2025年06月04日

◆ 自動運転バスで地方振興? .1

 自動運転バスで地方振興をしよう、という試みがある。地方自治体の主導で開発が進んでいるようだ。

 ──

 地方では高齢化社会で、自動車に代わるバスが必要となってきているが、人口減で乗客が少なくなり、赤字になりがちだ。そこで、これを解決するために、運転手を必要としない自動運転バスを運行しよう……という試みがある。運転手がいなく済めば、運転手の人件費がかからないので、赤字を削減できて、うまく行く、という狙いだ。

 これが素晴らしいアイデアだと思った朝日新聞が、自治体主導の自動運転バスの運行を次々と報道している。
  → (8がけ社会)人口減、「心技一体」で突破する 北海道・上士幌町を歩く:朝日新聞
  → 秋から自動運転バスの実証実験 市中心市街地の幹線道路で 松江市 [島根県]:朝日新聞

 前者は北海道・上士幌町。後者は島根県松江市。どちらも東京から遠く離れている。(松江市は地方中核都市だが。)





 さて。ここで疑問が浮かぶ。
  ・ その自動運転バスを開発するのは、大手自動車メーカーではないようだが、どこの会社なのか? 中小会社が自力で車体を開発できるのか? 自力で車体を開発できないとしたら、そんな中小会社にまともな開発力があるのか?
  ・ 自治体が主導する形でバスの運行をするとしたら、やたらと高コストになるが、自治体が実証実験のために莫大なコストを払うというのは、筋違いだろう。本来ならば自動車会社が払うべきだ。


 この二つの疑問が思い浮かんだので、調べてみた。

 まずは、これらの自治体で使われる自動運転システムのソフトウェアの開発はどこかと思って調べると、BOLDLY という会社だとわかった。無名の会社である。この会社は何か? Wikipedia によると、こうだ。
 2014年6月に東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センターを母体として設立された大学発ベンチャーである。 当社設立に際し、ソフトバンクが同社の第三者割当増資を引受け5億円を出資、株式の40%を取得している。

 資本金 7億6400万円ということなので、中小企業と言ってもいいくらいだ。トヨタやホンダのような(時価総額が兆円規模の)大企業と比べると、吹けば飛ぶようなちっぽけな会社だ。
 こんなちっぽけな会社が、トヨタのような大企業と伍して、まともに自動運転システムを開発できるのだろうか? 

 ──

 こう思ったが、すぐには調査が進まない。そこで、AIに質問して、調べてもらうことにした。
 ただし ChatGPT は、 連続して 10回という回数制限がある。あまり多く使うわけには行かない。重要でない調査には、他のAIを使う方がいい。そこで今回は、ChatGPT でなく、Feloの回答 を使うことにした。(思考力は必要とせず、単にネット情報を調べるだけだからだ。)

 Feloの回答は下記。
  → https://felo.ai/search/4KKYNmd8zmPhyhPcuq2aAn?invite=JPYmElKzxzBDZ
  
 さすがに ChatGPT とは違って、お馬鹿なところがある。まともに文章も理解できないようだ。しかし、何度も修正しながら質問すると、ようやく、所定の回答を得られた。
 上のページを読めば、求める情報は得られる。だが、どうも要領を得ない文章だ。そこで私がまとめると、こうなる。
  ・ 今回の試験運行は、非常に高コストである。(人間が運転する方がはるかに安い。)
  ・ それでも自治体が莫大な赤字を払って運行するのは、将来の開発を期待しているからである。
  ・ しかしそんなことを開発するための金は、自治体でなく自動車会社が負担するのが筋だ。(トヨタは自腹で開発している。)
  ・ ベンチャーには金がないというのなら、東京都のような富裕な自治体が払えばいい。
  ・ 地方の弱小の自治体が金を払うのは、筋違いだ。
  ・ それでも未来に期待して自治体が援助してもよさそうだ。( Felo )
  ・ 大幅赤字の負担をする自治体の住民は、住民サービス低下で、大迷惑だろ。(私)
  ・ Felo 「そうですね。私が間違えました。回答を訂正します。高コストの自動運転バス開発のため、地方の小規模自治体が金を出すのは、間違いです。メーカーの開発が済むまで、地方の小規模自治体は、何もしないで待つのが正解です」

 ──

 要するに、自動運転のような高度なシステム開発は、莫大な資金が必要となるので、兆円規模の金をもっているトヨタやホンダのような大企業がやればいいのだ。BOLDLY や Turing 社のような小規模のベンチャーが独自開発しようというのは、資金面からして、というてい無理なのだ。
 しかも、開発資金が足りないので、試験運行の費用を自治体にまかなってもらうという(自治体の金で研究開発しよう)というのは、ほとんど金を盗むような詐欺的な行為だと言える。

 こんな詐欺に引っかかって莫大な金を出す自治体もどうかしているね。「研究開発資金を出しても、将来にバスが黒字化すれば、元が取れる」と思っているようだが、試験運行では、バス1便あたりの乗客数が1人〜4人ぐらいの路線が多い。(料金は無料なのに。)
  → BOLDLY | ソフトバンク(便数と乗客数のデータ)
 こんなに乗客が少ないのなら、将来的にも、黒字化のメドは立たない。運転手がゼロになっても、赤字が巨額すぎて、とうてい赤字を埋められないのだ。
 こんなに利用者が少ない路線なら、タクシーの方が安上がりだろう。だったら、ウーバーみたいな白タクでも使う方がいいかもしれない。
 ともあれ、「研究開発資金を出しても、将来にバスが黒字化すれば、元が取れる」と思っているのは、ただの妄想であり、その妄想のために金を出すのは、あまりにもひどい愚行である。金をドブに捨てているようなものだ。(詐欺師に引っかかるカモというのは、いずれもそうだ。)
 

posted by 管理人 at 23:58 | Comment(2) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです。

トヨタとかが開発するのはどのような道路環境でも使えるソフトとハードではないでしょうか。かのベンチャーは特定のバス路線や乗客だけに使えればよいので、開発対象が極めて小さくて個別的なので事情は違うと思います。過疎地域かつ高齢住民には自動運転バスが最適回答になると思います。
 ただし高齢者の乗り降りや転倒などには十分な対処をお願いしたいです。
Posted by ひまなので at 2025年06月05日 14:45
 あなた、Feloの回答(リンク)を読まないで書いているでしょ?
 コメントするなら、ちゃんと読んでから書きましょう。すでに文中で否定されたことをわざわざ書いて恥をかくのを防げますよ。
Posted by 管理人 at 2025年06月05日 16:43
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