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この説は一般的に流布しているので、AIに質問したところ、まさしく「その通り」という回答を得た。
「サーマルリサイクルは(燃やすときに)炭酸ガスを排出するが、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルは(燃やさないので)炭酸ガスを排出しない。だから前者より後者が好ましい」
という理屈だ。
しかしこれは誤りである。
「きれいなプラスチックは、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルが容易だ。しかし、汚れたプラスチックは、精製のためにエネルギーが必要なので、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルをすると、かえって炭酸ガスの排出が増えてしまう」
というのが正解だ。つまり、AIの回答は間違いである。
※ 詳しい説明は下記にある。
→ 汚れたプラスチックの処理: Open ブログ
このことをAIに教えたところ、AIはいずれも、きちんと自己の間違いを認めたので、以後は正しい回答を出すようになった。(一部の例外を除く。)
ChatGPT
ChatGPT は、自己の誤りを認めて、新たに正解を示すようになった。素直ですね。
その後、間違えた理由について、さらに次の問答をした。
あなた:
日本ではサーマルリサイクルが主流で、欧州ではマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが主流だという俗説があるが、この俗説が間違いなのに信じられているわけを説明せよ。欧州でもサーマルリサイクルが主流なのに、なぜそう言われないのか。
ChatGPT:
この俗説――「日本ではサーマルリサイクルが主流で、欧州ではマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが主流である」――が信じられている理由は、主に以下の3点に由来しています。
1. 「リサイクル」の定義の違い
日本と欧州では、「リサイクル」という言葉に含まれる範囲が異なります。
日本では、廃棄物を燃焼して熱エネルギーとして利用する**サーマルリサイクル(熱回収)**も「リサイクル」に含めています。
欧州では、EUの「廃棄物枠組み指令(Waste Framework Directive)」により、サーマルリサイクルは「エネルギー回収(energy recovery)」として「リサイクル」には含まれません。
そのため、統計上、日本では「リサイクル率」が高く見え、サーマルリサイクルが多いと認識され、欧州では「サーマルリサイクル」が少なく見える構造があります。しかし、これは定義の違いによる見かけ上の差にすぎません。
2. 日本における「ごみ処理=焼却」が常識
日本は可燃ごみの発生が多く、焼却施設の整備率が非常に高い国です。約8割のごみが焼却され、その際にエネルギーを回収するインフラも整っています。
この実態に基づいて「日本はサーマルリサイクルに依存している」という認識が根強くなっています。一方で欧州は埋立て削減のために焼却を増やし、実際には欧州でもかなりの割合でサーマルリサイクルが行われています。
3. 欧州のイメージと広報戦略
欧州は「環境先進地域」としてのブランディングが強く、特にドイツや北欧諸国は「分別が徹底され、マテリアルリサイクルが主流」と喧伝されています。
実際には、たとえばドイツでも多くの廃プラスチックは焼却されていますが、「マテリアルリサイクル率」だけが強調されることが多く、これが誤った印象を与える原因になっています。
結論
俗説が信じられている理由は、統計上の定義の違い、焼却文化の有無、イメージ戦略の影響によるものです。欧州でも実際には日本と同様にサーマルリサイクルが広く行われているにもかかわらず、それが「リサイクル」としては扱われないため、誤解が生じているのです。
Gemini
Gemini の回答も得た。
その前半は、上記と重複するので、省略する。
その後半は、有益な話があるので、下記に転記する。
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あなた
日本ではサーマルリサイクルが主流で、欧州ではマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが主流だという俗説があるが、この俗説が間違いなのに信じられているわけを説明せよ。欧州でもサーマルリサイクルが主流なのに、なぜそう言われないのか。
Gemini
「日本ではサーマルリサイクルが主流で、欧州ではマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが主流」という俗説は、いくつかの理由から広まっていますが、実態とは異なります。この俗説が信じられている理由と、欧州の実態について解説します。
1. 俗説が間違いである理由:欧州でもエネルギー回収(サーマルリサイクル)は主流
まず、欧州全体で見ると、プラスチックごみの処理においてエネルギー回収(日本で言うサーマルリサイクルに相当)が最も大きな割合を占めているのが実情です。
統計データの示す実態: 欧州プラスチック製造者協会(Plastics Europe)などの統計を見ると、廃プラスチックの処理方法として、マテリアルリサイクル、エネルギー回収、埋め立ての3つが主に挙げられます。国によって割合は異なりますが、欧州全体ではエネルギー回収の割合がマテリアルリサイクルの割合と同等か、それ以上であることが多いです。特に、埋め立てを厳しく規制している国々(ドイツ、スイス、オーストリア、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、ベルギーなど)では、リサイクルされなかった廃プラスチックの多くがエネルギー回収に回されています。
日本の状況: 日本も確かにサーマルリサイクルの割合が高いですが、これは廃プラスチックの有効利用率を高めるための現実的な選択肢として活用されている側面があります。マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルも推進されていますが、技術的・コスト的な課題から、全ての廃プラスチックをこれらの方法で処理することは困難です。
2. 俗説が信じられている理由
この俗説が広まっている背景には、以下のような要因が考えられます。「リサイクル」の定義・統計の取り方の違い:
欧州: EUの指令などでは、基本的にマテリアルリサイクル(ケミカルリサイクルを含む場合もある)のみを「リサイクル」としてカウントし、エネルギー回収は「リカバリー(回収)」という別のカテゴリーに分類することが一般的です。そのため、欧州の「リサイクル率」の統計だけを見ると、エネルギー回収の実態が見えにくくなります。
日本: 日本の「有効利用率」には、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、そしてサーマルリサイクル(エネルギー回収)が含まれます。この定義の違いにより、「リサイクル率」を単純比較すると、欧州の方がマテリアルリサイクルに注力しているように見えてしまうことがあります。
情報発信とイメージ戦略:
欧州各国やEUは、サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現に向けた先進的な取り組みとして、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの技術開発・導入を積極的にアピールする傾向があります。エネルギー回収は「焼却」のイメージと結びつきやすく、環境先進性をアピールする上では不利になるため、あまり前面に出さない可能性があります。
一方、日本では「焼却大国」といった自己批判的な見方や、「日本のリサイクルは熱回収ばかりで遅れている」といった論調が見られることがあります。これも俗説を補強する一因となっている可能性があります。
用語の混同:
「サーマルリサイクル」という言葉が、単純な「焼却処分」と混同されることがあります。サーマルリサイクルは、単に燃やすだけでなく、その際に発生する熱エネルギーを回収・利用するものであり、エネルギー資源の有効活用という側面があります。この違いが正しく理解されていないことも、誤解を生む原因の一つです。
3. なぜ欧州でサーマルリサイクル(エネルギー回収)が主流と言われないのか
欧州でエネルギー回収が実質的に主流であるにも関わらず、そのように言われない主な理由は、前述の**「リサイクル」の定義と政策目標**にあります。
公式統計上の扱い: EUの統計や目標設定において、エネルギー回収は「リサイクル」に含まれないため、公式発表などではマテリアルリサイクル率が強調されます。
政策上の優先順位: EUはサーキュラーエコノミー政策の中で、廃棄物ヒエラルキー(優先順位)を重視しています。このヒエラルキーでは、発生抑制、リユース、マテリアルリサイクル(ケミカルリサイクル含む)、エネルギー回収、適正処分の順に優先度が高く設定されています。そのため、政策的にはエネルギー回収よりもマテリアルリサイクルを推進することが目標とされており、その点が強調されがちです。
結論
「日本ではサーマルリサイクル、欧州ではマテリアル・ケミカルリサイクルが主流」という俗説は、主に統計上の定義の違いや情報発信の仕方によって生じた誤解です。実際には、欧州においてもエネルギー回収(サーマルリサイクル)は廃プラスチック処理の重要な柱であり、その割合はマテリアルリサイクルと同等かそれ以上です。ただし、EUの政策目標や統計上の扱いから、マテリアルリサイクルがより注目されやすい状況にあります。
日本も欧州も、それぞれの社会・経済状況に合わせて、マテリアル、ケミカル、サーマルといった多様なリサイクル手法を組み合わせながら、プラスチック問題に取り組んでいると理解することが重要です。
でもそれと並行して「マテリアル・リサイクル」と称して、多大なエネルギーと労力を投入する施設も増やしてしまったのはやはり欧州を意識してしまったからなのでしょうか。