──
政府は「備蓄米を放出するので米は安くなります」と言っていた。(オオカミ少年・嘘つき少年と同じだが。)
現実には、その逆になった。米は3月に入って、安くなるどころか、高くなっている。
それどころか、そもそも売っていない。私がスーパーに行ってみてみたら、以前なら山積みされていた米売場が、とても品薄になっている。一つも残っていないというわけではないが、通常の在庫量の2割ぐらいしかおいていない。……完全な「品切れ」ではないが、きわめて「品薄」である。
※ 後で調べ直したら、売場が品切れで空っぽの店も多い。
おまけに、サトウのごはんの一部商品は、米不足のせいで生産できなくなって、休売・終売になるありさまだ。
→ サトウのごはん 一部を休・終売へ - Yahoo!ニュース
ひどいね。まったく、きわめて異常である。どうしてこうなった?
──
まず、前に推察したときの計算を見よう。そこでは、「精米時のロスが 29万トン、インバウンドの需要増が 11万トン」ということだった。
→ 備蓄米放出の計算ミス: Open ブログ
これは去年のデータに基づく数字だ。だが、その後、事情が変わった。インバウンドの人口が大幅に増えているのだ。
2025年1月の訪日外客数は3,781,200人で、前年同月比では40.6%増となった。
( → 訪日外客数(2025年1月推計値)|報道発表|JNTO(日本政府観光局) )
これに基づいて米の需要増(年間量)を試算すると、およそ 15〜20万トンになる。去年の分だけで 11万トンの不足になるのに、さらに 15万トン以上が、そこに上積みされるのだ。
とすれば、40万トン(去年の分の不足)に加えて、さらに 15万トンの追加で、合計 55万トンの備蓄放出が必要だったことになる。
なのに現実の備蓄放出は、初回が 15万トンで、2回目を含めても 21万トンだけだ。ほとんど「焼け石に水」だ。これではまったく不足する。だから、市場の価格が下がらないのも当然だ。


近年は、外国人旅行者がたくさん来て、インバウンド需要が急上昇している。それというのも、日本の食事の美味しさが知られているからだ。
「日本に来たら食事を楽しむのが第1目的だ」という外国人は多い。そのせいで、外国人が食べる食事の量も急増している。この量が馬鹿にならないわけだ。(上記の数値の通り。)
こんなにもインバウンド需要が増える。ならば、米不足になるのも当然だと言える。
なのに、政府もマスコミも、そのことに気づいていない。誰も外国人観光客の増加の事情を理解できない。……見ても、見えないのだ。
──
ちなみに、次の話題もある。
→ 目の前のゴリラに気づかない!不思議な心理現象「見えないゴリラ」とは? - ナゾロジー
現在の米不足の理由は、意外なところにあるのだ。それは何か? 外国人が増えたことか? 違う。外国人が米を食べると、気づかないことだ。要するに、政府も、マスコミも、誰もがゴリラを見えていないのだ。
[ 付記1 ]
こんなにも米不足がひどいのだから、備蓄を大量に放出すればいいのに、そうしない。のみならず、飼料用として、5年ものの古米を廃棄しているありさまだ。……まったく、ひどい悪政だ。
こんな悪政が続くのなら、市民は暴動を起こしてもいいくらいだ。なのに、日本人は唯々諾々と米価の高騰を受け入れる。政府に従順で、おとなしすぎるね。
[ 付記2 ]
ちなみに、米国ではトランプの悪政やマスクの暴走に腹を立てた人が、テスラ車に火を付けている。
→ 「ショールームへ火炎瓶」「サイバートラックに落書き」「充電ステーションを破壊」…マスク氏への反発止まらず、テスラへの抗議が過激化
暴力は決して褒められたことではないのだが、「とりあえず何かしたい」という気になる行動力は、理解できなくもない。(一方、日本人が黙って平伏しているのは、理解できないね。)
[ 付記3 ]
ここで知ったかぶりをする連中が語るのが、次の言葉だ。
「暴力は絶対にダメだ。暴力でなく言論の自由で対抗するべきだ。デモなどで反対を訴えるべきだ」
しかしこれは、以前の米国ならば成立したが、今では成立しない。トランプは「言論の自由」を抑圧しているからだ。
(1) コロンビア大学で政治デモをした学生が逮捕された。
(2) それを放置したのは大学の責任だとして、大学に対して400百万ドルの連邦資金を削減する。
(3) その結果、コロンビア大学は学生に対して言論活動を抑制するようになった。(間接的な言論弾圧)
(4) 2025年1月、トランプ大統領は反ユダヤ主義的な行動をした留学生を国外追放するという大統領令に署名した。イスラエルに対する抗議活動に参加した留学生のビザを取り消す。
言論の自由は、もはや米国では成立していないのだ。言論の自由を行使しようとすれば、逮捕されたり、国外追放されたりする。それが今の米国なのだ。
( ※ ひどいものだが、たぶん、日本を真似したのだろう。敵対する政治傾向の相手を追放処分にするというのは、安倍内閣でしばしば見られた手法だ。実行者は菅義偉官房長官だ。その彼が首相になった。これは KGB 長官から大統領になったプーチンと同様である。……まあ、似た者同士だね。)
[ 付記4 ]
米不足に対する対策はないか? 実は、対策は簡単だ。
「 100万トンの備蓄の大半を放出する」
「備蓄が減った分は、今年の米を増産する。100万トンぐらいの増産は簡単にできる」
政府の見通しだと、自発的な増産が 20万トンぐらいあるらしい。だが、そんなのはどうでもいい。次の分がある。
「減反が毎年 100万トンぐらいある。人間用のコメでなく、飼料用のコメ(専用品種)を 100万トン作付けしている。これの品種を転換して、飼料用でなく人間用のコメを作付けすれば、本年産米は 100万トンを増産できる」
こういうわけだから、備蓄の大半を取り崩しても、すぐに埋めることが可能だ。それで簡単に解決がつくのだ。
本当に足りないのは、コメではなく、知恵なのである。知恵がないから、頭が回らない。コメが回らないのではなく、(政府の)頭が回らないのだ。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250325/k10014759271000.html
国民の生命より農業政策を重視するという本末転倒のせい。
国滅びて田畑あり。城春にして米価高し。
味を思いて画にも涙をそそぎ 値を恨んで札に心を驚かす
値上げ 三月に及び 特売 万金にあたる