自動車関税 25% を強要するトランプ大統領の戦略への対抗策。ゲーム理論の発想で。
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win-lose をめざす米国
前項の最後のあたりでは、こう述べた。
日本政府はどうするべきか? もちろん、先に述べたように、報復関税を打ち出すことが好ましい。(ブラフへの対策だ。)
とはいえ、日本政府は肝っ玉が小さい。最初からビビっている。勝負をするだけの根性がない。報復関税のように「目には目を。ブラフにはブラフを」という肝っ玉戦術を取ることができない。小心者だ。
また、以前には、こう述べた。
首相も官房長官も「ウィン・ウィンをめざす」という方針を取っている。これはあまりにも馬鹿げている。
「ウィン・ウィンをめざす」という方針は、昔からずっと続いている正統的な方針だ。それを全面的に否定して、「自国第1」という「win-lose」の方針に転じたのがトランプだ。
つまり日本政府は、トランプの「アメリカ・ファースト」という基本方針を理解できていないわけだ。相手の話を聞いていないのにも等しい。
( → トランプと日本 .4: Open ブログ )
日本政府は「ウィン・ウィンをめざす」という方針を取っている。それは「双方が小幅の利益を得ることで合意する」ということだ。ところがトランプはそれでは満足しない。あまりにも強欲だ。だから「オレがすべてを奪い、おまえがすべてを奪われる」という「win-lose」の方針を取る。その事例が「グリーンランドを奪う」とか、「ウクライナの資源を奪う」とかいう方針だ。
→ トランプ氏「グリーンランド、100%手に入れる」:朝日新聞
→ トランプ氏、ウクライナとの鉱物資源協定で圧力 要求拡大か:毎日新聞
こういうふうにトランプ大統領は「オレがすべてを奪い、おまえがすべてを奪われる」という「win-lose」の方針を取る。共存ではなく、一方的収奪を望む。その方針が顕著に出たのが「関税 25% 」という方針だ。「現状では米国が一方的に損をしている」と勝手に妄想したあげく、「現状から、米国に一方的に有利になるように転換する」という目論見で、「関税 25% 」という方針を取った。それが「win-lose」の方針だ。(その背景には馬鹿げた被害妄想があるのだが。)
win-lose を受け入れる日本
こういうとき、「win-lose」の方針を取る強欲者に対して、対抗者はどういう戦略を取るべきか?
ここで日本政府は考えた。
「報復関税はまずい。そうすると、トランプはさらに報復を重ねるので、被害が拡大する。ならば、小幅の被害を甘受する方が、被害は少なくて済む。ゆえに、現状を受け入れる方がマシだ。ゆえに、たとえ大幅関税を課されても、全面屈服するしかない」
こうしてトランプのブラフは成功する。トランプとしては「口先だけで勝利した。大成功だ」と大喜びするだろう。そうしてこのまま状況は安定する。
これは日本にとって最悪の結果だ。馬鹿丸出しと言える。
lose-lose をめざせ
では、かわりにどうすればいいか? それは、ゲーム理論で判明している。こうだ。
「 win-lose をめざす相手には、lose-lose をめざす戦略を取ればいい。つまり、しっぺ返し戦略だ」
すると、どうなるか? このとき、 win-lose をめざす強欲者は、ともに敗北するという結果しか得られない。だから、自分だけが得るという当初の方針を諦める。かくて、強欲者が win-lose をめざす方針を捨てるので、その後には、双方が譲歩する win-win (小幅利益の共存)という状態で安定する。
つまり、 win-win (小幅利益の共存)という状態に至るためには、「ウィン・ウィンが大事ですよ」と米国に説得する日本政府の方針はダメであって、「 win-lose をめざすのならば、双方がともに痛い目に遭いますよ」という、しっぺ返し戦略(報復関税)が有効なのだ。
つまり、win-lose から脱するためには、win-win をめざせばいいのではなく、lose-lose をめざせばいいのだ。……この原理を理解できないのが、日本政府だ。頭が悪いので、「迂回経路」(急がば回れ)という原理を理解できないのである。
win-win

win-lose .
これも一つの方向でしょう。米と縁を切るというキッパリとした態度です。中国と仲良くすれば米が中国と戦争をしろと戦争を押し付けてきても、そうはなり難くなる。日本が学んだことは、米によってウクライナのようにさせられることを防ぐことでしょう。
こちらがいくら中国と仲良くしたくても、「おまえの国の製品は中国製品より劣っている」と言われて、買ってもらえない。仲良くするだけじゃダメなんです。製品が大幅に劣っているんだから。
自動車に限らずいろんなところで技術開発力が弱くなったんでしょうか。
昔は日本一国で欧州全体に対抗できるほどの技術者人口があった。
今は若者人口が当時の半分以下になっている。その上、ゆとり教育の影響などで、学力競争が大幅に弱まった。韓国や中国の受験競争ははるかに厳しい。学力順位は日本が大幅に低下中だ。
トップクラスの人口を見ても、日本は中国の十分の1どころか、数十分の1だろう。人材で比較にならない。