第二世代バイオエタノールというのは、従来は廃棄されてきた農作物からバイオ燃料を作る、というものだ。
トウモロコシやサトウキビのような食用作物を使ってバイオ・エタノールを作る(第一世代バイオエタノール)かわりに、麦ワラ・稲ワラのようなものを使ってバイオ・エタノールを作る(第二世代バイオエタノール)、というわけだ。
従来のバイオ・エタノールは、食糧の高騰をもたらした。だが、食用作物でないものを使ってバイオ・エタノールを作れば、食糧の高騰をもたらさないだろう、というわけだ。
政府は、このような第二世代バイオエタノールの開発を推進する方針だという。また、サミットでも、このような第二世代バイオエタノールの開発が提唱された。(各紙・朝刊 2008-07-08 )
( ※ サミットでは日本政府の根回しがあったらしい。)
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さて、このような第二世代バイオエタノールは、有効だろうか?
最初に結論を述べておけば、「無効」である。私はそう考える。以下では、その理由を示そう。
まず、麦ワラ・稲ワラをつかってエタノールを作成する、というのは「ゴミを使って燃料を作る」ということだから、うまい話に見える。政府が乗り気になるというのも、わからなくはない。(素人にはありがちの発想だし。 (^^); )
しかし、である。それが本当にうまい話であれば、民間企業がとっくにわんさと乗り出しているはずだ。「ITで大儲け」という企業が雨後の竹の子のように湧いたごとく、「第二世代バイオエタノールで大儲け」という企業が雨後の竹の子のように湧いていいはずだ。しかるに、現実には、そんなことをやろうとするのは、ごく限られた企業だけだ。
そして、たいていの企業がやる気にならないとき、政府だけがやたらとやる気になるとしたら、「本当は損をするのだが、政府だけはそれがわからない」ということだ、と思った方がいいだろう。(新銀行東京の例を見るまでもない。石原慎太郎のホラを思い出そう。)
では、第二世代バイオエタノールは、どこが問題か?
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まず、「とにかく問題がある」ということを知っておこう。政府の提案自体も「開発したい」という願望または夢であって、「開発する」という具体策ではない。「いつか将来的にできたらいいな」と思っているだけであって、具体的に開発のメドが立っているわけではない。
ま、専門家ならばすぐにわかることだが、結論は次のようになるに決まっている。
「技術的には可能だろうが、コスト的に割が合わない」
つまり、麦ワラをアルコールに変えることは、かろうじて可能だが、変えるためには莫大なエネルギーを必要とするので、投じたエネルギーに見合うだけのものを得ることができない。手間暇かけても、わずかなものしか得られない。要するに、割に合わないのだ。
そして、民間企業というのは、利益を目的にするから、割に合わないことなんか、やる気がない。しかし政府は、「補助金」というものがあって、これでいくらでも無駄遣いができるから(国民の金を勝手に浪費できるから)、それで「エタノールができました」と平気で言うことができるわけだ。
以上が基本となる。
その上で、具体的に問題点を指摘しよう。
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(1) 基本的な問題
「食用作物と競合しない」
というのが第二世代バイオ・エタノールの概念だが、こういうことは、原則として成立しない。というのは、どっちみち、土地を利用するのだが、土地を利用するという点で、食用作物と競合するからだ。
たとえば、小麦の価格が高騰したのは、小麦畑がトウモロコシ畑などに転換したからだ。ここで、
「トウモロコシは人間が食べるのではなく、家畜が食べるのだから、人間の食物を減らしたことにはならない」
という主張も出るだろうが、成立しない。小麦とトウモロコシが競合するのは、それらが直接競合するからではなくて、土地の利用において競合するからだ。トウモロコシ畑が増えれば、小麦畑が減る。こういう形で競合する。ここが基本となる。(最終農産物ではなくて土地に置いて競合する。)
では、もともと競合しない作物(ケナフなど)を利用すればいいか? それもまずい。というのは、食用作物というのは、小麦であれトウモロコシであれサトウキビであれ、炭水化物の量が多い。(穀物ふうに実がなる。)だからこそ、食用になるのだ。そして、それはまた、エタノールの原料ともなる。カロリーのある作物を作るということは、食用とエタノール原料とで共通することだ。だから、この双方は、基本的に競合する。
一方、ケナフのようなものは、ただのセルロースみたいなものだ。こういうのは、紙の原料になるが、カロリーもない。食用にもならないし、エタノール原料にもならない。どっちにも役立たずなのだ。
だから、「食用にはならないがエタノールの原料になる」というようなものを作ること(そういう痩せた土地を探すこと)は、ほとんど無意味である。
・ 肥沃な土地であれば、食用作物もエタノール原料も、どちらもできるので、競合する。
・ 痩せた土地であれば、食用作物はできないが、エタノール原料もできないので、どちらにも役立たずだ。
( ※ 中間的な土地ではどうか? 菜の花の栽培による菜種油などが考えられる。これだって、菜種油は食用にもなるし、バイオエネルギーにもなる。どっちみち、食用とバイオエネルギーは競合するのだ。実りあるものができれば、食用にもバイオエネルギーにもなるからだ。)
では、政府の言うように、役立たずの麦ワラなどを使えばいいのか? これなら、余り物の再利用だから、問題はない、と思える。
なるほど、問題はない。ただし、問題はないが、利得もたいしてない。つまり、効率が非常に悪くて、採算に乗らないのだ。
はっきり言って、「無駄」である。「無駄をなくす」ための方法それ自体が、(役立たずのものを無理に無意味に利用するので)「多大な無駄をなす」ということになる。── それが「第二世代バイオ・エタノール」の本質だ。
そのことを以下で示そう。
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(2) コスト的な問題
麦ワラなどの余り物を再利用する「第二世代バイオ・エタノール」には、技術的な問題がある。それは「効率が低くてコスト高になる」という問題だ。はっきり言って、「そのまま燃やして暖を取る」という方が、はるかに効率が高い。わざわざ莫大なエネルギーを投入して、麦ワラをエタノールに変えても、無駄が多すぎて、コスト的にもエネルギー的にも割に合わない。たしかに「無駄なものを再利用する」ということはできるが、「無駄をなくすために莫大な無駄をする」ということになる。
比喩的に言えば、「川に落ちた百円玉を拾うために、千円の道具を買う」というようなものだ。無駄をなくすために、別の無駄をなす。こんなことでは、いくら「無断がなくなった」と言っても、帳尻が合わない。
具体的に示そう。「麦ワラなどをバイオ・エタノールに転じる」という方法には、次のような問題がある。
・ 通年ではなく、収穫期の一度しか、生産できない。
・ 大量のワラを効率的に運搬する方法がわからない。
・ 技術が開発されていない。(硫酸法で可能だが、高コスト。そこで、
アルカリや高圧高温水を使う新技術を開発する、という方針。)
最後の点に着目して、「政府が金を出して新技術を開発すればいい」というのが、政府やマスコミの立場だ。「そうすれば、現状よりもコストを大幅に削減できる」という見通しだ。
しかし、目標が達成されても、こうして生産された第二世代バイオエタノールは、他の燃料に比べれば価格が大幅に高い。(石油の3倍ぐらい。)また、初めの二点の問題は解決されない。……この二点ゆえに、およそ採算ベースに乗りそうにない。だから民間企業は乗り気にならない。
(補助金をアテにするのならば別だが。補助金搾取の詐欺師みたいなものですかね。ま、エコ関係では、詐欺師みたいな連流が跋扈(ばっこ)しているが。)
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ただし、例外的に、うまく行く場合もある。それは、もともと農業廃棄物がたくさん集まっている場合だ。
たとえば、サトウキビがそうだ。サトウキビの工場には、大量のサトウキビが集まり、そのあとに大量の絞りカスが残る。これをうまく利用することができる。
( → 朝日・朝刊・経済面 2008-07-18 ,月島機械 )
また、小麦の大量生産でも、同様だ。米国の穀倉地帯では、大量の小麦を機械化生産していて、大量の麦ワラの処理に困っている場合だ。このような特別な場合には、「ゴミ処理のかわり」のような感じで、第二世代バイオエタノールの意義はある。
これは、採算に乗るから、すでに民間企業が進出している。具体的に言うと、これは、ホンダが開発した技術で、出光と三菱商が事業化するもの。記事を示そう。
出光興産と三菱商事は食料を原料としないバイオ燃料の量産に乗り出す。ホンダなどが開発した稲わらや雑草を原料に使う生産技術を導入。北米やアジアを候補地として世界最大級の工場を建設、2011年にも日本などに出荷する。記事にも述べられているが、「原料を大量に安く調達できる」というのが絶対条件だ。
出光と三菱商事は、ホンダ子会社の本田技術研究所(埼玉県和光市)と地球環境産業技術研究機構(RITE)からバイオエタノールの量産技術の供与を受ける。原料を大量に安く調達できる北米か中国、東南アジアの穀倉地帯に一貫生産設備を建設する計画。
( → 日経 )
ただし、それが可能な地域は、そう多くはない。アジアだって、失業者があふれている地域ならば、タダ同然の賃金で労働者をこき使うことはできるかもしれないが、そんな奴隷扱いをすることがいつまでも続くはずはないから、長期的に可能なのは北米だけに限られている。そこでできるエタノール生産の量も、たかが知れているだろう。
これは、ないよりはマシかもしれないが、多くを期待できない。まして、日本では、とうてい不可能だ。前述のように、廃棄農産物を集めるのに、莫大なエネルギーを要するからだ。
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結局、世界のほとんどの地域では、いくら麦ワラが余っていても、その麦ワラをエタノールに変えることはできない。麦ワラをエタノールにして得られるものよりは、麦ワラをエタノールに変えるために麦ワラを運搬する費用(エネルギー)の方が、多くなってしまいそうだ。
では、どうすればいいか?
麦ワラをそのまま地中に埋めて肥料にする、という方法もある。では、そうすればいいか?
それも一案だが、せっかく土から得たものを単に土に戻してしまうのでは、いかにももったいない。そこで、よく考えると、もっといい方法がある。以下の通り。
(3) 燃料にする
先に「農業コジェネ」の項で述べたように、「ハウス農業では暖房のために石油燃料を燃やす」ということをしている。
そこで、ハウス農業の暖房用途のために、麦ワラなどを直接燃やしてしまうといいのだ。
こうすれば、
麦ワラ → バイオエタノール → 燃焼
という無駄手間を経由せずに、
麦ワラ → 燃焼
というふうに直接的にやるから、バイオエタノールを生産するための余計な手間やコストがかからない。
これによるメリットは次の通り。
・ 余計な工場や設備や過程がないので、コストがかからない。
・ 各地で分散して燃やせるので、収集の手間がかからない。
・ 秋に収穫して、そのまま冬のハウス農業に使える。
(どちらも季節限定だから、無駄がない。)
・ 小規模な生産と小規模な需要が、ちょうどうまく釣り合う。
・ 汚い産業廃棄物が出ない。有害でない。
・ 燃え残りの灰ができるが、これは肥料になる。かえって有益。
( ※ 麦ワラや稲ワラは、昔は地面にすきこんで、肥料のかわりにしていた。それをやめると、化学肥料を大量に必要とするようになった。馬鹿みたいですね。……燃やした灰を肥料にすれば、この問題はなくなる。)
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では、途上国では? 途上国では、ハウス農業をやってもいいが、もともと温暖なので、ハウス農業を必要としないこともある。
その場合は、麦ワラを燃やして、熱エネルギーを他の用途に利用すればいい。たとえば、調理に利用する。現状では、森林を伐採して、調理のためのエネルギーを得ている。そこで、「麦ワラを乾燥させて、かまどで使えば、調理に利用できる」ということを教えてあげる。また、かまどの作り方も教えてあげる。
こうすることで、「第二世代バイオ・エタノール」なんていう無駄だらけの方法よりも、ずっと効率的な再利用ができる。
他に、工場の燃料にする、という方針もある。この方針で大幅な石油節約に成功している実例もある。(麦ワラでなく、もみ殻なら、ネットで検索すればたくさん見つかる。)
(4) 飼料にする
なお、次の方法もある。
「麦ワラなどを、微生物でバイオ加工して、豚の餌などの飼料に用いる」
(麦ワラは、セルロースでは飼料にならないので、バイオ加工する。)
( → 検索 ,参考記事
要するに、同じくバイオ技術を使うにしても、エタノールを生産するのではなく、家畜の餌をつくるわけだ。
これも一案だ。これは途上国でも先進国でも、それなりの方法で利用できる。そして、豚などがこういう餌を食えば、その分、トウモロコシなどの穀類を食わなくなるので、人間様にトウモロコシが回ってくる。そのトウモロコシを有益に使えばいい。
と書いたあとで、読売に「バイオマス」という記事が出た。
これは、「微生物を使って、余った農業資源を有効に使おう」というもの。家畜の餌を作るだけでなく、有機肥料やメタンガスを作り出す。そういう総合的な有効利用。ただし、環境保護というよりは、農水省の農業振興策。
これは、政府の方針としては珍しくまともな方法である。興味深い記事なので、ぜひ読むといいだろう。
( → 読売のサイト )
ただし、である。「家畜の餌を作る」というのは、「地球温暖化を防ぐ」「炭酸ガスを減らす」という目的には合致しない。それゆえ、いくら合理的に見えても、その方法は推奨されない。
ここでも、「地球温暖化阻止」という妙な信念ゆえに、正しい政策が取られなくなってしまっている。「資源の有効利用」ではなくて、「地球温暖化に影響するかどうか」だけが問題になるからだ。
というわけで、「地球温暖化阻止」という発想が、いかに有害であるかがわかる。どれほど科学的に合理的な方法であっても、「地球温暖化阻止には役立たない」という理由であっさり却下される。
逆に、どれほど科学的に非合理的な方法であっても、「地球温暖化阻止に役立つ」という理由であっさり採用される。
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結論。
「ゴミを有益に利用しよう」
という発想は面白いのだが、ゴミを高度に利用する必要はない。ゴミはゴミなりに、低級な用途に使えばいい。そのまま燃やして熱源としてもいいし、豚に食わせてもいいし、微生物を使ってメタンガスを発生させてもいい。
ひるがえって、「ゴミを高度に利用する(エタノールを作る)ために、莫大なコストをかける。そうして、ゴミを貴重品に転換する」というのでは、結局、「エネルギーを生産するために多大なエネルギーを使う」ということだから、帳尻が合わない。こんなことをして、何のメリットがあるのか? たぶん、「省エネをしています」という自己満足だけだろう。
「省エネをするために莫大なエネルギーを浪費して、それでもわずかな省エネをすることができたと思って自己満足する」
というのは、環境保護の信者には、ありがちの発想である。そして、そのために莫大な金を費やす。1の金を得るために、3の金を投入して、「1の金をエコで得たらら、私はすばらしいことをした」と思い込む。(ただし、その3の金は、自分の金ではなくて、他人の金を当てにしていることが多い。 → 善と偽善 )
【 補足 】
数値で言うと、次の通り。
(1) 第二世代バイオエタノール
10のエネルギーから3のエネルギーを回収するために、7のエネルギーを投入する。「これまで捨てられたものから3のエネルギーを回収するので、すばらしい」と自己満足する。そして、7のエネルギーを投入するために、莫大なコストをかける。その差額の分は、税金などでまかなう。
生産されたバイオエタノールは、自動車などに利用されるので、「石油燃料の使用を減らせた」と喜ぶ。しかし一方では、地方のハウスでは大量の石油が燃やされている。そっちは放置したまま。
なお、たとえ完全に成功したとしても、麦ワラで生産できるバイオエタノールの量は少ないので、世界の石油需要をまかなうにはあまりにも少なすぎる。ほんの一部を代替できるだけだ。
ただし、「おれは善行をしている」という自分勝手な自己満足だけは、たっぷりと得られる。「ああ、おれはなんてすばらしいんだろう」と陶酔できる。
( ※ ただし、サトウキビ工場や、米国の穀倉地帯など、限られた条件のもとでは、投入するエネルギーが少なくて済むので、うまく有効になる。それについては大丈夫だろう。……ただし、それに救世主のような役割を期待するのは、期待過剰だ。野球で言えば、エースや4番バッターにはなれず、ただのワンポイント・リリーフのようなものだろう。それなりに小さな役割はあるが、それだけだ。)
(2) 本項の方針
10のエネルギーをもつものを、そのまま燃やすか、豚が食べてしまう。10のエネルギーは、そっくりそのまま利用される。無駄はゼロ。効率は最高。
そのことで、自動車などの石油燃料は減らせないが、ハウスの石油燃料は減らせる。都市では石油節約にならないが、地方では石油節約になる。総合的には、しっかり石油節約になっている。また、エネルギーを使わずに、飼料を作成できるので、農業生産に利用される石油の量を減らせる。
もっとも、これらによる石油節約の量は、たかが知れている。だが、もともと麦ワラなんかの量が大したことはないのだから、それも当然だ。大事なのは、無駄を減らして、金を無駄にしないことだ。炭酸ガスの量なんて、どうでもいい。農業生産の効率を高めることの方が、はるかに重要だ。何しろ、世界に人口の半数は飢えているのだから。
[ 付記1 ]
どうも、エコ推進の方針は、長期的視野がなく、泥縄的な対応である。
・ 石油燃料が不足するから、バイオエタノールを推進する
・ 穀物が不足したから、バイオエタノールの推進をやめる
・ かわりに第2世代バイオエタノールを推進する。
この順で進んできたが、ほとんど「行き当たりばったり」である。
今は政府が第2世代バイオエタノールを推進しているが、どうせ「実用性がない」という理由で、やがて放り出すに決まっている。それまでにかけた多額の補助金は無駄になりそうだ。そのころには、たぶん、別の補助金に用途を転じているのだろう。
たとえば、こうだ。
「第二世代バイオエタノールの開発に成功しましたが、時間がかかりすぎて、もはや内燃機関の自動車は走っていません。ガソリン車もエタノール車も走っていません。走っているのは電気自動車ばかり。バイオエタノールは使い道がありません。」
そこで、新たな補助金を提案する。
「バイオエタノールを飲んで、酔っ払いましょう。そのために、補助金を出します。バイオ・エタノール入りのビールには、一本あたり百円の補助金を差し上げます」
でもねえ。普通のビールだって、もともとバイオ・エタノールなんですよね。アルコール度5%のバイオ製品。そっちには補助金をくれないの? (^^);
[ 付記2 ]
「バイオエタノールを」という現代の方針(サミットなどの方針)は駄目だ、ということは、つい先日も示した。(食糧高騰を招くから、という批判。)
ただ、実を言うと、もっとずっと前から、私はこの問題を指摘してきた。
「バイオ燃料(バイオエタノール)の普及にともなって、穀物価格が上昇している。このままだとどんどん価格が上昇して、人間様の食べるものがなくなりそうだ。」
→ バイオ燃料の問題
この項目では、次のことも示してきた。
「バイオ燃料が増えれば増えるほど、熱帯林が減り、地球環境は悪化する。」
もう一度、この項目を読み直してほしい。化石燃料や炭酸ガスよりも、地球環境や生態系の方が、はるかに重要なのだ。(この件については、後日また述べる。とりあえずは、次を参照。 → 生態系の維持 )
[ 付記3 ]
上記では、麦ワラなどの利用法として、「かまど」による熱源としての利用を提案した。これについて注記しておこう。
「かまど」というのは、実際、非常に有益な技術である。
前出の「動画「地球温暖化詐欺」」の第5回では、「途上国では室内で薪などを燃やすので煙による健康悪化や死亡が多発する」と述べて、「だから電化が必要だ」と結論しているが、この結論は妥当ではない。
調理の問題を解決するには、屋外にかまどがあればよく、高価な電気は特に必要ないのだ。途上国を救うのは、現代の科学技術ではなくて、日本古来の知恵なのである。そこでは高額の火力発電所や原発は必要なく、かまどを作るだけの知恵があればいい。
そして、日本がなすべきことは、そういう知恵を与えることであって、高額の ODA なんかではないのだ。与えるべきものを間違えてはいけない。
そして、「かまど」を与えることで、途上国の生活が向上するだけでなく、環境保護にも貢献する。なぜなら現状では、調理の熱源を得るために、森林を伐採しており、森林を砂漠化しているからだ。
( ※ ただし、「かまどを与えよ」というのは、「電気を与えるな」という意味ではないので、念のため。金の使い方の問題にすぎない。「金を出すな」という意味ではない。例の動画の第5回では、批判者は「太陽光発電よりは、ローコストな石油発電を与えよ」と述べているが、それより前に、もっとローコストでできるものがある、ということだ。……だいたい、環境保護派も、その批判者も、「これが理想的だから、これを与えるべし」と言っておきながら、自分では一円も出してはいない。偽善的。その点、私は「知恵を与えるべし」と言っているし、ここで実際に知恵を出している。知恵を自分の金儲けのためにのみ使うような、トヨタ流とは違います。)
[ 付記4 ]
麦ワラを「飼料にする」という方法は、それ単独では成立しない。飼料を利用する畜産農業がすぐそばでなされている必要がある。
その意味で、「バイオ飼料」を使う農業は、「小麦などの単一作物生産」から、「さまざまな農産物と畜産との混合農業」という形に転じることが必要になる。……こういうのは、「ヘリコプターからタネをまく」という米国流の機械化農業とは相容れないところがある。だから米国では、バイオ飼料の方法は成立しがたく、第二世代バイオエタノールの方がいいかもしれない。
とはいえ、米国流の農業は、「地下水を大量に収奪する」という方法が前提で、それは遠からず終焉を迎える。「第二世代バイオエタノール」は、「莫大な地下水を収奪する」ことを前提とした方法であり、限られた領域だけで、限られた期間だけで、成立するものだ。持続可能な農法によるものではない。
下手をすると、「第二世代バイオエタノールの工場ができました」と万歳をしたときに、「地下水が枯渇して小麦ができなくなりました」となるかも。
( cf. 米国の農業には、地下水の枯渇という問題がある。 → Google 検索 )
[ 付記5 ]
麦ワラなどはセルロースでできている。セルロースをエタノールに転換する加工よりは、セルロースをセルロースのまま抽出する方法の方が、有効だろう。(エネルギー的にも、コスト的にも、技術的にも。)
たとえば、麦ワラからセルロースを抽出して、紙にする。紙ができれば、その分、木材の使用が減るから、木材の伐採がなくなり、環境に有益だ。
現在ではシベリアの針葉樹などが大量に伐採されており、環境にはよくない。莫大な時間をかけて形成された針葉樹林が、目先の金のために次々と伐採されている。
こういう問題(環境破壊)をなくすために、上記の方法は有効だ。ただし、この方法は、直接的に炭酸ガスを削減する効果はない。その点では、バイオエタノールとは違う。とはいえ、バイオエタノールにするのは、エネルギー的に無駄が多いから、かえって有益性が少ないのだ。
つまり、「炭酸ガス削減」というお題目にとらわれるあまり、かえって環境によくない方法が選ばれている。ここでも「炭酸ガスにばかり注目する」ということの悪弊が現れている。
( ※ なお、現時点では、「麦ワラからセルロースを抽出して紙にする」という技術は、うまく開発されていない。麦ワラにケイ素が含まれていて、不都合が生じるらしい。また、木質系のセルロースに比べて、品質が劣り、せいぜい段ボールぐらいにしかならないらしい。……とはいえ、将来的には何とかなりそうだから、技術開発をする価値はある。現時点では、物好きな農学系研究者がちょっと研究している程度。地球環境を大幅に改善させる価値のある研究がなおざりにされている。太陽電池の研究ばかりが大宣伝されているが。)
【 関連項目 】
(1) 資源節約や環境保護の問題については、前項までの数項目を参照。
また、「バイオ燃料の問題」という項目も参照。
(2) 途上国を救うにはどうすればいいか、という問題もある。
これについては「食糧やエネルギーを途上国に与えよ」
という意見が多い。
だが、「人口の増加が根本的な原因だ」ということもある。
この件については、下記を参照。
→ アフリカの未来

「バイオガスプラント」を建設・実験していましたね。
広大な大地に広範囲に広がった酪農家から、
軽油を消費しつつトラックで「家畜糞尿」を集めてきて、
バイオガスを発生させる。
途上国で牛の糞を乾燥させて燃料にしているのを
参考にしているのでしょうが、
発生源、運搬、ガスの消費場所などを考えると、
エネルギー的にものすごく無駄に思えました。
ま、単に実験で終わったようですが。
http://openblog.meblog.biz/article/1314602.html