→ 恐竜と鳥の系統図
通説の難点については、下記を参照。
→ 鳥と恐竜(通説の矛盾)
また、関連する一連の項目は、カテゴリ別の目次を見て、2010年9月の各項を見てほしい。
→ カテゴリ 「生物 ・進化」
( ※ 本項の実際の掲載日は 2009-12-22 です。)
本項では、「翼はいかにして生じたか?」という問題に答える。その回答は、
「前肢が少しずつ翼に変化したのではなく、前肢がいったん消滅してから翼が生えた」
ということだ。
これ以外のこと(恐竜との系統関係)などについては、冒頭に記したリンク先を参照。
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鳥は恐竜から進化した、という説がある。これは、おおざっぱに言えば正しいが、「前肢が翼に変化した」という意味では正しくない。(恐竜の)前肢がいきなり翼に変化するはずがないからだ。
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現在の主流の説は、「鳥は恐竜から進化した」というものだ。つまり、次の図式。
恐竜 → 鳥
これは、おおざっぱに言えば正しいが、厳密には正しくない。なぜなら、次の二点の問題があるからだ。
・ (恐竜の)前肢がいきなり翼に変化するはずがない。 (論理)
・ 「恐竜と鳥の中間」という種が確認されていない。 (化石)
この二つの難点があるがゆえに、
「鳥は恐竜から進化した」
という説は成立しない。つまり、定説は正しくない。(論理的にも化石的にも。)
比喩的に言えば、
「人類は類人猿から進化した」
という説は成立するが、
「人類は両生類から進化した」
という説は成立しない。それと同様だ。
もっと比喩的に言えば、
「1階の次は3階である」
という説は成立しない。それと同様だ。
(その順序が成立しないということではなく、途中の中間が省略されているという意味で。)
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論理的にも化石的にも成立する説は、ただ一つ。次の進化だ。
恐竜(獣脚類) → 走鳥類 → 鳥類
つまり、恐竜と鳥類の間に、走鳥類という中間種が入っている。これなら、論理的にも化石的にも、整合する。
では、二つの説の違いはどこにあるか?
前肢 → 翼
という変化(進化)が起こるかわりに、次の変化(進化)が起こる。
前肢 → 消滅 → 翼
つまり、恐竜の前肢は、走鳥類においていったん消滅する。その後、鳥類において、あらたに翼が生えてくる。
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このように、「いったん消滅してから別のものに変化する」という進化は、進化の過程でしばしば見られる。
例としては、血液型の進化がある。次の順だ。
A型 → O型 → B型
血液型の違いは、「糖鎖」と呼ばれる部分の違いである。A型の血液はA型の糖鎖をもつ。B型の血液はB型の糖鎖をもつ。O型の血液はA型の糖鎖もB型の糖鎖ももたない。
歴史的には、上記のように、「A型 → O型 → B型」という順で生じた。これは、次の順を意味する。
A型糖鎖 → A型糖鎖なし → B型糖鎖
つまり、A型糖鎖がいったん消滅したあとで、それとは別のものが出現したことになる。
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ここで注意。B型糖鎖は、A型糖鎖とまったく異なるわけではない。A型糖鎖の一部分が違っているだけだ。(化学構造でも、遺伝子レベルでも。)
同様に、鳥類の翼は、恐竜の前肢とまったく異なるわけではない。恐竜の前肢の一部分が違っているだけだ。(構造でも、遺伝子レベルでも。)
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このように、「走鳥類を経由する」という形においてのみ、
恐竜 → 鳥類
という進化は、きちんと説明される。つまり、正しくは、次のようになる。
恐竜 → 走鳥類 → 鳥類
これが正しい順序だ、ということを、理解しておこう。
【 補説 】
本項のポイントは、次のことだ。
「前脚から翼へ、という変化は、起こるはずがない」
この変化は、直接的には起こらず、間接的にのみ起こる。(いったん「消滅」という途中段階を経る必要がある。)……このことが重要だ。
ではなぜ、そう言えるのか? それは、次のことからわかる。
「前脚と翼の途中段階の形態は、存在しえない」
前脚でもなく翼でもない、という中間的な器官は、あまりにもいびつであるがゆえに、存在しえないのだ。仮に存在するとしたら、その器官は、前脚と翼の中間的な形態を持つ。次のように。
「腕として見れば、腕も指も中途半端なのに、無駄な羽毛を生えている」
「翼として見れば、飛翔力が不十分なのに、余計な指が伸びている」
このような器官をもつ生物が生存できる領域はありえない。だから、そのような生物は存在しえない。
この点は、魚類から両生類への進化とは、異なる。
魚類から両生類への進化では、「ヒレと前肢の途中段階」というものが存在しえた。それは、次のような形態を持つものだった。
「骨をもち、太くて頑丈でヒレ。ちょっとは足のかわりとなるようなヒレ」
このような器官をもつ生物が存在できる領域はあった。それは「浅瀬」である。「浅瀬」は、水中と陸上の中間的な領域であり、そこでは、ヒレと足の中間的な器官が存在しえた。
鳥類の場合には、それは成立しない。「空と陸地の中間的な領域」という場所は存在しないし、「前肢と翼の中間形態」という器官は存在しえない。それゆえ、
前肢 → 翼
という変化(進化)は起こりえない。かわりに、
前肢 → 消滅 → 翼
という変化(進化)が起こったのだ。そして、その途中段階に当たるものが、「走鳥類」である。
走鳥類が恐竜と鳥類の途中段階にあることは、遺伝子レベルでも確認されている。また、形態的にも、確認されている。たとえば、オビラプトルという鳥型恐竜(最も新しい恐竜)と、ニワトリとを比べると、よく似ていることがわかる。
→ オビラプトルの画像
→ ニワトリの画像
( ※ ニワトリは走鳥類ではないが、走鳥類に最も近い鳥類である。走鳥類には、ダチョウなどがいる。これは、オビラプトルとニワトリの中間的な位置にいる。)
[ 付記1 ]
本項で述べた「鳥類」とは、現生鳥類(新鳥類)のことを言う。
一方、白亜紀末以前に滅びた鳥類(古鳥類)は、事情は別だ。始祖鳥などの鳥類は、恐竜から出現したと見なされている。これらの鳥類は、「空を飛ぶ恐竜」と見なしてもいいだろう。
( ※ 空を飛ぶものを鳥類と見なす、という認識をしない。もしそんな認識をするのであれば、コウモリも鳥類になってしまうからだ。)
[ 付記2 ]
なお、始祖鳥などの古鳥類においても、いきなり前肢から翼が出現したとは考えにくい。やはり途中段階において、いったん前肢が消滅していたはずだ。
[ 付記3 ]
「いったん消滅してから別の形で生じる」
ということは、遺伝子的に説明がなされる。かなり面倒な話になるが、下記で詳しく説明されている。
→ 第2部 概要
[ 付記4 ]
本項で述べたことは、下記のページと、ほぼ同趣旨である。
→ クラス進化論の概要 §鳥類の進化
本項では、ずっと前に述べたことを、新たに書き直しただけだ。
[ 付記5 ]
本項で述べたことは、学会の常識ではない。私の主張する説である。
ただし、論理的にも化石的にも、これ以外には成立し得ないはずだ。
(恐竜が空にむかってジャンプしたから鳥になった、という説もあるが、破綻している。恐竜が空にむかってジャンプすれば、恐竜の前肢が翼に変化するのではなく、恐竜が地面に衝突してつぶれるだけだ。)
【 関連項目 】
鳥の進化については、下記項目でも言及している。
→ 鳥類の進化
この項目には、次の図もある。

詳しくは、上記項目を参照。
