2007年08月15日
◆ 人類の進化のシナリオ
人類の進化についてのシナリオ(仮説)を示す。
これは、あくまでシナリオ(仮説)である。正しいかどうかは、実証的には判明していない。
ただし、論理的には、これが唯一のシナリオである、と私は考える。(他の説は何らかの難点がある。) ──
まず、次のおおまかな分類がある。
・ ホモ・エレクトス (原人)
・ ネアンデルタール人 (旧人)
・ クロマニョン人 (新人)
このうち、ホモ・エレクトスの部分については言及せず、ネアンデルタール人とクロマニョン人のところのみ言及しよう。
※ 「旧人」というような用語は学術的に不適切だ、と思えるかも
しれないが、字数の節約のためだと思って、我慢してほしい。
──
【 主流派の説 】
現在の主流派のシナリオは、次のことだ。
早期の旧人 ── 後期の旧人
共通の祖先 <
早期の新人 ── 後期の新人
つまり、「共通の祖先から早期の旧人と早期の新人が分岐した。その後、それぞれは別種として進化した」という説だ。
※ Wikipedia の「ネアンデルタール人」の項目を参照。
これは、いかにももっともらしく思えるし、普通の進化論の発想にも合致する。ゆえに、支持者は多い。
──
【 参考資料 】
ネアンデルタール人の化石は、初期のものとしては、35万年前のものが発見されている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Neanderthal
(ただし、最近では、もうちょっと古い化石も見つかっているようだ。)
クロマニョン人の化石は、20万年前のものが最古である。つまり、35万年前〜20万年前では、クロマニョン人の化石が見つかっていない。
(上記の図式によれば、当然、見つかっていいはずなのだが。)
一方、分子生物学では、次のことが結論されている。
「ネアンデルタール人類は、55万年から69万年前に、ホモ・サピエンスの祖先から分岐した」
( → Wikipedia の「ネアンデルタール人」の項。)
このことは、上記の図式を支持する。
──
【 新説 】
以上のことにかんがみて、私としては、次の図式を提出する。
早期の旧人 ── 後期の旧人
共通の祖先 <
早期の新人 ── 後期の新人
これは、先の図式とまったく同じである。ただし、次のように読み替える。
「共通の祖先とは、早期の旧人とほとんど同じである」
なぜかというと、次のことが成立するからだ。
「早期の新人というものの化石は、ほとんど見つかっていない」
このことは、次のことを意味する。
「早期の新人というものは、いたとしても、ごく少数であったにすぎない」
このことは、次のことを推定させる。
「早期の新人は、早期の旧人のなかで分岐した、(異端となるような)劣等な種である」
( ※ クラス進化論では、分岐があったとき、分岐した種は、その時点では劣者である。その後、時間をかけて、進化を重ねたのちに、優者に転じる。)
──
以上のこと(推定を含む)に基づいて、次のシナリオを提出する。
1. 共通の祖先がいた。それは、早期の旧人とほとんど同じである。(50万年以上前)
2. そのなかに、(異端となるような)劣等な種であるものとして、早期の新人も含まれていた。
3. 優勝劣敗は強く働かないので、早期の新人は(劣悪でも)淘汰されなかった。(旧人との競争だけでなく、哺乳類との競争もあったが。)
4. 早期の旧人は、どんどん体格を強めていった。たくましい骨格や筋肉。さらに、それらを駆使するための小脳も発達させた。(哺乳類に対しても有利。)
5. こうして旧人は完成され、後期の旧人となった。(20万年前)
6. 新人の方は、体でなく脳を発達させた。その進化は、ゆるやかな進化であった。(50万年前〜20万年前)
7. その間、新人の脳の発達は、十分ではないので、旧人や他の哺乳類にあまり対抗できなかった。劣悪な種として、ニッチで少しだけ存在した。
8. 20万年前になり、新人の脳の発達は、十分になった。この時点で、他の哺乳類や旧人に、十分に対抗できるようになった。(例。火や棍棒や石器などの利用で、体の貧弱さを補えた。火は、当初は、野火を用いたはず。)
9. 十分に対抗できるようになった新人は、急激に数が増えた。(20万年前〜現代)
──
最後に、蛇足として、このあとを予想してみる。(冗談半分)
10. 新人は、頭は発達したが、心は発達しなかった。火のみならず核兵器を発明して、自分自身を破滅させる能力を獲得した。炭酸ガスを排出して、地球を汚染させていった。人数はあまりにも増えすぎて、人口を養うために森林をつぶしていった。……こうして人類は、あまりにも進化しすぎたがゆえに、全生物を絶滅させる道をたどり始めた。そのことに、大半の人々は気づいていたが、権力をもつ人々や国家は、おのれの権力維持に心を奪われて、地球の破滅の道から逃れることができなかった。
かくて人類は、かつての恐竜と同様に、絶滅することになった。
その後、どうなったか? 恐竜のあとに哺乳類が繁殖したように、人類絶滅のあとに別の生物が繁殖した。それは地球温暖化のあとの、猛暑と洪水と栄養不足に耐えられるような新種であった。そのような新生物は、人類滅亡のあとで、水辺で誕生した。
【 注記 】
これはあくまで仮説なので、変なイチャモンをつけないでほしい。
ここに書いてあることは、成立するかもしれないし、成立しないかもしれない。どちらともわかっていない。私としては、こういうことも考えられる、という一案だ。これに強くこだわるつもりはない。
では、何をしたいかといえば、「科学の進歩は仮説の提出によってなされる」と言うことから、仮説を提出したいわけだ。
この仮説の正当性を主張したいわけではなくて、この仮説を踏み台にしてほしいわけだ。
「そんなことはいちいち言われなくてもわかっている。当り前だ」
と思う人が多いだろう。まさに、その通り。
しかし、進化論の世界では、ちょっとでも新たな仮説を出すと、たちまち「おまえはトンデモだ」という批判が降りかかってくる。そういう堅苦しい世界なんですよね。この学問世界は。
で、そういうふうに、他人を批判するのが趣味みたいな人のために、わかりきったことを、ここに注記しておく。
( ※ 幼稚園児向けみたいだ、というなかれ。)
【 追記 】
本項のポイントは、次のことだ。
「分岐したのは 60万年前だが、急激に進化したのは 20万年前だ」
この40万年のズレを説明する必要がある。それを、このシナリオで示している。
なお、次の場合も考えられる。
・ 分岐したのは 60万年前で、急激に進化したのも 60万年前だ。
・ 分岐したのは 20万年前で、急激に進化したのも 20万年前だ。
この場合は、二つの時期が一致しているので、従来の説でも大丈夫。
むしろ、従来の説では、分岐の時期と進化の時期が同じであるのが自然だろう。
なお、「 20万年に急激に進化した」というのは、「突然変異が急激に蓄積した」という意味ではなくて、「その時点で旧人を追い越した」という意味である。それまで旧人に負けていたのが、そのあとでは旧人に勝つようになったので、領域内で劣者から優者に転じた。そのせいで、(生存率が急激に高まったので)「進化が急激にあった」というふうに見える。
( ※ 結局、どちらが納得できるか、という問題だ。もちろん、読者が納得できなくても、仕方ない。私としては、別に、強く押しつけるわけではない。信じたければ信じていいし、信じたくなければ信じなくていい。)
過去ログ

進化という現象自体は、相当確固たる物質的な基盤があるので、根本的に揺らぐことがありそうには思えません。生物の表現形質を過重に評価して進化を捉えてしまうと「自然にはあり得ない」様に「神秘性」を感じてしまわれるかもしれませんが、個々の形質変化の分子基盤(もちろん、それが解明されているのはまだほんの一部ではありますが)を知ると、生物進化が「必然」によって成り立っていると感じられるようになることでしょう。甚だ情緒的な表現ではありますが、具体的に書くにはいかんせん紙幅が足りません(紙じゃないですけど。笑)。
現代のIC回路によるテレビシステムを縄文人に見せても、神の業としか思えないでしょうが、電気の発見から電気回路の進歩、電子部品の集積化などをなぞってみると、現在の形がある種の必然によって生じていることが分かるでしょう。もちろん、電子機器はヒトによる「インテリジェント・デザイン」によって「進化」してきたわけですが、それと同じことが生物進化にもあるのでは、と思わせることがこの例えの目的ではありません。現生生物は、現代の最高に複雑な電子機器システムよりも更にずっと複雑な「機械」です。但し、有機分子を主体とした「分子機械」ですが。その一部の機能パートを分析し、その構成と動作原理を知ると、それがいかに必然的に出来ているかがよく分かります。また、多種の生物の同様の機能を果たすパートを比較すると、より単純なシステムからより複雑で高度な機能を果たすように、ある種の必然によって変化してきたことも理解できます。そして、分子遺伝学は、そのような「分子機械の進化」が起こるメカニズムを大筋で明らかにしました。ミクロな分子進化の「組み合わせ」によるマクロな変化の発生を系統だって論じているのが南堂氏の「クラス進化論」かと思います。
現在のところ、分子進化による生物進化を説明するのに、なんら「神秘的な力」を持ち込む必要性は感じられません。もちろん、現在知られていない進化の原理が追加されることを否定するものではないですが。
なお、ボクは創造論者じゃ、ないです。現象としての進化は認めます。ただそれを説明する進化論は根本的に別の原理を持つ仮説に取って代わられる余地がこの先の地質学的、生物学的な発見などのよってあるのではないかなあ、と思っただけです。どうでしょうかね。
>「早期の新人というものの化石は、ほとんど見つかっていない」
このことの説明として管理人さんの上記シナリオ1.〜9.を拝見しましたが単純な疑問がわいてきました。
化石が少ない理由であれば,ごく単純に「早期の新人は急激に進化し新人になった」というシナリオでよさそうです。
そうではなく複雑?なシナリオを選択されたのには何か特別な意図があるんでしょうか?
私のシナリオでも、そうなっていますよ。
問題は、急激に進化する以前です。つまり、「急激に進化する以前は、どこでどうしていたか」ということです。そこを説明しているわけです。
なお、詳しい話は、最後に 【 追記 】 を加えたので、そちらを読んでください。
管理人さんのシナリオには
6. 新人の方は、体でなく脳を発達させた。その進化は、ゆるやかな進化であった。(50万年前〜20万年前)
9. 十分に対抗できるようになった新人は、急激に数が増えた。(20万年前〜現代)
とあったので「ゆるやかな進化で新人になったのちに個体数が急激に増えた」という意味に受け取っていましたが私の誤読だっようですね。
>そこで南堂さんの考えをちとうかがいたいのですが、クラス進化論以前に新化という現象、どこまで信頼していますか?
に対するコメントですが。
以前の記事 ◆ 進化とは何か
http://openblog.meblog.biz/article/41997.html
では「生物の目的 = 質の向上 = 進化」とおっしゃっています。