──
せっかく法案を作ったのに、ザル法なので、無効となる。頭隠して尻隠さず。そういう馬鹿げた状態にあるので、指摘しよう。
まず、現状はこうだ。
太陽光発電所などで大規模な電線泥棒が発生している。被害額は1億円ぐらいにもなる。超巨額の泥棒だ。警察は5円を盗んださい銭泥を摘発するのには熱中するが、超巨額の電線泥棒には熱中しない。大量の大型泥棒が野放し状態だ。
そこで、こういう状況を憂えて、政府は新たな法案を閣議決定した。
太陽光発電施設から送電用の銅線ケーブルなどが盗まれる被害が相次いでいることを受け、政府は金属の買い取り業者に対して、取り引きの際に顔写真付きの書類で本人確認を義務づけることなどを盛り込んだ新しい法律の案を決定しました。
法律案では価格が高騰している銅を対象とし、買い取り業者に対して、都道府県の公安委員会に会社名や住所などを届け出ることを義務づけ、違反して無許可で営業をした場合には6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金が科されるとしています。
また、取り引きの際には顔写真が付いた書類で氏名や住所、生年月日などの本人確認を厳格に行うことや取り引きの記録を作成し、3年間保存することも義務づけるということです。
( → 銅線ケーブルなど金属盗対策新法案決定 本人確認義務づけなど|NHK 首都圏のニュース )
これはまともな法案だ、と思う人が多いようだ。だが、これはザル法である。犯罪者の気持ちがわからない犯罪素人の発想だ。その点、私みたいな犯罪のプロなら、ちゃんと穴がわかるんだ。 (^^);
※ 「おまえは泥棒だったのか!」と言われそうだが。まあ、バーチャル世界のことなんだけどね。ルパンW世 とは、おれのことだ。
──
犯罪の事例として、朝日の記事を見よう。
金属くずなどを繰り返し盗んだとして、兵庫県警がベトナム人グループを窃盗容疑などで逮捕・追送検した。 被害総額は1億円以上とみられる。
盗まれた金属はいずれも愛知県知多市の買い取り業者に持ち込まれたと兵庫県警はみており、社長夫妻を盗品等有償譲り受けの疑いで今月逮捕した。夫妻は「盗まれたものだと知らなかった」と否認しているという。
記者が会社を訪ねると、手伝いを頼まれたという中国人の男性が出てきた。
午前中も数組が金属を売りに来たというが、「どこから来たかなんて聞いていない。『盗んだものですか』盗んだ実行犯だけを捕らえればいいか? いや、盗んだもの(盗品)を買い取る業者を処罰することが何より大切だ。ないか」。
( → 金属窃盗容疑、ベトナム人グループ逮捕:朝日新聞 )
犯罪を止めるには、どうすればいいか? 盗んだ実行犯だけを捕らえればいいか? いや、盗んだもの(盗品)を買い取る業者を処罰することが何より大切だ。
なぜか? 夜中に盗んでいる現場を警察は捜そうとするが、そんなことをしても犯人が見つかるわけがない。ただの無駄手間だ。一方、盗んだあとで盗品を売りに来たときならば、一網打尽で、すべてを逮捕できる。ここで逮捕することが賢明なのだ。
ところが、である。その業者は、盗品か否かを確認しようとしない。
「どこから来たかなんて聞いていない。『盗んだものですか』なんて失礼じゃないか」
こんなことがまかり通っている。
ならば、これを改めればいいのだが、そのために用意した法案は、こうだ。
「買い取り業者に対して、都道府県の公安委員会に会社名や住所などを届け出ることを義務づけ、違反して無許可で営業をした場合には6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金が科される」
これはあまりにも甘い。ちなみに、泥棒の実行犯はこうだ。(窃盗罪)
「法第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する」
また、先の朝日の記事の社長には、盗品等有償譲り受け罪が成立する。
「刑法第256条第2項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。」
ただしこの罪が成立するには、条件がある。盗品であることを知っていることが必要なのだ。
Perplexity の回答
盗品等有償譲り受け罪の成立要件:
譲り受ける時点で盗品であることを知っていること。
譲り受け時に知らなくても、受け取る時点で認識があれば成立。
盗品であることを知っていなければ、無罪になるわけだ。そこで、朝日の記事では、社長が犯罪を否定している。再掲しよう。
社長夫妻を盗品等有償譲り受けの疑いで今月逮捕した。夫妻は「盗まれたものだと知らなかった」と否認しているという。
「知りませんでした」と言えば、それで無罪になってしまうわけだ。警察としては、「知っていたこと」を立証しなくてはならないが、立証は無理だろう。(無理に立証すれば冤罪になる。)
なぜか? 実際に知っていない(知っていたはずがない)からだ。そのことは、記事中の言葉からもわかる。(再掲)
「どこから来たかなんて聞いていない。『盗んだものですか』なんて失礼じゃないか」
聞いていないのだから、盗品であることを知っていたはずがない。
かくて、「盗品であることを知らなかった」という理由で、盗品等有償譲り受け罪は成立しないし、窃盗罪も成立しない。懲役 10年になる刑法は適用されない。かわりに、書類不記載の罪で「6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金」というのだけが成立する。だが、このような微罪は、通常は執行猶予が付くので、刑務所に入ることはない。せいぜい罰金刑だ。
かくて、1億円の窃盗に対して、30万円ぐらいの罰金を払えば、それで済む。懲役刑になることもない。泥棒のやり放題だ。
こんな法律は、まさしくザル法と言える。馬鹿丸出しだ。そのことを指摘しておこう。

さて。政府案はダメだ。ではかわりに、どうしたらいいのか? 困った。
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「買い取りの際は、窃盗品ではないことを確認することを義務づける。確認不足で窃盗を見逃したなら、故意犯でなく過失犯として、半分の罪で処罰する」(懲役 10年に対して5年の罰 )
※ 後述の [ 補足 ] を参照。
──
さらに追加で、次のようにする。
・ 巨額の多重犯罪には、罰を 1.5倍にする。(併合罪)
・ 外国人の不法滞在者には、罰を 1.5倍にする。(併合罪)
現状では、この両者は合算されて、最大でも 1.5倍にしかならない。したがって懲役 15年が最大である。
しかし私としては、上の併合罪は、独立させるべきだともう。ゆえに、1.5倍の2乗で、2.25 倍を上限とするべきだ。すると、こうなる。
「外国人の不法滞在者が、巨額の泥棒を多重に行うと、最大で懲役 22.5年となる。盗品買い取りの場合も、また同じ」
懲役 22.5年というと、殺人罪並みである。だが、これは法定刑なので、現実にはそこまで高くなることはない。それでも、このような法制度があると、外国人の大型犯罪には、抑止効果があるだろう。
※ 現実には、(前述のように)過失犯では半減となる。だから、 22.5年の半分で、懲役 11年ほどが最大罰となる。
[ 補足 ]
盗品故買(盗品等有償譲受け罪)については、悪質性というより悪意性が高いので、重過失の規定を新設するといいだろう。
現状でも重過失については、通常の過失剤のほかに、業務上過失罪がある。だがこれは、人を死なせても、業務上過失致死罪の懲役5年という罰だけである。人を死なせなければ、懲役2年ぐらいで済まされそうだ。たいていは執行猶予だ。これでは罰が軽すぎる。(窃盗罪ならば懲役 10年なのに、それに比べてあまりにも軽い。)
盗品故買は、行為自体は殺人よりもずっと軽いが、悪意性は業務上過失致死よりもずっと重い。(よくある業務上過失致死である)交通事故の過失では、故意はほとんど皆無であり、本人には悪意がほとんどない。つい「うっかり」「注意不足」であったことが多い。純然たる過失だ。一方、盗品故買の場合には、「盗品であることは自明なのに、あえて確認をしないで、見て見ぬフリ」というのが、ほとんどだ。(上記記事でもそうだ。「失礼じゃないか」と思って、わざと見逃す。)
このような悪意ある犯罪は、懲役2年よりもずっと重い罪に処するべきだ。そのために、重過失を処罰するように、特別規定を入れるべきだ。(ただの業務上過失窃盗よりもずっと重くする。)
※ 逆に言えば、その規定がない政府法案は、ザル法である。これでは処罰が軽すぎる。1億円を盗んで罰金 30万円だけ。
[ 付記 ]
外国人労働者の大規模犯罪は、(主としてベトナム人の)不法在留者によるものだが、技能実習生崩れが多いのだろう……と推定した。これはおおむね、そうであるようだ。
Perplexity の回答
2017年の犯罪統計では、逮捕・書類送検されたベトナム人の在留資格別内訳として:
・ 留学生が41%で最多
・ 技能実習生が23%
これらの統計から、ベトナム人の不法滞在者は技能実習生だけでなく、留学生も大きな割合を占めていることがわかります。特に、日本語学校に通う留学生は学習時間の拘束が少なく、アルバイトに専念しやすい環境にあり、経済的困窮から犯罪に手を染めるケースも報告されています。
一方で、技能実習生も低賃金や厳しい労働条件により、失踪して不法滞在になるケースがあります。
留学生の犯罪者数が多いが、身近な場所での小規模犯罪が多いようだ。
電線泥棒で1億円を盗むというような「プロの犯行」は、留学生ではなく、専門の泥棒集団がやっているはずだ。ならば、技能実習生崩れが多いはずだ。
政府(特に安倍首相)の推進した技能実習生という制度が、日本の社会を崩壊させつつある、と言えるだろう。「安い労働力を導入して、企業がボロ儲け」という狙いで実施したのだが、その結果は犯罪者を招くことになったのだ。政府のせいで、日本社会が崩壊していく。……もしかしたら最大の泥棒は、安倍首相だったのかも。
重過失の話。
通常被害総額というのはその窃盗で業務が止まった(電気が流れなくなった)件やその修理費用なども合算します。銅が一億円で売れるわけではないのです。
ただし、犯罪でどれだけの利益を得たかは、本項のメインテーマではないので、本文は特に書き直さないで起きます。気になる人は、コメント欄を見て、認識を修正しておいてください。
なお、今回の事件に限れば、
> 兵庫や福岡、神奈川など6県の金属買い取り業者の敷地などに侵入し、銅線など5700万円相当を盗んだ疑いがある。
と朝日の記事にある。ここでは、
被害額 = 盗品の額
と見なしていいだろう。業務停止の損害や修理代などは含まれない。盗品の額だけだ。記事を読む限り、そう解釈できる。
※ 太陽光パネルの電線を盗まれると事業が止まるが、鉄くず置き場の山から鉄くずを盗まれても事業は止まらない。鉄くず置き場の山には修理代もかからない。