葉をちゃんと食べられる。実際、キリンの子供は、背が低いけれども、ちゃんと食べている。(樹木の下の方で葉がないわけじゃない。)
【 追記2 】
次のような説がある。
「あるとき環境が悪化して、樹葉が著しく減少した。そのとき、食糧事情が影響した。低い樹葉は食べ尽くされた。そのせいで、背の低いキリンは餓死して絶滅し、背の高いキリンばかりが生き残った」
この説は、やはり成立しない。もしその説が正しければ、キリンの子供も餓死して絶滅してしまうので、キリンもまた絶滅してしまうはずだからだ。
真相は? 草食動物の生存率に影響するのは、食糧事情よりは、捕食者から逃れることの上手・下手だ。餓死するキリンはほとんどいないが、補食されるキリンはたくさんいる。
【 参考 】
キリンの画像
→ 画像1 ,画像2
どこからどこまでが首なのか? 視覚の錯覚で、胴体の一部が首のように見えるので、ちょっと区別しがたい。
[ 余談1 ]
キリンの場合、首と足がともに長いわりには、胴体が短い。胴体に比べて首が長く見えるだけだ、とも言える。足の長さに比べた首の長さで言えば、鹿や馬と大差ないとも言える。(顔の長さの分を差し引きすれば。)
というわけで、「キリンはやたらと首が長いのでなく、胴体が短いだけだ」というふうに答えてもよさそうだ。
質問するなら、「キリンの足はなぜ長いの?」と質問してもいいだろう。首だけが長いわけじゃないんだから。
[ 余談2 ]
キリンの首が長く見えることには、次の理由がある。
「前脚が後脚よりも長い」
このことのせいで、胴体の一部が首のように見える。だから「首が長い」と感じられる。(上記の通り。)
なお、この件については、下記項目を参照。
→ キリンの前脚はなぜ長い (次項)
【 関連項目 】
→ 小進化と大進化(形質の数)
※ キリンはいかに進化したか、についての認識方法の違い。
一つの形質がだんだん変化したと見なすか否か。
【 関連サイト 】
高い葉を食べると有利だ、という話は、下記にある。
→ okwave
首が長いと性的アピールになる、という説もあるが、否定された。
→ 海外のニュース記事

タイムスタンプは 下記 ↓
http://www.youtube.com/watch?v=cEmU37Pd9m0
http://www.youtube.com/watch?v=AvwXa_au34E&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=JZU82G3_lAk
http://www.youtube.com/watch?v=CbJWJj9iF5k
(1) キリンは肉植獣から身を守るために前脚(キックする)を伸ばしてきた。
(2) 地面の水を飲むために、前脚の成長に合わせて、首も伸びてきた。
→ http://www5.ocn.ne.jp/~odland/hitorigoto54.htm
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(1) は、成立しない。理由は下記。(小学生が指摘している。)
→ http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1017379365
(2) は、論理が逆だ。そもそも、そんな理屈が成立するなら、あらゆる草食獣はみんなキリンみたいになっていたはずだ。(正しくは、首を伸ばしたものだけが、巨大化できた。)
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参考。
→ http://blog.goo.ne.jp/shinoropeach/e/e2e2b2c6b1a15a437a4bc8e8c7414a59