2025年04月21日

◆ 米国車の対日輸出

 米国車の対日輸出を増やせ、とトランプ大統領が注文しているが、どうすればいい?

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 米国車の対日輸出を増やせ、とトランプ大統領が注文している。
 どうせ注文するのなら、米国の車メーカーに注文すればいいのに、なぜか購入者である日本に注文している。「購入を増やせ」という形で。
 《 トランプ氏「アメ車輸入せよ」 日米関税交渉の詳細明らかに コメ・牛肉も“標的” 》
■トランプ氏「アメ車輸入せよ」

トランプ大統領
「アメリカの車は日本で1台も走っていない」
「貿易赤字解消のためにもっとアメリカの車を輸入せよ」
( → テレ朝ニュース

 この注文があまりにも理不尽だということで、日本人の評判は悪い。
 ところが日本政府はこの理不尽な主張に、まともに反論できていない。あまりにも交渉下手だ。

 そこで私がかわりに、反論の仕方を教えて上げよう。以下、列挙。

 (1) 売る車がない

 米国が日本に車を売るにしても、売る車がない。日本で売れているのは小型車だが、米国のビッグスリーはすでに小型車の生産をやめている。(AIで確認済み。)

 一方、現実に作っているのは SUV とトラックの大型の車ばかりだ。大型の車は日本では通れないので、売れるわけがない。
  → 狭い道を走るアメ車の動画
  → アメリカがいくらアメ車買えよと言っても、日本からしたら「デカすぎる」という強固な買わない理由がある - Togetter

 (2) テスラは売れている

 アメ車にも例外はある。テスラ・モデル3だ。これは小型車だ。だから日本でも売れている。他社もテスラのように、小型車を生産すれば、日本で売れるようになる。まずはアメリカの会社が小型車を生産するべきだ。注文するなら、日本に注文するのでなく、米国の自動車会社に注文するべきだ。
 いくら「買え」と言われても、売っていないものを買うわけには行かないだろ。

  ※ ただし日本で売られているテスラ・モデル3は、アメ車ではあるが、中国の工場で作られているので、中国産である。文句を言うなら、イーロン・マスクに言うといい。「アメ車を中国で作るな」と。

 (3) 自動車以外

 トランプ大統領は自動車にばかり着目するが、意味がない。自動車は日本の得意品目だ。そこに着目して「日本が黒字だ」と主張するのは馬鹿げている。
 一方、アメリカの得意品目もある。航空機、戦闘機、兵器がそうだ。これらは日本の一方的な入超だ。石油や農産物もそうだ。自動車で「アメリカの入超だ」と言うのなら、米国もまた日本の航空機や農産物を買うべきだ。
 そもそも、貿易というのは、それぞれの国の得意品目を分担して生産して交換することに意義がある。それぞれの国で同一品目の輸出入を均衡させるのは、根本的にナンセンスだ。それは「貿易」という概念に反する。(馬鹿丸出しだ、ということ。)

 (4) 日本は貿易赤字

 日本に「輸入を増やせ」と言うが、日本はそもそも国全体で貿易黒字でなく貿易赤字である。
  → 貿易赤字4年連続、24年度15%減の5兆2216億円 - 日本経済新聞
 貿易赤字の国に、「輸入を増やせ」と注文するのは、筋違いだ。
 どうせ注文するなら、貿易黒字の国に注文すればいい。たとえば、中国がそうだ。
 
 (5) 2国間はナンセンス

 特定の二国間だけで貿易収支を均衡させようというのは、ナンセンスだ。国全体で貿易収支を均衡させればいい。特に日本との間だけで貿易収支を改善しようとするのは、ナンセンスである。
 なぜナンセンスかといえば、逆効果だからだ。たとえば、日本から小型車乗用車の輸入をやめても、米国の車メーカーは小型乗用車を生産していない。カローラやカムリやプリウスやアコードやシビックを生産していない。これらの輸入を減らせば、その分、米国車の生産が増えるのではなく、韓国車やドイツ車の輸入が増えるだけだ。その場合、価格が上昇するので、米国の貿易赤字はかえって増えてしまう。日本との貿易赤字を縮小しようとすると、米国の貿易赤字はかえって増えてしまうのだ。(経済が非効率になるせいだ。)

 (6) 対策

 米国にはかわりに、別の対策を教えてあげればいい。その最大の方策は、利下げだ。この点は、FRB に圧力をかけるトランプの方針は正しい。「あなたの利下げ方針は正しい」とヨイショしてあげよう。

 (7) 日本の農業関税

 日本の農業関税も高すぎるので、引き下げるといい。小麦で 145%、米 で 100%、というような高率関税をなくせば、食品の価格が大幅に下がる。
 これは、消費税減税やガソリン税減税よりも、はるかに国民の生活を改善する。

 (8) 日米安保条約

 ついでに日米安保条約も改定して、横田基地を返還してもらうといいだろう。
 「米国だけが日本を守るのは不公平だ」
 とトランプは言うのだから、
 「だったら横田から出て行け」
 と注文して、横田基地を返還してもらう。ついでに、横田基地の分の「思いやり予算」も削減する。
 「あんたの言う通りにするんだから、文句を言うな」
 と言って、基地返還と対米援助削減の双方を、ともに実現するわけだ。一石二鳥だ。
  → トランプのケチ根性を利用せよ: Open ブログ (2019年02月23日)
 これは6年も前の記事だ。そこですでに同趣旨を述べている。

posted by 管理人 at 23:22 | Comment(3) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  (3) 自動車以外
 という章を、加筆・挿入しました。


 それにともなって、従来の (1)〜(3) を (1)〜(2) に改めました。(番号の付け直し。)
Posted by 管理人 at 2025年04月22日 12:25
韓国の大字自動車みたいに日本の三菱とか日産とか先行き不透明の自動車会社を米国自動車企業へ売却すれば良いと思いますが。

大字自動車もGM大字になり韓国GMになりました。

正しい歴史的背景から言ってMAZDAを日本フォード、スズキを日本GM、位置付け共同開発すれば良いと思います。

その上で現代自動車みたいにトヨタがGMと提携、その上で残ってるホンダ等を解体させ雇用維持の為他企業へ吸収させた上で全て消し去れば日本も韓国と横並び状態なのでアメリカ人全員が黙ると思いますが。
Posted by SOLUTIONER at 2025年04月22日 12:36
> 米国自動車企業へ売却

 農業で大失敗している日本の農家が、アメリカの農家を買収すればいい……というような案ですね。
 無能な人間が優秀な人間を買収して支配すれば、どうなるか。考えれば、すぐにわかる。

 愚者が支配権を持つとどうなるか、というのを、国家規模で実験しているのが、今の米国だ。
 その真似をして、自動車業界でも、愚者の支配を拡大しようとするの? 

> アメリカ人全員が黙ると思いますが。

 その前に日本人が息絶えてしまいます。日本亡国。

Posted by 管理人 at 2025年04月22日 13:09
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