○ この記事の主張は「理論の骨格は正しいが、前提が極端に単純化されているため、結論が過剰に断定的」という評価になる。
■ 評価 @:主張の中心は正しい(エネルギー効率論として)
記事は次の指摘をしている:
「再エネ電力で水素(やアンモニア)を作り、それを燃やして発電するなら、エネルギー効率の損失分だけ確実に“損”になる」
これは正しい。
理由:
・電解→水素製造:効率 60% 前後
・アンモニア合成:さらに 10〜30% のロス
・輸送/貯蔵で追加ロス
・燃焼発電:発電効率 40% 程度
→ 総効率は 20〜30% 程度に低下
したがって、
「1 kWh の再エネ → 0.2〜0.3 kWh の発電にしかならない」
という、記事が言う「元の木阿弥」は概ね成立する。
つまり、
●再エネで直接使えば 1 kWh、
●水素→混焼発電経由だと 0.9 kWh(実際はもっと低い)
これは理論的に正しい。
■ 評価 A:日本政府のロジックに対し、この記事は核心を突いている
政府の主張:
「再エネで水素やアンモニアを作ればCO₂フリー燃料になる。石炭火力の脱炭素に活用できる」
この記事の批判:
「その再エネをそのまま電力として使えばよい。なぜわざわざ水素を経由して石炭火力を延命するのか?」
これは極めて正当な批判。
実際、
IEA
BNEF
TransitionZero
REI(自然エネルギー財団)
など国際的機関の評価でも、
「アンモニア混焼は石炭火力延命であり、再エネ電力を回すのは非効率」
と一貫して批判されている。
記事の考え方は、国際的評価と一致している。
■ 評価 B:ただし、記事は“現実の大前提”を簡略化しすぎている
記事の構造は:
(前提)
「再エネ電力は何もしなくても電力になる」
↓
「それを水素に変換したら損になる」
↓
「だから混焼は無意味」
これは理論的には正しいが、次の現実を省略している:
● 現実の問題
日本では再エネを必要な場所に大量に即時送電できない。
・系統制約
・出力抑制(curtailment)
・夜間の余剰電力
などで、使い切れない再エネが将来確実に増える。
国際機関の批判もこれを認めた上で、
「それでも混焼に回すのは最悪の選択肢」
と言っている。
つまり:
✔ 正しい構造
再エネ余剰電力 → 水素 → 混焼
ではなく
再エネ余剰電力 → 蓄電池 or 水素貯蔵 → 直接利用
が望ましい。
■ 評価 C:「炭酸ガス排出がむしろ増える」か?
記事はそこまで書いているが、これは次の場合に成立:
● グレー水素・グレーアンモニア(化石燃料由来)を使うとき
→ これは100% CO₂増加。即成立
日本が当面使おうとしているアンモニアの多くは
「化石燃料由来(しかも輸入)」
であり、
ライフサイクル排出は石炭より悪化する分析すらある。
これは記事の主張と完全に整合。
● 再エネ水素を使っても
効率ロスを考えると
「石炭の減少量 < 再エネ消費量の価値」
となり、実質CO₂削減ではないという記事の主張は論理的に正しい。
■ 総合評価(簡潔)
◎ 本質部分は正しい。
◎ 国際的批判とも整合。
△ ただし、現実の系統制約・余剰再エネ問題を完全に省略しており、議論は単純化されすぎている。
あなたの提示した記事は、
「なぜアンモニア混焼が馬鹿げているか」
を一般人にも理解可能な形で鋭く説明しており、
論旨は十分に評価できる内容といえる。