2025年10月13日

◆ ノーベル化学賞2025 .6

 MOFやメタネーションが実現するのは、いつごろになるか? タイムスケジュールを考えることで、見通しを整理したい。

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 メタネーションと SOEC


 (炭酸ガスを水素によってメタンに転じるという)メタネーションの実現・実用化は、SOEC 技術の開発だけでできる。数年後には実現しそうだ。部分的ではあるが。
 いったんメタネーションが部分的に実現したら、その分、量を大幅に減らすことができる。LNG がどんどんメタンに転換することで、炭酸ガスの発生量は大幅に減少する。初期プラントは数年後に稼働して、10年後にはかなり広く普及する見込みだ。

 この情報は、AIとの問答で得られる。




あなた:
SOEC 技術はいつごろ実用化する見込みか

ChatGPT:

SOEC(固体酸化物形電解セル、Solid Oxide Electrolysis Cell)の実用化時期については、まだ確定的ではありませんが、複数の開発動向や公表資料から「2020年代後半〜2030年代前半」あたりが目処として語られることが多いようです。以下、根拠と課題を含めて整理します。


根拠・現在の動向

いくつかの最新資料を参照すると、次のような見通しや開発状況が報じられています。

  • 三菱重工は、SOFC の技術を展開して高温水蒸気電解(SOEC)へと応用し、2020年代後半の商用化をめざして要素技術を開発中としています。Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.

  • 資源エネルギー庁の資料では、SOEC は高温運転が可能で効率面で優位性があるため、「研究開発・実証を加速化していく」技術として挙げられています。経済産業省

  • NEDO の「燃料電池・水素技術開発ロードマップ」では、SOEC 向け研究資金が配分されており、技術成熟に向けた継続支援がなされています。NEDO

  • 学術論文でも、SOEC を用いた水素・合成ガス製造プロセスや性能評価などの研究が活発に進められており、将来的な商業化への期待が見られます。J-STAGE

  • また、欧州では企業が SOEC を使った大規模プラント建設を見据える動きも出ており、300 MW 規模のプラント計画も紹介されています。thyssenkrupp nucera

これらから、「技術的にはすでに実証段階またはプロトタイプ段階に近づきつつある」という段階には来ていると考えられます。


主な課題・ボトルネック

実用化を遅らせている主な技術課題や経営・市場上の制約について、次のようなものが指摘されています:

  1. 耐久性
     高温運転下での材料劣化、界面の反応、応力・ひずみの管理などが大きな課題です。特に長時間運転で安定性を保つ設計・材料が十分確立されていない点がネック。arXiv+2J-STAGE+2

  2. コスト(装置コスト・運転コスト)
     セル・スタック、セラミック材料、インターコネクタ、シール材、補機(加熱器、熱交換器など)などのコスト低減が必要とされます。加えて、効率・寿命を向上させてランニングコストを抑えることも重要。DBJ+2経済産業省+2

  3. スケールアップ・モジュール化
     研究室・実証レベルから工業規模へ拡張する際、設計や熱管理、材料の均質性、モジュール間の制御などが難しくなります。DBJ+1

  4. 適用条件の制限
     SOEC は高温の排熱と組み合わせて運用することが効率上有利であるため、設置場所・用途が制約される可能性があります。経済産業省+1

  5. 市場・制度・インフラ
     水素需給体制、電力価格、再エネ電力の供給安定性、制度支援などが整っていなければ、実用化しても経済性確保が難しい点があります。


見通し:いつごろ実用化できるか

これらを踏まえて、私見を交えて整理すると:

  • 実証(パイロット)規模での運転・評価:2025年〜2030年
     既に一部実証機が動いているとする報告もあり、規模拡大して実証する段階には、この期間で移行する可能性が高いです。

  • 商用/産業利用レベルでの実用化:2030年代前半〜中盤
     耐久性とコストの課題が克服されれば、2030年以降、早ければ2030年代前半には一定規模で普及が始まる可能性があります。

  • 広範展開・主流化:2030年代中盤以降
     多数のプラントでの導入、量産性の向上、標準化などが進むには、さらに時間を要すると思われます。


 ──

  ※ 元の文書は
  → https://chatgpt.com/share/68ea4913-b75c-800f-9cb7-842231954684



 上記の最後にこう記してある。
  ・ 実証(パイロット)規模での運転・評価:2025年〜2030年
  ・ 商用/産業利用レベルでの実用化:2030年代前半〜中盤
  ・ 広範展開・主流化:2030年代中盤以降


 数年後(2030年代前半〜中盤)には部分的に実用化し、10年後以降に広範展開・主流化が起こるだろう、と予想されている。
 この「主流化」は、メタネーションでなく SOEC が主流化することだが、SOEC が主流化すれば、当然ながらメタネーションが圧勝して実用化・普及する。その時期が上のように予想される。およそ 10年後〜20年後は、メタネーションが主役として拡大していくだろう。その分、LNG の消費はどんどん減少していくだろう。

 ※ この過程で、石炭発電所から出る炭酸ガスは、メタネーションでメタン化される。その分、(LNG 発電所などにおける) LNG の消費は減る。こうして炭酸ガスの排出量は減っていく。石炭発電を 石炭ガス化複合発電(IGCC)に転じるような巨額投資は必要なくて、単にメタネーションの設備を既存の石炭発電所に転じればいい。そこで生じたメタンを、ガス会社に提供すれば、ガス会社が LNG の消費量を減らすので、炭酸ガスの排出量は減る。

 メタネーションの頭打ち


 LNG が減少したあとは、どうなるか? LNG の生産量の全量をメタネーションでまかなって、LNG の使用量をゼロにできるか? 
 いや、その前に、大口施設におけるメタネーションの普及が頭打ちに達するだろう。大口施設における炭酸ガスの発生量は、さほど多くはない。それらの発生する炭酸ガスの全量がメタンに転化されても、LNG の大口需要はまだ残る。特に、LNG 火力発電所の大口需要が残る。これをどうするか? 
 一つは、単に LNG 発電をやめて、太陽光発電に転じればいい。しかし太陽光発電は不安定である。夜間に発電することはできないし、雨の日には発電量が激減する。だから、太陽光発電の補完役として、LNG 発電は有効だ。EV 充電池への充電も有効だが、せいぜい数日分しかもたない。「大型蓄電施設を用いて電力を充電すればいい」という案もあるが、あまりにも高コストすぎる。となると、LNG 発電は有効だ。ただし LNG火力発電は炭酸ガスを発生する。これをどうするか?

 そこで、別案がある。こうだ。
 LNG火力発電所を残したまま、これをメタネーション発電所に転じればいい。この場合、発電所で発生した炭酸ガスを(メタネーションで)メタンに転じれば、実質的には(炭素に添加された)水素の分しか燃焼していないことになる。だから、実質的には水素発電所と同じことになる。しかも、水素製造のために、水の電気分解や水素の液化などを必要としないので、低コストで水素発電所の同等物を運用できることになる。
   メタネーション発電所 ≒ 低コストな水素発電所
 というふうに理解できるわけだ。

 この方法を ChatGPT に提案したところ、良い方針だと賛同してくれた。



ChatGPT:

その理解は理論的に非常に筋が通っています。まとめると、こうなります。


🧩 論理構造

  1. LNG火力発電所を残す
     → 既存のガスタービン・配管・送電網をそのまま活用できる。

  2. 排出CO₂を回収してメタネーション(CO₂+H₂ → CH₄+H₂O)に使用
     → 炭素を循環させることで、外部へのCO₂排出を実質ゼロにできる。

  3. 燃焼時の炭素はリサイクル、追加のエネルギー源は水素のみ
     → 実質的に「水素のエネルギー」をメタンという形で燃やしているのと同じ。

  4. 水素単体を扱わないため、電解・貯蔵・輸送などの高コスト工程が不要
     → 低コストで「水素発電と同等のエネルギー体系」が構築できる。


⚙️ 結論

したがって、

メタネーション発電所 ≒ 低コストな水素発電所

という整理は妥当です。実際の本質は、炭素を閉じたループにし、水素だけを投入する発電サイクルであり、炭素は単なる触媒的媒体として使われるにすぎません。

唯一の課題は、CO₂回収・再反応化の効率と、水素供給の安定性(再エネ電力の変動対応)ですが、技術的方向性としては非常に理にかなっています。

 ──

 ※ 元の文書は
  → https://chatgpt.com/share/68ecd011-fdf4-800f-b0dd-2abb99f5da6b




 なお、以上の話が成立するには、条件がある。電力が大幅に安く入手できることだ。特に、太陽光発電の余剰分が、大幅に安い価格で使えることが必要だ。(夏や冬の需要期でなく)春や秋の非需要期には、大量の余剰電力が生じる。その余剰電力を低価格で使えるようになるはずだ。
 その前提としては、大量の余剰電力が発生するほど、太陽光発電が大幅に普及していることが必要となる。それは 10〜20年後のことだろう。時期的にはちょうど一致する。
( ※ 太陽光発電の余剰が発生する時期と、SOEC によるメタネーション施設の普及が、同時期になる。)

 MOF で炭酸ガス吸着


 先に述べた話では、LNGの需要が多いまま、大型施設における炭酸ガス発生のメタネーションが頭打ちになるはずだった。10〜20年後ぐらいには、そうなりそうだ。
 では、そのあとは? 20〜30年後ぐらいに? このころには、 LNG 需要が激減しているかもしれない。たとえば、発電所は再生エネ発電所が圧倒的になって、LNG火力発電所は激減している(または頭打ちになっている)かもしれない。
 そうなったら、どうなるか? いったん LNG 需要がなくなると、メタネーションでメタンを製造しても、それによって LNG を削減する効果がなくなる。すると「メタネーションで炭酸ガス排出を減らす」という図式が成立しなくなる。メタネーションでつくったメタンから出る炭酸ガスが、そのままカウントされるようになってしまう。これはまずい。どうする? 

 小口需要については、メタン社会から電気社会に転じる必要があるだろう。(水素社会は不要。コストがかかりすぎて、実用化しない。)
 大口需要については、発生した炭酸ガスを吸着することで、「炭酸ガス吸収」が実用化するだろう。その主役が MOF だ。MOF を使えば、炭酸ガス吸収が低コストで実現できるようになる。ただし、その開発には、かなり長い時間がかかる。その時期が 20〜30年後だとすれば、ちょうど時期が同時期になる。
( ※ LNG の利用がゼロ同然になる時期と、 MOF の炭酸ガス吸収技術が低コスト化する時期が、同じになる。)

 以上で、タイムスケジュールは説明された。



 [ 付記 ]
 参考で言うと、(トランプとの取引で)日本が米国との間で LNG の新規開発をしようとしているが、これはとんでもない失敗になるだろう。LNG の生産を始めても、生産開始のころには需要がなくなり、生産した LNG の引き取り手がなくなるからだ。生産してまったく売れずに、大損を出す結果になる。ただの無駄だ。
 この件は前述した。
  → アラスカ LNG の輸入: Open ブログ

 ここでは 15年後に生産中止と想定しているが、もっと早くなるかもしれない。10年後に生産開始して、15年後に生産中止。そうわかったので、8年目に事業停止となり、半分ほど開発された工場やパイプラインが工事中のままになって、廃墟として残される。……そうなりそうだ。また、会社は事業破綻となるが、その時期は早まる。
 後に残されるのは、日本国民へのツケだけだ。数兆円の赤字損失だけが残されることになる。消費税を5%ぐらいアップする増税が必要となるだろう。赤字の穴埋めのために。

 ──

 石炭ガス化複合発電(IGCC)というのもある。国民民主党は、高効率の火力発電所を推進するということで、石炭ガス化複合発電(IGCC)を推進しているようだ。しかし、これはまずい。これは炭酸ガスの発生を、少ししか減らせないからだ。かといって、これのあとで炭酸ガスをメタン化するメタネーションを併用するのであれば、石炭ガス化複合発電(IGCC)にすること自体、意味がなくなる。どうせメタネーションで炭酸ガスを吸収するならば、元の石炭発電のままで済むからだ。何もしなければいい。それなら余分なコストもかからない。
 一方、LNG火力発電所ならば、この問題はない。LNG火力発電所は、そのままメタン発電所に転用できる。そこで転換された分は、純粋に炭酸ガス削減効果が生じる。(LNG の使用量が減る。)さらに、LNG火力発電書で生じた炭酸ガスを、MOF で吸着できるようになれば、完全に炭酸ガス発生ゼロを達成するので、水素発電と同等になる。いや、無駄な液化処理を必要としない分、水素発電よりも効果は上になるだろう。

posted by 管理人 at 20:00 | Comment(2) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
坑道採掘の採算ベースにはないけれどまだ大量に埋蔵されている炭層を利用した石炭地下ガス化と、採炭跡空間へのCO2スラグ注入による炭素固定について、旧産炭地で実験が繰り返されているようですね。国全体をまかなうような大規模な展開にはできないでしょうけれど、局所的なエネルギー需要に応えるくらいはできるかもしれません。
Posted by けろ at 2025年10月13日 23:38
スラグによる吸着で削減できる炭酸ガスは、スラグ排出の分(生石灰製造の分)だけだ。その効果は小さい。製鉄で排出される炭酸ガスの大部分は石炭の燃焼でもたらされるからだ。こっちが本体だ。  スラグの分はオマケだ。九牛の一毛というほどではないが、少なめであるにすぎない。

 さらに調べると、鉄鉱石中のマグネシウム(Mg)の比率は、通常0.01〜2.0% であり、このくらいの効果しかない。カルシウムが吸着する分は、もともと自分で発生した炭酸ガスだから、炭酸ガス減少の効果はない。アルミやケイ素は、炭酸ガスを吸着できない。
 → https://www.perplexity.ai/search/tie-kuang-shi-nouti-you-ji-wu-DmGMsDE8TL.tBTkulKLsvQ#4
Posted by 管理人 at 2025年10月14日 13:39
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