2025年05月08日

◆ 米国の金融政策 .1

 米国では、トランプと FRB の金融政策が対立している。どちらが正しいか? 私が理論的に考察した。

 ──

 この問題への分析を詳細に記すのは面倒だ。そこで基本だけを以下に列挙する。箇条書きで。

 (1) トランプ大統領は FRB に利下げを要求した。これは関税引き上げよりはずっとまともだ。原理的には正しい経済成長策だ。

 (2) FRB は利下げせずに、現状維持という方針だ。見通しが不透明なので判断保留となる。( → 米FRB、政策金利の据え置き決定
 しかし、これはただの判断放棄である。「正しい金利」「あるべき金利」を考えていない。

 (3) 「正しい金利」「あるべき金利」とは、何か? それは経済成長率に一致した金利だ。両者は一致させるのが好ましい。現状では物価上昇率が 2.8% (2024年)だが、金利が 4.25〜4.5% だ。後者が大幅に高すぎるので、金利を引き下げるべき。
 ※ 日本はその逆だ。物価上昇率よりも大幅に低い金利となる。これは引き上げるべきだ。

 (4) 米国で物価上昇率が大幅に高まったのは、国内要因ではなく、国外要因(ウクライナ戦争などによる輸入インフレ)による。ならば、物価上昇は(やむをえないとして)受け入れるべきだ。国内の需要過多によるインフレとは違う。ここでは無理に(需要抑制で)物価上昇を抑制するべきではない。むしろ(当然のこととして)物価上昇を受け入れるべきだ。つまり、一時的には(緊急避難的に)金利を上げることはあってもいいが、やがては徐々に金利を下げるべきだ。いつまでも高金利を維持するべきではない。現状の金利は高すぎる。

 (5) FRB はやたらとインフレを忌避するべきではない。むしろ、インフレ下での経済成長は、好ましいことだ。先例として、第二次大戦中の経済成長という歴史的事実がある。

 (6) 第二次大戦の時期は失業率が高かった。一方、今の米国は、失業率が低めだ。両者は事情が異なる。現時点では、(失業解消のための)高い経済成長は特に必要でない。

 (7) とはいえ、地域別だと、南部では賃金が低めだし、労働者の状況が良くない。この問題がトランプ支持の要因ともなった。この問題は解決するべきだ。では、金利を下げるべきか? 

 (8) 南部の原因は、マクロ経済政策ではなく、南部独特の要因による。それは何か? 労働組合が弱いせいで、労働者への還元が低いことだ。

 (9) ならば、正しい政策は、金利の引き上げでも引き下げでもない。南部に限定して、労働者への還元率を高めることだ。そのためには、南部で労働組合を強めればいい。金融政策でなく労働者政策こそが、南部の労働者を救うのだ。

 (10) では、金融政策は何もしなくていいか? いや、今の金利はあまりにも高すぎる。(前出のように)金利は経済成長率に近い 3% ぐらいの数値に近づけるべきだ。日本の金利も、このくらいの数値に近づけるべきだ。双方の金利差が縮まれば、円安も是正される。日本の物価も下がるし、米国の経済競争力も高まる。その意味で、日米ともに金融政策を是正するべきだろう。その意味では、最初に述べたように、FRB よりもトランプの金融政策の方が妥当である。




 ※ 以上は私の思考の結論部分である。思考の裏付けとなる詳細分析は、二つある。
  ・ FRB の金融政策については、前出項目で解説した。
   → 貿易赤字とは何か .5: Open ブログ
  ・ 米国の失業状況については、AIに質問する形で得た。
   → 次項
 
 前者は、本項の (1) 〜 (5) に対応する。
 後者は、本項の (6) 〜 (10) に対応する。
 
posted by 管理人 at 23:39 | Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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