2007年08月24日
◆ 事故とボルト
中華航空のボーイング737−800型が炎上した事故で、事故調査委員会は、事故の原因がボルトだと発表した。ボルトがはずれて、主翼内の燃料タンクに穴が開いていたため。
ここでは、ボルトに着目しよう。というのは、前の事故も、ボルトだったからだ。 ──
【 追記 ・修正 】
新しい情報によると、ボルトは、はずれたのではなくて、最初からはまっていなかったようだ。ゆるんで抜け落ちたのではなく、もともと最初から抜けている状態だったようだ。……というわけで、以下の記述は、今回の事件には適切ではないようだ。とはいえ、将来の事故を未然に防止したいという趣旨で、特に削除しないでおく。
以下の話を読むときには、この点に留意してほしい。
前の事故については、次の項目で言及した。
http://openblog.meblog.biz/article/62444.html
(塑性域角度法)
ここでは事故の原因は、全日空の飛行機が前輪が開かなかったことだが、それは「ボルト脱落」のせいだった。
となると、あっちもこっちも、「ボルト脱落」が原因だったことになる。
──
先の項目では、「塑性域角度法」を対策としたが、これは、既存のネジには使えない。(もともとそういう設計になっていない。)
そこで、対策は、二通り。
・ 今後の分は、塑性域角度法で。
・ 既存の分は、別の方法で。
──
別の方法としては、どういうものがあるか?
私としては、とにかく、「不可逆的」にすることが必要だと思う。つまり、「ボルトをはずすには、ボルトを破壊するしかない」というタイプの締め付け方だ。
通常の点検の際にはずすような箇所は、そうするべきではないが、5年以上は点検しないような箇所は、「不可逆的」な締め付け方にするべきだと思う。
その要点は? 「ナットが回転しないようにする」ということだ。ナットが回転するようになっている限り、いつかはナットがはずれてしまう。今回の事故も、そうだ。
では、ナットが回転しないようにするには? ナットとボルトの接合部を、何らかの形で、非可逆的に変形してしまえばいい。元に戻らないように。
その一例は、ネジ山をつぶすことだ。(具体的にどうすればいいかは、自分で考えてください。私はここには示しません。図を書くのが面倒なので。……また、どこかから、「それじゃ不十分だ」とかいうイチャモンが来そうで、面倒なので。)
(なお、巨大なネジでは、山をつぶすより、谷を埋める方が、容易であろう。そういう発想もある。)
とにかく、上では、原理だけを示した。「不可逆性」ということが原理だ。
逆に言えば、こうだ。
現状では、「事故が起こった、事故が起こった」と大騒ぎしているが、現状はもともと事故が起こるような設計になっているのだ。なぜなら、ボルトは可逆的であるから、ボルトは(可逆的に)はずれるのが当り前であって、そうなれば事故が起こるのは当然だからだ。
つまり、航空機で次々と同じような事故が起こるのは、もともと事故が起こるような設計になっているからだ。……このことをはっきりと理解しよう。
それが本項の趣旨だ。
──
【 追記1 】
すぐ上の結論は、誇張まじりの極言だが、現実には航空機のボルトはそれほどひどくはない、という指摘があった。いろいろと対策もしてあるそうだ。(すべてかどうかはともかく。)
→ 下記のコメント( 2007年08月27日 22:20 )を参照。
このような対策が、あらゆる場面で漏れなく実現しているとすれば、私としては文句の言いようがない。航空機のボルトはみんなそうなのか、さらには、航空機以外(たとえば自動車の車体やジェットコースターやエレベーターなどのボルト)もみんなそうなのか、……そのあたりは判然としないが。
ま、とにかく、本項の目的は、「誇張気味の警告を鳴らして、技術者の注意を掻き立てよう」ということである。本項の話を、「全国のボルトを調査した調査レポート」というふうには理解しないでほしい。
(当り前といえば当り前だし、本ブログをずっと読んでいる人にはわかるはずだが。……ただ、本項を単発で読んで、文字通りに理解して、文句を言いたくなる人もいるようなので。)
(なお、まさかとは思うが、念のために注記しておこう。私は航空機業界のボルトを調べて回る、航空ジャーナリストではありません。ボルトを毎日いじっている、ボルト専門家でもありません。……本サイトに書いてあることは、すべて個人的な見解または感想であって、何らかの公的な教科書のようなものではありません。基本的には「変人のぼやき」ふうに理解してください。その見解に、賛成するか反対するかは勝手ですが、「事実調査のレポート」というふうには見ないでください。)
【 追記2 】
本項目は、全体として、正しい記述とは言えません。
最初の報道では、「ボルトの脱落があった」というふうに報道されました。それに基づいて、本項のこと(脱落を防止せよということ)が記述されました。
しかし現実には、ボルトは、だんだん抜け落ちたのではなくて、最初から抜けている状態でした。(詳細は報道を参照。)
となると、本項の前提となる事実がズレてしまっているので、本項は全体としてはピンボケになります。
最初にも青字で述べたとおり、本項は、(本来ならば)削除しても構わない内容です。あえて削除せずに残しましたが、本項をそのまま妥当な内容だとは受け取らないでください。あくまで参考として読むだけにしてください。
具体的に言えば、
「あらゆる航空機のボルトは駄目だ」
と述べているわけではなく、
「航空機や一般機械のどこかでは、まだまだ駄目なボルト締め付けがありそうだから、そういう分野では、ちゃんとしたボルト締め付けをしよう」
と述べているわけです。
(何しろ、「ワッシャーさえあれば大丈夫」と信じている技術者がたくさんいる、ということなので。)
(ただし、一部に阿呆がいるということは、全員が阿呆であるということを意味しません。)
過去ログ

大間違いじゃね?航空機のトラブルは殆ど人災。
でも、それに対してこんなコメントが書き込まれています。
>塑性域角度法でも緩みますし、外せなくなることはありません。ボルトが変形するところまで締めるのは、塑性域まで締めることによって、正確な締め付けトルクを得るためだったと記憶しています。
私も同意見。塑性域角度法でも外せなくなっては大変です。基本的な事だと思うのですが・・・・
整備不良や人的ミス、劣化などによって重大事故が生じないような「フェイルセーフ設計」を、
ということですよね。
現在のボルトが不適当なら、別のボルトを採用するとか、別の接合手段をとるとか。
日常あらゆるところに危険はありますけど、こと航空機は何かあった場合重大事故になるので、B社などに配慮願いたいところです。
でも「市場原理」でもって、コスト最重視になってしまってるんでしょうね。
「塑性域角度法」
http://openblog.meblog.biz/article/62444.html
のコメント欄に記述しました。
──
>抜け落ち防止用ワッシャーの取り付け忘れ
その通りです。その趣旨で、冒頭の青字部分を読んでください。
結構古い(つもり)の読者ですが、最近コメントのレベルが下がっているのは、ただで100%の情報を求める人が増えたためなのでしょうね。
ここのコメントに批判する方たちは、ボルトやナット、ワッシャーなどをを全く改良する気は無いのでしょうね。管理人様は「フェイルセーフ設計」為の一案を投げかけているのだと読み取れます。例え、専門的にそぐわない点があってもそれは重要な問題とは思えません。あくまでも「フェイルセーフ設計」が今よりもレベルを上げなければならないとの投げかけと読み取れるからです。ボルトナットなどの改良が難しいことは誰でも知っているはずです。それでも、レベルアップが必要な事も誰でも知っているはずです。つまり、ここで専門知識の誇示は何も意味をなさいなと思われます。
やれやれ、ご自身の矛盾にまるで気付かれて
いらっしゃらないご様子で。
航空機に関わらず事故の発生原因を突き詰めて
行けば根本は人為ミス(=人災)なのですが、
「設計ミス」も人為ミスの一つですよ。
それと、事故に対する根本の対策、それは
「人為ミスの可能性を無くす事」です。
これができない事故例は良く再発するものです。
製造業で作業者の組立ミスを無くす為、治具に
「ポカヨケ」を設けているのはその為です。
また、より優秀な製造業ともなれば、そもそも
組立段階でミスが発生し得ないような部品構造を
構築できる設計者を多く抱えているものです。
そのような観点で読めば管理人さんが至極真っ当
な事をおっしゃっている事が判りますよ、お子様は
一昨日おいで下さいな。
いつも興味深く読ませていただいています。
この記事について気になることがあるので質問させて下さい。
>航空機で次々と同じような事故が起こるのは、もともと事故が起こるような設計になっているからだ。
とありますが、この根拠は何でしょうか。
航空機の図面を見る機会があったのですが、簡単にボルトが緩むような設計にはなっていませんでした。
具体的には「セルフロックナット」「割りピン」「セイフティワイヤ」等、緩み止めの処置がしてありました。
振動等発生が予想される力に対し、十分な抵抗を持つように設計されているそうです。
もちろん私が見たのは極々一部ではありますが、ボルトの緩みに対して何の対策もないと断言されると、大きな違和感を感じます。
第一に、私の話は、公正な客観情報ではなくて、(話を面白くするために)偏った誇張がたくさん含まれているので、初めから「誇張が多いな」と思って読んでください。朝日や読売などの公正な記事だとは思わずに、外部の人間のほざいた悪口談義だと思ってください。そこに一片の真実があれば、それで良し。「そういうこともあるなあ」と思って、注意を高めてもらうことが目的です。字面通りに読まないでください。
第二に、ご指摘の件ですが、すべてがそうなっていればいいんですよね。しかしまあ、そうじゃないこともありそうなので、私の感想を述べたまでです。別に、航空機の現状を精密に調査した上での報告ではありません。最後に「……だと思う」という文句をつけて読み直してください。で、その見解が、間違っていることもあります。(実際に調べたわけじゃないので。)
で、そのあと、現実に調べて、あなたのようにご指摘をしてくださる人がいると、「なるほど」と思うわけです。
>航空機で次々と同じような事故が起こるのは、もともと事故が起こるような設計になっているからだ。
の一文は設計者に対してとても深い意味を持っていると思います。
ボルトの緩みに対して抜け落ち防止用ワッシャーや割ピンなどで対策するといった設計は、
現実につけ忘れ等の運用時ミスが何度か起きていることから「事故が起こるような設計」だと言うことです。
そんなの運用の奴らの責任で設計の責任じゃないとは言わず、
運用ミスすら起きない設計を模索しろと管理人様は警鐘を鳴らしているのだと思います。
管理人様のコメントとは多少矛盾するので私が深読みしすぎなのかもしれませんが、
設計者に不満を持つ者様や通りすがりの品質管理屋様も同じような見解なのではないかと思います。